ぽんこつ魔王と聖女様-召喚先は魔王城でした?!-

佐鳥さとり

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序章

すれ違い

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翌朝、私は朝早いうちに食事など支度を済ませ、再び魔王の執務室に来ていた。

部屋には既に私以外のメンバー全員が揃っていて、何やら慌ただしくしていた。

私は特にすることもないので、ソファに腰掛けハーブティーを飲みながら部屋の中に目をやる。
昨日あの後、あの場にいた全員から自己紹介を受けていたので、思い出しながら一人ひとりを確認してゆく。


まずは昨日魔王を囲んで説教していた4人。

銀の長髪にすみれ色の瞳を持ち眼鏡をかけた知的そうな男性が、アルことアルフレッド・ウィックス。
昨日私に色々説明してくれた人である。彼はとても賢いそうで、作戦などは基本彼が立てていると聞いた。

次に黒髪に金色の瞳を持つ活発そうで小柄な少年が、イリア。可愛らしい見た目とは裏腹に、かなり腹黒なんだとか。事実、魔王にとんでもなく暴言を吐いていた。

赤髪に宝石のようなグリーンの瞳を持つ男性が、ブランドン・レラエ。皆からブランと呼ばれる彼は、いかにもパワー系という見た目をしていて、実際その通りで強いらしい。

そして最後に、アレン・アレクサンダー・パターソン。金髪碧眼のいかにも物語の王子様といった見た目をしている彼は、見た目だけでなく性格も王子様のように柔らかく優しかった。そして剣技に関してはこの国随一の実力だと言われていた。

彼らは所謂“魔王軍四天王”だそうで、この国ではトップクラスに強いらしい。そして、4人各々が軍を所持していて、それらはこの国の四方に配置され他国からの侵攻を阻止しているとか。


それから私の世話をしてくれているメイド達。
メイド長であるローズを筆頭に、マーガレット、リリー、アザレア。この4人は常に私を世話し警護してくれている。
英国メイドを思わせるロングのメイド服をカッチリと着こなし、常にしゃんとしている彼女達は、名前の通り花のように美しかった。
こんなに可愛い女の子達に囲まれると、なんだか自分が小さくなってしまうのだが、彼女達は私のことをとにかく褒めまくるので、召喚から僅か1日にして私の自己肯定感は密かに上がりつつあるのだった。


最後にこの魔王国の主、魔王レイ。
黒髪黒目でほんのり幼さの残る顔立ちは非常に整ってはいるのだが、日本ならよく居そうな見た目をしていて、ある意味では親しみと安心感がある。

そしてレイとイリアとローズは腹違いの兄弟だと言う。
全員母親は違うが、父親は先代魔王なので、この3人は魔王の直系であり魔王国では尊ばれていると言う。

しかしどうやらこの魔王、とんでもなくヘタレのようで、基本従者にいつも怒られているらしい。
堂々としているという点では、圧倒的にイリアとローズの方が魔王らしくはあるのだが、この国の魔王の選定条件は“歴代魔王の魂を引き継いでいるかどうか”なので、魔王国の魔王はレイ以外有り得ないのだと言う。

ヘタレで弱そうな印象だが、肝心の魔力その他力については、レイは歴代の魔王の誰よりも圧倒的に強く、しかもそれを制御し自在に操れるので、魔王たる器と誰もが認めているらしい。
...それなら、問題のあのくそデカいくしゃみは何とか出来なかったのかと思ってしまうが...。


...


全員を確認し、記憶を整理していると、アレンに話し掛けられた。

「アリサ、聖女の力についてなんだけど」
「あ、はい!えぇと、これから私が聖女をアピールする時に使うやつですよね」

そう、私達はこれから昨日の説明にあった「魔王国は人間との戦争は望んでいません!聖女もそう言っています!」と人間達にアピールし侵攻をやめさせる作戦、通称『聖女のお言葉作戦』を実行しようとしている。
そこで私は本物の聖女だということを証明するために、聖女の力を人間達に見せつける手筈になっているのだ。

