【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

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第81話 愛の指輪

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 まず1番大きめのアレキサンドライト。これに厄災からの保護アンチカラミティを付与する。この宝石の魔力伝導率は高く、実に1.0もある。しかも供給魔力率も高く、魔力容積も多い。

厄災からの保護アンチカラミティ解読ディサイファ

 これでこの魔法の詠唱文言が虚空に表示される。イザベルさんは驚いた表情だが何も聞いてこない。このあたりはさすがだと思う。詠唱文言に必要な魔力は、

 400×5÷1.0=2000

付与エンチャント

 そして魔力を回復ヒールしつつ詠唱文言に魔力を込めた。魔力消費が40で効果時間は約30分。供給魔力が高いから、これだけで常時発動が可能なようだ。高価な宝石は凄い。

 同じ要領で別の宝石、グランディディエライトに光膜ライトフィルムの詠唱文言を封じ込める。グランディディエライトは青と緑の合わさったような光を放つ希少な宝石らしく、その魔力伝導率は0.95とこれまた高い数字だった。

 詠唱文言に必要な魔力が

 300×5÷0.95≒1579

 で1579なので、4度自分に魔力の回復ヒールをかけ、供給した。

 発動に必要な魔力は30。内在魔力の回復に必要な時間は63分ほどか。これに魔力供給用の宝石をくっつける感じだな。

 残り3つの宝石はタンザナイトというこれも珍しい宝石のようだ。これに付与する魔法は付与エンチャントだ。魔力伝導率は0.9と相当高い。この宝石1つで常に1分で魔力を12供給できる。3つなので36か。これでかなりのスピードで魔力供給が可能になったから常時発動にかなり近いはずだ。

「このグランディディエライトの周りにタンザナイトを3つ配置してください。アレキサンドライトは独立していても大丈夫です」
「名前をご存知でしたか。では早速この宝石でペンダントを作ってみましょう」

 イザベルさんは立ち上がると、後ろの箱の中からペンダントの土台となる部品を持ってきた。そして戻ると、その土台と5つの宝石を両手で覆って目を閉じた。

「錬成……!」

 どうやら宝石の加工スキルのようだ。イザベルさんが両手を開くと、先程の宝石がは見事なデザインのペンダントに早変わりしていた。なんて便利なスキルなんだ。

「ではこれで鑑定させていただきます。上手くいくといいのですが。鑑定アイデンティファイ!」

 イザベルさんが鑑定魔法を使用すると、クワッと目を見開いた。

「これは素晴らしいです!    厄災からの保護アンチカラミティが常時発動してあらゆる状態異常からの保護、そして光膜ライトフィルムによる物理攻撃、魔力攻撃及び干渉からも身を守る。しかもそのその効果は相当なものですね。しかも身につけているだけで魔力も回復するようです」

 イザベルさんが興奮して鑑定結果を僕に伝える。どうやら目論見通りいったようだ。魔力回復は余剰魔力からの供給だろう。これだけで金貨2000枚相当の指輪を金貨50枚で売って貰えるのか、と思ったらそんなことはなかった。

「ありがとうございます。ではもうひとつ、先程の要領で何か魔法のこもった宝石を幾つか作ってもらえますか?」

 うん、そう来るよね当然。予想以上に簡単に作ったのがいけなかったのかもしんない。

「わかりました。状態異常を防ぐものならほぼ常時発動は可能なようですから、それでどうでしょう?」

 売る相手が貴族様なら需要はこのあたりだろう。魔力常時回復とかでもいいけど。

「ではそれを10個ほど作っていただきます」

 僕の前に高そうな宝石が10個、目の前に並んでいた。これ全部やるんかい。




「……終わりました」

 僕は最後の宝石をイザベルさんに手渡す。イザベルさんはそれも鑑定し、効果を確認するとニコニコ笑顔でそれをケースにしまい込んだ。

「はい、確かに。ではお約束のパパラチアサファイアの指輪です。指のサイズはこのままで大丈夫ですか?」

 指輪を確認すると、少し大きいかな?
 僕とほぼ同じサイズだからね。

「少し大きいかもです。僕の指のサイズと同じくらいなんですけど」
「調整しましょう。指を見せてください」

 イザベルさんは僕の指を確認すると、指輪を手で覆いスキルを発動させた。これだけで直せるって便利やな。

「ありがとうございます。あ、ここでちょっと細工させてもらっていいですか?」
「ええ、どうぞ。大事な人に贈るのですよね?    それでしたら、あなたが正当な手段で手に入れた指輪であることを証明する書状を作成しましょう。ルウ様はここでそのまま作業してくださって大丈夫です」
「ありがとうございます」

 そっか、バカ高い代物だから入手方法とか聞かれるよね。証明するものがあれば話が早いからありがたい。さて、じゃあ指輪を完成させるとしよう。と言っても封じ込めるのは魔法じゃない。僕の気持ちだ。

