心からの愛してる

マツユキ

文字の大きさ
2 / 45

2

しおりを挟む
窓から差し込む、心地よい朝日が結良を眠りから目覚めさせる

「…っん……あぁ…あのまま眠ちゃったのか」

自室のデスクに突っ伏したまま眠ってしまったので、体の節々からじんわりとした痛みを感じる

「とりあえず期限の近いものは出来たから、後は提出するだけだね」

完成した書類の殆どが風紀へ提出する物だったので、生徒会室に行く前に提出しようと決め準備を始める

「…よし」

入浴を済ませ身支度した後、朝食をとらずそのまま自室を後にした。結良の部屋は寮棟の最上階にあるため、備え付けられているエレベータに乗り、1Fまで下りる。そこから校舎へ向かい風紀室を目指した

誰もいないだろうとは思ったのだが、いちをノックをすると、室内から『どうぞ』と声がした事に、少し驚きつつ室内に入る

「失礼しま……加賀城先輩?」

室内に居たのは風紀委員長の加賀城稜真かがしろ りょうまだった

「おぉ、来たか」

まるで待っていたかのような口ぶりに、戸惑う結良

「…いつもこんな時間から?」

「それはこっちのセリフだ。まったく、ちゃんと寝ていないだろう?目の下に大きな熊を飼ってるぞ」

「…うっ」

「…朝食は?」

「…た、食べてきました!」

「…はぁ」

「…うぅっ」

次々と指される図星に、シュンとなってしまう結良に、更にため息がこぼれてしまう加賀城

「竜元が戻って来たら、怒られるぞ?」

現在、生徒会長である竜元 司りゅうげん つかさは語学留学に行っており不在であった

「それは…嫌ですね」

竜元財閥は由緒ある家柄であり、その名は日本国内に留まらず、世界に知れる程の財閥である。その為なのか会長はとても厳格な人物で、ことさら『仕事』においてはとても厳しいのだ

そんな会長は、学園でも一番の人気を誇っていた。それは人柄と言うよりも主に『容姿』で、だが

結良はそんな会長を、とても尊敬している。性格は違えど、今目の前に居る加賀城も、例外ではない

「…はぁ、少しくらい遅れても大丈夫だから、無理はするな」

「そ、そんな!迷惑はかけられません!」

「…っとに頑固な奴だ」

頑なに首を振ろうとしない後輩にため息ばかりがこぼれる

「あ、これ、提出書類です」

思い出した様に、鞄から書類を取り出す

「はいよ。確かに受け取った」

軽く確認しただけでも、間違いの無い書類たちにため息がこぼれた。人間は間違うものだ。完璧な人間などいないのだから。この書類一つ一つを『完璧』にするために、いったいどれだけ『努力』を重ねたのだろうか

「お前、他の役員の事は…」

「…?さぁ、僕も分からないんです。気づけば誰も来なくなってしまっていて。体調が悪いのか…僕が何かしてしまったのか…色々考えてはいるんですが、仕事があるので中々会いに行けなくて…」

「…お前は知らないのか…?」

「何をですか?」

「…いや、そうか…」

「?」

考え込む加賀城を不思議そうに見る結良

「…?あ、僕もう行きますね」

「…あ、あぁ。無理はするなよ」

言っても無駄だとは分かっているが、言わずにはいれない

「はい!では、失礼します」


―――バタン


出て行った後輩の後ろ姿は、以前にも増して細くなっていた

「…あいつに、報告するべきかもな…」

頑張り屋の可愛い後輩が、今にも倒れそうな状況。他の役員が心を入れ替え戻って来る事を待っていたが、その可能性は極めて低い

「最悪は避けたいが…ここまで来てたんじゃ、無理な話だな。たく、何を考えてんだ、あいつらは」

深い、深い溜息をつきながら、結良が持って来た書類の確認を始めた

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

人並みに嫉妬くらいします

米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け 高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。

どうか溺れる恋をして

ユナタカ
BL
失って、後悔して。 何度1人きりの部屋で泣いていても、もう君は帰らない。

ポメった幼馴染をモフる話

鑽孔さんこう
BL
ポメガバースBLです! 大学生の幼馴染2人は恋人同士で同じ家に住んでいる。ある金曜日の夜、バイト帰りで疲れ切ったまま寒空の下家路につき、愛しの我が家へ着いた頃には体は冷え切っていた。家の中では恋人の居川仁が帰りを待ってくれているはずだが、家の外から人の気配は感じられない。聞きそびれていた用事でもあったか、と思考を巡らせながら家の扉を開けるとそこには…!※12時投稿。2025.3.11完結しました。追加で投稿中。

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった

近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。 それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。 初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

処理中です...