心からの愛してる

マツユキ

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「…結良!」

ベットから、小さな声が聞こえた気がして、確認をしにベットへ向かった竜元は、うっすらと目を開けている結良に気づいた

慌てて保険医を呼び、到着するまで結良に声をかけ続ける

「目を覚ませ、結良」

そう言った時だった。うっすらとしか開いていなかった目が、ゆっくりと開いていったのだ。そして、とうとう完全に開かれた目に、心配そうな安堵した様な。そんな複雑な表情をした竜元が映っていた

「会、長…?」

「結良…」

掠れて、満足に出ない声で、竜元を呼ぶ結良。その声に、拒絶や恐怖は無かった

「目覚めて、良かった。体の具合はどうだ?」

「体…?あっ…」

自分がどんな目に合ったのかを思い出した結良は、わずかに震えだす

竜元は、そっと結良の頭に手を置いて、結良が安心できるように、優しくゆっくりと撫でる。すると、結良の震えは治まっていった

「大丈夫だ。何も怖い事なんてない。俺が側に居るから、安心しろ」

「会長…?」

「結良…お前は、俺が触れても怖かったり、はしないか?」

不安そうにそう言った竜元の目は、必死に願う様な、縋るような。そんな色が浮かんだり消えたりを繰り返している様に見えた

結良は、今しがた竜元に言われた事を、考えてみる。今は会長にしか会っていないから、はっきりとした事は分からないけれど、一つ確かなのは、竜元は怖くない、と言う事だった

「平気です。会長は怖くありませんよ?」

「…そうか。もうすぐ保険医が来る。それまで休んでいろ」

「分かりました」

そう言って、結良は再び目を閉じた

結良が言ってくれた言葉を、何度も頭の中で繰り返す。その言葉に、どれだけ救われたか分からない。結良に拒絶されてしまったら、と考えると恐ろしくて堪らない。そんな不安が、一気に拭い去られたのだ

結良が、目を覚まさない間、散々考えに考えた。拒絶されてしまったら、どうするのかを。最悪な結果になった時の事を、どうしても考えてしまっていた

答えは、結良の事を思うのであれば「離れる」事を選択しなければならない。だが、いくら考えて、想像してみても、離れる事だけは受け入れる事が出来なかった

人の道から離れてしまう行いだったとしても、そうなった時、とる行動は「監禁」である可能性の方が高い。我ながらどうしようもないな、と苦笑いしながら頭から、その考えを何度振り払った事か

だけど、結良が目覚めて、拒絶される事は無かった。それが、全てなのだ

それならば、今度は必ず守って見せる、と心に誓う竜元。もう二度と、大切な人を他人に傷つけられてたまるものか


そんな事を考えていると、ノックの音がして、保険医が入って来る所だった
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