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日常編
28質疑応答
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28質疑応答
僕の質問に答えてくれるというシノとクノという双子の女の子。彼女たちには、僕が表世界の人間ということは言っていない。そして、それを話して良いのかも分からない。ただ、朝霧が「小さな村にいた捨て子」というニュアンスで僕を説明するものだから、何となく言ってはいけないような感じがした。
「私たちの、仕事かぁ……。知ってるかもしれないけど、ここは攻撃、情報、研究の3つの部隊に分かれてるの」
それは朝霧にも聞いていた。攻撃部隊は何となく分かっている。朝霧、哀歌、海未のような人達がそうだ。実際に現地へ行って、あの化け物たちと戦う、それが仕事なんだ。
「私たちがいるのは、情報部隊。 そこはね、世界中の監視をしているの。 最近じゃ、ほとんどが怪物ちゃんたちの発生現場を見つけること、そして、そこに向かってもらう隊員を派遣するのも私たちの仕事だよ」
派遣……、そうか。この子達のいる情報部隊は、世界で起こっていることを全て把握し、そこに送る隊員の人数を見積もり派遣しているんだ。今回の街外れで起きたことに、ほとんど人が派遣された……。それはこの情報部隊からの要請……。朝霧が度々夜に電話でかかってくるのも、この子達のいるところからかかってきているのか。
「……私たちは、何か特別な力はなかったけど、冷静な判断さが買われてそこに入った。派遣する人数や、そこにあった能力の人を送らないと悪い結果にもなりかねないからね」
「……今回のことは、情報部隊全員一致の街外れへ全攻撃部隊の派遣だった……、けど、こんな事になるとは誰も思っていなかった……。 だけど、運良く、奏斗くんたちがそっちにいた」
……そう、僕が聞こえた声を頼りに3人は動いてくれた。哀歌と海未は、朝霧に言われたからだろうけど、それで今回はなんとかなった。
「……奏斗くん、何であっちに居たんだろ」
クノの言葉にドキリとする。僕の聞いた言葉をもとに……が答えだが、この2人にその話をするべきなのか……、ゴクリと唾を飲み込む。
「きっと奏斗くんのことだもん、何か異変に気づいたんだよ、いっつもそうだもん」
シノがそう言うと、クノが「そうだよね」と返す。なんとか2人は勝手に納得したらしい。それにしても、あの2人も、この双子も朝霧 奏斗という男について凄く信頼をしているようだ。
確かに僕から見ても、あの人は凄いんだと思う。あの事件の際に、海未は化け物の2本の手足で苦戦していた。それを本気を出さずに4本、本気を出せば手足6本全てを相手にしていた。
哀歌も言っていた。朝霧はどの項目においても、0ではない、と。攻撃に特化はしていたものの、精度は落ちるが回復魔法も使えれば、頭も良いとの話だった。
「派遣もね、色んな人がいるからその人にとって合う、合わない現場もある。 例えば哀歌ちゃんは、回復魔法の持ち主だから、被害住民がいればどこにいても役に立つけど、いなければ居ても意味ないし、それに海の近くや川の近くはダメ。水が苦手なの。海未君は、かなり優秀で強いけど、化け物のいない救護の場には向かない。それに奏斗くん以外との連携も上手く取れない」
どうやら、人数だけではなく人の特性、苦手なものも全て把握済みらしい。それに合わせて、上手く派遣をする。確かに冷静な判断力は必要みたいだ。
「朝霧さんは……、苦手なものとか無さそうだよね……」
僕がそう呟くと、2人は「う~ん」と唸るように声を出して、考えるように首を傾げる。
「……あったとしても奏斗くんはそれを言わないし、それに勝てる。 苦手なものでいつもは近寄らなくても、何かあれば平気で近寄る。 奏斗くんはそんな人なんだよ」
「……奏斗くん、いい人。 誰にでも優しい。 ここにいる人の多くは、私たちのこと、好きじゃない」
