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ホテル改革ープレオープン編-3
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気がつくと我先に靴を脱ぎ捨て、畳の敷かれた小あがりに向かって、ダイブ…は痛いので五体投地~!!
スンスン、新しい畳の匂いだ~、あぁ~癒されるーーーー!!
ブラックウォールナットのちゃぶ台に座椅子、お座布団も、樫の床板も渋くてス・テ・キ!
飾り棚の生けられた千日紅と小さな菊…
ここは桃源郷か?!
「は は う え?」後から聞こえる遠慮がちなアウィンの声にハッと我に返る・・・きっ、気まずい…振り返ると、薄く口が開いたまま固まっている……。
ーーーーっ!!
「ほっ、ほほほほほほ、わたくしとしたことが・・・」とりあえず笑ってごまかしながら、身体を起こす。
こうなったら、このままゴリゴリ押し通すしかない!
「アウィン、靴をぬいであがっていらっしゃい」
「はっ、はい、母上」
アウィンはちょうど膝ぐらいの高さの小上がりに腰掛け靴を脱ぐ。
ナニーのエレナがそっとアヤナを畳の上におろす。
二人はそこから一歩も動けずにいる。
「いらっしゃい」
両手を広げ二人に笑顔を向けると、ゆっくり一歩を踏み出す…が、何故か抜き足差し足忍び足…昭和のコントのこそ泥みたいな足運びだ。
「ぷっ!」思わず吹き出した。
はじめての畳の感触に戸惑っているようだ。
私の腕の中に収まった二人をぎゅっと抱きしめると二人もくすくすと笑っている。
アンナがちょうどいいタイミングでお茶を淹れてちゃぶ台の上にカップを並べる。
3人で丸いちゃぶ台を囲んで座る。
「ひんやりして気持ちがいいですね」
アウィンはすっかり畳が気に入ったようだ。
アヤナは座椅子が気に入ったようで、ふっくらお座布団にちょこんと置き物のように座っている。
ひとしきり、親子で語らっていると、お母様が部屋を訪れた。
「あら、素敵な設えね」と部屋のあちこちに視線を巡らすと、いそいそ畳にあがり、アヤナを抱き上げ座椅子に座る。
「なぜかしら、落ち着くわ。一部屋改装しようかしたら…いいわよね?」
入り口に立つヴィロワ前侯爵は、お母様の圧に無言でコクコク頷く…。
もちろん、工房と職人紹介しますわ、お母様~
ちょうどお昼になり、そろってカフェに向かった。
護衛騎士に、テラス席は警備の都合上NGと言われ、驚きのあまり楳図先生のホラー漫画みたいな顔になってしまい、騎士にもお母様にもどん引かれた……。
窓際の席を用意してもらったが、テラスに騎士が4人も立っているので、せっかくの眺望が台無しだ……。
クリスからメニューの説明を受け、軽食と飲み物を頼む。
運ばれてきたコーヒーに頬がゆるむ…まてまて城より断然美味い!!なぜだ!?豆か?淹れ方か?これはクリスを問いただせねば!!
パンケーキや、チーズや野菜のサンドウィッチ、グリルチキンのピタパンなどに子供達は大喜び、お母様は紅茶に添えられたクッキーが甚く気に入ったご様子。
働くスタッフを一瞥する…半分が商会の従業員と聞いている。
さすが経験値が高い、きびきびと無駄のない動きだ。
バカンスシーズンの終わりまでが貸し出し期限で、本人達が希望すればこのままカフェに残る選択肢もあるらしい。
クリスがどれだけ魅力ある職場にするかにかかっているだろう…頑張れクリス!
今回の宿泊は、もちろん政務の一環…なので…午後はピシッと働きます!
ますばコンセプト部屋の他3部屋の仕上がりを確認のはずが、お母様も子供達も興味津々でぞろぞろついてきてしまい、ただの見学会になってしまった。ハンス総支配人はこんなおちゃらけ御一家に丁寧に部屋の説明をしてくれた。
子供達は『海』のお部屋が気に入ったようで、また泊まりにきたいとせがんだ…うっ、警備大変なんだけど、絶対連れてきてあげるからね~!
お母様とヴィロワ前侯爵は『砂漠』のお部屋がお気に召したようだ。
しかし、まだこちらの3部屋+『和』の部屋の予約が入ってない!!なぜだ、解せぬ!!
