25 / 103
大変ね〜アウテリート視点〜
しおりを挟む「リグレットは昔からリアンの後ろを引っ付いては嫌がられてはいるんだが……照れ隠しと思っているらしいんだ」
「前向きな方ですわね」
リアン様が誰を好きかでも、リアン様を誰が好きかでまた状況は変わる。婚約者がいないのも彼の人気を後押ししているのだが、筆頭がリグレット殿下とは……。
王太子殿下とリグレット殿下は異母兄妹。正妃の子である王太子殿下、愛人の子であるリグレット殿下。
身分の低い男爵令嬢を母に持つが陛下の若い頃からの愛人で大のお気に入り。且つ、母親にそっくりなリグレット殿下は陛下の寵愛が深い。王太子殿下といえど、あまり彼女を無碍にはできない。
この国の国王夫妻の仲は故に冷え切っている。表では仲睦まじく振る舞っても、王宮内では部屋を分けている。食事すら一緒にしないのだとか。
唯一の救いが王子が王太子殿下だけ、他の子供がリグレット殿下だけということ。
「これは内密だが……父上が何度もリグレットとリアンの婚約をロードクロサイト公爵に打診しているが……ずっと首を振られている」
「ひょっとして……」
あたしの思考を読んだのか、でも、と難しい顔をされる。
「そうだとしても、今のところフィオーレ嬢がエーデルシュタイン伯爵家を継ぐのだろう? 考え難いな」
確かに跡取り同士の婚約など聞いたことがない。今度、フィオーレにその辺はどう考えているのか聞かないと。
「とりあえず、リアンがフィオーレ嬢かエルミナ嬢、どちらを好きでもリアンが誰かを好きだという噂は流さない方がいい。リグレットは父上の寵愛深いのをいいことに昔から好き勝手している。おれが分かれば即注意をするんだが……治らなくて」
「以前、食堂で他生徒に無理矢理席を譲らせたのを陛下に報告すると言ってましたよね」
「建前上は。城に戻って一応報告してもあまり意味がない。母親の男爵令嬢にも従者を使って知らせたが……まあお察しだよ。反省文は書かせたよ。書かなかったら、今後一切おれに関わるなと言ったから」
「リグレット殿下は王太子殿下に嫌われるのは嫌なようですね」
「おれに嫌われるとリアンとの接点がなくなるからだろう。生徒会に入ってもリアンは主におれの手伝いだから距離を遠くしてる」
「大変ですわね……」
夫婦仲の良さと兄弟仲の良さは隣国の方が何倍も上か。
時にフィオーレの戻りが遅い。まさかあの子、このまま戻らないつもり?
と疑いかけた時、沈んだ相貌で向こうから歩いて来るフィオーレが。随分と暗い顔をしてるのはどうして?
食堂に近付くと首を振り、気持ちを入れ替えリアン様とエルミナ様の席へ行ってしまった。
「うん……リアンは分かりやすいな」
「付き合いの長い殿下にしか分かりませんわ」
「そうか? フィオーレ嬢が入った瞬間、表情が柔らかくなったぞ」
「変わったようには見えませんが」
変わったのはエルミナ様な気がする。フィオーレの姿を見た途端、花が咲いたような笑みを浮かべた。主人の帰りを知って喜び尻尾を振る子犬みたい。
「おじ様もそろそろ行かれては?」
「そうだね。なら、2人も生徒会に戻った方がいいよ」
「そうしましょうか、殿下」
「名残惜しいがそうしよう」
ずっと此処で見ていたくせに、先程生徒会から戻った風を装い食堂へ行ったおじ様の演技力に舌を巻きつつ、あたしと殿下は小走りで生徒会に戻った。
中に入るとリグレット殿下が周囲に当たり散らしている場面に遭遇。王太子殿下がいない間に好き勝手してしまったみたいだ。彼が戻った途端「あ……」と漏らし、顔を蒼白にした。
「……はあ……」
呆れか、それとも怒りからか。短い溜め息を殿下はリグレット殿下には目もくれず、周囲に指示を出して行った。
慌てた彼女が殿下に話し掛けるも――――
「リグレット。明日からは来なくていい。邪魔をする者は此処にはいらない」
「っ!」
突き出された宣告に更に顔を青くする。瞳に涙をたっぷりと溜め、走り去って行ったリグレット殿下を数人が追おうとするが「放っておけ」という王太子殿下の一言で足が止まった。
177
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
お姉さまは最愛の人と結ばれない。
りつ
恋愛
――なぜならわたしが奪うから。
正妻を追い出して伯爵家の後妻になったのがクロエの母である。愛人の娘という立場で生まれてきた自分。伯爵家の他の兄弟たちに疎まれ、毎日泣いていたクロエに手を差し伸べたのが姉のエリーヌである。彼女だけは他の人間と違ってクロエに優しくしてくれる。だからクロエは姉のために必死にいい子になろうと努力した。姉に婚約者ができた時も、心から上手くいくよう願った。けれど彼はクロエのことが好きだと言い出して――
【完結】結婚式前~婚約者の王太子に「最愛の女が別にいるので、お前を愛することはない」と言われました~
黒塔真実
恋愛
挙式が迫るなか婚約者の王太子に「結婚しても俺の最愛の女は別にいる。お前を愛することはない」とはっきり言い切られた公爵令嬢アデル。しかしどんなに婚約者としてないがしろにされても女性としての誇りを傷つけられても彼女は平気だった。なぜなら大切な「心の拠り所」があるから……。しかし、王立学園の卒業ダンスパーティーの夜、アデルはかつてない、世にも酷い仕打ちを受けるのだった―― ※神視点。■なろうにも別タイトルで重複投稿←【ジャンル日間4位】。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる