思い込み、勘違いも、程々に。

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帰るしかない

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 力加減を無視されていたから手形がくっきりと残り、痛々しいまでに赤い。明日になったら青痣に変わっているだろう。


「……君の腕を握っていたのはイースター伯爵令息と後は誰だ?」
「アシル、男爵令息です」
「アシル男爵家か。廃嫡ものだな」


 アシル男爵家はお母様の実家アルカンタル伯爵家から多大な支援を頂いていた。傾きかけていた領地経営も支援のお陰で持ち直したというのに、孫に当たる私にこの様な行いをした。当然、アシル男爵の耳に入れば只では済まない。良くて廃嫡だろうとリアン様は言う。


アシル男爵家あそこには他に子供はいなかった筈だから、あいつが廃嫡されれば跡取りがいなくなるな」
「ガルロ殿は、前々から私が気に食わなかったのは知ってます。他の3人とはどういう繋がりなのでしょう……」
「それは後日設けられる場で分かるだろう」


 私から離れたリアン様が棚を漁り出した。中から包帯と薬を持ち出し、赤く変色した腕に薬を塗り、最後に布を当てて包帯を巻いてくれた。今は保健室の先生が不在なので応急処置しか出来ない。この後はエーデルシュタイン伯爵邸に帰ろうと告げられた。


「もう話は伯爵にも届く頃だ。授業を受けるより、今日は帰った方がいいだろう」
「エルミナはどうしているのですか?」
「手当を受けた後は友人と教室に行ったよ。エルミナ嬢はこのまま授業を受けると選んでいたから」


 なら私も、と発しようとするとリアン様に首を振られた。


「君は駄目だ。イースター伯爵令息達の件が片付くまで休んだ方がいい」
「で、でも、ガルロ殿達は登校されないのでは? 流石に王太子殿下や先生達にも知られましたし……」
「隣国から来てる人もいたから、話し合い当日までは自宅謹慎だろうな。……それまで息をしていればいいが」


 最後だけ声量を下げられ何を言われたか聞こえなかった。首を傾げても「何でもない」と首を振られ、授業に出るという選択肢はリアン様の中にはもうない。差し出された手を取るしかない私はリアン様の手の上に自身の手をそっと乗せた。


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