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第一章 黒神子レスフィナとの出会い編
6.ラエルロットの想い、そして惨劇の始まり
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6.ラエルロットの想い、そして惨劇の始まり
時刻は八時三十分。
怒りに任せて朝早くに、自宅があるヒノの村から勢いよく飛び出して来たラエルロットは当然朝ご飯を食べてはいない。激しい憤りを抱えながらがむしゃらに町のある方に走って来た為か急激に腹が減り、体が激しくカロリー摂取を求め出す。
あまりのカロリーの消費に腹の虫が頻りに鳴ってはいたが流石に直ぐに帰る訳にはいかないのでラエルロットは仕方なく、落ち込んだ時に時々登っている、あるお気に入りの場所へと向かう。
散々走り回った為か徐々に冷静さを取り戻したラエルロットは、村の鍛冶屋にまんまと夜逃げをされた事で鋼の剣のみならずその代金すらも失ってしまった不運に最初は落ち込んでいたが、その事でせっかく気を遣って一振りの木刀をこしらえて来てくれたハル婆さんに八つ当たりをしてしまった事に後悔しながら激しい自己嫌悪に陥る。
(ハル婆ちゃんには悪いことをしたな。ハル婆ちゃんは俺に言われるがままに、注文をしていた鋼の剣を取りに行ってもらっていただけなのに、つい八つ当たりをしてしまった。俺って奴はなんて事をしてしまったんだ。これじゃバツが悪くてしばらく家には帰れないよ!)
ラエルロットが暮らす寂れた田舎の村でもあるヒノの村の直ぐ近くに、この周辺ではフタッツイの町と呼ばれている割と大きな農業と商業で活気だっている町がある。そう昨日ラエルロットが八級冒険者の試験の結果を聞きに行っていた町だ。
そのフタッツイの町の全体が眺められる緑の木々が覆う小山の天辺までのぼったラエルロットは、朝早くからいろんな人達が出入りし活気で動き出している町の人々の動きを山の天辺から眺めながら自分がしでかしてしまった事を頻りに考える。
結局鋼の剣は手に入らず、その事で祖母に八つ当たりをしてしまった事にはもうひたすら反省しか無い。そう全ては疑いもせずに、事前に鍛冶屋の経営状況を調べもしなかった自分が悪いのだ。
自分がしでかしてしまった事を反省できるくらいに頭が冷えたラエルロットは、疲れを癒やすには丁度いい木の切り株に腰を降ろす。
(恐らくハルばあちゃんは朝早くに、鍛冶屋の家族が一家共々昨夜の内に夜逃げをしてしまっていた事を誰かから聞かされて知ったんだろう。多分鍛冶屋に到着する前に野良仕事に行く村人から直接話を聞いたのだ。そしてその真実を聞いて俺が少しでも落ち込まない様にとあの木刀を急遽こしらえて、それを俺に渡したんだ。そんな気遣い、少し考えれば分かるはずなのに……それなのに俺はあんな酷いことを言ってハルばあちゃんに八つ当たりをしてしまった。情けない、本当に情けない。俺のために気を遣っていろいろと真心を尽くしてくれている人にあんな酷い事を言って仕舞うだなんて、我ながら最低な行為だ!)