「そう、それでその聖女の力の使い方を教えておかなきゃならないと思ってね。」

アレンは、僕も専門じゃないけど...と言いつつ、小脇に抱えていた本を手渡してきた。

「この本、読めるかな」

本を受け取り、ページをめくってみると、中に書かれていたのは日本語だった。

「え、普通に読めますけど...」

この世界も日本語が公用語なのか...それとも召喚特典で異世界の言葉が全て日本語に変換されているのか...どちらにせよ全く問題なく読める。

「その本は以前この世界に召喚された聖女が書いたもので、その内容は聖女にしか読めないとされているんだ。」
「じゃあ皆さんは読めないんですね...」

ということは、以前召喚されたと言う聖女も日本人だったのだろうか。

「シアン王国は聖女信仰が盛んでね、国民全員がこの本の複製を持っているほどなんだ。それなのにここに記されている言語の解明は出来なくて、未だに誰も読み解けていないんだ。」

なるほど、確かに日本語は世界でも難しい言語とされているし、それは異世界でも同じことなのかもしれない。

「それでその本の27ページ、そこに聖女の力については書いてあるらしいんだけど...」
「えっと、27ページ...っと...」

ぱらぱらとページをめくり、言われたページを開く。
すると確かにそこには聖女の力の使い方が書いてあった。

しかしなんと言うか...

「聖女の力ってこんな感じでいいのか...?」


『聖女の力の使い方
①力を使いたい範囲を確認し頭で思い描く
②どんな力を使いたいかを想像する
(怪我を治したいとか、病気を治したいとか!)
③それっぽい動きをつけながらそれっぽい言葉を言う
(全回復とかそんなもんで大丈夫!)』


なんだか思っていたのと大分違う。

かなり適当だし、なんなら誰にだって出来てしまいそうにも思えるのだが、こういうものなのだろうか。
というか大分ポップな書き方されてるな。

「使い方は分かったかな?」

アレンの言葉に顔を上げ頷く。

すると彼は、そうかと言い、その刹那腰の剣を少し引き抜き刃に指を滑らせた。

「ちょっ?!何をして...!!」

途端、彼の指から血が流れ出す。
慌ててハンカチを差し出そうとすると、それを制止される。

「血が!」
「あぁ、折角だから実践して見たいかなと思って」

彼はにこやかに笑いながら血の滴る指を差し出してきた。
その笑顔はとても素敵だが、やってることはサイコパスそのもので、私は表情が引き攣ってしまう。

「だ、だからってそんなことしなくても...」
「まぁまぁ、やってみてよ」

とりあえずこのままにしておくわけにもいかないので、先程の本に書いてあったように、傷口を確認し頭で思い描く。
それから、指の傷が消え元の状態に戻った様子を想像し、人差し指を傷口に向け...

「回復!」

途端、柔らかな光がアレンの指先を覆い、あっという間に傷口が消えた。

「これが聖女の力...?」

ゲームじゃ割とヒーラーが簡単に治せる程度だったので、想像してたより普通では...と思っていると、アレンの後ろからイリアがひょこっと顔を覗かせ、感嘆の声を上げた。

「すごい!これが本物の聖女の力かぁ~!」
「これってすごい事なんですか...?」

もっと無くなった腕が生えるとか、死者蘇生とか...人体錬成とか...そんなのが出来たら純粋にすごいと思えるが、いまいち分からずにいると、いつの間にか見に来ていたらしいアルが説明してくれる。

「そうですよ、この世界にも回復魔法はありますが、効果が完全に現れるまでにはある程度時間がかかるんです。それを一瞬で治療できるのは聖女だけなんですよ。」
「それに傷は消えても痛みだけは残ることもままあるんだけど、それもないしね。」

それは確かに...すごいのかもしれない...

「あと言い伝えによると、死者蘇生に近いことも可能らしいよ、アンデッド化でもなく、綺麗に復活させられるらしいし」

それは本当にすごい!
それのやり方は書いてあるのかなとさらにページをめくると、後ろの方に気になる事が書いてあった。

『次の聖女がこの本を読めたとしても、絶対にこの世界の者には内容を伝えないように。』

...実は誰にでも使えるとかだろうか?
その先を読もうとしたところで声がかかる。

「準備出来たぜ、そろそろ人間達に一発かましてやろうぜ!」

今にも殴りに行きそうなテンションのブランが、腕をゴキゴキと鳴らしながら回す。
すると、その後ろから溜息をつきながらレイが現れた。

「かますって戦争するわけじゃないんだから...」

そう言うレイの顔には真っ黒な仮面が着けられていた。
不思議そうに見ていたのに気付いたのか、イリアがそっと耳打ちをした。

「顔見てナメられるの嫌だから隠してんの、あれ」
「そうなんだ...」

昨日着ていたものより黒く禍々しい服を着ているのもそういう理由があるのだろうか。

そんなことを思っていると、レイは右手を高く持ち上げた。
途端、全員が片膝をつき、頭を垂れた。
自分も真似しようとすると、レイに隣に来るよう促された。
言われるまま隣に立つと、彼は言葉を発した。

