転生貴族のスローライフ

マツユキ

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バルトの変わり者の言葉に反応したバハトだったけど、みんなに華麗にスル―されていた

『我は思っていた。このまま目覚める事は無いだろうと。しかし、そなたが我を解放してくれた。我はな、こんな姿をしてはいるが、争いは好まぬのだ。我がいる事で、争いが生まれるならばと思い眠りについた事は、今でも後悔はしておらぬ。だが、我がそう選択した事で亡くなってしまった者、去らねばならなかった者も多くいただろう。それだけが、心苦しかった』

白虎も言っていた。適応した者、消えた者。そして白虎の様に去った者がいると

『だが、そなたが解放してくれたお陰で、この大陸は再生するだろう。我は目覚めたばかり故、力も戻っておらぬから以前の様になるまでには、時間もかかるだろうがな』

「その、好きにって事は開拓して行ってもいいと言う事でしょうか?我々は人間ですから、生きて行く為にはどうしても、土地を開拓する事になると思うのですが…」

バルトが言った。人と魔獣、動物とでは生活に必要になる物が違う。魔物や動物は開拓なんてしなくても、自然の中で生きて行けるけれど、人はそうもいかない

人が生きて行くには、衣食住が必要になる。住む場所を得るにも開拓は必要だし、食で言ったら更に拡大して開拓が必要になって来る

1人ならば大した開拓にはならないけれど、増えれば増える程、開拓する土地は拡大していくのだ


『構わぬよ。元々、我等の使命も守護する大陸に住まう者達に、自然の恵みを得られるようサポートする事だったのだ。ただ、この大陸には人以外の生き物も生活している。迫害するのではなく、共存して行ってほしい。我からの望みはただそれだけだ。それ以外は、好きにやってもらって構わぬよ。何せそなたらしか人族はおらぬのだ。誰に遠慮する事もあるまい?』

「!それは、ありがたい事です。我々はこの地で心機一転、何にも縛られずに自由にやっていくつもりで参りました。そう言って頂けて嬉しく思います。ただ、これから我々以外にも人が増える可能性もありますし、招かれざる客も来るかもしれませんね…」

それは僕も思っていた。この大陸が不可侵領域になっていた理由はただ一つ。この地が不毛の地だったからにすぎないのだ。ゲルドラ様が復活した今、この大陸は不毛の地ではなくなった

更に言うならば、これからこの大陸は美しい緑あふれる、恵み豊かな大陸へと変貌するだろう。そうなれば、世界中が喉から手が出る程、欲するはずだ

僕達は数えられるほどしかいない戦力。数十人なら対抗出来るかもしれないが、相手が国となると戦力の差は歴然としている

そう言った事が起こる可能性を考えておく方が良いだろうな

『うむ。前者であれば歓迎するが、後者であれば歓迎する言われはない。その時は我も、この地を共に守ると誓おう。守護神の名に懸けてな』

「ありがとうございます。我々も、いつその時が来ても良いように、準備をしなければいけませんね」

「そうだな。可能性がゼロでは無いと分かっているんだ。対策しておくにこした事は無い」

「うむ。しかし、わし等だけでは限界もあろうて…」

「…そうですね。私達の様に、国に愛想を尽かし何処かで心機一転したいと思っている人がいればいいのですが」

「そう言った輩はごまんといるだろうぜ。特に平民の中には。多くの貴族は平民を見下してんだ、領地によってさはあるとは思うが、苦しんでる奴らはいるだろうさ。まぁ、そんな貴族ばかりじゃないがな」

「そうなの?」

兄上が会う度にいつも言っていた。領民は我らがいなければ生きてすらいけない。だから、その対価を支払っているのだと。お前にも貴族としての誇りがあるのならば、それに見合った力を示さなければいけないのだと

だけど、僕は何時も思っていた。その領民が領地に住んで、税を納めてくれているおかげで僕達は、何不自由なく生活出来ている、と

自分が転生者である事が分かる前は、僕の考え方がおかしいのだと、悩んだけれど記憶が蘇ってからは、自分の考えは間違っていないと自信を持って思える様になった

僕みたいな人間は、貴族の中には居ないと思っていたから、つい聞いてしまった

「ん?あぁ、善良で領民の事を第一に考えている貴族も中には居るんだ。大貴族であったり、貴族だが貧乏で平民と変わらない生活をしている貴族もいる。だが、さっきも言った通り、まれだよ。殆どの貴族は平民に感謝何てしねぇ。腐った奴ばかりさ」

「そう言うな、ダノバス。確かにゴミ屑の方がマシだと思える貴族がごまんといる事は認めるがな」

いや、バハトもダノバス以上に辛辣だよ。ほら、ダノバスも顔を引きつらせているじゃん

「良い事を思いつきましたよ!」

微妙な雰囲気が漂う中、突然カリナが明るい声で言った

「私達も生きて行く為の開拓をしなければなりません。でも、差し迫って問題もある。では、二手に分かれて同時進行で進めればよいのですよ!」

名案でしょう、とでも言う様にドヤ顔をしているカリナ。それは、確かに名案だ!

「…良い事言うな、カリナ!そうだよ!何もみんなで一緒の事しなくてもいいって訳だ!」

「そうじゃな。それはいい!それぞれ馴染の知り合いもいるじゃろうし、信頼できる者達に声をかけ、来てもらうのもいいな!」

「そうですね。そうやって人を増やし、この大陸を何が来ても押し返せる位になれれば言う事はありません」

バルトも満足そうに頷いている

人が増えれば、それだけ開拓も早く進むだろうし、みんなはそれぞれの分野でのスペシャリストの様な人たちだ。訓練や特訓もお任せあれだよ!

「そうですね。商人なんか来てくれれば、栄えて行く為の第一歩になるでしょうし」

タミヤがなんとげなしに放ったこの一言で、話が大きく飛躍して進んでしまう事になるなんて、この時の僕には想像も出来ていなかったんだ

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