転生貴族のスローライフ

マツユキ

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守護神がいるであろう場所が近づくにつれ、辺りは美しい緑で溢れていった

「これは…素晴らしい…」

バルトが感嘆として呟いた

バルトだけでは無く、みんなあまりの美しさに、ウットリとしていた。無理もないと、そう思った。だって、生えているのは雑草から草花、薬草らしき物から毒草らしき物まで様々なんだけど、そのどれもがまるで金の粉を振りかけているかのように、キラキラと輝いているのだ。美しいとしか思えない光景だろう?

そう、まさに神秘的と言う言葉がぴったりだと思う

僕達は、まるで誘われるかのように出来た、一本の道を進む。木々が生い茂った場所を通りぬけた時、それは姿を現した


『待っていたぞ、人の子よ』

目の前にいたのは、漆黒の竜だった。威風堂々とした佇まい、まるで闇を体現しているかのような漆黒の体。その一見凶悪とも見れる姿に反して、穏やかで優しげな目をしていた

「ド、ドラゴン…だと…っ!!」

ダノバスがかなり引きつった顔をして、後ずさっていく

ミーニャとタミヤも怯えた表情をしているし、マイノとカサドもダノバスと同じような反応をしていた

バルトとカリナはただただ驚いているだけの様で、唖然としているし、コリンは恐怖半分、好奇心半分といった所だ

バハトに至っては少年の様に、目を輝かせていた

『ゲルドラ様、良くお目覚めになりました。この時を、どんなに心待ちにしていた事か…』

白虎は、感極まった様に声を震わせていた。白虎も長い事生きていると言っていたし、ここは故郷だと言っていたから、知り合いだったのかもしれないな

『心配をかけてしまったな。正直、人の子が浄化してくれなければ、我は邪竜となっていたやもしれん。感謝するぞ、人の子よ』

「い、いや…僕は、」

『何もしておらぬ事は無いだろう?そなたがこの大陸中に浄化の魔法をかけてくれたお陰で、我は忌々しい呪縛から解き放たれたのだから』

「…僕は、ちゃんと出来ていましたか?」

『うむ。そなたの魔力は、何と言えば良いのか…とても心地が良い、穏やかなものよ。魔力量が多いからか、そなたの感情によって、ブレが生じているようにも感じるが、そなたはまだ若いのだ。案じずともこれから安定するだろう』

「そ、そうか…!」

実は、あれだけバハトに修行を付けてもらい、魔法も体術も以前とは比べものにならない程、上達したとはいえ、どうしても自分の能力に自信が持てずにいたのだ

皆が褒めてくれてとても嬉しいと感じる反面、本当にそうなのだろうかと信じ切れずにいた

今日、出発する前にバハトから、もう自分に自信を持っても良いのではないかと言われた。そんなに自分を卑下する事は無い。僕は十分頑張っているし、僕が思っている以上に出来ている。だから、自分をいじめるのはやめなさいと

そう言われて、幼い頃からの習慣がいまだに抜けきっていない事に、愕然としてしまった。長く続けてきた習慣とは侮れない物で、いい習慣ならいいけれど、悪い習慣は中々消えてくれないのだと実感したよ

「言ったでしょう?マリス様は、ご自身を過小評価しすぎですじゃ。過大評価は慢心になり、過小評価は成長を妨げる事になる。正しくご自身の能力を認めて、受け入れる事が大切ですぞ?」

「うん!ありがとう、バハト!」

「フォッフォッフォッ!ゲルドラ様の言う通り、マリス様はまだお若いのです。大いに悩むがいいでしょう。しかし、儂らを頼る事と、甘える事も大いにやって下され。誰も責める者等おりませんし、むしろ嬉しい位ですじゃ」

優しい笑みを浮かべながら、そう言ってくれるバハト。僕は、本当に人に恵まれていると、心からそう思った
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