陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

第四集 参ノ巻

葛の葉

白利｢晴明の父親が、都の宮中で料理を作る下級役人をしてた事は、直系の末裔である紫苑サマは当然知ってるやろ？｣ 


紫苑｢うん。｣
　　




　白利｢　でな、晴明の産みの母親...歩き巫女をしていた橘文子(たちばなのあやこ)が、晴明の幼い頃に亡くなったんや。父親の仕事が忙しかったから晴明は親戚に預けられる事になったんやけど、小さい頃から霊力の強かった晴明の影響で、妖やら幽霊が晴明に近づいてきてん。それで親族に気味悪がられた晴明は、親戚中をたらい回しみたいな状態になったんやよ。｣ 





白利｢で、結局親族んとこ居られんようになってまった晴明は、自分が産まれた信太に戻ってきたんや。それを可哀相やと思ったお祖母様が、晴明を育てる事にしたんやよ。｣








･歩き巫女...日本全国のを社などをまわって舞の奉納やお祓い等を行う巫女。