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5朝起きれば
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5朝起きれば
起きたら、昨日のことが夢でした、なんてオチではないかと思っていたが、それは現実のようで、俺が目を開くと、目の前には褐色の良い何かがあった。
それと頬に触れる金属の冷たいもの。俺はこれがヴァラドルの胸元であると分かった。
逆方向を向いたはずなのに、いつの間にか向かい合って、しかもコイツの腕が俺の枕替わりに頭の下にあった。
俺の頭を抱くような形で寝ているようだ。
「……ヴァラドル……、起きろ」
この男は静かな寝息をたてて眠っていた。その場に刃物でもあれば刺してしまいたいところだが、生憎そんなものはない。
ガタイの良さから、なんとなく寝息……イビキがうるさいと思っていたが、綺麗な整った顔の男が静かに眠っているものだ。
……女だったら叫び出しそうなくらいだな。
それよりも俺はこいつの腕から逃れたい、身体を押しても動かないし、声をかけても起きる気配はない。
困ったと思いながら、ヴァラドルを睨みつける。
白いバスローブが寝ていたからか、昨夜よりもはだけ、ほとんど上裸みたいなものだ。
「……うー……」
俺は唸り声をあげ、ひとつの解決策を思いついたが、それを実行するか否か迷っている。
……一か八か、目の前にある固く骨ばった鎖骨部分を勢いよくガリッと噛んだ。
「っ! いっ……!」
ヴァラドルはその声とともに目を開けた。俺の下にある腕とは逆の腕を齧られ、ジンジンと俺の歯型がついた鎖骨へとやる。
「起きろ! 離せ、この手を!」
まだ少し眠たそうにするヴァラドルは、俺の顔を見る。「……あ?」と不機嫌そうな声で、言うものだから少し怖かった。
「……っ、あぁ……クロウス、おはよう」
話を聞いているのか……と言いたかったが、おはようと言うヴァラドルにドキリとする。
起きて直ぐに言われるのは慣れないものだ。
「……おはよう……」
ポツリと返すと、ヴァラドルは大きく口を開け、くぁっと欠伸を1度する。片腕で目を擦った後、自分の髪をかきあげる。
そして、自分の腕が俺の頭の下にあることに気づいたようだった。
ヴァラドルは「ああ」とぼぉとした目でそれを見ると何も言わずに、するりと腕を離す。
「……眠ったお前が俺の胸元まで近づけてくるから、枕代わりに腕を貸しただけだ……俺がした訳じゃないぞ」
ニヤニヤと笑いながらそう言ってくる。俺は嘘だと思いつつも、顔を赤くした。
「…んな、嘘をつくな!」
「本当だ、そんなに誰かと寝るのが恋しかったか」
ワッと恥ずかしさを消すように大声をあげると、ヴァラドルは、にやりとしてそう言った。
……当たらずとも遠からず……、俺は1人で城にいることが多かった。父も母も俺を毛嫌いしていたから、子供の頃に一緒に寝たなんて記憶はない。
ただ、ユリウスだけは、父と母、城の者に内緒で俺の部屋に来て、横に自分の枕を置いて嬉しそうに寝てくれた。
それも、父にバレてからはユリウスの部屋の前に使用人を交代制でつけ、夜1人で出歩かないようにさせた。
「……っ、そ、れは……」
言い返そうとしたが、図星なところもあったため歯切れが悪くなる。身体を起こし、自分の服の裾をグッと掴みながら、俯く。
「……そんな顔するな、これからは毎日隣で寝てやる」
「……嬉しくない」
ヴァラドルなりの優しさなのか、ふざけたようにそんな事を言って、ヴァラドルも身体を起こす。痛むのか鎖骨の部分をまだ手で摩っている。少しだけ申し訳なくなる。
「……強く噛みすぎたか」
「……いや、猫に引っかかれたくらいの痛さだ」
……心配や申し訳ないと少し思った俺に謝って欲しい。そう言いながらも、ポリポリと鎖骨部分を人差し指でかいている。綺麗に歯型がついた。
「……お前、許可なく行為には及ばないと言ったが、昨日みたいな事はするんだな」
あまりこの話はしたくないが、今後のためにと思い、俺の方から話を切り出す。
「アレはそういった行為には入らないだろう、挨拶程度でする奴もいる……。それとも、初心なお前には早すぎたか」
何から何まで発言が腹立たしいな、こいつは……。別に、絶対にしたくない……とか、そんなことはなかったが……。もちろん、したいなんてことも思ってはいない!
