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「 ダイアナ・バローヌ、お前の婚約を破棄させてもらう。お前は妹を虐めているんだな。聖女の職も解任だ。」

そこまで、まるで練習して来たかのように一気に叫んで王子は私の義妹を見つめた。まるで眩しい物を見るように目を細めて。

「 何の事でしょう?私が虐める?」

いつもの事だ。子供の頃からずっと同じ事の繰り返し。義妹はいつも私のものを欲しがる。まるで息を吐くように嘘をついて、その嘘を義母も父も皆が信じる。

「 シシーが嘘をついたと言うのね。それなら証拠を見せなさい。今すぐに!証拠も無く妹のせいにするなんて、なんて酷い子なの!」

大きな声で怒鳴られ殴られて私はいつも嘘つきと呼ばれた。親からの援助も協力も何も無く、自分だけの力で聖女になった。国の為に人々の為に自分の全てをかけて祈りを捧げてきた。

私が祈りを止めると、まがまがしい空気が漂い始め、よどみがそこらに充満し始めた。義妹に魔力など微塵も無く、聖女の仕事など出来るはずも無いのに。

私は国を追われるように出た。危機を察して国民のほとんどは身寄りを頼って国外へ逃げた。魔獣が襲い、山は燃え水は枯れて祖国は悲惨な状態になった。
 
復讐は私がしなくても天に任せておけば良いのだ。新しい場所で私は幸せを見つけようと心に誓った。
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