激しく卑下しながらラエルロットは自分の心の小ささに思わず溜息をつく。
(はあ~、我ながら情けない。もう少しここにいて、帰ったらハルばあちゃんに素直に謝ろう……)
ラエルロットがそう思っていると黒いローブを着た可愛らしい黒髪の少女が現れる。そうラエルロットを探しに来たレスフィナである。
レスフィナはやっと追いついたと言わんばかりに安堵の溜息をつくと、切り株に腰を下ろすラエルロットに優しく話しかける。
「ラエルロットさん、こんな所にいたんですね。こんな山の頂上まで来て一体何をしているんですか。そろそろ帰らないとせっかくの朝ご飯が冷めてしまいますよ。いろいろと憤る気持ちも分かりますがハルおばあさんもとっても心配していますからそろそろ帰りましょう」
笑顔を向けながら手を伸ばすレスフィナにラエルロットは何だかバツが悪そうに言う。
「君には情けない所を見せてしまったようだな。見てて分かったとは思うが、俺って駄目な人間だろ……なんの才能も能力もないただの凡人だ。そうさ、俺はいつもこうなんだ。いつもこんな感じでハルおばあさんには迷惑を掛けてしまう。俺には特にこれと言った特技も力も能力も無いからな。それにもう俺は二十歳だ。こんな歳になってもまだ冒険者八級試験すらも四度も落ちるんだから……昨日俺に喧嘩を売ってきたあの年下の三人に馬鹿にされても本当は文句は言えないんだ。あいつらは十六歳か十七歳くらいで冒険者八級試験を受かったと言うのにな。本当に俺って……情けないよ」
そう自分を悲観するラエルロットの目からはうっすらと涙が溢れる。今まで我慢していた思いが言葉となって出た事によって感情が高ぶり、涙として出たのだ。そんな自分の心の弱さを……負の感情を何故か赤の他人でもあるレスフィナにカミングアウトする。
切実に自分の情けなさを語るラエルロットだったが、話を聞いていたレスフィナはその可愛らしい顔を近づけると何がいけなかったのかを調べる為に色々と質問をし予測をする。
「なら何故試験に落ちたのか、もう一度一から調べ直してまた来年受け直すしか無いですよね。何故自分は落ちたのか、受かった人達から話を聞いて全てを取り入れるのです。ですがおかしいですね。私が昨日見た限りでは、少なくとも実地は七級冒険者になるくらいの資格は十分にあると思うのですが、もしかして筆記試験が悪かったのでしょうか?」
「いや、筆記は毎年充分にその平均点を満たしていたから恐らくは実地試験だろ。そうとしか考えられないんだが」
「そうですか……ですが先ほどラエルロットさんは自分の事を、何の能力も無いただの凡人と言っていましたが……ラエルロットさんには人には無い能力がありますよ。それは諦めない心……何事にも前向きに何かに挑み続けるその強い思いです」
「は、はあ……」
いきなり出た歯の浮く精神論に何とも言えない表情を向けるラエルロットだったが、レスフィナは構わず話を続ける。
「いいですか、ラエルロットさん。力が劣る女性や子供が一回で受かるとされる第八級冒険者試験を毎年諦めずに四度も受け続けるだなんてそう出来る事ではありません。何故なら普通の人は二回も試験に落ちたら恥ずかしくて次回からは冒険者になろうとは誰も思わないからです。まあ、普通の人は色々と屁理屈や理由をつけて簡単に諦めるでしょうね」
そのレスフィナの言葉にラエルロットの心臓がグキっと痛む。レスフィナの奴、俺が気にしている事をハッキリと言いやがって。
「でもあなたは違う。例え心無い人達に陰口を叩かれても……年下から馬鹿にされても……冒険者になる夢を諦めたくはなかったのではありませんか。それは何故か、そんなのは当然ですよね。それはあなたの夢が……思いが……自分の見栄や自尊心よりも勝っていたからです。決して諦めずに何かの夢に向かって挑み挑戦し続ける……その行為が、その思いが素晴らしいのです。それはとても凄い事だとは思いませんか!」
「そう言われてもなあ……俺はただ毎年気を取り直して挑戦しているだけに過ぎないんだが。それに受からなければ頑張っても意味は無いし」
「そんな事は無いですよ……その思いは……知識は……努力は……そしてその様々な経験はあなたの力となって必ず明日に生かされていくはずです、だから大丈夫です」
