婚約者を捨てて逃げたら、何故か追い掛けてきました

文字の大きさ
27 / 38

25話

 

 体中に重石を巻き付けたかのような怠さがメルフィーナを憂鬱な気分へと落とす。薬草が浮かぶ浴槽の湯は黄緑色をしており、鼻につく臭いのお陰で幾分か憂鬱を吹き飛ばした。
 昼過ぎ、何がいけないのかをまるで理解しないリーラにキレてしまい、お構いなしに言いたい事を言い切ったメルフィーナは誰にも見つからないようこっそりと私室に戻り、以降は誰かが来るまで部屋から出なかった。夕刻近く呼びに来たのはハニー。メルフィーナに気遣って夕刻まではそっとしておこうとオーギュストに命じられていたらしく、今夜の夕食をどうするか訊ねられた。人間何時如何なる時でも空腹は訪れる。皆と頂きますと告げればハニーも安堵し、夕食の前に先に湯浴みをしたいと頼むと準備は出来ていると満足気に教えられる。

 曰く、気分の重い日は湯浴みをして洗い流すのが一番だと。これもオーギュストの言葉らしく、お言葉に甘えて早速浴室へと足を運んだ。


「お嬢様、湯加減はどうですか?」
「丁度いいわ。とても気持ちいい」
「もう少ししたら髪を洗い流しましょうね」
「ええ、お願い」


 水面を漂う薬草は身体の疲れを癒し、気分を向上させる香りを持つと言う。甘い薔薇の香りよりも、頭をすっきりとさせる薬草の臭いが今のメルフィーナにはピッタリだ。


「ハニー」
「どうしました」
「殿下は……今どうしてる?」


 気にしながら自分でああまで言ってしまった手前聞きにくいものの、やはり聞かずにはいられなかった。


「ミラから事情は聞きました。随分落ち込んだ様子でしたよ」
「そ、そう」
「ヒルデガルダお嬢様が止めを刺したのも落ち込んでいる理由になるかも」
「ヒルデガルダ様が?」


 メルフィーナが去った後、メルフィーナの大声を聞いてやって来たヒルデガルダは事情を知るなりリーラへ鋭く厳しい言葉を掛けた。ミラから聞いたハニー曰く。
『メルフィーナ様が何をお求めか分からない限り、貴方がメルフィーナ様とやり直すのは不可能に近くなりました。シルヴァーナ公爵様の思惑通り、ロジャーズ公爵令嬢との婚約を成された方が両者共に幸福なのでは御座いません?』と。


「ヒルデガルダ様には分かるんだ……」


 恋や愛が分からないと以前ヒルデガルダは話してくれた。そんなヒルデガルダでも恋愛小説を多数読破しているせいか、他者の恋愛については中々鋭く、リーラは解ってくれないのにヒルデガルダには解ってもらえて嬉しい反面虚しい。


「ロジャーズ公爵令嬢は?」
「あちらのご令嬢はヒルデガルダお嬢様が魔法を解除されない限り眠ったままですのでご安心を」
「そうですか……」


 二人が帝国に戻るまで魔法の解除はされない。レイラに会わなくて済むのは幸いだ。


「さあ、そろそろ髪を洗いましょう」
「ええ」



 湯浴みを終えたメルフィーナは食堂へと足を運んだ。既にオーギュストやヒルデガルダ、リュカが食事を始めていた。湯浴みをするのは事前にハニーから伝えてもらっており、先に食べてくれるようにも言っておいて正解だった。


「少しはスッキリしたか?」
「はい。とても」


 オーギュストの隣の席に座るとメルフィーナの前に夕食が置かれていく。今日は厚いステーキ。サラダをたっぷり用意してもらい、ドレッシングは無しにした。


「リーラ皇子殿下とロジャーズ公爵令嬢は五日後に帝国へ送り返すと皇帝陛下に連絡をした。殿下の傷は癒えても、肉体の疲労というものはすぐに取れんからな。大事を取って少し長くする。それで構わないな?」
「オーギュスト様のご判断にお任せします」


 屋敷の主はオーギュストであり、メルフィーナは客に過ぎない。多分な気遣いに感謝しつつ、ふと、ヒルデガルダの隣にアイゼンがおらず口に出すと「実家の方で問題が起きたようで暫くは戻りませんわ」と教えられる。王国の貴族でないなら何処の国の貴族かと訊ねても教えられなかったが、やはり貴族なんだと納得してしまう。


「ところでアイザックから連絡は来たか?」
「はい。丁度、湯浴みをしている時に」


 連絡を取る際、お互い何処にいて何をしているかまでの把握は出来ない。待っていた父からの連絡にメルフィーナは心配していた余り開口一番大きな声でお父様と呼び掛けてしまった時を思い出し頬を赤らめた。連絡が遅くなったのを最初に詫びられ、敵国の国王と王太子の首を討ち取り、後処理を終え次第サンチェス家へ迎えに来ると言われた。


