【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

文字の大きさ
79 / 188

第77話 筋肉に拉致られて

しおりを挟む
「ふぅ、やっと解放された……」

 僕はげんなりして魔導士協会を出た。あの後ギルドマスターのところに連れ去られ、色々聞かれたけど何とか誤魔化した。僕の使った契約文言は他の人がやると失敗したのが大きい。そのおかげで深く追求されなかったから助かったよ。拡大解釈があればこその力技のようだ。

 しかし後々詠唱魔法でなら僕の拡大解釈した魔法を再現できるかもしれない、と思うと知的好奇心が働きそうになる。詠唱文言から契約文言を作り出すことも可能かもしれないからね。そんなことができたら魔法史に名前が残るかもしれない。

「む?    そこを歩くのはルウではないか。しょぼくれているようだな。気晴らしに我らと共に行こうでは無いか!」

 聞き覚えのある声だなー、と思ったらアニキータさん達筋肉の誓いの人達だった。

「こんにちは、どこへ……って、うわぁ!?」

 挨拶を、とか思ってたらひょい、と軽く持ち上げられてしまった。またかい!

「はっはっはっはっ!    今からちょうど殴り込みに行くところだったのだ。ちょうどいい、力を貸してもらおう!」
「な、殴り込みって!」

 この人たちに殴り込みされるとかどんな悲惨な組織なんだか。考えただけで怖いわ!

「うむ、偽りの筋肉を懲らしめに行くのだ!」
「要は闇ギルドだな」
「我らが付いているから心配するな!」

 偽りの筋肉?
 ああ、薬物で筋肉増強したとかいうヤツらか。アニキータさん達のことは好きだし、協力するのもいいかもしれない。闇ギルドがドレカヴァクと関係あるのかも知りたいし。




 それにしてもこの人たちの体力って凄い。結構早いペースで走っているのに僕を担いでかれこれ30分くらい走ってないかな?

「着いたぞ、ここか」
「うむ、情報通りなら間違いない!」

 たどり着いたのはスラム街だ。ここにもストリートチルドレンはいるけど、ここの人達は平気で犯罪を犯す人も多い。この王都の中でも唯一暴力が支配する区域と言えるだろう。

 そしてそのスラム街の一角にある建物は一見して古びた酒屋だ。闇ギルドの人間が居そうな気配がぷんぷんする。

「よし、行くか!」

 僕を担いだままアニキータさんが扉を開け、中へと入っていく。

「頼もう!」

 アニキータさんのでかい声と存在感に店にいた客達の視線が一斉に降り注ぐ。こいつらアニキータさんの筋肉を見てもびびらないのか。

「あん?     なんだてめーらは?     その小僧を売りにでも来たのか?」
「ガキか。いいぜ、俺はイけるクチだからな」

 なんだよいけるクチって。なんか悪寒するんですけど?

「そんなわけなかろう!    いいだろう、我らの名前、とくと知るがいい!」

 アニキータさんがようやく僕を下ろしてくれた。今から何を始める気なのやら。

「私は筋肉に選ばれし筋肉の使徒、アニキータ!」

 アニキータさんのサイドチェストにより、たくましい大胸筋と上腕二頭筋が盛り上がる!
 笑顔も忘れないナイスガイです!

「筋肉を愛する筋肉天使、ノーキン!」

 ノーキンさんがバックダブルバイセップスで自慢の広背筋をさらけ出す!
 背中で漢を語るノーキンさんさすがです!

「筋肉は一日にして成らず!    筋肉の申し子キニク!」

 キニクさんがサイドトライセップスで上腕三頭筋を見せつける!
 こんな素敵な筋肉が欲しい!

「全てを癒す筋肉の妖精!    ゴリマ!」

 ゴリマさんがモストマスキュラーで全身の筋肉を見せつける!
 見てるだけで子宮もないのに孕みそう!

