2 / 3
序章
はじまり
しおりを挟む
執務室の前に着くと、何やら部屋の中が騒がしかった。
何か、喧嘩のような言い争うような声がして、入ることを躊躇してしまう。
しかし、そんなこと気にも留めないように、メイドの1人がノックをしてからドアを大きく開けた。
…
部屋の中では、外に漏れ聞こえていた通り、複数の男の人たちが言い争っていた。
「なーーーんで毎回そうやって余計なことするんすか!」
「アッ…いや…」
「これで奴らがさらに攻め入ることになったらどうするおつもりですか」
「その…」
「もういいじゃねぇか!あいつら滅ぼそうぜ!」
「それは…!」
「まぁまぁ、落ち着いて。ローズが彼女を連れてきたみたいだよ」
そのうちの一人がこちらに気付いたようで、話を止めるよう合図をし、そして全員がこちらを向いた。
「えっ…えっと…?」
突然注目の的となってしまい、たじろいでしまう。
部屋の中にいたのは5人。
活発そうな小柄な少年、眼鏡をかけた知的そうな長髪の男性、屈強そうな男性、そして物腰の柔らかそうな青年。
その4人に囲まれるようにして、全身黒ずくめの青年が泣きそうな顔をして座っていた。
全員、誰が見てもはっきりとわかる、いかにもなイケメンばかりである。
そしてなぜか全員頭からツノが生えていた。
思わず、後ろに控えるメイドを振り返ると、彼女はにこりと微笑み、それから彼らに向かって声をかける。
「陛下、お連れいたしました。
皆様方、お客様が驚いてしまいますので乱暴なことは控えていただきますよう、くれぐれもご注意くださいませね。」
彼女のとても丁寧な口調ながら怒気を孕んだ言葉に、目の前の男性達は明らかに狼狽えた。
そして、泣きそうにしていた黒ずくめの青年が立ち上がりこちらへ歩を進めると、残り4人は頭を垂れ後ろへと下がっていった。
...え?ということは...
「突然召喚されて驚いただろう、僕はレイ。この魔王国の王です。」
この人が王様?!王様なのにあんなに責められて、あんなに泣きそうになっていたの!?
「君の名前を聞かせてもらってもいいかな?」
「あっ、白峰有紗...です」
この人が王様だったのかと驚いていたせいで、うっかり自分の名前をそのまま言ってしまう。
いやでも私転生したんだから、現世のままの名前じゃダメなんじゃ...
「アリサか、よい名前だな。それじゃあ、ここはどこか含め君に説明をしよう。」
「陛下、でしたら説明はわたくしにお任せを。」
後ろに控えていた長髪の男性が発言をした。そして、王様はじゃあ任せようと言うと、隣にあったソファへと腰掛け、私にも座るよう促した。
「し、失礼します...」
おずおずと座ると、長髪の男性はそう畏まらずにと言いながらメガネを押し上げた。
「ではご説明の前に自己紹介をさせて頂きます。わたくしはこの国の補佐をしております、アルフレッド・ウィックスと申します。どうぞアルとお呼びください。」
そう言うと彼は頭を下げた。
うっすい感想だが、わーいかにも頭良さそーうと思ってしまった。
「順を追ってご説明致します。
まずこの世界は大きく分けて3つの国に別れています。1つは人間の治めるシアン王国。そしてもう1つは亜人種の治めるトリシァ国。そしてこの国は魔王国と言い、こちらにおりますレイ陛下が治める、魔族の国です。
そして現在の状況ですが、魔王国とシアン王国は戦争の危機に陥っております。
アリサ様を召喚したのは、あなたの聖女の力でこの戦争状態を解決するためです。」
一気に沢山の情報を流し込まれた頭を整理しようとしていると、なにか質問はと問われる。
つまりここは異世界の魔族の国で...人間と戦争の危機で...それで...私が、聖女...?
「えっ?!私が聖女!?」
聖女ってあの?!というか、魔族の国に聖女?!悪と対なすのが聖女じゃないの?私、聖女なのに人間側じゃなくて魔族側?!
「はい、あなたこそこの世界を救う異世界の聖女様。そのあなたに我々の国を救って欲しいのです。」
「ま、待って!聖女って普通人間側につくものじゃないの?もしかして私も実は魔族ってこと?!」
実は両親のどちらかが魔族だったのかもしれない。もしかして私ったら魔族と人族のハーフ?!
「あぁいえ、あなたは完全に人族です、正真正銘人間の聖女です。」
いやばっちり人間なのか。
「なぜわたくし達魔族側が聖女に助けを乞うか...ですよね、それに関してはわたくし達も止めたのです。」
「止めた...?」
「えぇ。そうですね、なぜ我々が戦争に至ったかですが、一言で言うとくそデカいくしゃみが原因です。」
は...?
「くそデカい...くしゃみ...?」
くしゃみが原因で戦争が起きるなんてことある?
怪訝な顔をしていると、視界の端で誰かが顔を両手で覆うのが見えた。
「実はレイ陛下は歴代の王の中で最も強大な力を持つ魔王です。そして数日前、陛下は魔導書を読みながらくそデカいくしゃみをしてしまったのですが、それに陛下の強大な魔力が乗ってしまったのでしょう。シアン王国の端の街を1つ消してしまったのです。」
くしゃみで街が1つ消える...
「そしてそれを魔族の侵略だと考えたシアン王国は、我々魔王国に宣戦布告し、今に至るわけです。」
そんな事あるものなのかと王様の方を見ると、彼は顔を両手で覆ったまま、叫んだ。
「べ、別にそんなつもりは無かったんだよ!ただ、ちょっと魔力の出力を間違えただけで...!そんなくそデカいくそデカい言わなくてもいいじゃん!!大体シアン王国には、侵略とかじゃなくてただのくしゃみですごめんなさいって言ったのに、あいつら!魔族には何か意図があるに違いない、そういってそうかくしゃみかと油断したところを攻撃してくるに違いない、とか言ってさあ!!本当にただのくしゃみなんだよ僕は戦争なんかしたくないよ平和に生活したいんだよ!!!」
もう!!と、テーブルを両拳で殴った彼は、顔が真っ赤だった。
...これは...なんだか随分...
「陛下、さっきまで被っていた猫はどこへ行ってしまったのですか」
私の気持ちを代弁するかのようなアルさんの言葉に、思わずふっと笑ってしまう。
しまった、と思い王様の方を見ると、彼は涙目になりながら震えていた。
「猫は散歩に行きました!!」
王様はそう絶叫し、私の方へと向き直った。
「そう!だから僕は聖女である君を召喚して、わからず屋の人間たちに本当に違うって説得してもらおうと思ったんだ!」
なるほど、同じ人間の言葉であれば、それも聖女の言葉であれば信じてもらえるだろうということか。
「でも私なんかの言葉で信じてもらえるのでしょうか?それに、そもそも私が聖女だという証拠は...」
そうだ、突然私が聖女です!戦争止めましょう!なんて言ったところで信じてもらえるのか?信じるどころか、今度は聖女の偽物まで!と、更に状況が悪化しそうに感じる。
「それに関しては大丈夫。君、この世界の言い伝え通りの見た目してるから。それに、実際その場で聖女の力でも使えば信じてもらえるでしょ。」
「そんなものなのでしょうか...」
そんなので信じてもらえるとは思えないけれど、まぁ大丈夫と言うなら大丈夫なのかもしれない。
...ん?
「え...待って...見た目...?それにさっき召喚...って...」
さらりと流し続けていたが、召喚?転生ではなく?
「何を驚いてるの、君はこの魔王レイが魔王城に召喚した異世界人、シラミネアリサ。今までの話の通りでしょ?」
...話の通りだけど...
「うわあああああ!!夢の異世界転生じゃなくて異世界召喚!?そんなァ!?!?」
念願の美少女転生じゃないのか!