「いいか、これから僕達はシアン王国に向け停戦を訴える。向かうのは僕とアリサ、そしてイリアとブランの4名。この城を離れるのは一瞬だけだが、アレンとアル、それからローズにはこの城の警護を任せる。
再確認になるが、僕達は戦争がしたいわけじゃない、絶対に人間に手は出すな、いいな。」

その言葉に全員が肯定の意を示す。

「大丈夫だとは思うが、どんな想定外のことが起こるか分からない。イリアとブランはアリサの守護を1番に考えろ。万一の時はアリサを連れて即時撤退だ。
そしてアリサ、君のことは僕達が守る、だから安心してくれ。」

レイのまるで乙女ゲームのようなセリフに少し照れながら私は頷いた。これが本当にゲームならスクショ事案だ。

「では、行くぞ」

レイの腕が私の肩を抱き寄せる。
突然のことに動揺していると、耳元で大丈夫、と囁かれる。
思わず間抜けな声が漏れかけたが、刹那風が私達を包み込み、私は目を瞑った。



...



ざわざわとした声と、頬を撫でる風に目を開くと、そこは空の上だった。

「っひぁ...!」

驚き私はレイにしがみつく。

ちょっとこれは聞いてなかった!ファンタジー世界なんだから空くらい飛べるだろうとは思ってたけど、突然すぎる!

「大丈夫、魔力と風で作った地面が足元にある。落ちることは無いから、安心して。」

レイに小さく囁かれ、私は足を“地面”に伸ばす。そこには固いものがあり、目には見えないが確かに地面があった。
しかし怖いものは怖いので、そのままレイにしがみつきながらそっと辺りを見渡す。

私達の左にイリア、右にブラン、そして下では人間が
魔獣達相手に戦っていた。

レイが小さく何か呟くと、戦っていた魔獣達は数歩後ろに下がり、攻撃するのを止めた。

「我が名は魔王レイ!今日はお前達人間に話があってやってきた、この場で一番地位の高い者はいるか!」

彼の声に人間達はしんと静まり返った。
すると、白い鎧を着た男性が声を上げる。

「私はシアン王国第一王子、ルシウェル・ウル・シアン、魔王が何の用だ!」

ルシウェルと名乗った彼の周りには何人もの兵士が壁になり、こちらを警戒していた。
兵士達の表情は強ばっており、いかにこの魔王が恐れられているかを知る。

「ではルシウェル、これからお前に伝えることを一語一句違えずに覚え、国に帰ったのち王や国民全員に伝えるがいい。」

それじゃ頼むぞ、と小さく言われ、私は背筋を軽く伸ばした。

「私はシラミネアリサ、異世界より召喚されたこの世界の聖女です。まずは私が本物だということを証明しましょう。」

事前に練習したセリフをつらつらと言うと、聖女の力を使う準備を始める。
この場にいる全員をざっと見渡し、大なり小なり怪我をしていることを確認すると、私はレイにしがみついていた片方の腕をそっと離し手を振りかざす。

「全体全回復」

すると眩い光が大地を駆け抜け、一瞬にして下にいる人間全員の傷を癒した。
やった成功したと思った瞬間、足の力が抜け体勢を崩してしまう。どうやらこの力を使うには魔力などではなく体力を消耗するらしい。
しかしすぐさまレイが体を支えてくれる。

「大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます...ちょっとふらついただけなので...」

正直、ずっと足が小さく震えていてかなりキツい。
だがやるべきことはやらなくては。

「これでお分かり頂けたでしょう、私は魔王の作り出した偽物でも幻覚でもなく本物の聖女です。」

人々からどよめきが起こる。
まぁ、本物の聖女が魔王軍に召喚されたとなれば驚くのも当然だろう。

「そして私から皆さんに伝えたいのはただ1つ。先に魔王も宣言していた通り、魔王国は争いを望みません。この戦争の即時停戦を望みます。とはいえ非はこちらにあったのは事実...そこで魔王が消してしまった街を、私の聖女の力で荒地から緑溢れる地に戻し、また壊れた建物を修繕する労働力も魔王国から派遣致します。
他にも要望があれば魔王国はそれに応じましょう。
どうか、どうか即時停戦を願います。」

感情を込め、私は台本通りに言い切った。

「そういうことだ。我は真に争いなど望んではいない、この聖女の言葉を信じよ。」

最後にレイが一言告げる。
そして、では帰るかと言うと、また風が私達を包み込み、私は目を閉じた。



...