クノの一言に僕は「えっ……」と言ってしまった。これは聞いてはいけないことなのだろうか、僕は悩むと、2人は僕の質問を切り出せない様子を見ていて、勝手に話し始めた。
「……私たちはね、虹と同じで上の名前がないの。それは、同じで実親がいなくて、2人だけで過ごしてきたから。いつの間にかここにたどり着いたけど、最初はだーれも受け入れてくれなかった。……けどね、奏斗くんがね最初に私たちをここに居させるって上の人たちに言ってくれたの」
「ただ、可哀想だったからなのかもしれないけど、私たちは嬉しかった。だから奏斗くんは好き。哀歌ちゃんや海未君も私たちを他の人みたいに軽蔑した目では見ない。 関係なく話してくれる」
僕はズキリと胸が痛む。この2人は僕が「どこかの村にいた捨て子」のようなものだと思い込んでいる。違う、実際は違う世界で生きていた、ただの高校生だ。家も最悪な環境ではあったけど、衣食住はしっかりしていた。
「……ここに来て、私たちはやっと普通の生活を過ごせるようになったんだ。本当は受け入れられずに、見放されて餓死していたかもしれない」
僕は心の中で2人に謝った。僕は違って餓死することなんてない未来を見ていた。ただただ早くあの家から出て、一人暮らしを始め普通に過ごすのだと思っていた。
2人の辛い過去とは全然違う。2人は死ぬと思っていたんだ、食べ物も住む場所もなかったんだ…。
「……っ、あ、あと、朝霧さんについて、知っていることは、ないかな……、あの人自分のこと、何も教えてくれなくて……」
話の方向性を変えようと、思いついた質問を投げかける。2人は急な話の切り替えに驚きながら、「あはは」と笑いながら、「えーと」と考え始める。
「奏斗くんかぁ、奏斗くんは何でもできる秀才って感じだよね。言ったように弱点も分からないの。何でもできるし、誰にでも差別をしない、あと顔も良いって皆言ってる!」
シノは笑いながらそう言った。僕は朝霧 奏斗という人物を信頼しきっていながら何も知らないことに恐怖がある。本当は何か目的があって、僕を利用しようとしているのではないか、と。結局、朝霧の助けたいといった、"あの子"についても何も分かっていない。
「……でもね、私はね、奏斗くん怖いよ……。好きだけど怖い、いつも笑ってるのに、優しい口調なのに……たまぁに……怖い時がある……」
怖い時……? 彼が怒っているところは見た事がない。化け物に対しては、問答無用で切りつけるし、そこが怖いということか?
「……クノ?」
シノは心配そうにクノを見つめた。
「……たまに、本当にたまーにね、奏斗くん表情が凍るように冷たいの……。 上層部の人達と話した後とか……」
……きっと、朝霧 奏斗のあの笑顔は偽物なんだろう。稀に見せる笑い方は本当に笑っているんだろうけど……。常にニコニコするような人では無いのかもしれない。理由があって、ずっと笑って人と接するしかないのかもしれない……。
色んなことを知って、色んな人と掛け合うような人だ……。
「……虹ぃ、奏斗くんのこと知りたいなら夢花ちゃんに聞くのが早いよ! 2人はながーい知り合いみたいだし!」
咲の名前が出た。2人は長い付き合いがあるらしい。咲に聞くべきなのか……。
「……それより、私も質問していい?」
僕はシノの声にハッとした。「な、なに?」と少しもごもごとしながら、返事をする。
「……虹は、何であそこ……H大学にいたの? 攻撃部隊じゃ、ないんだよね?」
シノの鋭いような目に背筋が凍る。先程までフワフワとしていたシノの声色が変わった。
そうか、この2人………。
僕の質問を受け答えしに来たんじゃない。僕、虹という男について調べるために来たんだ。
僕の心臓はドクン、ドクンと大きな音をあげていた。冷や汗もかいてきたのか、背中がじわりと冷たくなってきた。
僕は2人に何て返せば良いのか、質問の答えが分からない。
シノもクノも僕をジィっと見つめている。怪しいとでも思っているのだろうか。いや、それが当たり前だ。急に現れた力もない男がこんなところで、しかも朝霧の近くにいるのがおかしい。