私が感じていた違和感はこれだったのだ、異世界ということに浮かれていて気付かなかった。しかもここは魔王城!思っていた展開と全然違い、今度は私が項垂れる。
「あ、そうだこれ、君を召喚した時隣に落ちてたんだよね。よく分からないから返すよ。」
王様はそう言うと目の前にUSBを置いた。
...そうだ、これは残業して作った会議の資料だ。
「あ、ありがとうございます...」
「とりあえず決行は明日ね、一気に色々話したから君も疲れたでしょ、今日は休みなよ。」
はい...と呟き、私はUSBを手に取った。
異世界召喚...思ってたのと違って残念だけど、とりあえず1つ良いことがあるとしたら、これだ。
私はUSBを握りしめる。
この資料データは私が異世界に持ってきたから、あの同僚は明日の会議の資料がなくてきっと上司に怒られるだろう。
手のひらのUSBを見つめ、次からは自分でやれよ...と呟いた。
何か、喧嘩のような言い争うような声がして、入ることを躊躇してしまう。
しかし、そんなこと気にも留めないように、メイドの1人がノックをしてからドアを大きく開けた。
…
部屋の中では、外に漏れ聞こえていた通り、複数の男の人たちが言い争っていた。
「なーーーんで毎回そうやって余計なことするんすか!」
「アッ…いや…」
「これで奴らがさらに攻め入ることになったらどうするおつもりですか」
「その…」
「もういいじゃねぇか!あいつら滅ぼそうぜ!」
「それは…!」
「まぁまぁ、落ち着いて。ローズが彼女を連れてきたみたいだよ」
そのうちの一人がこちらに気付いたようで、話を止めるよう合図をし、そして全員がこちらを向いた。
「えっ…えっと…?」
突然注目の的となってしまい、たじろいでしまう。
部屋の中にいたのは5人。
活発そうな小柄な少年、眼鏡をかけた知的そうな長髪の男性、屈強そうな男性、そして物腰の柔らかそうな青年。
その4人に囲まれるようにして、全身黒ずくめの青年が泣きそうな顔をして座っていた。
全員、誰が見てもはっきりとわかる、いかにもなイケメンばかりである。
そしてなぜか全員頭からツノが生えていた。
思わず、後ろに控えるメイドを振り返ると、彼女はにこりと微笑み、それから彼らに向かって声をかける。
「陛下、お連れいたしました。
皆様方、お客様が驚いてしまいますので乱暴なことは控えていただきますよう、くれぐれもご注意くださいませね。」
彼女のとても丁寧な口調ながら怒気を孕んだ言葉に、目の前の男性達は明らかに狼狽えた。
そして、泣きそうにしていた黒ずくめの青年が立ち上がりこちらへ歩を進めると、残り4人は頭を垂れ後ろへと下がっていった。
...え?ということは...
「突然召喚されて驚いただろう、僕はレイ。この魔王国の王です。」
この人が王様?!王様なのにあんなに責められて、あんなに泣きそうになっていたの!?
「君の名前を聞かせてもらってもいいかな?」
「あっ、白峰有紗...です」
この人が王様だったのかと驚いていたせいで、うっかり自分の名前をそのまま言ってしまう。
いやでも私転生したんだから、現世のままの名前じゃダメなんじゃ...
「アリサか、よい名前だな。それじゃあ、ここはどこか含め君に説明をしよう。」
「陛下、でしたら説明はわたくしにお任せを。」
後ろに控えていた長髪の男性が発言をした。そして、王様はじゃあ任せようと言うと、隣にあったソファへと腰掛け、私にも座るよう促した。
「し、失礼します...」
おずおずと座ると、長髪の男性はそう畏まらずにと言いながらメガネを押し上げた。
「ではご説明の前に自己紹介をさせて頂きます。わたくしはこの国の補佐をしております、アルフレッド・ウィックスと申します。どうぞアルとお呼びください。」
そう言うと彼は頭を下げた。
うっすい感想だが、わーいかにも頭良さそーうと思ってしまった。
「順を追ってご説明致します。
まずこの世界は大きく分けて3つの国に別れています。1つは人間の治めるシアン王国。そしてもう1つは亜人種の治めるトリシァ国。そしてこの国は魔王国と言い、こちらにおりますレイ陛下が治める、魔族の国です。
そして現在の状況ですが、魔王国とシアン王国は戦争の危機に陥っております。
アリサ様を召喚したのは、あなたの聖女の力でこの戦争状態を解決するためです。」
一気に沢山の情報を流し込まれた頭を整理しようとしていると、なにか質問はと問われる。
つまりここは異世界の魔族の国で...人間と戦争の危機で...それで...私が、聖女...?
「えっ?!私が聖女!?」
聖女ってあの?!というか、魔族の国に聖女?!悪と対なすのが聖女じゃないの?私、聖女なのに人間側じゃなくて魔族側?!
「はい、あなたこそこの世界を救う異世界の聖女様。そのあなたに我々の国を救って欲しいのです。」
「ま、待って!聖女って普通人間側につくものじゃないの?もしかして私も実は魔族ってこと?!」
実は両親のどちらかが魔族だったのかもしれない。もしかして私ったら魔族と人族のハーフ?!