「オーギュスト様。お父様が迎えに来ても滞在を延長しても良いですか? もう少しだけ、王都の街を歩いてみたいんです」
「私は構わんよ。アイザックも反対しないだろう。リーラ皇子殿下については何か言われたか?」
「いえ、何も」


 試しにメルフィーナはリーラについて聞いてみようとしたが、その前に父の後ろから騎士団長の声が届き、一言謝られると通信が切られたので聞けずに終わった。ただアイザックはリーラが此処にいるとは恐らく知らない。知っていたら連絡を取らず、単身サンチェス家に乗り込んできそうだからだ。
 オーギュストに話すと同感だと頷かれる。


「皇帝や周りが隠しているんだろう。で、婚約破棄をするのか?」
「……します。今日でよく分かりました。殿下とは、これ以上婚約者ではいられません」
「お前に後悔がないならそれでいいんじゃないか」
「はい」


 そう……後悔なんてない……胸を襲うチクリとした痛みは気のせいだ。




 夕食を終え、部屋に戻る間際ハニーがラウラに呼ばれ側を離れないとならず、気にせず行ってほしいと笑むメルフィーナに「申し訳ありませんお嬢様!」と深く頭を下げるとラウラの許へ行ってしまい、一人になったメルフィーナは私室へ戻る……筈だった。足はリーラのいる部屋の前まで来てしまった。来る気はなかったのに、どうしてか来てしまった。


「……」


 嫌いだと、大嫌いだと告げた瞬間に見せたリーラの深く傷付いた表情と途方に暮れた子供のような泣きそうな瞳を思い出す。決定的な言葉を言わない限り、あのままだと延々リーラと言い合いを続けてしまっていた。
 婚約破棄の撤回を求めながらレイラの側を離れる気がないリーラに苛立った。患者と調整役バランサーの関係を徹底してくれていたら、あくまでレイラは助けなければならない人であって個人的感情を持たないでいてくれたら、まだリーラの言葉を信じて婚約破棄の撤回を受け入れていた。

 それももう――到底無理は話となった。


「メルフィーナ様?」
「!」


 何時までも此処にいたって解決策はない。部屋に戻ろうと頭に過るとミラが怪訝な面持ちをして側へ来た。


「ミラ……どうして此処に」
「ハニーが今ラウラの手伝いをしているので食後のお茶はどうかと聞こうとメルフィーナ様を探していました」
「そうでしたか。部屋に戻って頂きます」
「皇子殿下に会わなくて良いのですか?」
「いいんです……」


 顔を合わせても気まずく、どんな言葉を掛ければ良いのか分からない。
 リーラとの復縁は不可能。ならメルフィーナがするのは……。


「え?」


 意を決したメルフィーナは突然ミラの手を掴むと歩き出し、向かったのは自身の部屋。驚きながらもメルフィーナの好きにさせるミラを部屋に入れると扉を閉めた。


「メルフィーナ様?」


 瞬きを繰り返すミラに深く頭を下げ、子供を儲ける為に手伝ってほしいと改めてお願いした。頭上から慌てる声が聞こえようとメルフィーナは構わず続けた。


「殿下との婚約の継続はもう不可能です。それなら、今から子供を作るのを手伝ってほしいです」
「え、えっと、頭の冷えた皇子殿下と話し合いになろうというお考えは……」
「ありません!」


 顔を上げきっぱりと言い放った。
 ミラの方も心のどこかでメルフィーナが頼んでくるのは解っていたのだろう。うろたえながらもメルフィーナと視線を合わせる。


「子供をどうやって作るかはご存知ですよね……?」
「く、詳しい事は分かりませんが多少の知識として知っています」


 閨教育については母親から教わるのが多く、母を亡くしているメルフィーナは教育係からある程度教わったものの、詳細は夫になるリーラに身を委ねるようとしか言われていない。困ったように髪を掻くミラだったが、一つ深い息を吐くと「分かりました」と遂に観念した。


「メルフィーナ様は後悔しませんか」
「後悔するならこんなお願いしません。ロジャーズ公爵令嬢を想いながら殿下に抱かれる方がよほど後悔します……」
「……分かりました」


 抱かれているのは自分なのに、想っている相手が自分ではない誰かだと知れば心は深く傷付きトラウマ確定にさえなってしまう。


「失礼します」


 そっと背中に手を回され、膝の裏を抱えられるとベッドまで運ばれ座らされた。
 先に湯浴みをしていて良かった。
 蜂蜜色の金糸を撫でる指先は優しくありながら愛撫するように刺激してくる。額にキスをされ、瞼、頬にかけてキスをされるとミラと視線が合う。


「唇へのキスは取っておきましょう。何時か、メルフィーナ様がしたくなった相手の為に」


 勝手なお願いをしたメルフィーナをどこまでも気遣うミラの優しさが嬉しく、好きな相手とするのが理想と言われる唇のキスをしても良いと思ってしまう。


「ん……」


 首に顔を埋められ、何度も口付けを落とされていく。甘い口付けと熱い感触にぴくぴくと反応し、布の上から両胸に触れられた。


「んあ……」


 確か閨の時は、性行為がしやすいように脱ぎやすい夜着を着るのが基本だと教えられた。生憎とそんな夜着を持っておらず、お気に入りの夜着を着ている。脱がしやすいだろうかと首の口付けから耳を舐められるに変わり、優しく両胸を揉まれる甘い痺れに酔いしれながら心配になる。も、ミラはメルフィーナの不安をよそに器用に脱がした。
 異性に初めて裸体を見られ恥ずかしくない訳がなく、赤くなる顔を背けるとミラからこんな事を聞かれた。


