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「いやぁー、驚いたよ……って俺よりもアランの方が驚いているみたいだな」
テットはセシルを見た後、アランの方を見て苦笑いしながら言った
「あぁ、まさかセシルがあんなにはっきりと言うなんて思ってもみなかったから」
未だに驚いた表情のままアランは言う
「だって、あからさま過ぎるんですもの。何処のご令嬢かは存じませんでしたけれど」
セシルとて未だに怒りが燻っていたのだ。目の前で、夫を誘惑する令嬢にいい気持ちのする夫人などいないだろう
「…彼女には昔から困っていたんだ。たいして仲良くしてすらいないのに、俺の婚約者になったつもりでいた時は…酷いものだったよ。まぁ、今もたいして変わらないがね」
「でも、どうしたらあんな考え方になるのですか?先ほどのやり取りを見ていれば、誤解する要素など無かったように思うのですけれど」
少し憤慨しながら、それでも困惑の方が大きく不思議そうに尋ねる
「…はぁ、さっき言っていただろう?容姿の事を」
「えぇ」
テットは疲れた様に言う
「幼い頃からチヤホヤとされていてね。それに男爵夫妻も溺愛していたのも相まって、物心つく頃にはかなりの我がまま令嬢になっていたそうだよ」
「あぁ、それに加えて容姿は美しい部類の者だったから、思春期の若い男たちはコロッと、その容姿に騙された輩が多くいたんだ」
「そうそう。でもまぁ、それも大人になるにつれて、減ってはいるんだがね。少ないけれど、まだそういう輩がいるんだよ」
二人は本当に彼女の話をするのは疲れるとばかりに、ため息をついた
「でも、それだけで…」
「俺もセシルに同意だが、彼女の場合はそれだけで充分みたいだ」
「そうですか、…でもアランに固執していたように思うのですが…」
「本当に…自分が容姿が美しいから、相手も美しい者でないとだめらしい」
「え、それだけで?」
「あぁ、アランに出会うまでは見目の良い令息を侍らせていたが、アランと出会ってからはあんな状態だよ。自分の側に居ないのはおかしいとでも思っているんだろうさ」
「まったく、こっちはいい迷惑だ」
カナリアの対応に、ほとほと疲れ切っているのか先ほどからアランはため息ばかりついていた。テットはそんなアランに苦笑いしながら、慰める様に肩を叩いた
充実した一日だったはずが、カナリアと出会ったことで心に引っ掛かりを残すものとなってしまった。去り際のカナリアの態度から、アランを諦めていない事は明らかで、セシルはこれからいったいどうなって行くのか、そして自分はカナリアに対してどう接していくべきなのかを考える。セシルはもう令嬢ではないのだ。アランの妻として、カーティス公爵の夫人として、側に立つ者にふさわしい人物にならねばと思うのであった
テットはセシルを見た後、アランの方を見て苦笑いしながら言った
「あぁ、まさかセシルがあんなにはっきりと言うなんて思ってもみなかったから」
未だに驚いた表情のままアランは言う
「だって、あからさま過ぎるんですもの。何処のご令嬢かは存じませんでしたけれど」
セシルとて未だに怒りが燻っていたのだ。目の前で、夫を誘惑する令嬢にいい気持ちのする夫人などいないだろう
「…彼女には昔から困っていたんだ。たいして仲良くしてすらいないのに、俺の婚約者になったつもりでいた時は…酷いものだったよ。まぁ、今もたいして変わらないがね」
「でも、どうしたらあんな考え方になるのですか?先ほどのやり取りを見ていれば、誤解する要素など無かったように思うのですけれど」
少し憤慨しながら、それでも困惑の方が大きく不思議そうに尋ねる
「…はぁ、さっき言っていただろう?容姿の事を」
「えぇ」
テットは疲れた様に言う
「幼い頃からチヤホヤとされていてね。それに男爵夫妻も溺愛していたのも相まって、物心つく頃にはかなりの我がまま令嬢になっていたそうだよ」
「あぁ、それに加えて容姿は美しい部類の者だったから、思春期の若い男たちはコロッと、その容姿に騙された輩が多くいたんだ」
「そうそう。でもまぁ、それも大人になるにつれて、減ってはいるんだがね。少ないけれど、まだそういう輩がいるんだよ」
二人は本当に彼女の話をするのは疲れるとばかりに、ため息をついた
「でも、それだけで…」
「俺もセシルに同意だが、彼女の場合はそれだけで充分みたいだ」
「そうですか、…でもアランに固執していたように思うのですが…」
「本当に…自分が容姿が美しいから、相手も美しい者でないとだめらしい」
「え、それだけで?」
「あぁ、アランに出会うまでは見目の良い令息を侍らせていたが、アランと出会ってからはあんな状態だよ。自分の側に居ないのはおかしいとでも思っているんだろうさ」
「まったく、こっちはいい迷惑だ」
カナリアの対応に、ほとほと疲れ切っているのか先ほどからアランはため息ばかりついていた。テットはそんなアランに苦笑いしながら、慰める様に肩を叩いた
充実した一日だったはずが、カナリアと出会ったことで心に引っ掛かりを残すものとなってしまった。去り際のカナリアの態度から、アランを諦めていない事は明らかで、セシルはこれからいったいどうなって行くのか、そして自分はカナリアに対してどう接していくべきなのかを考える。セシルはもう令嬢ではないのだ。アランの妻として、カーティス公爵の夫人として、側に立つ者にふさわしい人物にならねばと思うのであった
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