「あぁいえ、あなたは完全に人族です、正真正銘人間の聖女です。」
いやばっちり人間なのか。
「なぜわたくし達魔族側が聖女に助けを乞うか...ですよね、それに関してはわたくし達も止めたのです。」
「止めた...?」
「えぇ。そうですね、なぜ我々が戦争に至ったかですが、一言で言うとくそデカいくしゃみが原因です。」
は...?
「くそデカい...くしゃみ...?」
くしゃみが原因で戦争が起きるなんてことある?
怪訝な顔をしていると、視界の端で誰かが顔を両手で覆うのが見えた。
「実はレイ陛下は歴代の王の中で最も強大な力を持つ魔王です。そして数日前、陛下は魔導書を読みながらくそデカいくしゃみをしてしまったのですが、それに陛下の強大な魔力が乗ってしまったのでしょう。シアン王国の端の街を1つ消してしまったのです。」
くしゃみで街が1つ消える...
「そしてそれを魔族の侵略だと考えたシアン王国は、我々魔王国に宣戦布告し、今に至るわけです。」
そんな事あるものなのかと王様の方を見ると、彼は顔を両手で覆ったまま、叫んだ。
「べ、別にそんなつもりは無かったんだよ!ただ、ちょっと魔力の出力を間違えただけで...!そんなくそデカいくそデカい言わなくてもいいじゃん!!大体シアン王国には、侵略とかじゃなくてただのくしゃみですごめんなさいって言ったのに、あいつら!魔族には何か意図があるに違いない、そういってそうかくしゃみかと油断したところを攻撃してくるに違いない、とか言ってさあ!!本当にただのくしゃみなんだよ僕は戦争なんかしたくないよ平和に生活したいんだよ!!!」
もう!!と、テーブルを両拳で殴った彼は、顔が真っ赤だった。
...これは...なんだか随分...
「陛下、さっきまで被っていた猫はどこへ行ってしまったのですか」
私の気持ちを代弁するかのようなアルさんの言葉に、思わずふっと笑ってしまう。
しまった、と思い王様の方を見ると、彼は涙目になりながら震えていた。
「猫は散歩に行きました!!」
王様はそう絶叫し、私の方へと向き直った。
「そう!だから僕は聖女である君を召喚して、わからず屋の人間たちに本当に違うって説得してもらおうと思ったんだ!」
なるほど、同じ人間の言葉であれば、それも聖女の言葉であれば信じてもらえるだろうということか。
「でも私なんかの言葉で信じてもらえるのでしょうか?それに、そもそも私が聖女だという証拠は...」
そうだ、突然私が聖女です!戦争止めましょう!なんて言ったところで信じてもらえるのか?信じるどころか、今度は聖女の偽物まで!と、更に状況が悪化しそうに感じる。
「それに関しては大丈夫。君、この世界の言い伝え通りの見た目してるから。それに、実際その場で聖女の力でも使えば信じてもらえるでしょ。」
「そんなものなのでしょうか...」
そんなので信じてもらえるとは思えないけれど、まぁ大丈夫と言うなら大丈夫なのかもしれない。
...ん?
「え...待って...見た目...?それにさっき召喚...って...」
さらりと流し続けていたが、召喚?転生ではなく?
「何を驚いてるの、君はこの魔王レイが魔王城に召喚した異世界人、シラミネアリサ。今までの話の通りでしょ?」
...話の通りだけど...
「うわあああああ!!夢の異世界転生じゃなくて異世界召喚!?そんなァ!?!?」
念願の美少女転生じゃないのか!
私が感じていた違和感はこれだったのだ、異世界ということに浮かれていて気付かなかった。しかもここは魔王城!思っていた展開と全然違い、今度は私が項垂れる。
「あ、そうだこれ、君を召喚した時隣に落ちてたんだよね。よく分からないから返すよ。」
王様はそう言うと目の前にUSBを置いた。
...そうだ、これは残業して作った会議の資料だ。
「あ、ありがとうございます...」
「とりあえず決行は明日ね、一気に色々話したから君も疲れたでしょ、今日は休みなよ。」
はい...と呟き、私はUSBを手に取った。
異世界召喚...思ってたのと違って残念だけど、とりあえず1つ良いことがあるとしたら、これだ。
私はUSBを握りしめる。
この資料データは私が異世界に持ってきたから、あの同僚は明日の会議の資料がなくてきっと上司に怒られるだろう。
手のひらのUSBを見つめ、次からは自分でやれよ...と呟いた。
0
あなたにおすすめの小説
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く
腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」
――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。
癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。
居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。
しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。
小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる