裏切りの先にあるもの

マツユキ

文字の大きさ
43 / 49

43

「聞きたい、こととは…?いっいったい何のことなのですか!?」

「…キャロル・ツェザーリを知っているな?」

「…え?は、い…カーティス公爵夫人の、確か伯母上です。しかし、私と何の関係があるのか…」

ゴールディン男爵は本当に困惑している様子だった。隣の夫人の初めて見せた困惑した様子に、やはり今回の一件はカナリアの独断での実行であると言う事

「数週間ほど前、受刑中のキャロルがクリフ・コンラッドによって連れ去られ監禁されていた。その際に阻止しようと動いた受刑者を刺し逃亡した。そして、これは計画的に実行されている事も判明している。おおよそ2年程前からな。そしてこれ全て、カナリア・ゴールディンによるものだと言う事も分かっている」

「なっ!!な、何かの間違いではないのですか!?そんな、そんなはずはありません!」

顔を真っ赤にして抗議する男爵は『何かの間違いだ』と何度も繰り返す

「では聞こう。何を持って間違いだと言い切れる?確かな証拠を間違いだと言えるのは何故だ?」

「…カ、カナリアはとてもいい子で…」

「それが根拠なのか?…夫人はどう考える」

「…確かな証拠があるのならば、陛下のおっしゃる事に間違いはないかと」

「お、お前!!」

「…いい機会です。陛下、カナリアのしてしまった事と合わせて私たちの罪も一緒にお裁き下さい」

「…ほう、してそちが言う罪とは?」

「夫と私は、双方の合意の元婚姻致しました。領地の経営から夫婦の関係に至るまで全てです。夫と婚約が決まった時、私には恋仲の男性がおりましたが、彼は平民で貴族の私とは婚姻関係になる事は叶いません。それは私と彼も理解していました。そして夫は『お互い好きに生きよう』と、私と彼の関係を知ったうえで受け入れてくれました。その時お腹にいたカナリアも含めて。そして夫はカナリアを我が子の様に愛してくれました……ですが、ここ数年夫は領地を領民を顧みる事無く豪遊し、お互いの取り決めた事が仇となり気づくのが遅れ、領地の経営と領民の不満はもう限界なのです」

「…その件については報告を受けている。もちろんこの件については厳しく裁くつもりだ。だが、カナリアにはそち達と同様にとはいかない」

「いいえ、陛下。私たち夫婦は重い罪を犯しました。……夫は奴隷を買っていました。小さな男の子の奴隷を何人も。全ての子を逃がす事は出来ませんでしたが…」

「…な、!!」

男爵は、まさか妻がその事を知っているとは思いもしなかったのか真っ青な顔をしている

「奴隷、だと…?」

「ひっ…!」

「そなたの趣味趣向には欠片も興味はないが…私の国で奴隷、だと?」

「もっ申し訳…ありません!!」

「舐めた真似をしてくれる…!!余程、私が恐ろしくはないようだ!」

「陛下、遅くなり申し訳ありません」

まさに修羅場の空間に、穏やかな落ち着いた声が響いた

「…アラン。呼び出してすまなかったな」

「…いえ、これは私の甘さが招いたこと。母上にもきつく言われていた事ですが、私の考えが甘すぎたのです。これは私のやるべきこと」

「アラン様!来て下さったのね…!」

感想 130

あなたにおすすめの小説

三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで

狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。 一度目は信じた。 二度目は耐えた。 三度目は――すべてを失った。 そして私は、屋上から身を投げた。 ……はずだった。 目を覚ますと、そこは過去。 すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。 ――四度目の人生。 これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、 同じように裏切られ、すべてを失ってきた。 だから今度は、もう決めている。 「もう、陸翔はいらない」 愛していた。 けれど、もう疲れた。 今度こそ―― 自分を守るために、家族を守るために、 私は、自分から手を放す。 これは、三度裏切られた女が、 四度目の人生で「選び直す」物語。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……

藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」 大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが…… ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。 「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」 エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。 エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話) 全44話で完結になります。

【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ
恋愛
 今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。  優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。  そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。  わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。 ★ 短編から長編へ変更しました。

もう、今更です

もちもちほっぺ
恋愛
伯爵令嬢セリーヌ・ド・リヴィエールは、公爵家長男アラン・ド・モントレイユと婚約していたが、成長するにつれて彼の態度は冷たくなり、次第に孤独を感じるようになる。学園生活ではアランが王子フェリクスに付き従い、王子の「真実の愛」とされるリリア・エヴァレットを囲む騒動が広がり、セリーヌはさらに心を痛める。 やがて、リヴィエール伯爵家はアランの態度に業を煮やし、婚約解消を申し出る。

姉の方を所望していたと言った婚約者に、突然連れ帰られて気づいたら溺愛されています

もちもちほっぺ
恋愛
侯爵家の地下室に住み、姉の食べかけで飢えをしのぎ、婚約者には初対面で「老婆のようだ、姉の方がよかった」と言われた令嬢リリアーナ。 ある日その婚約者に問答無用で公爵邸に連れ帰られた。 庭の恵みを口にするたびに肌が輝き、髪が艶めき、体に力が満ちていく。首に巻いたお守りの秘密、十数年続く国の不作の真実、虐げられ続けた令嬢の出生の謎。 全てが明かされる時、地下室令嬢の逆転劇が始まる。 なお婚約者は今日も庭でグルメリポートを最後まで聞いている。