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翌日、キャロルは昨日の事を思い出していた。クリフの事、そしてニーナに言われた事。ニーナに言われて初めて、自分の考えている事が間違っていたことに気づかされたキャロルの表情には、昨日までの思いは残ってはいなかった
クリフに対しての責任はある。それは確かに自分が背負わねばならない事ではあるが、自分を犠牲にする責任の取り方は間違っている。たとえ、それをクリフが望んでいたとしても
昨日の事もあり、今日はニーナと一緒に作業をする様にとアリーに言われ、現在ニーナが育てている花畑に居る
「わぁ…きれいねぇ」
ほぅっとため息をつき、生き生きと咲いている花の花弁に触れる
「そうでしょー!んふふっ今回は特に一杯咲いたんだから!」
エッヘンと胸を張り、嬉しそうに鼻の下をかくニーナ。その姿にキャロルはクスクスと笑う
「流石、ニーナね。どのお花も手入れが行き届いているもの」
本心をサラッと言うキャロル。物事をはっきりと言うのは、キャロルの元々の性格だ
「わかる!?このお花『ケリドリア』って言うんだけど、とっても繊細なお花でね。手入れがすごく大変なの」
大変だったと言ってはいるが、その表情は誇らしげである。『ケリドリア』は巷ではめったにお目にかかれない、まさに『高嶺の花』である。育てるのには手がかかり、流通させるには向かない花であるため、育てる者はめったといないのだ
「このお花にはすごく思い入れがあってね…まぁ、私の大好きなお花かな」
一瞬哀しそうな顔をしたニーナに気づくが、キャロルは何も聞かなかった。この場所に居ると言う事は、ニーナにもそれなりの過去があると言う事だ
「とても綺麗なお花。ねぇ、花言葉はあるの?」
「ケリドリアの花言葉は『裏切り』」
「裏切り…」
「不思議よね…こんなに綺麗なのに」
「……」
ジッと花を見つめていたニーナが、ニッコリと笑った。その表情はすがすがしいものであった
「でもね、私思うの。花言葉の裏切りって、単にその言葉だけではなくて、その先を意味しているんじゃないかって」
「その先…?」
「キャロルは、裏切りの先にあるものってなんだと思う?」
ニーナに問われ考えていた時、二人の背中に影がかかる。振り向いた先に居たのは、いらただしげな表情を露わにしたクリフであった
「あなたっ!」
いち早く反応したのはニーナだった。キャロルをかばうように立ったニーナは、クリフをキッと睨み牽制する。そんなニーナに、クリフは見た事もないような歪んだ表情でブツブツと言い始めた
「…まばか…て…」
「何を言っているのよ!」
「邪魔ばかりしやがって!」
叫んだと同時に、クリフはニーナに体当たりするように向かっていた。体同士がぶつかる鈍い音がなると、静かな時間が流れた
「…ニーナ?」
一瞬の出来事に頭が追い付かない。しばらくしてクリフがニーナから離れると同時に、キャロルの顔に生暖かい液体がかかる
「えっ…」
恐る恐る顔に手をやり、液体に触れる。その手は微かに震えていた。液体に触れた手は真っ赤に染まっていたのだ。唖然としてニーナを見ると、足元には血だまりが出来始めていた
「ニーナ!!」
叫ぶように名前を呼んだ。その声に気づいたアリーが異変を感じ、こちらに駆け寄って来ていた。ニーナの側に行こうと立ち上がった時、強い力で手首を掴まれる
「キャロル…邪魔な奴はいないよ…」
気味が悪い笑みを浮かべ、キャロルを引きずる様にして歩き出すクリフ
「…キャロル!」
駆けつけてきたアリーは、クリフを止めようとするが、キャロルは首を振りそれを止めた
「ニーナが…!ニーナを!」
キャロルは血を流し、倒れているニーナの事で頭が一杯だった。死んでしまうかもしれないと、考えるだけで恐ろしくてたまらない
