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嫉妬と嫌がらせ7―リグレット視点―
しおりを挟むアウムルが連れた護衛騎士に正門付近まで連れ出されたリグレットは未だ叫び続けているが誰も助けない。登校する生徒の数も減ってきている。予め用意されていた馬車に護衛騎士に押し込まれる直前、別の騎士が二人やって来た。彼等は王自らに命じられ、リグレット王女を解放するよう王太子の護衛騎士に命じた。困惑とする護衛騎士達だが、王太子と国王の命ならば国王を優先しないとならない。
解放されたリグレットは護衛騎士に散々文句を言い、更に王の騎士にも来るのが遅いと文句を言って校舎に入った。
目指すのはリアンがいる生徒会。今は異母兄もいるだろうがリアンに会えるのなら試練と思えばいい。
「リアンに早く会いたいわ!」
お気に入りの縦ロールを後ろにやり、優雅にリアンのいる生徒会を目指すリグレットの側に先程の取り巻き1が来た。名前は知らない。適当に声を掛けたら婚約者を放ってリグレットに尽くしてくれるようになった。彼は伯爵家の跡取りで婚約者は子爵家。子爵家の令嬢如きが王女であるリグレットに物申せる筈もないのに。
「王女殿下? お、王宮に戻られたのでは……」
「パパがね、騎士を手配してくれていたの! もう少し早く来てほしいって文句は言ったけどパパの気持ちには感謝しないと」
きっと自分が学院に登校したら、必ずアウムルが邪魔をするとパパは読んでいたのだと、パパのお陰で登校出来ると嬉し気に語るリグレットに取り巻き1は困惑しながらも、彼女に気に入られ続ける為にもある情報を提供した。
話を聞いたリグレットは可憐な相貌を怒りに満ちた物に変貌させ、周りにいた生徒達が小さく悲鳴を上げ避けて通って行く。
「あ、あの女……! 伯爵令嬢の分際でわたくしのリアンに……!」
2日前、まだアウムルに見つからず登校した際に取り巻き3が教えてくれた。カンデラリア家の親族会で大好きなリアンとリアンに気に入られている忌々しい伯爵令嬢が覚束ない足元で客室に入ったまま出て来なくなったと。
室内で何があったかは取り巻き3はそこまでは分からないと答えられなかった。そこが最も重要なのに使えないと罵った。項垂れる取り巻き3は放っておき、他に知る者がいないか調べさせた。
何があったかは結局分からず。その親族会で騒動があったとは知れた。
忌々しい伯爵令嬢が登校したのを目撃し、取り巻きの男子生徒を引き連れて突撃したらアウムルに邪魔をされた。
次は人目のない場所でしないとまた気付かれる。昔からアウムルは自分を妹と認めてくれない。大好きなママ同様に嫌われている。母の血が違っても同じ父を持つのに、仲良くしたい。
それなのに伯爵令嬢は何から何までリグレットを苛立たせた。母親違いの妹とは関係が良く、リアンに気に入られアウムルにも気を掛けられている。
リグレットの取り巻き達は伯爵令嬢に興味があるようで。また、他の高位貴族の跡取りではない令息からも人気が高いと知ります益々気に入らない。理由は多分、王国一の財力を持つアルカンタル伯爵の孫だから。ただ、隣国の公爵令嬢が常に側にいて誰も近寄れないと聞いた。
なら、公爵令嬢から引き離せばいい。
「ねえ」
「はい!」
「あの女の妹を使って呼び出しましょう」
「えっと……エルミナ嬢ですか?」
「名前なんか覚えてない。妹を人の来ない場所に閉じ込め、妹の振りをしてあの女を呼び出しなさい」
「どうやって……僕が近付いても警戒されて……」
「馬鹿ね。お前の婚約者を使えば良いじゃない」
同じ令嬢同士ならどうとなる。妹は余程の相手でなければ応じる筈。
「ほら、早く行きなさい。わたくしを待たせないで」
「は、はい!」
走り去った取り巻き1から視線を変え、先程教えられた空き教室へ早足で向かった。
微かに開いた扉の隙間から室内を窺ったリグレットの青の瞳は大きく見開いた。
「誰もいないじゃない!!」
リアンと伯爵令嬢が抱き合っていると聞いたから急いで来たのに!
地団駄を踏み、収まらない怒りを抱えたまま教室に向かった。
取り巻き1には、何がなんでも妹を閉じ込めておけとキツく言い聞かせる事にする。
何かあっても国王であるパパが揉み消してくれる。
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