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第三章 動き出す歯車
第十六話
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あれから三か月がたった
シェリは目覚めた後、精霊とは何か…そして自身が精霊の愛し子であることを改めて教えられた
始めは驚愕し、生まれた森へ帰ると言っていたシェリだが皆の説得と愛し子である自身の使命、責任…これらを教えられていたため、説得に応じ帝国に残り勉学や魔法の習得に励むようになった
初めての自分以外の人に対し戸惑いがあったシェリだが日が経つにつれ段々と慣れて行き、今では城内の者と笑顔で話せるようになっていた
城内の者たちもシェリの外見があまりに特殊で近づいてはいけないのではと思い躊躇する者が多かったが、笑った時のシェリの屈託のない笑顔や直向きに勉学や修練に励むシェリをみて段々と話しかける者が増えて行った
「シェリ様!もっと集中するのです!」
「はっはい!」
額には大粒の汗が流れている
シェリは魔力が膨大であったが、生まれてから一人きりであった為魔力を一か所に集中して集めることがとても難しく修練をはじめて二か月半たった現在でも習得できていなかった
「くっ…」
両の手を正面に突出し手のひらに力が集まるようにイメージしながら魔力の流れを作る。始めはビー玉の様に小さな玉が段々と大きくなっていく
玉が大きくなるにつれ、シェリの腕の振るえも大きくなっていく
「はぁ…はぁ…」
集中をするためにジッと自身の手を見つめるシェリの目は赤が強く出ていた
「シェリ様、そのままゆっくりと力が自分の中に戻るようイメージしてください。ゆっくりとです…」
言葉の通り玉はゆっくりとした速度で段々と小さくなっていく
「そうです…そのまま、ゆっくりと」
玉がビー玉程の大きさに戻った時
「シェ~リ~ちゃん!!」
「っ!!!」
急な事に集中が途切れてしまったシェリ。玉は突き出した手の先にあった木々に当たり木々はまるで爆発があったかの様に吹き飛んでしまった
ビー玉程の大きさであった玉だが力が凝縮されている為影響も通常より大きく出てしまったのだ
「ジェラルド様!!!何度申し上げたらよろしいのですか!!」
「…へっ!」
「へ!じゃありません!まったくあなたと言う人は!シェリ様が修練なさっているときは静かにする様にと殿下から言われているでしょう!?」
「そっそんなにおこるなよ!」
「怒るなですって!?いったい何度目だと思っているのですか!」
「そっそんな何回もないだろう!大げさな事を言うなよ!」
「これで私が知る限り10回目です!他を合わせればいったいどれほどでしょうね!」
「お前は!」
「なんですか?」
「ユアンそっくりになりやがって……昔は可愛かったのに」
「兄上は私の尊敬する人ですから。それに昔は昔、今は今です」
「あ、あの…ノルバ先生僕は平気ですから…!」
「シェリ様…はぁ、優しすぎです。もっと言ってやっても罰なんかあたりやしませんよ?」
「そっそんな!…それよりも、僕上手く出来ていましたか?」
「ジェラルド様が来られなければ、完璧に出来ていました。上達いたしましたね」
シェリに優しく微笑むノルバ
「それに、魔力をあそこまで精密に凝縮出来ていたんです。自信を持ってください」
「ありがとうございます!僕、もっと頑張りますね!」
とても嬉しそうに笑うシェリに苦笑いを隠せないノルバ
「シェリ様、シェリ様は十分すぎるほど頑張っておられますよ?シェリ様のペースで慌てる必要はないのです」
「そうだぞ、シェリちゃん。ゆっくりでいいんだ、誰も責めやしない。皆シェリちゃんが頑張ってるの知ってるんだからな」
「うん。ありがとうジェラルド。ノルバ先生、僕が出来る事で救える事があるなら早く救えるようになりたいんだ!せっかくもらった力だもの!」
「えぇ、私も尽力します。ですが、自分が頑張れる以上に頑張ってはだめですよ?たまには気晴らしだって必要なのですから」
「気晴らし…?」
「シェリ様は、何か好きな事はありますか?」
「好きな事…」
「根を詰めてやりすぎるのは良くありませんから、今度お出かけしましょうか?」
「え、先生と?」
「えぇ、嫌ですか?」
「いいえ!とても嬉しいです!」
