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あれから結良を置き去りに、竜元と加賀城、そして生徒会顧問の巻田との間で話がまとまり、結良は竜元と二人で仕事をすることになった
「会長、確認お願いします」
出来上がった書類を竜元に渡す
「あぁ。きりがいい、少し休憩しよう。結良コーヒーを頼めるか?」
「はい」
仕事を始める事が決まった時、何処で作業するかが問題だった…はずなのだが、何故か竜元の寮室でする事が当たり前かのように話は進んだ。結良は何処か空いた教室などは、と提案したが、いかに竜元の寮室での作業がいいかを説き伏せられたのだった
だが事実、会長の私室ともあってセキュリティは厳重。竜元に会ってからと言うもの、光の来襲が頻繁にあり、竜元の私室で無かったら、仕事どころではなかっただろう
「会長、どうぞ」
「ありがとう、結良」
そう言って竜元は、結良の頭を優しく撫でる
(か、会長がなんだか…あ、甘いと感じるのは僕のきのせいなのか…!?)
優雅にコーヒーを飲みながら、結良を撫で続ける竜元は、目を細め愛おしそうに結良を見つめていた
その時、玄関の扉が大きな音をたてる
―――ドンッドンッドンッ
「光だ!居るんだろ!?開けろよ!」
力任せに叩く音は、騒音そのものだった
「…か、会長?」
「どうした?」
騒音に似つかわしくない程に、穏やかな竜元に結良は戸惑う
「出なくても、いいんですか?」
「あぁ、風紀に連絡しているから、心配はいらない」
その言葉の通り、いつの間にか騒音は止み、光の声は聞こえなくなっていた
光の来襲がまるで無かったかのように、その日の仕事も順調に進んでいく
そんな毎日を過ごしていたある日の事、完成した書類を提出するため、風紀委員室に行こうと寮室を出た結良は、出会ってしまった。光と言う悪夢に
「あぁ!!」
部屋を出た途端に、大きな叫び声に、ビクッとなりながら、声の方を見てみると、結良を指さしながら、憤怒の形相でこちらへやって来る光がいた
「…へ?」
「な、なんでお前がその部屋から出てくるんだよ!?」
ワナワナと震え、凄い勢いで結良に詰めより、胸ぐらを掴んで物凄い勢いで揺すってくる
「ちょ、やめ」
酔いそうな勢いの揺れに、制止の声を上げるが、聞いてはくれない
「なんでだ!?言えよ!」
力の強い光の揺すり方に、耐えきれず後ろに尻餅をついてしまった結良。勢いよく後ろに転んだせいで、手に持っていたしょるが、床に散らばってしまった
「い、たぁ」
お尻を中心に、鈍い痛みが広がる。ただでさえ、肉付きが良い方ではない結良にとっては、骨をじかに打ったようなものだ
「おい!聞いてるのか!?」
光は、結良が持っていた提出書類を踏んでいることに、気づいていないかの様に、何度も何度も踏みつけながら叫んでいた
「答えろよ!!」
何も答えない結良に、我慢が続かなかった光は、その激情のまま手を振り上げる
「…そこまでにしてもらおうか」
「会長、確認お願いします」
出来上がった書類を竜元に渡す
「あぁ。きりがいい、少し休憩しよう。結良コーヒーを頼めるか?」
「はい」
仕事を始める事が決まった時、何処で作業するかが問題だった…はずなのだが、何故か竜元の寮室でする事が当たり前かのように話は進んだ。結良は何処か空いた教室などは、と提案したが、いかに竜元の寮室での作業がいいかを説き伏せられたのだった
だが事実、会長の私室ともあってセキュリティは厳重。竜元に会ってからと言うもの、光の来襲が頻繁にあり、竜元の私室で無かったら、仕事どころではなかっただろう
「会長、どうぞ」
「ありがとう、結良」
そう言って竜元は、結良の頭を優しく撫でる
(か、会長がなんだか…あ、甘いと感じるのは僕のきのせいなのか…!?)
優雅にコーヒーを飲みながら、結良を撫で続ける竜元は、目を細め愛おしそうに結良を見つめていた
その時、玄関の扉が大きな音をたてる
―――ドンッドンッドンッ
「光だ!居るんだろ!?開けろよ!」
力任せに叩く音は、騒音そのものだった
「…か、会長?」
「どうした?」
騒音に似つかわしくない程に、穏やかな竜元に結良は戸惑う
「出なくても、いいんですか?」
「あぁ、風紀に連絡しているから、心配はいらない」
その言葉の通り、いつの間にか騒音は止み、光の声は聞こえなくなっていた
光の来襲がまるで無かったかのように、その日の仕事も順調に進んでいく
そんな毎日を過ごしていたある日の事、完成した書類を提出するため、風紀委員室に行こうと寮室を出た結良は、出会ってしまった。光と言う悪夢に
「あぁ!!」
部屋を出た途端に、大きな叫び声に、ビクッとなりながら、声の方を見てみると、結良を指さしながら、憤怒の形相でこちらへやって来る光がいた
「…へ?」
「な、なんでお前がその部屋から出てくるんだよ!?」
ワナワナと震え、凄い勢いで結良に詰めより、胸ぐらを掴んで物凄い勢いで揺すってくる
「ちょ、やめ」
酔いそうな勢いの揺れに、制止の声を上げるが、聞いてはくれない
「なんでだ!?言えよ!」
力の強い光の揺すり方に、耐えきれず後ろに尻餅をついてしまった結良。勢いよく後ろに転んだせいで、手に持っていたしょるが、床に散らばってしまった
「い、たぁ」
お尻を中心に、鈍い痛みが広がる。ただでさえ、肉付きが良い方ではない結良にとっては、骨をじかに打ったようなものだ
「おい!聞いてるのか!?」
光は、結良が持っていた提出書類を踏んでいることに、気づいていないかの様に、何度も何度も踏みつけながら叫んでいた
「答えろよ!!」
何も答えない結良に、我慢が続かなかった光は、その激情のまま手を振り上げる
「…そこまでにしてもらおうか」
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