「どの程度のことを許して、どの程度のことは俺が許可しなければしない事なのか、線引きは必要かと思って……だな……」
「……俺の言うお前に許可を取る行為は、な」
ヴァラドルに巻かれた質の良い黒い首の布の後ろを彼の指がツンと触る。
「ここに牙をたてること」
首の辺りがゾワゾワする。
そして、そこから手が離れたかと思えば、俺の上半身を服の上から滑るように腹の部分まで下ろす。
そして、腹をグッと押され、ヴァラドルの顔が耳元に寄る。
「……この中に俺のを挿れて、孕ませること、その2つだけだ」
グイグイと腹を押されると、圧がかかったからなのか、キュウッと腹の奥底が閉まる感じがした。
ヴァラドルの腕にしがみつき、腹から手を離せと力を込めようとした、しかし上手く力が入らない。
「…外から押されるだけでも、変な気分になってきたか?」
「っ……やめろ、離せ」
離せと言っても、ヴァラドルはトントンと指で軽く腹を奥へと押してくる。
また、熱さが身体にまとわりつく様だった。男なのに、中がキュウキュウと締め付けられる。
力が入らない、必死でヴァラドルの腕にしがみつき、頭を腕にくっつける。
じんわりと汗をかくほどに顔も身体が火照っている。
「……クロウス、愛らしいなぁ、お前は」
他の奴らもこんな感じなのか? こうやって、腹に圧を加えるだけで力を失って身体をビクつかせるものなのか?
「……俺は許可が無くてもキスもするし、身体だって触るぞ、覚えておけ」
そう言うと、上着の裾の部分から腹を押していた手を服の中へと入れてきた。
素肌にヴァラドルの体温が伝わってくる。ドクドクと脈を打つ音が聞こえていそうだ。
「っは、ぁ……やめ、ろ……」
「……やめて欲しいという顔ではないだろう……、しかし、こんな朝早くからすることでもないな」
そう言って服の中から手を出した。自分がどんな顔をしていたのか、知りたくもなかった。
理性がありながらも、表情や身体はこの先を望んでいたのかもしれない。しかし、そんなことは信じたくなかった。
俺は家での居場所を失い、コイツに金で買われたからこんな事をされても、抵抗できないんだと自分に言い聞かせる。
「……時間は腐るほどある、急ぐことでもないだろう」
そう言って、ヴァラドルはベッドから立ち上がった。
「朝食にしよう、持ってくる。 その前に、お前は風呂に入って着替えろ、昨日からずっとその服だ」
まるで親のような言い方をする。しかし言うことは最もだ。昨日連れられてきてから、風呂にも入らず、そのまま同じ服で寝てしまった。
「風呂はこの部屋に備え付けたものを使え。そこだ」
と言って、指で指したドアを見た。部屋ごとに風呂があるのか、俺が部屋から出ないようにわざわざ付けたのか……。どちらでも良いが……。
こんな良い環境だとは思わなかった、何なら元の城よりも良い。
「風呂に入っている間に適当な服を置いておいてやる」
そう言うと、ヴァラドルはフッと笑い、部屋から出ていった。
そんなヴァラドルを少しカッコ良い男だ、と1ミリでも考えてしまった自分を刺し殺したくなった。
起きたら、昨日のことが夢でした、なんてオチではないかと思っていたが、それは現実のようで、俺が目を開くと、目の前には褐色の良い何かがあった。
それと頬に触れる金属の冷たいもの。俺はこれがヴァラドルの胸元であると分かった。
逆方向を向いたはずなのに、いつの間にか向かい合って、しかもコイツの腕が俺の枕替わりに頭の下にあった。
俺の頭を抱くような形で寝ているようだ。
「……ヴァラドル……、起きろ」
この男は静かな寝息をたてて眠っていた。その場に刃物でもあれば刺してしまいたいところだが、生憎そんなものはない。
ガタイの良さから、なんとなく寝息……イビキがうるさいと思っていたが、綺麗な整った顔の男が静かに眠っているものだ。
……女だったら叫び出しそうなくらいだな。
それよりも俺はこいつの腕から逃れたい、身体を押しても動かないし、声をかけても起きる気配はない。
困ったと思いながら、ヴァラドルを睨みつける。
白いバスローブが寝ていたからか、昨夜よりもはだけ、ほとんど上裸みたいなものだ。
「……うー……」
俺は唸り声をあげ、ひとつの解決策を思いついたが、それを実行するか否か迷っている。
……一か八か、目の前にある固く骨ばった鎖骨部分を勢いよくガリッと噛んだ。
「っ! いっ……!」
ヴァラドルはその声とともに目を開けた。俺の下にある腕とは逆の腕を齧られ、ジンジンと俺の歯型がついた鎖骨へとやる。
「起きろ! 離せ、この手を!」
まだ少し眠たそうにするヴァラドルは、俺の顔を見る。「……あ?」と不機嫌そうな声で、言うものだから少し怖かった。
「……っ、あぁ……クロウス、おはよう」
話を聞いているのか……と言いたかったが、おはようと言うヴァラドルにドキリとする。
起きて直ぐに言われるのは慣れないものだ。
「……おはよう……」
ポツリと返すと、ヴァラドルは大きく口を開け、くぁっと欠伸を1度する。片腕で目を擦った後、自分の髪をかきあげる。
そして、自分の腕が俺の頭の下にあることに気づいたようだった。
