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1人が好きな仲間2
しおりを挟む「オーンジュ嬢はどうして此処に?」
元気のない声でヴェルデが声を掛けてきた。黙ったままなのは、今の彼には多分出来ないのだろう。
「静かに本を読む場所を求めただけです」
本の内容は全て頭に入っているシェリは、本に集中している振りをしても良かったがヴェルデの元気の無さが気になって相手になった。
「そうですか……」
「ラグーン様が1人になりたかったのは何故ですか」
「お恥ずかしい話、失恋してしまいまして……」
聞いて後悔した。1人になりたい理由は大抵傷付く出来事が発生するから。安易に聞いてしまったことを謝るとヴェルデは気にしないでと首を振った。
「寧ろ、誰かに聞いてもらった方が気持ちが軽くなります」
「そう、ですか。告白して振られたとかですか?」
「いえ、うだうだしている内に相手に婚約者が出来てしまって」
貴族の結婚は政略が基本。
両想いで結ばれたカップルは中々いない。
本から視線をずらし、気弱に微笑むヴェルデを視界に入れた。
「それは……なんと言いますか」
「まあ、貴族なので政略結婚は避けられません。彼女が彼と婚約を結ばれてしまって最初は非常に驚きました。国を思えば当然の婚約なのですが……」
余程ヴェルデの想い人と婚約者は、重要な地位にいる家の者らしい。だが、婚約が結ばれたとなると必ず噂の1つや2つ流れる筈なのだがシェリの耳には届いていない。
「……彼女の婚約者には、元々婚約者がいたのに」
「……」
……シェリの背中に冷たい汗が流れ落ちた。どうも、嫌な予感がしてきた。
「仕方のないことだとは、頭では理解していても……どうしても受け入れたくない自分がいるのです」
「そう、ですか」
「……あなたが1人になりたいのは、ぼくと同じ理由からでしょう? オーンジュ嬢」
聞きたくない聞きたくない聞きたくない……!
その先を聞きたくないと心が叫ぶ。
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