キャロルは遠ざかっていくニーナを、姿が見えなくなるまで見つめる事しかできなかった
クリフに対しての責任はある。それは確かに自分が背負わねばならない事ではあるが、自分を犠牲にする責任の取り方は間違っている。たとえ、それをクリフが望んでいたとしても
昨日の事もあり、今日はニーナと一緒に作業をする様にとアリーに言われ、現在ニーナが育てている花畑に居る
「わぁ…きれいねぇ」
ほぅっとため息をつき、生き生きと咲いている花の花弁に触れる
「そうでしょー!んふふっ今回は特に一杯咲いたんだから!」
エッヘンと胸を張り、嬉しそうに鼻の下をかくニーナ。その姿にキャロルはクスクスと笑う
「流石、ニーナね。どのお花も手入れが行き届いているもの」
本心をサラッと言うキャロル。物事をはっきりと言うのは、キャロルの元々の性格だ
「わかる!?このお花『ケリドリア』って言うんだけど、とっても繊細なお花でね。手入れがすごく大変なの」
大変だったと言ってはいるが、その表情は誇らしげである。『ケリドリア』は巷ではめったにお目にかかれない、まさに『高嶺の花』である。育てるのには手がかかり、流通させるには向かない花であるため、育てる者はめったといないのだ
「このお花にはすごく思い入れがあってね…まぁ、私の大好きなお花かな」
一瞬哀しそうな顔をしたニーナに気づくが、キャロルは何も聞かなかった。この場所に居ると言う事は、ニーナにもそれなりの過去があると言う事だ
「とても綺麗なお花。ねぇ、花言葉はあるの?」
「ケリドリアの花言葉は『裏切り』」
「裏切り…」
「不思議よね…こんなに綺麗なのに」
「……」
ジッと花を見つめていたニーナが、ニッコリと笑った。その表情はすがすがしいものであった
「でもね、私思うの。花言葉の裏切りって、単にその言葉だけではなくて、その先を意味しているんじゃないかって」
「その先…?」
「キャロルは、裏切りの先にあるものってなんだと思う?」
ニーナに問われ考えていた時、二人の背中に影がかかる。振り向いた先に居たのは、いらただしげな表情を露わにしたクリフであった
「あなたっ!」
いち早く反応したのはニーナだった。キャロルをかばうように立ったニーナは、クリフをキッと睨み牽制する。そんなニーナに、クリフは見た事もないような歪んだ表情でブツブツと言い始めた
「…まばか…て…」
「何を言っているのよ!」
「邪魔ばかりしやがって!」
叫んだと同時に、クリフはニーナに体当たりするように向かっていた。体同士がぶつかる鈍い音がなると、静かな時間が流れた
「…ニーナ?」
一瞬の出来事に頭が追い付かない。しばらくしてクリフがニーナから離れると同時に、キャロルの顔に生暖かい液体がかかる
「えっ…」
恐る恐る顔に手をやり、液体に触れる。その手は微かに震えていた。液体に触れた手は真っ赤に染まっていたのだ。唖然としてニーナを見ると、足元には血だまりが出来始めていた
「ニーナ!!」
叫ぶように名前を呼んだ。その声に気づいたアリーが異変を感じ、こちらに駆け寄って来ていた。ニーナの側に行こうと立ち上がった時、強い力で手首を掴まれる
「キャロル…邪魔な奴はいないよ…」
気味が悪い笑みを浮かべ、キャロルを引きずる様にして歩き出すクリフ
「…キャロル!」
駆けつけてきたアリーは、クリフを止めようとするが、キャロルは首を振りそれを止めた
「ニーナが…!ニーナを!」
キャロルは血を流し、倒れているニーナの事で頭が一杯だった。死んでしまうかもしれないと、考えるだけで恐ろしくてたまらない
キャロルは遠ざかっていくニーナを、姿が見えなくなるまで見つめる事しかできなかった
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