「ふふ、では約束ですね」
「はい!楽しみだな~」
「俺もいるのに…」
シェリは目覚めた後、精霊とは何か…そして自身が精霊の愛し子であることを改めて教えられた
始めは驚愕し、生まれた森へ帰ると言っていたシェリだが皆の説得と愛し子である自身の使命、責任…これらを教えられていたため、説得に応じ帝国に残り勉学や魔法の習得に励むようになった
初めての自分以外の人に対し戸惑いがあったシェリだが日が経つにつれ段々と慣れて行き、今では城内の者と笑顔で話せるようになっていた
城内の者たちもシェリの外見があまりに特殊で近づいてはいけないのではと思い躊躇する者が多かったが、笑った時のシェリの屈託のない笑顔や直向きに勉学や修練に励むシェリをみて段々と話しかける者が増えて行った
「シェリ様!もっと集中するのです!」
「はっはい!」
額には大粒の汗が流れている
シェリは魔力が膨大であったが、生まれてから一人きりであった為魔力を一か所に集中して集めることがとても難しく修練をはじめて二か月半たった現在でも習得できていなかった
「くっ…」
両の手を正面に突出し手のひらに力が集まるようにイメージしながら魔力の流れを作る。始めはビー玉の様に小さな玉が段々と大きくなっていく
玉が大きくなるにつれ、シェリの腕の振るえも大きくなっていく
「はぁ…はぁ…」
集中をするためにジッと自身の手を見つめるシェリの目は赤が強く出ていた
「シェリ様、そのままゆっくりと力が自分の中に戻るようイメージしてください。ゆっくりとです…」
言葉の通り玉はゆっくりとした速度で段々と小さくなっていく
「そうです…そのまま、ゆっくりと」
玉がビー玉程の大きさに戻った時
「シェ~リ~ちゃん!!」
「っ!!!」
急な事に集中が途切れてしまったシェリ。玉は突き出した手の先にあった木々に当たり木々はまるで爆発があったかの様に吹き飛んでしまった
ビー玉程の大きさであった玉だが力が凝縮されている為影響も通常より大きく出てしまったのだ
「ジェラルド様!!!何度申し上げたらよろしいのですか!!」
「…へっ!」
「へ!じゃありません!まったくあなたと言う人は!シェリ様が修練なさっているときは静かにする様にと殿下から言われているでしょう!?」
「そっそんなにおこるなよ!」
「怒るなですって!?いったい何度目だと思っているのですか!」
「そっそんな何回もないだろう!大げさな事を言うなよ!」
「これで私が知る限り10回目です!他を合わせればいったいどれほどでしょうね!」
「お前は!」
「なんですか?」
「ユアンそっくりになりやがって……昔は可愛かったのに」
「兄上は私の尊敬する人ですから。それに昔は昔、今は今です」
「あ、あの…ノルバ先生僕は平気ですから…!」
「シェリ様…はぁ、優しすぎです。もっと言ってやっても罰なんかあたりやしませんよ?」
「そっそんな!…それよりも、僕上手く出来ていましたか?」
「ジェラルド様が来られなければ、完璧に出来ていました。上達いたしましたね」
シェリに優しく微笑むノルバ
「それに、魔力をあそこまで精密に凝縮出来ていたんです。自信を持ってください」
「ありがとうございます!僕、もっと頑張りますね!」
とても嬉しそうに笑うシェリに苦笑いを隠せないノルバ
「シェリ様、シェリ様は十分すぎるほど頑張っておられますよ?シェリ様のペースで慌てる必要はないのです」
「そうだぞ、シェリちゃん。ゆっくりでいいんだ、誰も責めやしない。皆シェリちゃんが頑張ってるの知ってるんだからな」
「うん。ありがとうジェラルド。ノルバ先生、僕が出来る事で救える事があるなら早く救えるようになりたいんだ!せっかくもらった力だもの!」
「えぇ、私も尽力します。ですが、自分が頑張れる以上に頑張ってはだめですよ?たまには気晴らしだって必要なのですから」
「気晴らし…?」
「シェリ様は、何か好きな事はありますか?」
「好きな事…」
「根を詰めてやりすぎるのは良くありませんから、今度お出かけしましょうか?」
「え、先生と?」
「えぇ、嫌ですか?」
「いいえ!とても嬉しいです!」
「ふふ、では約束ですね」
「はい!楽しみだな~」
「俺もいるのに…」
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