解放エマンシぺーション解放ディサイファ

 この魔法、詠唱文言が残ってる魔法なんだけど、この魔法の文言は確かアホみたいに長かったんだよね。浮き出た文字から僕は特定の文字だけを選んだ。

『リ』『ー』『ネ』『い』『つ』『も』『あ』『り』『が』『と』『う』『な』『か』『な』『な』『か』『い』『え』『な』『い』『け』『ど』『あ』『な』『た』『の』『こ』『と』『を』『あ』『い』『し』『て』『ま』『す』

 ちょっと照れくさいけど、後はこの1文字1文字に僕の気持ちを付与エンチャントしてこの宝石に封じ込めるだけだ。
 付き合い出してからの期間は短いけど、苦楽を共にして来た時間は誰よりも長い。
 だからこの想いに嘘偽りなんてないって胸を張って言える。

 無声発動付与エンチャント……。

 この動作を繰り返し、パパラチアサファイアに文字を封じ込めた。パパラチアサファイアがより淡いピンク色の輝きを見せたかと思うと、今度は赤みのある橙色の輝きを見せた。

 ちょっと鑑定してみようかな。
 鑑定アイデンティファイ……。

 愛の指輪
 パパラチアサファイアに込められた気持ちは特定の相手の心からの願いに応えるだろう。

 うん、効果のほどはよくわからないけど、愛の指輪って名前が気に入ったかな。

「お待たせしました。これが証書です」

 イザベルさんから受け取った証書には秘密の依頼を請け負い、達成した事の報酬としてパパラチアサファイアの指輪を譲った旨が書かれていた。

「じゃあ金貨50枚を……」
「いえ、必要ございません。その分も働いていただきましたので」

 イザベルさんがニッコリ笑う。なんていい人なんだ。ちょっと感動した。

「ありがとうございます」
「いえ、また何かございましたら、今度は指名依頼を出させていただきますね」
「わかりました」

 なるほど、次に繋げたかったのね。なら遠慮なくいただくことにしよう。僕はパパラチアサファイアの指輪のケースの蓋をして収納魔法でしまい込んだ。

「では失礼します」
「ええ、またのご利用をお待ちしております。言い忘れましたが、ルウ様の薬指に合わせてサイズを調整させていただきました」

 お互い頭を下げ、退店した。さて、後はリーネに指輪を渡さないと。




 クランハウスに戻ると、ハウスの前でリーネが仁王立ちしていた。なんか怒ってるのは間違いない。ここは先手必勝だ!

「リーネ!」
「ルウおかえり。ちょーっと話があるんだけどいいかな?」

 僕が声をかけると、リーネは引き攣った笑顔を向ける。しかしここで気圧されるわけにはいかない。

「僕も大事な話があるんだ。ちょっと一緒に来て欲しい」
「……いいよ」
 先に言いたいことを伝えると即座に身体の向きを変え、裏手の木々の生えた場所へと誘う。人の手はほとんど入ってないけど一応クランの土地だったりする。

「先に聞いてあげる。なに?」

 リーネがむくれた顔で問いかける。僕は収納から指輪のケースと証書を取り出した。

「その、リーネに渡したいものがあるんだ。ちょっと高価だけど、正当な報酬として受け取ったものだから」

 そう伝え、証書を見せる。リーネは証書に目を通すと驚いた表情を見せた。

「パパラチア……サファイア!?    これってものすごく高価な宝石じゃなかったっけ?」
「それだけの仕事をしたってことだよ。リーネ、この指輪を受け取って欲しい」
「ふえっ!?」

 驚きのあまり固まるリーネ。よし、今がチャンスだ!
 有無を言わさず指にはめてしまおう。確か薬指に合わせたって言ってたよね。

「付けてあげるよ」

 その隙に指輪を取り出し、リーネの薬指に指輪をそっとはめた。うん、サイズはピッタリだね。

 ほろり。

 するとリーネの頬に一雫の涙が流れた。

「あれ……?」

    涙で頬を濡らしながら、リーネの吊り上がっていた眉が下がっていく。
 そして流れた涙に驚いたのか頬に手を当てた。顔が上気し始め、淡い桃色が浮かび上がる。

「うん、似合ってるよ」
「うん……。なんだろ、この指輪。不思議と温かくて、満たされた気持ちになる……。ルウ、この指輪に何かした?」
「精一杯の気持ちを込めただけだよ?」

 内容は恥ずかしくて言えないけどね。

「不思議、さっきまで凄く怒っていたのに、なんかどうでも良くなっちゃった」
「そっか」

   リーネの表情が落ち着いてくると、僕はホッと安堵を覚えた。
 よし、機嫌直った!

「ルウ、ありがとう。大好きだよ……」

    リーネが目を閉じる。僕は引き寄せるようにリーネを抱きしめた。

「うん、僕もだよ。ずっと、一緒だよ」

 吸い込まれるように僕たちは顔を近づけ合い、そして生まれて初めての口付けを交わした。

 ずっと一緒だよ、リーネ。何があっても絶対守ってみせるから。
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