ヴァラドルは「ああ」とぼぉとした目でそれを見ると何も言わずに、するりと腕を離す。
「……眠ったお前が俺の胸元まで近づけてくるから、枕代わりに腕を貸しただけだ……俺がした訳じゃないぞ」
ニヤニヤと笑いながらそう言ってくる。俺は嘘だと思いつつも、顔を赤くした。
「…んな、嘘をつくな!」
「本当だ、そんなに誰かと寝るのが恋しかったか」
ワッと恥ずかしさを消すように大声をあげると、ヴァラドルは、にやりとしてそう言った。
……当たらずとも遠からず……、俺は1人で城にいることが多かった。父も母も俺を毛嫌いしていたから、子供の頃に一緒に寝たなんて記憶はない。
ただ、ユリウスだけは、父と母、城の者に内緒で俺の部屋に来て、横に自分の枕を置いて嬉しそうに寝てくれた。
それも、父にバレてからはユリウスの部屋の前に使用人を交代制でつけ、夜1人で出歩かないようにさせた。
「……っ、そ、れは……」
言い返そうとしたが、図星なところもあったため歯切れが悪くなる。身体を起こし、自分の服の裾をグッと掴みながら、俯く。
「……そんな顔するな、これからは毎日隣で寝てやる」
「……嬉しくない」
ヴァラドルなりの優しさなのか、ふざけたようにそんな事を言って、ヴァラドルも身体を起こす。痛むのか鎖骨の部分をまだ手で摩っている。少しだけ申し訳なくなる。
「……強く噛みすぎたか」
「……いや、猫に引っかかれたくらいの痛さだ」
……心配や申し訳ないと少し思った俺に謝って欲しい。そう言いながらも、ポリポリと鎖骨部分を人差し指でかいている。綺麗に歯型がついた。
「……お前、許可なく行為には及ばないと言ったが、昨日みたいな事はするんだな」
あまりこの話はしたくないが、今後のためにと思い、俺の方から話を切り出す。
「アレはそういった行為には入らないだろう、挨拶程度でする奴もいる……。それとも、初心なお前には早すぎたか」
何から何まで発言が腹立たしいな、こいつは……。別に、絶対にしたくない……とか、そんなことはなかったが……。もちろん、したいなんてことも思ってはいない!
「どの程度のことを許して、どの程度のことは俺が許可しなければしない事なのか、線引きは必要かと思って……だな……」
「……俺の言うお前に許可を取る行為は、な」
ヴァラドルに巻かれた質の良い黒い首の布の後ろを彼の指がツンと触る。
「ここに牙をたてること」
首の辺りがゾワゾワする。
そして、そこから手が離れたかと思えば、俺の上半身を服の上から滑るように腹の部分まで下ろす。
そして、腹をグッと押され、ヴァラドルの顔が耳元に寄る。
「……この中に俺のを挿れて、孕ませること、その2つだけだ」
グイグイと腹を押されると、圧がかかったからなのか、キュウッと腹の奥底が閉まる感じがした。
ヴァラドルの腕にしがみつき、腹から手を離せと力を込めようとした、しかし上手く力が入らない。
「…外から押されるだけでも、変な気分になってきたか?」
「っ……やめろ、離せ」
離せと言っても、ヴァラドルはトントンと指で軽く腹を奥へと押してくる。
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力が入らない、必死でヴァラドルの腕にしがみつき、頭を腕にくっつける。
じんわりと汗をかくほどに顔も身体が火照っている。
「……クロウス、愛らしいなぁ、お前は」
他の奴らもこんな感じなのか? こうやって、腹に圧を加えるだけで力を失って身体をビクつかせるものなのか?
「……俺は許可が無くてもキスもするし、身体だって触るぞ、覚えておけ」
そう言うと、上着の裾の部分から腹を押していた手を服の中へと入れてきた。
素肌にヴァラドルの体温が伝わってくる。ドクドクと脈を打つ音が聞こえていそうだ。
「っは、ぁ……やめ、ろ……」
「……やめて欲しいという顔ではないだろう……、しかし、こんな朝早くからすることでもないな」
そう言って服の中から手を出した。自分がどんな顔をしていたのか、知りたくもなかった。
理性がありながらも、表情や身体はこの先を望んでいたのかもしれない。しかし、そんなことは信じたくなかった。
俺は家での居場所を失い、コイツに金で買われたからこんな事をされても、抵抗できないんだと自分に言い聞かせる。
「……時間は腐るほどある、急ぐことでもないだろう」
そう言って、ヴァラドルはベッドから立ち上がった。
「朝食にしよう、持ってくる。 その前に、お前は風呂に入って着替えろ、昨日からずっとその服だ」
まるで親のような言い方をする。しかし言うことは最もだ。昨日連れられてきてから、風呂にも入らず、そのまま同じ服で寝てしまった。
「風呂はこの部屋に備え付けたものを使え。そこだ」
と言って、指で指したドアを見た。部屋ごとに風呂があるのか、俺が部屋から出ないようにわざわざ付けたのか……。どちらでも良いが……。
こんな良い環境だとは思わなかった、何なら元の城よりも良い。
「風呂に入っている間に適当な服を置いておいてやる」
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