「さて、帰ったよ」

レイの言葉に目を開けると、そこは執務室だった。

「お帰りなさいませ、魔王様」

魔王城に残っていたメンバーも全員揃っていて、安心した私は今度こそ床へと倒れ込んでしまう。
するとすぐさまレイに抱き上げられ、ソファに横にされる。
そしてローズ達が水やタオルを運んできてくれた。

「ご、ごめんなさい...聖女の力ってこんなに体力を使うんですね...現世ではデスクワークばっかりだったから体力落ちてて...」
「こちらこそ無理をさせてごめん、でもあの演説はとても素晴らしかったよ。これならきっと停戦に向かうだろう。」

いつの間にか仮面を外していたレイに優しく言われ、ほっと息をつく。
上手に出来ていたなら良かった。

「それじゃあ今後についての会議をしよう。アリサ、疲れているところ悪いけど、君はここで休みながら話だけ聞いていていてくれ。でももし具合が悪かったらすぐ言うんだよ。」

私は頷く。
これで私の役目は終わりだろうか。
異世界召喚されてから、結構あっさり出番終了を迎えたな...この後家に帰してくれるのか、ここに住み続けるのか...後で聞いてみよう...。
そんなことを考えながら、ぼんやりと会議の内容を聞いた。



...



「ルシウェル様、あれは一体何だったのでしょう...本当にあれが本物の聖女様なのでしょうか...」

兵士のひとりが声をかける。
戦争の最前線に突然現れた魔王と聖女様は、我々の傷を癒し、一方的に話をして消えた。
あれは確かに本物の聖女様にしか扱えない力だった。
しかしなぜ聖女様ともあろう方が魔王軍に組みしているのか...いや、それよりも一体誰が召喚したのか...。我々シアン王国も魔王国との戦争が激化する前に聖女様を召喚し、こちらの軍事力の底上げをして欲しかったと言うのに。一体なぜ...。
そして、あれ以降魔獣達は一切攻撃をしてこない。

「...しかし様子がおかしかったような...」

隣いいた別の兵士が呟く。

「おかしいとは、何がだ」

兵士はハッとして、敬礼する。

「失礼いたしました!」
「何、無礼とは思わぬ。お前の感じたその違和感を言ってみろ」

そう言うと、兵士は敬礼を解いた。

「では僭越ながら申し上げます。聖女様の様子がとても怯えているように見えたのです...。...なんだか小刻みに震えていましたし、言葉にもあまり感情が篭っていないように感じました。力は確かに本物でしたが、あれはなんと言いますか...まるで言いなりにされているような...操られているような...」

言われて先程の聖女様の様子を思い返す。
少し怯えたような表情に、震えて立つのもやっとの状態、そして確かにまるでセリフをそのまま言っているかのような話し方...。

「ふむ...そうか...確かに考えてみれば魔王国の者が光の民である聖女様を異世界より召喚出来ると言うのもおかしい。そしてあの様子を見ても、これは聖女様の意思とは思えないな。」

私の呟きにほかの兵士たちも同意の意を示した。

そうか、あれは何らかの方法で聖女様を操っていたに違いない。それで、街の復興などと言い、その場に集まった人間を捕虜や何かしらの儀式の供物として使うに違いない。

「あれはやはり罠か...!ではこの場の指揮は騎士団長に任せる。私は急ぎ王都に戻り国王陛下に今の出来事を伝え、次の手を決める。すぐに戻るゆえ、それまでこの戦線を維持してくれ!」

兵士達の雄叫びが辺りで沸き上がり、私はその声を背にしながら馬に乗り王都へと走る。
聖女様が魔王軍に囚われるなどこんな事があっていいのか、きっと操られているに違いない。聖女様をもあのようにしてしまうとは、此度の魔王の何と恐ろしいことか...。

「聖女アリサ様...!必ず我々がお助け致します!」

そう神に祈りながら王都への帰路を急ぐのであった。
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