6 / 19
1章 出会い
3.出会いと変わる日常
しおりを挟む私はあの地獄の時間が来るまで大人しく毛布…布に包まりその時をずっと待っていた。
少しすると屋敷の中から悲鳴やら怒号が聞こえてくる。
一体何があったのだろう…?
でも、そんなこと考えても私は部屋からは1歩も外へは出られない。特別授業がある日に部屋から出るとその日の授業は普段よりも酷くなる。だから私は大人しくしているしかないのだ。
しかし、ずっと大人しくしていられる訳もなく立ち上がり何となく窓の外を見てみると、何やら鎧のようなきた人が旦那様や奥様、お嬢様だけでなくこの屋敷の使用人達までを拘束し馬車へと乗せている。
……なんでみんな馬車に乗せられてるんだろう?
そう考えていると廊下の方からギシギシと足音がする。
しかも、1人ではなく複数人の足音と共に。
私もあの人達のように捕まるのだろうか…?いや、それは嬉しいことかもしれない。なんせ私はずっと死にたかったのだから…。
何度自分の手で命を絶とうとしたことか。その度に使用人達や旦那様に止められてきた。
暫くすると私の身の回りからは刃物類やロープ等自殺に使えそうなものは消えていった。もちろん厨房への立ち入りも禁止になった。
どれだけ私が死んだら困るのだろう…。それだけ私に仕事を押し付けていたのか。いや、それよりも自分達の捌け口がいなくなるのが許せなかったのだろう。
そう考えていると部屋のドアがギィと音を立てて開けられる。
するとそこに立っていたのはとても美しい金髪碧眼の先程屋敷の前にいた青年だった。
青年は私の部屋を見やると一瞬訝しげに眉を顰めるが直ぐにもとの無表情に変わる。
「はじめましてだな。俺はアルファード=カルガン、ルーズファミリーのボスだ。お前の雇い主…つまりはこの屋敷の主人だがあいつは罪人となって捕らえられた。
……俺達と一緒に来い。俺達と一緒に暮らそう。もう何不自由なく過ごさせてやれる。何も我慢しなくていい、よく頑張ったな。」
そう言うと私に少し微笑みかける。
すると、何故か目の奥が熱くなってくる。これは、一体なんだろう。
そう思っていると頬に生温い感触が伝わる。何かと思い手で触れてみるとそれは涙だった。何故か私は泣いていた。
泣いている理由が私には分からない。だけど私はただ声もなく涙を流し続けていた。
アルファード様はそんな私を見て抱きしめると、少し腕に力を込めた。その行為に心が少しだけ暖かくなり私はそのまま意識を手放した。
※レオン視点
…………その様子を見ていたカインとレオンはボスってここまで他人に優しかったけ(優しかったっすか)…?と疑問に思うがそれも無理ないだろう。
まだ幼き少女、正確に言うのであれば幼女だが、このような何も無い部屋で、ホコリが立ち込める場所に寝る場所は恐らくあの薄い布1枚だけという何とも惨いところだった。
しばらく様子を見ていると声も出さずに泣いていた少女の寝息が微かに聞こえた。泣き疲れたのだろう。気を失うようにして寝ていた。
ボスは少女を抱きかかえて立ち上がると俺達の方の方に向いた。
「帰るぞ。
……あぁ、カインはミトに連絡しておけ。」
そう告げるとボスは部屋から出る。
なるほど、確かにチラッと見えただけだがだらんと下がった幼女の腕にはたくさんの傷と痣が見えた。
これはミトが見たら不機嫌になりそうっすね…。
屋敷に着いた後の仕事は荒れるっすよ~…。
ボスの後ろを歩きながらこれから来る忙しさに遠い目をしていた…。
6
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
守護神の加護がもらえなかったので追放されたけど、実は寵愛持ちでした。神様が付いて来たけど、私にはどうにも出来ません。どうか皆様お幸せに!
蒼衣翼
恋愛
千璃(センリ)は、古い巫女の家系の娘で、国の守護神と共に生きる運命を言い聞かされて育った。
しかし、本来なら加護を授かるはずの十四の誕生日に、千璃には加護の兆候が現れず、一族から追放されてしまう。
だがそれは、千璃が幼い頃、そうとは知らぬまま、神の寵愛を約束されていたからだった。
国から追放された千璃に、守護神フォスフォラスは求愛し、へスペラスと改名した後に、人化して共に旅立つことに。
一方、守護神の消えた故国は、全ての加護を失い。衰退の一途を辿ることになるのだった。
※カクヨムさまにも投稿しています
【完結】離縁など、とんでもない?じゃあこれ食べてみて。
BBやっこ
恋愛
サリー・シュチュワートは良縁にめぐまれ、結婚した。婚家でも温かく迎えられ、幸せな生活を送ると思えたが。
何のこれ?「旦那様からの指示です」「奥様からこのメニューをこなすように、と。」「大旦那様が苦言を」
何なの?文句が多すぎる!けど慣れ様としたのよ…。でも。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
【完結】婚約者とのお茶の時に交換条件。「 飲んでみて?」
BBやっこ
恋愛
婚約者との交流といえば、お茶の時間。客間であっていたけど「飽きた」という言葉で、しょうがなくテラスにいる。毒物にできる植物もあるのに危機感がないのか、護衛を信用しているのかわからない婚約者。
王位継承権を持つ、一応王子だ。継承一位でもなければこの平和な国で、王になる事もない。はっきり言って微妙。その男とお茶の時間は妙な沈黙が続く。そして事件は起きた。
「起こしたの間違いでしょう?お嬢様。」
私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。
それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。
婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。
これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました
天宮有
恋愛
「貴様のような醜い者とは婚約を破棄する!」
婚約者バハムスにそんなことを言われて、侯爵令嬢の私ルーミエは唖然としていた。
婚約が決まった際に、バハムスは「お前の見た目は弱々しい。なんとかしろ」と私に言っていた。
私は独自に作成した魔法により太ることで解決したのに、その後バハムスは婚約破棄を言い渡してくる。
もう太る魔法を使い続ける必要はないと考えた私は――魔法を解くことにしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる