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第123話 領主への報告
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「そうか……。まさかそんなことになっていたとは思わなかったよ」
ことの次第を領主様に報告すると、深いため息をついた。
「ええ、多分ですが魅了の魔法で魅了状態にし、クリフォトの実を食わせて変質させたのでしょう。それでアマラに心酔する人魔の出来上がりです」
「……人魔とはそれほど強力なものなのか? 君たちはあっさり倒して拘束したようだが」
「それは御子息が戦いというものを知らなかったからです。いわば素人ですからね。パワーはあっても使いこなせません。ですがその辺の兵士が勝てる相手でもないのは確かでしょう」
御子息はこう言ってはなんだけど、大した才能はなかった。だからあの程度の力しかなかったのだろう。これが才能のある人間だったらと思うとぞっとするね。
「なるほど、そんな相手がごまんといるなら迂闊に仕掛けることはできんな……」
「いえ、恐らくそんなに沢山はいないと思いますよ」
「ほぅ、それはなぜかね?」
「恐らくですが、御子息は試験的に人魔にされたものと推察されます。実際見張っていたのはただのゴロツキでしたし、わざわざ別の部屋で軟禁されていたところを見ると様子観察中だったと考えられます」
もしそのやり方が完成しているなら側に置けばいい。わざわざ隔離する意味はない。それでも隔離してある、ということは経過を観ていた可能性があるのだ。洗脳は完璧か、どんな精神状態か、どの程度の力があるのか。知りたいことは山ほどあるはずだ。
「なるほど、それは考えられることだな。楽観する訳ではないが、多少はなんとかなりそうだ。しかし人質も息子達もいなくなれば向こうも何らかの行動を起こすだろう。激突は避けられまい」
うわー、これは戦力として見られてるね。間違いなく駆り出させれるわ。でも多分すぐには動かないと思うな。人魔の力は確かに脅威となるだろう。なら暫くは放っておいて様子を見るだろうね。自力で生贄を連れて戻ってくるかもしれないし、教会を壊滅させて帰ってくるかもしれない。そんな考えが多少は浮かぶんじゃないかな?
僕があいつらなら悪魔や手下を差し向け、情報を集めさせるかな。それで人間に戻ったことを知ればアマラに伝え指示を仰ぐ。普通はそうすると思うけど。
「領主様は奴らをどうしたいですか?」
領主様にサルヴァンが問う。それはやり合うなら手を貸す、と言っているに等しい。状況を考えるなら向こうが動き出すのを待つ必要もないか。むしろアマラが戻ってくると返って窮地に追い込まれる危険性がある。
「潰すべきだと考えている。人を悪魔にするなどあってはならん! それに戻って来たとはいえ、息子や娘を誘拐されたのだ。このままにしておく訳にもいくまい」
「そうですね。ルウ、俺はこちらから仕掛ける方がいいと思うが、お前はどう思う?」
「こちらから仕掛けた方がいいと思う。アマラがいないなら最大級の戦力もいないと考えていい。向こうも勢力を伸ばしてきている以上時間をかけるのは得策とは思えない」
御子息が人間に戻ったことを知られる前に動く方がどう考えても得策だろう。
「私も同感だ。今まではテオドールとリーゼロッテが人質にされていたのもあったが、向こうに爵位級悪魔がいたのだ。これに対抗できる戦力となるとこの街にはなかなかいなくてね。どうだろう、一つ頼まれては貰えないだろうか」
領主様もさすがに頭は下げる真似はしないけど、平民相手ということを考えれば随分な低姿勢だ。それはつまりそれだけ評価されているということだろう。
もっとも、それがなくても断る選択肢なんてありゃしないんだけどね。あんな危ない集団放っておくわけにはいかないよ。
「ええ、もちろんそのつもりです。できるだけ犠牲は出したくありませんけど、放っておけば結局犠牲者が増えるだけですから」
サルヴァンは淡々と答える。向こうの構成は恐らく闇ギルドの人間とスラムの有志、そして悪魔だ。法的な手順としては護法取締所で反社会的結社としての認定をし、それを盾に解散を要求。幹部を拘束し、法に則り処刑となる。そうなると当然抵抗があり、戦いになるだろう。これは避けられないことだ。でもだからといってクリフォトの種をそのままにしておけば国家を揺るがす事態に発展しかねない。
僕らだって好き好んで人を傷つけ殺めたいわけじゃない。しかしここで見て見ぬふりを決め込むのは結局事態を悪化させ、余計に犠牲を増やすことになりかねないのだ。綺麗事だけでは世の中回らない。
「わかってくれるか。報酬は敵の勢力次第で追加を出すが、1人金貨10枚は保証しよう。明日には制圧にとりかかるつもりでいるのでな、そのために今から君たちの仲間と証言をしてくれる神官もこちらへ集めて貰いたい」
「わかりました」
領主様の依頼を引き受け、僕たちは教会に戻ることにした。
その後、神官の証言により護法取締所でクリフォトの種の反社会的結社の認定が行われた。領主様の御子息や女性達の誘拐、そして人を操り悪魔の如き力を与えたことの事実が認定されたのだ。
