ラスボス廃棄少女は幸せになりたい

まにゅまにゅ

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第6章 赤い羽根で舞い降りる

第45話 魔人アインズ2

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「魔物の群れを確認! 総員迎撃用意」

 最初に姿を見せた集団はオークどもだった。数はそこまで多くない。いつもと比べると少ないくらいか。

「例のドラゴンとやらはいないみたいだね。テア、君はドラゴンが姿を見せるまで温存しておく。いいね?」
「はい、レオン様」

 私とレオン様は城壁の上で待機だ。他にも多くの弓兵が控えている。そして私の眼下、街の外には多くの騎士や兵士達が陣形を作り待ち構えている。

 やがてオークの部隊と街を守るアルノーブル軍の激突が始まった。弓兵達が矢を番え、放ち守備隊を援護する。オークなど練度の高いアルノーブル軍の敵ではなかった。アルノーブル軍は結構余裕でオークどもの侵攻を防ぎ、撃退していく。

「おいでなすったようだね」

 レオン様が双眼鏡で敵影を発見する。

「よりによってレッドドラゴンか。君一人に押し付けてしまう形になって済まない。テア、必ず生きて帰って来てくれ」

 レオン様が私の両肩に手を置く。このシチュエーション最高じゃないですか!
 今の私はテンションマックス。レッドドラゴンだろうが魔神だろうがぶっ飛ばしてやるわ。

「お任せ下さいレオン様。必ずや成し遂げてみせましょうとも!」

 私はとびっきりの笑顔で応えると、自らの身体をふわりと浮かせる。神の手で自分の身体を支え宙に浮いたのだ。そして更に4本の手を呼び出し、うち2つには私より大きい盾を握らせてある。この2つの大盾で防御し、残る2本の手で攻撃するのだ。

「弓兵は矢を放つな。地上戦はもう片がつくだろう」

 レオン様の号令で弓兵たちが手を止める。そして私はレッドドラゴン目指してその身を飛ばした。私の視界の先には大きな翼をはためかせる赤い竜。そしてその背に赤い羽根を生やした男を乗せていた。

「あれってもしかしてレオン様少年時代編のボス、アインズかな?」

 ゲームではレオン様の左腕を奪った魔人であり、アルノーブル襲撃のための魔物を生み出していた元凶だ。まさかもう出てくるとは思わなかったよ。

「あいつを倒せばアルノーブル襲撃も終わるはず。ついでに倒してやる!」

 私は速度を上げレッドドラゴンに近づいていく。するとレッドドラゴンが大きく息を吸い込んだ。そういやこいつ炎を吐くんだっけ。どんな肉体構造したら火を吐けるんだか。

 そしてドラゴンが炎を吐く。その勢いある赤い炎は真っ直ぐ私に向かって来た。
 私は下降して回避し、悪魔の手をドラゴンの翼めがけて飛ばす。

「破滅の爪牙!」

 そして両翼を切り落とすべく破滅的爪牙を放つ。出し惜しみは無しだよ。短期決戦だ!

 赤い掻き傷が空中に現れ、ドラゴンの両翼に襲いかかる。しかし出血はあれど切断には至らなかった。なんちゅう頑丈さだ!

 しかし出血した、ということは硬い鱗をある程度破壊できているということ。それに何もわざわざ硬い鱗の上から攻撃する必要もないか。

 とはいえ、お互い結構な速度で飛んでいるため狙うのは容易じゃないな。単純な速度ならドラゴンかもしれないけど、小回りはこちらの方が上だ。こちらに向かって突進したりブレスを吐いたりしてくるが、その全てを躱し切る。

 それにしても背中に乗っている魔人はよく振り落とされないものだ。なんらかの魔法で背中に貼りついているのだろうか?

「動きは単調だね。そろそろ反撃しますか」

 ドラゴンが再びそのあぎとを開き突進してくる。そのデカい口は強力な武器であると同時に弱点だよね。

「破滅の爪牙!」

 悪魔の手で虚空を引っ掻き、すぐさま上昇する。赤い爪痕はドラゴンのデカい口の中へと入っていった。

 そして響き渡るドラゴンのいななき。喉の中を切り裂かれズタズタになっていることだろう。しかし吐血はしてもまだ落ちてはいない。

「これで決めてやる!」

 私はドラゴンの翼めがけて破滅の爪牙を乱れ撃つ。表皮は硬い鱗に覆われているが、翼の羽根の部分は違う。魔人は危険を感じたのかドラゴンの背中から飛び退き、自らの羽根を持って空に逃げた。

 そして赤い爪痕はドラゴンの羽根をズタズタに引き裂き、滑空の制御を失う。それでもどういうわけか落下はしない。しかし大きくスピードは落ちていた。

 魔人に邪魔されると厄介だ。さっさとドラゴンを落としてしまおう。

 私は一気にドラゴンを仕留めるべく悪魔の手をドラゴンに向かわせた。そして透過の能力を使い体内に潜り込ませる。

「破滅の爪牙!」

 そして体内からの破滅の爪牙連発。少々やり過ぎたのか赤い爪痕が中から鱗をぶち破って飛び出てきた。そしてレッドドラゴンは大量の吐血とともに断末魔の鳴き声とともに落下していった。

「残りはあなただけね、アインズ」
「ほう、なぜ俺の名前を知っている」

 私は空中に浮かんでいる魔人の名を呼ぶとビシッと指差した。白い髪をした魔人は革製の胸鎧を着ている。腰には剣をぶら下げており、一見すると剣士のようにも見えた。

「しかしレッドドラゴンをこうも簡単に倒してくれるとはな。ツヴァイと同じ能力と聞いていたがお前の脅威度はツヴァイ以上だな」

 落下し、地面に激突して動かなくなったドラゴンを見てアインズが呟く。

「あなたさえ倒してしまえばもうアルノーブルが魔物に襲撃されることはなくなる。言っておくけど逃さないからね?」
「貴様、どこまで知っている?」

 アインズの眉がピクリと跳ねた。私は更に煽るべく笑顔を向けて答えてやった。

「さてね。あなたがいなきゃ魔物は集められないことは知ってるわ。わざわざ出向いて来るなんてありがとうね」
「やれやれ、どうやら手加減できる相手ではなさそうだな。ボルドーのやつには抵抗が強くて殺すしかなかったと伝えておくか」

 ボルドー?
 確かゾーア教団で魔神研究をしている狂人だっけ。あいつが絡んでいるのか。言っていることから察するに、私を捕えて研究しようって腹づもりなんだろう。断固拒否だわ。

「悪いけど思い通りにはさせないから」

 神の手に大盾持たせて良かったかも。対人であればこの大盾は強力な防具にも武器にもなるからね。

 私は2枚の大盾を両脇に配置した。


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