「そんな物かな。そんな精神論よりもレスフィナはこの世界を作り出すくらいの古えの神様に選ばれた黒神子なんだから俺に事前に訪れる不幸を全て吸い取る事は出来ないのか? その方が絶対に楽なのに」
そのラエルロットの考えにレスフィナは少し困った顔をする。
「ラエルロットさん。なぜ人には幸せと隣り合わせに不幸があると思いますか」
「え、そんな事は考えた事も無かったな。幸せと不幸はその人の生まれた境遇や自分自身の行いや行動とか、運とかで決まるんじゃないのか」
「違います、神様は等しくその人に……その人が乗り越えないといけない見えない試練を絶えず与えているのです。つまり緑の星に住むこの世界の人達は、皆この現世で生きる試験を絶えず受け続けていると言う事です。そう貴方にとってその試練は必要不可欠な事なのです。そしてその不幸を肌身に感じ、解決点を模索し、あがきにあがいて乗り越えた者だけが、人に惜しみなく優しく出来る……そして本当の意味で強くなれると、私は考えています。ラエルロットさん、あなたも人の傷つく痛みや思いが分かるからこそ人に優しく出来るのではありませんか。そんな思いを感じる事ができるからこそ、もしかしたら今のあなたがそこにいるのかも知れません。そしてラエルロットさんに今後訪れるであろう不運や災難は、必ずラエルロットさん自身の力で乗り越えないといけません。そう、あなたなら必ず乗り越えられると私は信じています」
「う~ん、つまりレスフィナが言いたいのは、助ける気は全くないと言う事か」
「まあ、平たく言えばそういう事です。自分の力ではなく赤の他人から授かった特別なご加護をまるで自分の力のように見せ付け、その貰い受けただけの力で何の苦労もなく楽をしてただただ幸せになろうだなんて虫のいい話だとは思いませんか。どこぞのハーレム好きの俺強い勇者じゃあるまいし!」
「なんだ、そのハーレム好きの俺強い勇者って?」
そのラエルロットの素朴な疑問に黒神子レスフィナは険しい顔をしながら応える。
「この世の中にはそんな奴らがいるのです。心無い未熟な未成年達に、女神と名乗る者達が特に何も深く考える事無く、不要にもその者にチート能力を与えて無双させているのです。全くあの馬鹿女神達は一体何を考えていることやら。そんな事をして特殊能力を与えてもその人の成長には繋がりません。だってそうでしょ。なんの苦労も苦い経験もしたことも無い人に途方も無い力を与えてもその人が真の意味で成長した事にはなりませんから。それはその力を与えた女神達の責任です。その力を与えられた者達は皆自分の力だと勘違いをし天狗となり、傲り、そして人として堕落して行くのです。その事にその女神達は全く気付いてはいません。本当に嘆かわしい事です」
「まあ、確かに行き成りそんなチートな能力を与えられたら、努力する事なんて馬鹿馬鹿しいと思うかも知れないし……恐らくは苦労する事なんて無いのかもしれないな。そう考えるとその勇者と呼ばれている者達は皆不幸なのかもしれないな」
「ええ、まるで回りからちやほやともてはやされる裸の王様です。人としては何も成長をしてはいないと言うのに、本当に可哀想な人達です」
「可哀想な人達……か」
「と言うわけでラエルロットさん、例え私があなたの不運を吸い取ったとして、それであなたが幸せになったとしても、それはあくまでも私の力による物ですから貴方自身が苦難を乗り越えて成長したとは言えません。いやむしろ貴方の人間としての心の成長が退化してしまうかも知れません」
「それでも、それでもだ。そんな凄い力が貰えるのなら俺だって貰いたいよ。俺も出来たら冒険者になって、職業は勇者になりたいと思っているから!」
そのラエルロットの決意ある言葉にレスフィナは冷静な顔をしながら聞き返す。
「勇者ですか。この緑の星に住む人なら誰もが憧れるあの、第一級冒険者の資格を持つ人かその素質のある者にしかなる事の許されない、まさに選ばれた者だけにしかなれないとされる、あの特別な職業ですか。でも何故あなたはその勇者になりたいだなんて思うのですか。彼らに憧れているからですか?」
そのレスフィナの疑問にラエルロットは顔を真っ赤にしながら答える。