まるで、追い詰められた犯人のようで居心地が悪くなってきた。
僕の質問に答えてくれるというシノとクノという双子の女の子。彼女たちには、僕が表世界の人間ということは言っていない。そして、それを話して良いのかも分からない。ただ、朝霧が「小さな村にいた捨て子」というニュアンスで僕を説明するものだから、何となく言ってはいけないような感じがした。
「私たちの、仕事かぁ……。知ってるかもしれないけど、ここは攻撃、情報、研究の3つの部隊に分かれてるの」
それは朝霧にも聞いていた。攻撃部隊は何となく分かっている。朝霧、哀歌、海未のような人達がそうだ。実際に現地へ行って、あの化け物たちと戦う、それが仕事なんだ。
「私たちがいるのは、情報部隊。 そこはね、世界中の監視をしているの。 最近じゃ、ほとんどが怪物ちゃんたちの発生現場を見つけること、そして、そこに向かってもらう隊員を派遣するのも私たちの仕事だよ」
派遣……、そうか。この子達のいる情報部隊は、世界で起こっていることを全て把握し、そこに送る隊員の人数を見積もり派遣しているんだ。今回の街外れで起きたことに、ほとんど人が派遣された……。それはこの情報部隊からの要請……。朝霧が度々夜に電話でかかってくるのも、この子達のいるところからかかってきているのか。
「……私たちは、何か特別な力はなかったけど、冷静な判断さが買われてそこに入った。派遣する人数や、そこにあった能力の人を送らないと悪い結果にもなりかねないからね」
「……今回のことは、情報部隊全員一致の街外れへ全攻撃部隊の派遣だった……、けど、こんな事になるとは誰も思っていなかった……。 だけど、運良く、奏斗くんたちがそっちにいた」
……そう、僕が聞こえた声を頼りに3人は動いてくれた。哀歌と海未は、朝霧に言われたからだろうけど、それで今回はなんとかなった。
「……奏斗くん、何であっちに居たんだろ」
クノの言葉にドキリとする。僕の聞いた言葉をもとに……が答えだが、この2人にその話をするべきなのか……、ゴクリと唾を飲み込む。
「きっと奏斗くんのことだもん、何か異変に気づいたんだよ、いっつもそうだもん」
シノがそう言うと、クノが「そうだよね」と返す。なんとか2人は勝手に納得したらしい。それにしても、あの2人も、この双子も朝霧 奏斗という男について凄く信頼をしているようだ。
確かに僕から見ても、あの人は凄いんだと思う。あの事件の際に、海未は化け物の2本の手足で苦戦していた。それを本気を出さずに4本、本気を出せば手足6本全てを相手にしていた。
哀歌も言っていた。朝霧はどの項目においても、0ではない、と。攻撃に特化はしていたものの、精度は落ちるが回復魔法も使えれば、頭も良いとの話だった。
「派遣もね、色んな人がいるからその人にとって合う、合わない現場もある。 例えば哀歌ちゃんは、回復魔法の持ち主だから、被害住民がいればどこにいても役に立つけど、いなければ居ても意味ないし、それに海の近くや川の近くはダメ。水が苦手なの。海未君は、かなり優秀で強いけど、化け物のいない救護の場には向かない。それに奏斗くん以外との連携も上手く取れない」
どうやら、人数だけではなく人の特性、苦手なものも全て把握済みらしい。それに合わせて、上手く派遣をする。確かに冷静な判断力は必要みたいだ。
「朝霧さんは……、苦手なものとか無さそうだよね……」
僕がそう呟くと、2人は「う~ん」と唸るように声を出して、考えるように首を傾げる。
「……あったとしても奏斗くんはそれを言わないし、それに勝てる。 苦手なものでいつもは近寄らなくても、何かあれば平気で近寄る。 奏斗くんはそんな人なんだよ」
「……奏斗くん、いい人。 誰にでも優しい。 ここにいる人の多くは、私たちのこと、好きじゃない」
クノの一言に僕は「えっ……」と言ってしまった。これは聞いてはいけないことなのだろうか、僕は悩むと、2人は僕の質問を切り出せない様子を見ていて、勝手に話し始めた。
