心からの愛してる

マツユキ

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ヤレヤレと、首を振っている巽だったが、竜元からしてみれば、巽も大概なブラコンだった

「俺を無視するなよな!こっち向けよ!」

最近は誰もまともに相手をしてくれないせいか、鬱憤が溜まっていた光は、力一杯2人の腕を引っ張った。小柄な光のどこに、そんな力があるのかと思うほどに

強制的に光の方へ向かされた2人は、必然的に光を見てしまう事になる。2人の光への対応が、かなり不満だったのだろう光は、歪んだ表情をしていた

(何で俺をみないんだ!結良、結良、結良、結良って――――五月蝿いんだよ!あんな地味で取り柄の無い奴より、俺を見るべきだ!俺を愛するべきなんだ!おかしい、こんな状況はおかしな事なんだ!正しく無い!)

心に怒りしか無い光は、言ってはいけない事を言ってしまう。その言葉を皮切りに、自分の破滅のみならず、家族までも巻き込む破滅を導いてしまうとも知らずに

「結良が何だって言うんだ!みんなあいつに騙されてる!あんな地味で、何の取り柄もない奴が、俺よりも愛されるなんておかしい事だ!みんな間違ってる!」

顔を真っ赤にして叫ぶ光

「あいつはここからいなくなるべきなんだ…そうだよ!いなくなるべきなんだ!おれは正しいんだ!あいつはべきなんだ!」

まるで自分に言い聞かせる様に、そう叫んだ光

「・・・・だから、結良を襲わせたのか?」

竜元が静かにそう言った

「襲わせた・・・・?そうだ、そうだよ!俺は間違ってなんかいない!」

竜元の言葉をちゃんと理解しているのかも怪しい光

「お前が外部の人間を金で雇い、結良を襲わせた事は分かっていた。だが、自分から言ってくれるとはな」

「ま、待って下さい!光ちゃんはそんな事をする子ではありません!」

そう言って慌てて駆け寄って来たのは、光の両親だった

「光はそんな恐ろしい事ができる様な子ではありません!」

「そうなのか?だが、事実コイツは結良の机に、刃物を入れたりしていた姿を目撃されている。そして結良の暴行の件に関しても、実行犯から聞いた事だ」

「そ、その実行犯が嘘をついているのです!」

「そうです!そうに違いありません!光は優しい子です!そんな、暴行を指示するなんて事は、出来やしません!」

光の両親は、本当にそう思っている様子だった。先程までの光の言葉など、聞こえていなかったかの様な両親に、怒りを通り越して、呆れてしまう。子供の何を見ているのかと

「優しい?自分勝手で横暴なこいつが、か?失礼だが、言わせてもらう。凝り固まった自己中心的な考えしか持たない、こいつが優しい?ありえないな。自分が1番で無いと気が済まない。自分が注目されていないと我慢できない。他人の事など、1ミリも考えようとはしない。努力などは皆無、気に食わない事が有ればすぐに癇癪を起こす。それが、あなた方の息子だ」

「そんな事はっ!」

「ないだと?こいつの自分勝手な考えや行動で、被害を受けた者がいる。それが、事実だ」

「なっ!下手に出ておれば調子に乗りおって!」

逆上した光の父親が、そう叫んだ

「ならば、親同士ならば問題はないだろう?」

そう言って進み出たのは、竜元の父だった
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