もう1つの世界で家族を見つけた話

永遠

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うつけ村編

47 本当に悪いのは

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47 本当に悪いのは

「『うつけ村』? あの村に派遣する隊員が欲しいというのか、朝霧。 ほとんど何もない場所に人を割いている場合では……」



「……まだ分かりませんか。 私はH大学の時にも派遣要請をしたはずです。 それをせずにどうなったかは、皆様も分かっていると思いますが」



上の人間を上手く言いくるめるのは、時間の無駄で、本当に面倒臭いと、この立場になってすぐに思ったことだ。
融通も効かず、頭の回転も悪いおじい様方に許可を得なければ、人を動かせない立場にあるというのも腹立たしい。


自分らは動かず、施設内でお話をするくらいしかないくせに何故そんなに偉い立場で物を言うのか。疑問でしか無かった。


「……しかし、H大学、あの時も事前に何か起こると予想出来たのは何故か、それについての説明もされていない。 それがなければ、今回の派遣も許可することは出来ない」



自分たちの知らない所で何かが起こるのは御免らしいこいつらは、動くこともせずに座りながら話を聞く体勢しかしない。



「……虹、この間連れてきた少年、言ったと思いますが彼には特殊な能力があります。 人の心を聞く、それが偶然にもあの場の犯人の声を拾った。 今回も同じです」


それが、化け物を作り出しているであろう人物であり、この世界の中で最も危険な人間、ということを話す気にはならなかった。


そうすれば、今よりもこいつらが虹に対して、違った目を向ける。虹にとってそれが責任へと変わって行ってしまえば、虹に嘘をつくことになる。虹にこの件に関しては、責任を負わせない。



「……内容は」



「まだ明確には分かっていません。 ただ、昔起きた事件の何らかの人間への復讐行為、今回はそれがうつけ村で起こると聞こえたそうです」



納得いかないような顔で上層部の奴らは、仕方ないという顔で、隊員派遣を許可する。



「そんな復讐なんて小さなことよりも、あの化け物の元を断つことに専念するべきではないのか」



1人の男が腕を前で組みながら、私にそう言い放った。

……だから、嫌いなんだよ。 お前らみたいなのは



「……小さなこと……ですか、人が狙われていると分かっていながら見殺しにしろ、と貴方はそう言うのですか。 私は構いません、しかしそれを言った貴方は世間から軽蔑されるでしょう。 一応国を守る機関の上の人間なのですから」



実際は、その復讐と化け物の元が同じという可能性が高い。
冷たい視線で、早口で話すと少し罰の悪い顔をして男は黙り込む。


「……そろそろ、仕事に戻りますが……、1つだけ言っておきます。 この化け物の騒動、村で起こる復讐、どれをとっても全てが悪いのは向こう……なんて考えていらっしゃるのかもしれませんが……悪を悪にした元凶が1番悪いんですよ。 復讐なんてものは、そちらが手を出さなければ何も起こらなかったはずなのに、上に立ちたいのかなんなのか、事の発端を起こした人間たちが1番の悪です」



……そうだ。 もしも、奴隷にされていた人たちがそのオークションを行っていた人や参加者を恨み、復讐をしたとしてその奴隷たちが全て悪い訳では無い。
そんな扱い方をしなければ、何も起こらなかった。


……そう、国が秘密裏に行った裏での研究。その被検体となった虹と……恐らく虹の中に聞こえる声の主。 国がそんな研究を行わなければ、この化け物騒動が起こらなかったのかもしれない。


上層部に礼をして、居心地の最悪な場からすぐに離れた。


元は国が行った研究。 何故か存在を隠された虹ともう1人。 何の研究だったのかも分からない。
……そして、何故虹は表へ、もう1人は裏の世界に残されたのか。
……会わせてはいけないのかもしれない、だが二人を会わせなければ、今の件は何も解決しない。そして、向こうの計画が進んでいく。





虹がそのもう1人の声を聞けているのなら、もう1人も虹の声が聞こえる……可能性はなくはないが、それならば、虹がH大学に現れることは予想出来たはず。 恐らく私と出会っていることも……。

どちらにせよ虹が特殊能力持ちなら、向こうも何かしら持っている可能性が高い。それに、化け物を作り出す研究者としても頭が良いらしい。




うつけ村で何かが起こるまで……あと3日……、ここから出来ることはそう無い。
とりあえず派遣隊員の攻撃能力の強化だ……。 化け物が……この間と同じ形態のが何十匹と現われれば、頑張って私一人で1匹……普通の隊員なら4~5人かかっても生死の確率は半々だろう……。


私は虹のもとを離れるわけにはいかない。 前回の男に虹を連れていかれてしまったのは、私の落ち度だ。今回はそんな事をされれば、殺される可能性が高い……、虹が狙いの1部になってしまった。



私は頭を悩ませながら、虹の寝る自室へと戻った。
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