「……で、なんの用なんだ?」

 呆気に取られていた男たちはしばらくフリーズした後、ハッと思い出したように用件を聞いてきた。筋肉に見惚れていたのかな?

「ここに筋肉を穢す不届き者がいるはずだ。出してもらおうか!」
「はん?    知らねーな。帰れ」
「手ぶらでは帰れんな。店の中を改めさせてもらおうか」

 アニキータさんが前に出ると、負けない程の体格を持った大男が立ち塞がった。

「悪いがここは酒場だ。酒を飲まないなら力づくで帰ってもらおうか」

 大男がアニキータさんの肩に手をかける。着ているシャツからは大男の盛り上がる大胸筋がよくわかる。

「わかるぞ、貴様の筋肉は泣いている!」
「!     なんだと!」
「筋肉に選ばれしこの私の目はごまかせん!    喰らえ!     ギャラクティカマッスル!」

 アニキータさんの強烈なパンチが大男の顔面を捕らえると派手に吹っ飛んでいった。大きな音を立てて奥の壁を全てぶち抜き、店の外まで飛んで行ったようだ。

 あんなん喰らったら絶対死ぬやろ!
 アニキータさんは絶対怒らせないようにしよう。うん、それがいい。

「どうしたルウ、顔が真っ青だぞ」
「うむアニキータよ、お前のパワーに驚いているだけだろう。開いた口が開きっぱなしだ」
「はっはっはっはっ!     そうかそうか、それは仕方がないな!    では行くか!」

 アニキータさん達が歩き出すと、周りは完全にびびったのか避けるように道を開ける。破壊された壁を抜けると階段があった。

「よし、降りるか」

 アニキータさんを先頭に降りていく。チラッと後ろを見ると、誰かに命令されて1人が走って店の外に出ていった。誰かを連れてくるつもりか。

 その下を降りた先は通路になっており、いくつか扉があった。そのひとつひとつを開け、中を覗くと薬棚のある部屋があった。何やら調合器具らしきものもあり、何かの薬を作ってる感じだ。

鑑定アイデンティファイ……」

 僕は薬棚の薬を鑑定していく。
 筋肉増強剤、麻薬、媚薬、毒薬……。ろくなもんじゃないな。しかし毒薬があるなら解毒薬があるはずだけど、見当たらないな。作れていない可能性もあるし、サンプルで持っていくか。

「ろくな薬がないですね。然るべきところへ持って行って処分なり研究に回すなりしてもらいましょう」
「そうだな。ルウ、ひとつ残らず持って行ってくれ」
「わかりました」

 はい、没収没収。ノーキンさんも戸棚を開けて資料を探しているようだ。もう根こそぎ持っていけばよくないですかね?

「もう戸棚ごと没収しましょう。他の部屋のも全部没収です!」
「うむ、承認!」

 キニクさんがガハハハハと笑う。よし、この部屋の備品は全て没収した。うん、見事なくらい何も無い部屋になったね。

 その後も他の部屋を回り根こそぎ没収していく。特に関係無さそうなものもあったけど容赦なく没収!

「よし、全て押収したな。では上へ戻るとしようか。研究者がどこにいるのか吐かせんとな」

 リーネがいたら石化して持っていけたのに。そっちは連行するしかないのか。
 アニキータさんを先頭に地下室を出る。そこには待望の研究者らしき人がいた。

「クックックッ、私のラボをどうしてくれたのかな?    君たちにはこの私の最高傑作、強化人間マルダー=クンニキの餌食となってもらおうか!」

 強化人間マルダー=クンニキ?
 あのピンク色の肌の気持ち悪いマッチョのことみたいね。身体のサイズはアニキータさんよりかなり大きく、気持ち悪いハゲ頭をしている。

「まさに悪しき筋肉の見本のような奴だな。そのような偽物の筋肉に負ける私ではない!」

 アニキータさんが走って前に出る。マルダーも前へ出て迎え撃つ。

 そして、2人の拳が交差した。
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

処理中です...