だがイロモノ扱いだったコンセプト4部屋が、たちまちのうちに貴族達の垂涎の的となるとは、この場にいた誰もが予想出来なかった。
スンスン、新しい畳の匂いだ~、あぁ~癒されるーーーー!!
ブラックウォールナットのちゃぶ台に座椅子、お座布団も、樫の床板も渋くてス・テ・キ!
飾り棚の生けられた千日紅と小さな菊…
ここは桃源郷か?!
「は は う え?」後から聞こえる遠慮がちなアウィンの声にハッと我に返る・・・きっ、気まずい…振り返ると、薄く口が開いたまま固まっている……。
ーーーーっ!!
「ほっ、ほほほほほほ、わたくしとしたことが・・・」とりあえず笑ってごまかしながら、身体を起こす。
こうなったら、このままゴリゴリ押し通すしかない!
「アウィン、靴をぬいであがっていらっしゃい」
「はっ、はい、母上」
アウィンはちょうど膝ぐらいの高さの小上がりに腰掛け靴を脱ぐ。
ナニーのエレナがそっとアヤナを畳の上におろす。
二人はそこから一歩も動けずにいる。
「いらっしゃい」
両手を広げ二人に笑顔を向けると、ゆっくり一歩を踏み出す…が、何故か抜き足差し足忍び足…昭和のコントのこそ泥みたいな足運びだ。
「ぷっ!」思わず吹き出した。
はじめての畳の感触に戸惑っているようだ。
私の腕の中に収まった二人をぎゅっと抱きしめると二人もくすくすと笑っている。
アンナがちょうどいいタイミングでお茶を淹れてちゃぶ台の上にカップを並べる。
3人で丸いちゃぶ台を囲んで座る。
「ひんやりして気持ちがいいですね」
アウィンはすっかり畳が気に入ったようだ。
アヤナは座椅子が気に入ったようで、ふっくらお座布団にちょこんと置き物のように座っている。
ひとしきり、親子で語らっていると、お母様が部屋を訪れた。
「あら、素敵な設えね」と部屋のあちこちに視線を巡らすと、いそいそ畳にあがり、アヤナを抱き上げ座椅子に座る。
「なぜかしら、落ち着くわ。一部屋改装しようかしたら…いいわよね?」
入り口に立つヴィロワ前侯爵は、お母様の圧に無言でコクコク頷く…。
もちろん、工房と職人紹介しますわ、お母様~
ちょうどお昼になり、そろってカフェに向かった。
護衛騎士に、テラス席は警備の都合上NGと言われ、驚きのあまり楳図先生のホラー漫画みたいな顔になってしまい、騎士にもお母様にもどん引かれた……。
窓際の席を用意してもらったが、テラスに騎士が4人も立っているので、せっかくの眺望が台無しだ……。
クリスからメニューの説明を受け、軽食と飲み物を頼む。
運ばれてきたコーヒーに頬がゆるむ…まてまて城より断然美味い!!なぜだ!?豆か?淹れ方か?これはクリスを問いただせねば!!
パンケーキや、チーズや野菜のサンドウィッチ、グリルチキンのピタパンなどに子供達は大喜び、お母様は紅茶に添えられたクッキーが甚く気に入ったご様子。
働くスタッフを一瞥する…半分が商会の従業員と聞いている。
さすが経験値が高い、きびきびと無駄のない動きだ。
バカンスシーズンの終わりまでが貸し出し期限で、本人達が希望すればこのままカフェに残る選択肢もあるらしい。
クリスがどれだけ魅力ある職場にするかにかかっているだろう…頑張れクリス!
今回の宿泊は、もちろん政務の一環…なので…午後はピシッと働きます!
ますばコンセプト部屋の他3部屋の仕上がりを確認のはずが、お母様も子供達も興味津々でぞろぞろついてきてしまい、ただの見学会になってしまった。ハンス総支配人はこんなおちゃらけ御一家に丁寧に部屋の説明をしてくれた。
子供達は『海』のお部屋が気に入ったようで、また泊まりにきたいとせがんだ…うっ、警備大変なんだけど、絶対連れてきてあげるからね~!
お母様とヴィロワ前侯爵は『砂漠』のお部屋がお気に召したようだ。
しかし、まだこちらの3部屋+『和』の部屋の予約が入ってない!!なぜだ、解せぬ!!
だがイロモノ扱いだったコンセプト4部屋が、たちまちのうちに貴族達の垂涎の的となるとは、この場にいた誰もが予想出来なかった。
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