俺に加護をくれたのは邪神でした~イキリまくるの気持ち良すぎだろ〜

まにゅまにゅ

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第五章 よろしい、ならば滅びとけ♪

35 クーデター

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「待ってください!」

 俺がクソ殿下といがみ合っているとキールが止めに入った。俺を背にして第一クソ王子に正面切って立ち塞がるとはやるじゃねーか。これはつまりキールから見れば悪いのは第一クソ王子っていうことになる。

「キール、それは俺に対して言っているのか?」

 キールの態度が気に入らないのだろう。クソ王子はめっちゃ青筋立てて怒り心頭だわ。

「そうですよ兄上。兄上はシェルカラングを滅ぼすおつもりですか!? ジェノスさんを怒らせたら簡単に滅びます。そんなこともわからないんですか?」
「いや、しかし街があるなら税を取るべきだろう。何か間違っているか?」

 やけにこだわるな。こいつ、さては勘づいてやがるな。この街が宝の山だということに。

「だからここはシェルカラング領ではありません。なんだったら鉄巨人の献上やクレレンマーとの戦争での武功の褒美として特権を与えるくらいの配慮はしてもいいはずです」

 キールの方は話せる奴だな。次期国王がこいつなら今後の協力もやぶさかじゃないんだが。

「いや、それはこの街の実態を把握してから決めることだろう。もしあの鉄巨人を量産できる施設があるなら徴発するべきだ」

 ちっ、気づいてやがったか。鉄巨人は箱庭で作れるんだよな。しかし徴発とは穏やかじゃないな。

「ジェノスさんを敵に回してもですか?」
「ふん、なんなら不敬罪で捕らえて隷属させればいいだろ。頭の悪い奴だ」

 ……こいつ殺してぇ。

「どうあっても曲げないと?」
「くどい」

 キールは説得を諦めたのか意思確認を行う。そしてキールは自らの懐に手を入れた。アレを使うつもりか?

 これは楽しい展開になりそうだ。

「わかりました」
「そうか、ようやく理解したか?」

 クソ王子が勝ち誇ったようにほくそ笑む。クソ王子の護衛達も何故か笑ってんだが。

「ええ。国家を転覆させるような兄上は次の王に相応しくありません。ジェノスさん、僕は今からクーデターを起こします。味方してくれますよね?」

 キールは懐から魔導銃を取り出し俺に問いかける。銃は護身用に俺がくれてやったやつだ。小銃だが貫通力のある光線が出るんだよな。殺傷力はあるはずだ。

「無論だ」

 俺のためにそこまでするんだ。当然味方してやるさ。俺だってそのくらいの義理は果たすぞ。

「キール貴様ぁっ!」

 キールに銃口を向けられクソが激昂する。魔導砲を見てるからアレがなんなのか理解できるよな。護衛が慌てて盾を構えてクソ王子を庇うように前に立つ。

「さよなら兄上。死んでいいよ」

 キールは躊躇いなく引き金を三度引いた。三本の光線は護衛の盾を容易く貫き後ろのクソ王子ごと撃ち抜く。いい腕してんじゃねーか!

「で、殿下ぁぁっ!!」

 そしてクソ王子が崩れ落ちた。他の護衛が慌ててクソ王子に駆け寄る。クソ王子派の奴は殺していいよな?

 俺は瞬時に間合いを詰めると次々と護衛達の首を跳ねた。キールを守らんといかんからな。害する危険性のある奴は殺しておいた方が無難だ。

 悲鳴をあげる間もなく5人いた護衛達は人生の幕を閉じる。さて、クソ王子はどうかな?

 俺がゴミカスに目を向けるとまだ息があるようで地べたを這いずっている。俺に近づいているのか。

「ま、待て……! お、俺が悪かった、だから助けてくれ……」

 息も絶え絶えに助命の懇願か。おせーんだよタコ。

「ジェノスさん、これは僕がやるべきことです。僕にやらせて下さい」

 俺がトドメを刺そうとしたのを察したのか、キールが止める。そして自分の兄に近づき冷たい眼差しで見下ろした。

「兄上、言い残すことはありますか?」

 そして銃口を向ける。遺言くらいは聞いてやるつもりらしい。優しい奴だ。

「ま、待て……、た、助け……」
「却下」

 クソ王子が命乞いするとキールはすかさず冷たく言い放つ。そして脳天に向かって引き金を引いた。

 光線が兄の脳天を撃ち抜くと、挙げていた右手がパタリと地に伏せる。そして見ていた兵士達に向かって笑顔を向けた。

「第一王子ラングレーは乱心され、鉄巨人を用いて国王に対しクーデターを画策していました。よって第二王子としてこの僕が始末をつけました。いいですね?」
「は、はいキール殿下! 謀反人ラングレー殿下はキール殿下の正義の鉄槌によって命を落としました!」

 キールの逆らうことを許さない威圧感が兵士達を理解させた。キールの奴なかなかやるじゃねーか。俺の舎弟として今後も可愛がってやろう。

「ジェノスさんも兄が大変なご無礼を働きました。お詫び申し上げます」

 そしてキールは俺に頭を下げた。次期王太子となるであろうキールが頭を下げたのだ。周りの奴らも驚いたようだ。

「気にすんな。お前はやることをやってくれたからな。お前は俺が守ってやるから安心しろ。何かあれば遠慮なく頼ってくれていいぞ?」

 気を良くした俺は腕を組んで偉そうにふんぞり返る。

「ありがとうございます。あ、そこのゴミは邪魔なんでどこかに捨てられませんか?」

 兄の死体をゴミ呼ばわりか。ほんといい性格してるわこいつ。

「ああ、とりあえず俺のアイテムボックスにでも入れとくわ。後でテキトウに処分しておくよ」

 俺は6体分のゴミをアイテムボックスにしまう。俺の大事な箱庭に粗大ごみは置いときたくねーからな。

「ありがとうございます」

 こうして一つの悪は滅びたわけか。クレレンマーより先に滅んでやんの。一番得したのはキールだろうが俺にとっても悪い結果じゃなさそうだ。
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