思い込み、勘違いも、程々に。

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親にとって何歳になっても子供は子供

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「ん……」


 あの眩しい光がなくなり、誰かに呼ばれている気がして瞼をゆっくりと上げた。寝惚けた意識が段々と明確になっていく。視界が鮮明になると心配げな面持ちをしたお義母様がいて。手が私の頭に触れていた。


「お……義母……様……?」
「起こしてしまった? ごめんなさい。旦那様に学院であったことを教えられていても立ってもいられなくて……」
「いえ……」


 夫人会から戻ったお義母様はお父様に事の経緯を聞き、慌てて私の部屋へ飛んで来たそうだ。肝心の本人がぐっすりと眠っていたから安堵したと。


「お義母様に頭を撫でられるの、なんだか懐かしいですね。小さい頃はよくしてもらいました」
「そうね……大きくなったから、もういいよ、とあなたは言うけど親にとって子供は何歳になっても子供なのよ」


 寂しげに笑うお義母様に胸がチクリとした。私が前妻の娘だと知らされる前は、よく寝る前に頭を撫でてほしいとお願いしていた。以降はしていない。年齢もあったけど、私にはその資格がないと思って。

 何歳になっても親にとって子供は子供。


「……トロントおじ様がそうなのでしょうか」
「……でしょうね」


 私の発言の意図を瞬時に理解したお義母様は深く溜め息を吐かれた。お義祖母様は最後に生まれたトロントおじ様を特に溺愛していたとお義母様やカンデラリア公爵様は話す。歳を重ねても母にしたら可愛い息子。息子にしたらどんな時だって味方になってくれる母親。共通の敵を前に2人でいれば怖くはない。

 学院から経緯が書かれた手紙は届いており、お義母様と一緒にお父様の待つ執務室へ向かった。
 私が起きるのを待っていくれたお父様は執務机に手紙を置いた。


「手紙を書いたのは王太子殿下だった。指定された日に登城してほしいと。呼び出すのはフィオーレに害意を齎した令息達とその家だ。勿論、私も出席する。君はどうする? シェリア」
「私も行きますわ。元凶はガルロなのでしょう? なら、トロントも来るでしょう。あの馬鹿は、こういった集まりには必ず来ますから。目立ちたがり屋ですし」


 ……トロントおじ様の名を発する時の声は氷のように冷たい。ガルロ殿に対しても同じ。


「あの、お父様。ガルロ殿は私にイースター伯爵家の跡取りから外されたと言っていましたが事実ですか?」
「事実よフィオーレ」


 答えたのはお義母様。イースター伯爵夫人とは、トロントおじ様絡みで何かあったら直ぐに連絡する仲で共に伯爵夫人なら自分の方が相談しやすいからとお義母様は率先して夫人の相談を受けていた。


「ガルロがリグレット王女殿下の嘘を真に受けてあなたに暴言を吐いた時があったでしょう? 王太子殿下が態々、夫人に知らせてくれてね。
 トロントはあくまで婿で、伯爵家の実権を握ってるのは夫人。先代伯爵も健在だし、この際だからガルロを跡取りから外したのよ。
 お母様やトロントは猛反対したけれど、そこはお父様が黙らせたわ。お前達の自業自得だって」



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