思い込み、勘違いも、程々に。

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嫉妬と嫌がらせ8

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 空き教室でリアン様に抱き締められている間、ずっとこの時間が続いてしまえばいいのにと思ってしまう自分が嫌になった。リアン様を拒否しているのは自分なのに、こうしてリアン様に求められて喜ぶ自分がいる……。嫌な女だって思われているだろうな……リアン様に本当の事を話して、好きだと言いたい私と『予知夢』での出来事が本当に起こるのか起こらないのか不明な今はまだリアン様に話してはいけないと否定する私がいて。どちらにも傾きそうなのに、否定する私に重きがいってしまう。

 そっと体を離したリアン様に額に口付けられ、行こうと促されて空き教室を出た。
 教室に着くとリアン様と別れてアウテリート様のところに行き、心配げな面持ちをされるので大丈夫ですと首を振った。


「フィオーレ、気を付けなさいよあの王女。油断ならないわ」
「王太子殿下が王宮へ帰したのなら、取り敢えずは大丈夫なのでは?」
「と思いたいけど……王女に甘々な陛下なら、王太子命令で動いている騎士の動きを止められる」
「あ……」


 アウテリート様が何を言いたいか察した。もしも王宮に戻されたリグレット殿下を見た国王陛下が、学院に戻すよう命じれば騎士達は従わざるを得ない。王太子と国王の命なら、どちらに重きが傾くか分かってしまう。

「早くどうにかしてほしいわ……」
「アウテリート様?」
「……王太子殿下が陛下とあの王女を排除する為に動いているでしょう? おじ様も噛んでいるなら、さっさとしてほしいわ」
「オーリー様ですか?」
「ええ。……助っ人を呼んだよって言うから、誰が来たかと思ったら……」
「?」


 1人小声で何かを言うと深い溜め息を吐き、額に手を当てたアウテリート様は心底困った様子で。私に何か出来る事はと告げると顔を上げられた。


「フィオーレが出来るのはリアン様の側にいる事。後、絶対に1人にならない事。いい? 絶対よ?」
「で、でも、それだとリアン様やアウテリート様達に迷惑が……」
「何かあってからじゃ遅いの。只でさえフィオーレはぽやぽやして危なっかしいのに」


 前にエルミナにはのほほんとしていると言われたけどそこまでのんびりしてるように見えるのかな……。

 念を押すアウテリート様に頷き、そろそろ授業が開始するからと席に着いた。
 ……胸がざわざわするのはどうしてなんだろう。

 こういう時は大抵碌でもない事が起きる前兆。

 ――それが事実だと私が知ったのは昼休みに入ってからだった。 
 アウテリート様と食堂へ向かう途中、ハンカチを鞄に入れたままなのを思い出して1人教室に引き返した。一緒に行くと言うアウテリート様には席取りを頼んだ。昼の食堂は激戦で早めに行って席を確保しないと食べる場所がかなり限られる。教室に戻って食べてもいいけど、食べ終えた食器を戻すのにまた食堂に戻らないといけないから2度手間となり、実際にしている生徒は殆どいない。

 残っている生徒が少ない教室に入って席に向かい、鞄からハンカチを取り出しスカートのポケットに仕舞った。いつもハンカチを入れる場所を決めているから、すぐに見つけられる。
 遅くなったらアウテリート様が心配するのですぐに教室を出た。食堂へ向かう道中、登校中リグレット殿下の取り巻きだった数人の男子生徒が行く手を阻んだ。
 ニヤニヤと嗤う彼等に嫌な予感がしつつも、弱気なところは見せられない。


「……何か御用ですか」
「エーデルシュタイン嬢、僕達と一緒に来てほしい場所があるんだ」
「お断りします。食堂で友人が待っているので」
「妹がどうなっても良いの?」
「なっ」


 妹? エルミナ?
 1人が出した言葉に過剰に反応してしまう。彼等の様子から察するにエルミナに何かをしたのは明白だ。


「エルミナに何をしたのですか……!」
何もしていないよ」
「っ……」


 つまり、私の対応次第でエルミナをどうにかするつもりという意味……。


「何が目的ですか……」
「エーデルシュタイン嬢の事は前から狙っていたんだ。とても可愛い令嬢だって」
「妹君が大事なら、僕達とおいで。痛い事はしないから」
「っ」


 肩に男子生徒の手が置かれ、肩が跳ねた。服越しからでも手の感触が気持ち悪くて顔が青くなっていく。
 リアン様……リアン様なら……気持ち悪いなんて思わないのに……。
 エルミナを助けるには私が一緒に行かないとならない。昼時、食堂から離れた廊下は人気がない。狙っていたんだ……私が1人になるのを……。
 彼等はリグレット殿下の取り巻き、朝のアウテリート様の言葉が蘇る。甘く見ていたのは私が大馬鹿だった。

 私が逃げないよう囲み、場所を移動すると掛けられ、震える足で何とか歩き始め……着いたのは普段から使用されない物置小屋。古い机や椅子が置かれており、物置小屋に入るなり腕を掴まれ机に押し倒される。
 抵抗する私の腕を2人がかりで押さえ付け、もう1人が制服に手を掛けた。

 見上げる先にあるのは彼等の厭らしい笑みや耳を塞ぎたくなる言葉。


「悪く思わないでくれ。これも王女殿下の為だ」


 やっぱりリグレット殿下の差し金だった。リボンが解かれ、制服のボタンが外されていく。

 たす……けて、助けて……リアン様……


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