そしてクリフォトの種の幹部を拘束し、その目的をハッキリさせればアマラは国賊として指名手配されるだろう。そのときあいつがどんな行動を取るか、かな。
ことの次第を領主様に報告すると、深いため息をついた。
「ええ、多分ですが魅了の魔法で魅了状態にし、クリフォトの実を食わせて変質させたのでしょう。それでアマラに心酔する人魔の出来上がりです」
「……人魔とはそれほど強力なものなのか? 君たちはあっさり倒して拘束したようだが」
「それは御子息が戦いというものを知らなかったからです。いわば素人ですからね。パワーはあっても使いこなせません。ですがその辺の兵士が勝てる相手でもないのは確かでしょう」
御子息はこう言ってはなんだけど、大した才能はなかった。だからあの程度の力しかなかったのだろう。これが才能のある人間だったらと思うとぞっとするね。
「なるほど、そんな相手がごまんといるなら迂闊に仕掛けることはできんな……」
「いえ、恐らくそんなに沢山はいないと思いますよ」
「ほぅ、それはなぜかね?」
「恐らくですが、御子息は試験的に人魔にされたものと推察されます。実際見張っていたのはただのゴロツキでしたし、わざわざ別の部屋で軟禁されていたところを見ると様子観察中だったと考えられます」
もしそのやり方が完成しているなら側に置けばいい。わざわざ隔離する意味はない。それでも隔離してある、ということは経過を観ていた可能性があるのだ。洗脳は完璧か、どんな精神状態か、どの程度の力があるのか。知りたいことは山ほどあるはずだ。
「なるほど、それは考えられることだな。楽観する訳ではないが、多少はなんとかなりそうだ。しかし人質も息子達もいなくなれば向こうも何らかの行動を起こすだろう。激突は避けられまい」
うわー、これは戦力として見られてるね。間違いなく駆り出させれるわ。でも多分すぐには動かないと思うな。人魔の力は確かに脅威となるだろう。なら暫くは放っておいて様子を見るだろうね。自力で生贄を連れて戻ってくるかもしれないし、教会を壊滅させて帰ってくるかもしれない。そんな考えが多少は浮かぶんじゃないかな?
僕があいつらなら悪魔や手下を差し向け、情報を集めさせるかな。それで人間に戻ったことを知ればアマラに伝え指示を仰ぐ。普通はそうすると思うけど。
「領主様は奴らをどうしたいですか?」
領主様にサルヴァンが問う。それはやり合うなら手を貸す、と言っているに等しい。状況を考えるなら向こうが動き出すのを待つ必要もないか。むしろアマラが戻ってくると返って窮地に追い込まれる危険性がある。
「潰すべきだと考えている。人を悪魔にするなどあってはならん! それに戻って来たとはいえ、息子や娘を誘拐されたのだ。このままにしておく訳にもいくまい」
「そうですね。ルウ、俺はこちらから仕掛ける方がいいと思うが、お前はどう思う?」
「こちらから仕掛けた方がいいと思う。アマラがいないなら最大級の戦力もいないと考えていい。向こうも勢力を伸ばしてきている以上時間をかけるのは得策とは思えない」
御子息が人間に戻ったことを知られる前に動く方がどう考えても得策だろう。
「私も同感だ。今まではテオドールとリーゼロッテが人質にされていたのもあったが、向こうに爵位級悪魔がいたのだ。これに対抗できる戦力となるとこの街にはなかなかいなくてね。どうだろう、一つ頼まれては貰えないだろうか」
領主様もさすがに頭は下げる真似はしないけど、平民相手ということを考えれば随分な低姿勢だ。それはつまりそれだけ評価されているということだろう。
もっとも、それがなくても断る選択肢なんてありゃしないんだけどね。あんな危ない集団放っておくわけにはいかないよ。
「ええ、もちろんそのつもりです。できるだけ犠牲は出したくありませんけど、放っておけば結局犠牲者が増えるだけですから」
サルヴァンは淡々と答える。向こうの構成は恐らく闇ギルドの人間とスラムの有志、そして悪魔だ。法的な手順としては護法取締所で反社会的結社としての認定をし、それを盾に解散を要求。幹部を拘束し、法に則り処刑となる。そうなると当然抵抗があり、戦いになるだろう。これは避けられないことだ。でもだからといってクリフォトの種をそのままにしておけば国家を揺るがす事態に発展しかねない。
僕らだって好き好んで人を傷つけ殺めたいわけじゃない。しかしここで見て見ぬふりを決め込むのは結局事態を悪化させ、余計に犠牲を増やすことになりかねないのだ。綺麗事だけでは世の中回らない。
「わかってくれるか。報酬は敵の勢力次第で追加を出すが、1人金貨10枚は保証しよう。明日には制圧にとりかかるつもりでいるのでな、そのために今から君たちの仲間と証言をしてくれる神官もこちらへ集めて貰いたい」
「わかりました」
領主様の依頼を引き受け、僕たちは教会に戻ることにした。
その後、神官の証言により護法取締所でクリフォトの種の反社会的結社の認定が行われた。領主様の御子息や女性達の誘拐、そして人を操り悪魔の如き力を与えたことの事実が認定されたのだ。
そしてクリフォトの種の幹部を拘束し、その目的をハッキリさせればアマラは国賊として指名手配されるだろう。そのときあいつがどんな行動を取るか、かな。
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