死にたがり幼女とマフィア

狐鳳

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1章 出会い

3.出会いと変わる日常

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   私はあの地獄の時間が来るまで大人しく毛布…布に包まりその時をずっと待っていた。



   少しすると屋敷の中から悲鳴やら怒号が聞こえてくる。


   一体何があったのだろう…?


   でも、そんなこと考えても私は部屋からは1歩も外へは出られない。特別授業がある日に部屋から出るとその日の授業は普段よりも酷くなる。だから私は大人しくしているしかないのだ。



   しかし、ずっと大人しくしていられる訳もなく立ち上がり何となく窓の外を見てみると、何やら鎧のようなきた人が旦那様や奥様、お嬢様だけでなくこの屋敷の使用人達までを拘束し馬車へと乗せている。



……なんでみんな馬車に乗せられてるんだろう?



   そう考えていると廊下の方からギシギシと足音がする。
しかも、1人ではなく複数人の足音と共に。



   私もあの人達のように捕まるのだろうか…?いや、それは嬉しいことかもしれない。なんせ私はずっと死にたかったのだから…。
   何度自分の手で命を絶とうとしたことか。その度に使用人達や旦那様に止められてきた。
   暫くすると私の身の回りからは刃物類やロープ等自殺に使えそうなものは消えていった。もちろん厨房への立ち入りも禁止になった。
   どれだけ私が死んだら困るのだろう…。それだけ私に仕事を押し付けていたのか。いや、それよりも自分達の捌け口がいなくなるのが許せなかったのだろう。



   そう考えていると部屋のドアがギィと音を立てて開けられる。




   するとそこに立っていたのはとても美しい金髪碧眼の先程屋敷の前にいた青年だった。
青年は私の部屋を見やると一瞬訝しげに眉を顰めるが直ぐにもとの無表情に変わる。



「はじめましてだな。俺はアルファード=カルガン、ルーズファミリーのボスだ。お前の雇い主…つまりはこの屋敷の主人だがあいつは罪人となって捕らえられた。




……俺達と一緒に来い。俺達と一緒に暮らそう。もう何不自由なく過ごさせてやれる。何も我慢しなくていい、よく頑張ったな。」



   そう言うと私に少し微笑みかける。


  すると、何故か目の奥が熱くなってくる。これは、一体なんだろう。
   そう思っていると頬に生温い感触が伝わる。何かと思い手で触れてみるとそれは涙だった。何故か私は泣いていた。
   
   泣いている理由が私には分からない。だけど私はただ声もなく涙を流し続けていた。


   アルファード様はそんな私を見て抱きしめると、少し腕に力を込めた。その行為に心が少しだけ暖かくなり私はそのまま意識を手放した。







※レオン視点



  …………その様子を見ていたカインとレオンはボスってここまで他人に優しかったけ(優しかったっすか)…?と疑問に思うがそれも無理ないだろう。
   まだ幼き少女、正確に言うのであれば幼女だが、このような何も無い部屋で、ホコリが立ち込める場所に寝る場所は恐らくあの薄い布1枚だけという何とも惨いところだった。



   しばらく様子を見ていると声も出さずに泣いていた少女の寝息が微かに聞こえた。泣き疲れたのだろう。気を失うようにして寝ていた。



   ボスは少女を抱きかかえて立ち上がると俺達の方の方に向いた。





「帰るぞ。



……あぁ、カインはミトに連絡しておけ。」




そう告げるとボスは部屋から出る。



   なるほど、確かにチラッと見えただけだがだらんと下がった幼女の腕にはたくさんの傷と痣が見えた。


  
 これはミトが見たら不機嫌になりそうっすね…。
   屋敷に着いた後の仕事は荒れるっすよ~…。



ボスの後ろを歩きながらこれから来る忙しさに遠い目をしていた…。













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