「……私たちはね、虹と同じで上の名前がないの。それは、同じで実親がいなくて、2人だけで過ごしてきたから。いつの間にかここにたどり着いたけど、最初はだーれも受け入れてくれなかった。……けどね、奏斗くんがね最初に私たちをここに居させるって上の人たちに言ってくれたの」
「ただ、可哀想だったからなのかもしれないけど、私たちは嬉しかった。だから奏斗くんは好き。哀歌ちゃんや海未君も私たちを他の人みたいに軽蔑した目では見ない。 関係なく話してくれる」
僕はズキリと胸が痛む。この2人は僕が「どこかの村にいた捨て子」のようなものだと思い込んでいる。違う、実際は違う世界で生きていた、ただの高校生だ。家も最悪な環境ではあったけど、衣食住はしっかりしていた。
「……ここに来て、私たちはやっと普通の生活を過ごせるようになったんだ。本当は受け入れられずに、見放されて餓死していたかもしれない」
僕は心の中で2人に謝った。僕は違って餓死することなんてない未来を見ていた。ただただ早くあの家から出て、一人暮らしを始め普通に過ごすのだと思っていた。
2人の辛い過去とは全然違う。2人は死ぬと思っていたんだ、食べ物も住む場所もなかったんだ…。
「……っ、あ、あと、朝霧さんについて、知っていることは、ないかな……、あの人自分のこと、何も教えてくれなくて……」
話の方向性を変えようと、思いついた質問を投げかける。2人は急な話の切り替えに驚きながら、「あはは」と笑いながら、「えーと」と考え始める。
「奏斗くんかぁ、奏斗くんは何でもできる秀才って感じだよね。言ったように弱点も分からないの。何でもできるし、誰にでも差別をしない、あと顔も良いって皆言ってる!」
シノは笑いながらそう言った。僕は朝霧 奏斗という人物を信頼しきっていながら何も知らないことに恐怖がある。本当は何か目的があって、僕を利用しようとしているのではないか、と。結局、朝霧の助けたいといった、"あの子"についても何も分かっていない。
「……でもね、私はね、奏斗くん怖いよ……。好きだけど怖い、いつも笑ってるのに、優しい口調なのに……たまぁに……怖い時がある……」
怖い時……? 彼が怒っているところは見た事がない。化け物に対しては、問答無用で切りつけるし、そこが怖いということか?
「……クノ?」
シノは心配そうにクノを見つめた。
「……たまに、本当にたまーにね、奏斗くん表情が凍るように冷たいの……。 上層部の人達と話した後とか……」
……きっと、朝霧 奏斗のあの笑顔は偽物なんだろう。稀に見せる笑い方は本当に笑っているんだろうけど……。常にニコニコするような人では無いのかもしれない。理由があって、ずっと笑って人と接するしかないのかもしれない……。
色んなことを知って、色んな人と掛け合うような人だ……。
「……虹ぃ、奏斗くんのこと知りたいなら夢花ちゃんに聞くのが早いよ! 2人はながーい知り合いみたいだし!」
咲の名前が出た。2人は長い付き合いがあるらしい。咲に聞くべきなのか……。
「……それより、私も質問していい?」
僕はシノの声にハッとした。「な、なに?」と少しもごもごとしながら、返事をする。
「……虹は、何であそこ……H大学にいたの? 攻撃部隊じゃ、ないんだよね?」
シノの鋭いような目に背筋が凍る。先程までフワフワとしていたシノの声色が変わった。
そうか、この2人………。
僕の質問を受け答えしに来たんじゃない。僕、虹という男について調べるために来たんだ。
僕の心臓はドクン、ドクンと大きな音をあげていた。冷や汗もかいてきたのか、背中がじわりと冷たくなってきた。
僕は2人に何て返せば良いのか、質問の答えが分からない。
シノもクノも僕をジィっと見つめている。怪しいとでも思っているのだろうか。いや、それが当たり前だ。急に現れた力もない男がこんなところで、しかも朝霧の近くにいるのがおかしい。
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