心からの愛してる

マツユキ

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(クソッ!何処を探してもいない…!)

竜元は、学園中を探し回っていた

非効率的だとは分かっているものの、報告を待つだけでは、気が狂いそうだったのだ。そんな感情に支配されてしまっては、結良を助ける事なんて出来ない

表面上は何時ものように、ポーカーフェイスを保ってはいたが、内心は怒りと独占欲で、ドロドロとしたものが渦巻いている

今にも暴れ出しそうになるのを、理性で何とか抑えていた竜元の元に、加賀城から連絡が入った

内容は、

朝方、結良が寮から出て来る所を見た生徒がいる事。その生徒は、寮に忘れ物を取りに戻っていた所だったらしく、数分後に同じ道を通ったが、結良はいなかったとの事だった

結良は学園には来ていない。恐らく、その間に居なくなったのだろう。それが分かれば、と考えていると、タイミングよく顧問の巻田から連絡が来た

『言われた通り、監視カメラを確認したよ。朝方、花瀬君が寮から出て来た所は映っていた。だけど、その先にある監視カメラには映っていなかったんだ。きっと、その間で何かあったんだと思う。だから、付近の監視カメラを調べたら、旧体育館の倉庫に、3人の生徒らしき人物が、人を抱えて使われていない倉庫に、入って行くところが映っていた。一時間と少し前だ。それからの記録は無い。監視カメラが壊されている可能性が高い』

「分かりました。今から向かいます」

『あぁ。こっちも加賀城君に連絡して、数人の手が空いている先生と向かうよ。無理はしない様に。いいね?』

「えぇ。では」

通話を終えた竜元の目は、据わりきっていた。明らかに計画されていたであろう事が、分かる内容に腸が煮えくり返りそうだった

幸いにも、竜元がいまいる場所から、旧体育館は近い場所にあった

「結良…待ってろ。今いく」

走り出した竜元は、真っ直ぐと倉庫に向かった


――――



「なんったってあんな場所に!」

加賀城は焦っていた。旧体育館は、工事の業者がいる他に誰も行かない場所になっている。工事中でもあるが故に、学園側から立ち入り禁止と、生徒には伝えられているからだ

しかも今は文化祭の最中。つまり、業者は1人としていないのだ

結良が拉致されてから、一時間も過ぎている。最悪の事態が、頭から離れない

「良いか。俺は、旧体育館に向かう。だが、今は文化祭の最中だ。おろそかにはできねぇ。文化祭の事は、頼んだぞ」

「分かりました!委員長、早く行ってください!」

「あぁ!」

そう言って、風紀委員の詰所を後にした。向かうは、旧体育館の倉庫である

(どうか、無事でいてくれよ、結良!お前に何かあったら、あいつが暴走しかねん…だから、お前は無事でいるべきなんだぞ!)

この学園は、閉鎖された男子しかいない学園と言っても過言ではない。それは、学園の者は勿論だが、外部の人間にも周知の事実だった

それゆえに、暴行ならばまだましと言えるだろう。強姦されたとなれば、目に見えない傷を負ってしまう。結良は、恋愛にも、性にも疎く、特に性に関しては放漫ではないのだ。深く傷ついてしまう事は間違いないのだ

「…結良!」

加賀城は、無事でいてくれと祈りながら、倉庫を目指して走りつづけた

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