「怖いならまだ引き返せますよ」
「……いいえ……続けて……それに、優しくしてくれるでしょう?」
「女性を乱暴に抱く趣味はありません」
「あっ……」


 未知の領域に足を踏み入れる恐怖はあれど、相手がミラなら受け入れられる自信がある。ふっと微笑んだミラの手が剥き出しとなった肌に触れた。脇から掬うように胸を揉まれ、ちゅっちゅっとキスを落とされていく。
 このまま優しい時間が過ぎていく……と微かに体が拾う快楽に身を委ねようとした直後。



「……お前は本気で僕を捨てるつもりなんだな」


 甘く痺れる時間を堪能していた思考は一瞬で現実に引き戻され、声のした方へ顔を向けた。ミラも然り。
 何時の間に入っていたのか、紫の瞳に濃い翳りを宿したリーラが扉を閉め部屋に入っていた。


「で、殿下……」
「メルフィーナ……僕はお前を手放すつもりは毛頭ない。シルヴァーナ家の当主の座が欲しいと思っているんだろう? そう思えばいい」


 リーラの纏う雰囲気が明らかにおかしいと察知し、体にシーツを被せてくれたミラの後ろに隠れた。ピクリと反応したリーラの蟀谷。これさえもリーラは気に入らないのだ。徐々に上昇するリーラの魔力を感知して誰かが来てしまうのは拙い。ヒルデガルダから許可を得ていても気まずい。


「皇子殿下。一旦引き下がってもらえませんか。そんなに魔力を上昇させてはメルフィーナ様が怯えてしまいます」
「サンチェス公女にこの事を話しても良いんだぞ」
「えっと……どうぞ。おれにメルフィーナ様に協力するよう許可を出したのはそのお嬢なので」
「っ、僕という婚約者がいるのにかっ」
「メルフィーナ様に大事な事を言わず、ロジャーズ公爵令嬢を手放そうとしないから拗れてしまっているのでは?」


 痛い部分を突かれリーラの表情が怒りに歪み、益々魔力が上昇して言葉選びを失敗したとミラは悟り、メルフィーナだけでも逃がそうとリーラから目を逸らしたのがいけなかった。
 途端に重くなる体、ベッドの近くまで来たリーラに床に落とされてしまい、声を出そうにも体と同じで何も出来ない。リーラに気付けなかったせいで部屋全体に掛けられた魔法にも気付けなかった。


「メルフィーナ……」
「で……殿下……」


 メルフィーナの方も思うように体を動かせない。シーツを剥ぎ取られた挙句、クラバットで目元を隠された。


「自分より弱い男に今から犯されるんだ。お前に最大限の屈辱を与えるのにこれ以上はないだろう」



感想 17

あなたにおすすめの小説

殿下が好きなのは私だった

恋愛
魔王の補佐官を父に持つリシェルは、長年の婚約者であり片思いの相手ノアールから婚約破棄を告げられた。 理由は、彼の恋人の方が次期魔王たる自分の妻に相応しい魔力の持ち主だからだそう。 最初は仲が良かったのに、次第に彼に嫌われていったせいでリシェルは疲れていた。無様な姿を晒すくらいなら、晴れ晴れとした姿で婚約破棄を受け入れた。 のだが……婚約破棄をしたノアールは何故かリシェルに執着をし出して……。 更に、人間界には父の友人らしい天使?もいた……。 ※カクヨムさん・なろうさんにも公開しております。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

【完】愛していますよ。だから幸せになってくださいね!

さこの
恋愛
「僕の事愛してる?」 「はい、愛しています」 「ごめん。僕は……婚約が決まりそうなんだ、何度も何度も説得しようと試みたけれど、本当にごめん」 「はい。その件はお聞きしました。どうかお幸せになってください」 「え……?」 「さようなら、どうかお元気で」  愛しているから身を引きます。 *全22話【執筆済み】です( .ˬ.)" ホットランキング入りありがとうございます 2021/09/12 ※頂いた感想欄にはネタバレが含まれていますので、ご覧の際にはお気をつけください! 2021/09/20  

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

王子様への置き手紙

あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯ 小説家になろうにも掲載しています。

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい

恋愛
婚約者には初恋の人がいる。 王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。 待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。 婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。 従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。 ※なろうさんにも公開しています。 ※短編→長編に変更しました(2023.7.19)

婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。

黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。 その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。 王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。 だから、泣かない。縋らない。 私は自分から婚約破棄を願い出る。 選ばれなかった人生を終わらせるために。 そして、私自身の人生を始めるために。 短いお話です。 ※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。