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初恋編
第一話
しおりを挟む春の始業式
私は中学二年生になった。
こういうとき、時は経つのが本当に早いなと思う。
小学校を卒業し、中学校生活ももう二年目。
これ程の年月を経ても私の気持ちに変化は出なかった。
中一の時に、自分にはもう好きな人なんて居ないんだろうなと思っていた。
でも、思うだけでやっぱり私は変わってなくて。
寧ろ私はまだ暁翔の事が好きだということを、現実を突きつけられた。
結局、五年もの片思い。
いっその事嫌いになれたらいいのにと思うのに出来るはずもなくて。
意味の無い堂々巡りを繰り返していた。
「そろそろ並んでー」
先陣を切ってある女の子が教室内に居る生徒達に声をかける。
ああいう子が学級委員とかになるんだろうなあ…
一軍ってやつかな…
考えながら私は席を立つ。
始業式が始まる為、名前順に列になって体育館へと向かう。
クラス順に並んでそのまま腰を下ろすと隣のクラス、四組が来て並び始める。
私の隣の男子が腰を下ろす。
(え…)
私の隣に居たのは暁翔だった。
思わず私は暁翔をじっと見てしまった。
暁翔も視線を感じたのかこちらを見た。
暁翔は驚いた様な、困惑した様な表情をした。
途端に六年の頃のあの事を思い出す。
気まずくなって私はつい目を逸らしてしまった。
(やば…今の余計気まずくなる…)
分かってはいるけれどまた暁翔を見るなんてこと出来る訳もなく、私は前を向いて変わらぬ校長の長ったらしい話を聞いていた。
隣が物凄く気になるが、自分から目を逸らした手前、そちらを見る訳にもいかず。
内心焦って、でも少し、安堵してる自分が居た。
(なんでだろう…)
私はなんで安心したんだ…?
いくら考えても私が答えを見出すことは無かった。
そうこうしているうちに、校長の長い話が終わった。
私達は来た時と同じように、列になって教室に戻る。
それからしばらくすると私のクラス、二年五組の担任の先生が入ってきた。
男の先生で、英語を担当している渡邉先生だった。
この先生は教え方も上手く、ノリがいい事で有名な人気者の先生だった。
私は心の中でガッツポーズする。
(やった…!渡邉先生の授業楽しいんだよねー、良かった!)
さてさて自己紹介モードに突入するみたいだ。
出席番号順に男子からどんどん言っていく。
私は「や」だからまだ時間がかかる…と思っていたらあっという間に私の番。
私は椅子から立ち上がり自己紹介を始める。
「元一年六組の八重桜 緋音です。美術部に所属しています。これから一年間、よろしくお願いします。」
言い切ってお辞儀をし、また自分の席に座る。
(少し緊張したけど…しっかり言えて良かった…)
全員の自己紹介が終わり、先生が明日の連絡をする。
今日は始業式だけだから、先生の話が終わったら解散だ。
「…それでは、明日からこの教室、このクラスメイトと一緒に生活していきます。新学期だからといって気を緩めずに、でも遊ぶ時は元気に!メリハリを付けて生活していけるといいですね。」
先生の話が終わったようだ。
「起立、さようなら」
学級委員はまだ居ないため先生が号令をかける。
皆さようならーと言って鞄を持ち、それぞれに教室を出ていく。
私も教室を出て、階段を降りようとしたところで声がかかった。
「緋音ー!」
上履きのパタパタという足音と共に私を呼ぶ人が居た。
(あ…忘れてた…)
「置いていくとか酷くないですか、緋音さん」
半眼になって私にそう言う。
「ごめん、雪奈の事忘れてた…」
素直に言って謝る。
「え…酷くない?」
「ごめんって…」
本気でショックを受けた様な雪奈に私はもう一度謝る。
「仕方ない、許そう!」
偉そうに言う。
私は雪奈は相変わらずだなあと少し笑いながら言って家路につく。
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