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第6章 赤い羽根で舞い降りる
第46話 魔人アインズ3
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「なるほど、その大盾で攻撃を防ぐつもりか。だが俺の動きに付いてこられるかな?」
アインズは赤い羽根を広げ、空を飛び回る。そしてアインズの身体が5つに分裂した。
「これぞ俺の能力の一つミラージュサーヴァント。貴様の神と悪魔の手は確かに脅威だが殺せないわけではないぞ?」
「その能力知ってるわ。本体は一つなのよね。残りは実体のある偽物で致命傷を受ければ消えるんでしょ?」
実体のある偽物ってのも充分エゲツナイ能力だと思う。ただこれには致命的な欠陥があるのだ。実際シナリオのラストではその欠陥を突くかれレオン様に敗北しているしね。
この欠陥に関しては私の能力も同じことが言えるんだけど、一つ一つにバラバラな動きをさせられないのだ。
当たり前だ。実際にやってみればわかるが、右手と左手でさえ独立させたバラバラな動きをするのは困難なのだ。それを4つも同時に操るとなるとどうしても単調になり、複雑な動きや咄嗟の行動は難しいに決まっている。
つまりそれで本物かどうかがわかっちゃうんだよね。
「ほう、よく知っているな。だがそれ以前に俺を捕まえることができるかな?」
アインズは私を近づけまいと大量の魔法球を撃ち出す。5体全てから放たれるのだから相当な数だ。
「壁よ!」
もっとも、私はアインズの能力をある程度把握しているので対策はしてあるんだけどね。大盾の上に魔法障壁を張り、その魔法球を弾き飛ばす。問題は前が見えないことか。大盾でかいんだもん。
「バカめ!」
大盾で魔法球を防いでいる間にアインズは私の周りを飛び始める。どうやら私を中心にしてグルグル回り、魔法球を全方位から撃ち込むつもりなのだろう。ゲームでもそんな場面あるからやると思ってたよ。
「バカはあんたよ。拘束しろ!」
一列に並んで飛ぶアインズの進路上に突然魔法の網が現れると1体のアインズが魔法の網に捕われ落下していく。多分やるだろうと思って位置を予想して悪魔の手を配置しておいたのだ。ま、どうせ偽物か。先頭が本物のわけがないよね。
「なにぃっ!?」
アインズが驚愕の声をあげる。残った4体のうち前から2番目が急上昇を始めると、残った3体も追随するように上昇を始めた。あれが本物だね。まぁすぐにシャッフルしてきそうだけど。
「まだまだ私のターンだよ!」
私も急上昇し、アインズを追う。そして悪魔の手を追わせた。
「破滅の爪牙!」
悪魔の手で虚空を何度も引っ掻き赤い爪痕を残す。そしてその爪痕はアインズ達に向かって飛んでいった。あれだけ乱れ撃てば本物はともかく、偽物が回避するのは困難だろう。
「ちいっ!」
案の定本物はなんとか回避した。しかし偽物は3体ともその身を切り裂かれ致命傷だ。そして程なくして偽物も虚空へと消えていった。
「ご自慢のミラージュサーヴァントとやらは全滅したみたいね。後はあんただけよ。覚悟はいいかしら?」
もうここまで来たら勝利は見えたも同然だろう。ゲームでレオン様を苦しめたミラージュサーヴァントは私が破った。それを越える技は持ってないはず。
「馬鹿な、こ、こんなことが……」
アインズは驚きと怒りに満ちた表情で奥歯を強く噛み締めているようだ。少し遠いが奴がワナワナ震えているのがよくわかる。悪いけど魔人を生け捕りにするのは困難だ。ましてやこいつは魔物を呼ぶ力も持っている。つまり殺す以外の選択肢はないのだ。
「ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!! この俺様が不様にやられるなどあってはならんのだ。俺は、俺は選ばれた存在。人を超越した魔人様をなんだぞ!」
はいはい。魔人様、ってんなら私もそうなんだけどね。そんな逆ギレみたいなこと言われても知らないってば。
「はいはい。じゃあ終わりにしましょうか」
トドメに悪魔の手でぶん殴ってやろうとアインズに近づく。すると突然アインズが不気味な表情で嗤った。口角が半月のように広がり、白目を向いているが確かに笑っている。その不気味さに何か危険なものを感じ、私は近づくのを止め距離を取った。
「ふふふふふ……、ふははははは、フハハハハハハハ! キィヤハハハハハ」
アインズはいきなり笑い出す。まるで気でも触れたのか、次第に笑う声が高くなっていった。
「ああ、原初様の声が聞こえます。偉大なる原初様、私はここにございます。私こそは貴方様、貴方様こそ私でございます!」
「な、なに? もしかして原初がアインズに干渉しているの?」
うそん。そんな展開ゲームにはなかったはずなのに。それにアインズに与えられた血は原初のものじゃない。それなのに何故干渉できる?
アインズの身体を赤い光が包み込む。そしてその身体は変化していった。
額に角が生え、黒かった瞳は紫色に妖しく輝く。そして赤い蝶のような羽根はその大きさを増し、透き通るような赤へと変貌していった。
「フフフ、よもやよもやというやつか。まさか偉大なる原初様が私にお声をかけてくださるとはね。契約により私は亜魔神へと昇格した。お前を連れ去り記憶を消してやろう。そして魔神ヤーヌスとなり偉大なる原初様復活を助けるのだ」
「……私を殺すんじゃなかったの?」
まずい、ゾーア教団に私が適合者だと知られるのは非常に困る。こいつはここで仕留めないと。
「最初はそのつもりだったんだがな。偉大なる原初様はお前が魔神ヤーヌスの適合者だと教えてくださった。そしてお前を魔神ヤーヌスとして覚醒させるのを条件に契約したのだよ」
「あんのクソ魔神め……」
まさかこんな展開になるなんて思いもよらなかったよ。それだけ封印が弱まっていたということか。
「精一杯足掻くといい。ああ、力が溢れてくる。これが亜魔神の力か……!」
亜魔神となったアインズは赤い蝶のような羽根を羽ばたかせ、ひらりと舞い降りる。そして空中で私と対峙した。
アインズは赤い羽根を広げ、空を飛び回る。そしてアインズの身体が5つに分裂した。
「これぞ俺の能力の一つミラージュサーヴァント。貴様の神と悪魔の手は確かに脅威だが殺せないわけではないぞ?」
「その能力知ってるわ。本体は一つなのよね。残りは実体のある偽物で致命傷を受ければ消えるんでしょ?」
実体のある偽物ってのも充分エゲツナイ能力だと思う。ただこれには致命的な欠陥があるのだ。実際シナリオのラストではその欠陥を突くかれレオン様に敗北しているしね。
この欠陥に関しては私の能力も同じことが言えるんだけど、一つ一つにバラバラな動きをさせられないのだ。
当たり前だ。実際にやってみればわかるが、右手と左手でさえ独立させたバラバラな動きをするのは困難なのだ。それを4つも同時に操るとなるとどうしても単調になり、複雑な動きや咄嗟の行動は難しいに決まっている。
つまりそれで本物かどうかがわかっちゃうんだよね。
「ほう、よく知っているな。だがそれ以前に俺を捕まえることができるかな?」
アインズは私を近づけまいと大量の魔法球を撃ち出す。5体全てから放たれるのだから相当な数だ。
「壁よ!」
もっとも、私はアインズの能力をある程度把握しているので対策はしてあるんだけどね。大盾の上に魔法障壁を張り、その魔法球を弾き飛ばす。問題は前が見えないことか。大盾でかいんだもん。
「バカめ!」
大盾で魔法球を防いでいる間にアインズは私の周りを飛び始める。どうやら私を中心にしてグルグル回り、魔法球を全方位から撃ち込むつもりなのだろう。ゲームでもそんな場面あるからやると思ってたよ。
「バカはあんたよ。拘束しろ!」
一列に並んで飛ぶアインズの進路上に突然魔法の網が現れると1体のアインズが魔法の網に捕われ落下していく。多分やるだろうと思って位置を予想して悪魔の手を配置しておいたのだ。ま、どうせ偽物か。先頭が本物のわけがないよね。
「なにぃっ!?」
アインズが驚愕の声をあげる。残った4体のうち前から2番目が急上昇を始めると、残った3体も追随するように上昇を始めた。あれが本物だね。まぁすぐにシャッフルしてきそうだけど。
「まだまだ私のターンだよ!」
私も急上昇し、アインズを追う。そして悪魔の手を追わせた。
「破滅の爪牙!」
悪魔の手で虚空を何度も引っ掻き赤い爪痕を残す。そしてその爪痕はアインズ達に向かって飛んでいった。あれだけ乱れ撃てば本物はともかく、偽物が回避するのは困難だろう。
「ちいっ!」
案の定本物はなんとか回避した。しかし偽物は3体ともその身を切り裂かれ致命傷だ。そして程なくして偽物も虚空へと消えていった。
「ご自慢のミラージュサーヴァントとやらは全滅したみたいね。後はあんただけよ。覚悟はいいかしら?」
もうここまで来たら勝利は見えたも同然だろう。ゲームでレオン様を苦しめたミラージュサーヴァントは私が破った。それを越える技は持ってないはず。
「馬鹿な、こ、こんなことが……」
アインズは驚きと怒りに満ちた表情で奥歯を強く噛み締めているようだ。少し遠いが奴がワナワナ震えているのがよくわかる。悪いけど魔人を生け捕りにするのは困難だ。ましてやこいつは魔物を呼ぶ力も持っている。つまり殺す以外の選択肢はないのだ。
「ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!! この俺様が不様にやられるなどあってはならんのだ。俺は、俺は選ばれた存在。人を超越した魔人様をなんだぞ!」
はいはい。魔人様、ってんなら私もそうなんだけどね。そんな逆ギレみたいなこと言われても知らないってば。
「はいはい。じゃあ終わりにしましょうか」
トドメに悪魔の手でぶん殴ってやろうとアインズに近づく。すると突然アインズが不気味な表情で嗤った。口角が半月のように広がり、白目を向いているが確かに笑っている。その不気味さに何か危険なものを感じ、私は近づくのを止め距離を取った。
「ふふふふふ……、ふははははは、フハハハハハハハ! キィヤハハハハハ」
アインズはいきなり笑い出す。まるで気でも触れたのか、次第に笑う声が高くなっていった。
「ああ、原初様の声が聞こえます。偉大なる原初様、私はここにございます。私こそは貴方様、貴方様こそ私でございます!」
「な、なに? もしかして原初がアインズに干渉しているの?」
うそん。そんな展開ゲームにはなかったはずなのに。それにアインズに与えられた血は原初のものじゃない。それなのに何故干渉できる?
アインズの身体を赤い光が包み込む。そしてその身体は変化していった。
額に角が生え、黒かった瞳は紫色に妖しく輝く。そして赤い蝶のような羽根はその大きさを増し、透き通るような赤へと変貌していった。
「フフフ、よもやよもやというやつか。まさか偉大なる原初様が私にお声をかけてくださるとはね。契約により私は亜魔神へと昇格した。お前を連れ去り記憶を消してやろう。そして魔神ヤーヌスとなり偉大なる原初様復活を助けるのだ」
「……私を殺すんじゃなかったの?」
まずい、ゾーア教団に私が適合者だと知られるのは非常に困る。こいつはここで仕留めないと。
「最初はそのつもりだったんだがな。偉大なる原初様はお前が魔神ヤーヌスの適合者だと教えてくださった。そしてお前を魔神ヤーヌスとして覚醒させるのを条件に契約したのだよ」
「あんのクソ魔神め……」
まさかこんな展開になるなんて思いもよらなかったよ。それだけ封印が弱まっていたということか。
「精一杯足掻くといい。ああ、力が溢れてくる。これが亜魔神の力か……!」
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