「確かに第一級冒険者の資格を持つ勇者職の英雄達には正直憧れてはいるが、それだけでは無い。凄く単純な話だよ。あんな凄い力があったら不幸な災いに苦しむ人々を、この崩壊しつつある世界を……この緑ある大地の世界を救う何かに少しでも貢献が出来るかも知れないじゃないか」
そのラエルロットの言葉に黒神子レスフィナは赤い瞳を輝かせると急に目じりを細める。
「この崩壊しつつある世界を救う……ですか」
「ああ、そうだ。だからこそ黒神子でもあるレスフィナも世界の崩壊を少しでも防ぐ為にこの世界に溜まる負の根源たる力を吸い取って世界中を旅して回っているんだろ!」
「え……ええ、まあ、そうなのですが……」
「もしもその願いが叶うのなら、出来ることなら俺も勇者になりたいよ。その力で不幸な思いをしている人々やこの緑ある星を破滅の闇から救う手助けがしたいんだ!」
「そうですか……ラエルロットさんは……あの選ばれた者だけがなれるとされる特別職の勇者になりたいのですね。もう既に自分の弱さも人の情けも知っているラエルロットさんなら例え勇者になっても、その道を踏み外すなんてことはまずしないでしょうから、私も陰ながら心から応援しますよ。なれるといいですね、その勇者に」
「いや、しみじみと言うなよ。冗談、冗談だから! 俺なんかがあの勇者になれるわけが無いだろう。あの勇者職になるには最低でも第一級冒険者の資格を持っていないといけないし、例え持っていてもその才能が無い者は当然その女神が出す試練すら受けることが出来ない。そうまさに本当に選ばれた者にしかなれない職業なんだ」
「でも、その挑戦する思いだけは忘れないで下さい。いつかその思いは何かの形できっと貴方を動かす力になるかも知れません」
「そんな物かな。じゃそろそろ家に戻ろうぜ。ハルばあちゃんが朝ご飯を温めて俺達を待っているだろうからな」
「ええ、帰りましょう。帰ったらちゃんとハルおばあさんに謝って下さいね」
「ああ、分かっているよ」
そうラエルロットが言葉を口にしたその時、行き成り下の町の所々で無数の爆発が起こり、町の人々の活気ある声が瞬時に悲鳴へと変わる。
ドゴッカアアアァァーン! ドッカアァァァァーン! ゴッカアアアァァーン!
「ぎゃあああああぁぁぁー、爆発が、町中で原因不明の爆発が起きているぞ!」
「一体なんの爆発だ。一体どこからこの爆発は起こっているんだ!」
麓の町から聞こえてくる人々の叫び声にこれはただ事では無いと感じたラエルロットは、急ぎ下へと降りる下り坂のルートを確認する。
「一体何なんだ、ついさっきまでは平和その物でなんともなかったのに、行き成りフタッツイの町の中の至る所でランダムに謎の爆発が起きているぞ。まるで予め町中に爆弾でも仕込んでいたかのようだ。これはただ事では無いみたいだ。ごめん、俺は急いでハルばあちゃんのいるヒノの村に戻るから先に行かせてもらうよ。レスフィナは無事を確認し次第、爆発のほとぼりが冷めてから無理なく帰ってくるんだ。いいな、わかったな!」
「分かりました先に行って下さい。あの原因不明の爆発はフタッツイの町中だけで起こっている現象のようですが、まだどうやらヒノの村の方では起きてはいない現象の様です。でも、それでもやはりハルおばあさんの身が心配ですからね」
「そう言う事だ。本当は二人で山を降りたい所だがどこで爆発が起こるかわからないし、まだ原因が不明だからな、レスフィナは謎の爆発がおさまってから来たほうがいいだろう。そんな訳ですまん、俺はハル婆ちゃんが心配だから先に行かせて貰うぜ!」
そう言うとラエルロットはあたふたしながら、急ぎヒノの村へと足を向けるのだった。
(ハルばあちゃん……ハルばあちゃん……どうか無事でいてくれ!)
時刻は八時三十分。
怒りに任せて朝早くに、自宅があるヒノの村から勢いよく飛び出して来たラエルロットは当然朝ご飯を食べてはいない。激しい憤りを抱えながらがむしゃらに町のある方に走って来た為か急激に腹が減り、体が激しくカロリー摂取を求め出す。
あまりのカロリーの消費に腹の虫が頻りに鳴ってはいたが流石に直ぐに帰る訳にはいかないのでラエルロットは仕方なく、落ち込んだ時に時々登っている、あるお気に入りの場所へと向かう。
散々走り回った為か徐々に冷静さを取り戻したラエルロットは、村の鍛冶屋にまんまと夜逃げをされた事で鋼の剣のみならずその代金すらも失ってしまった不運に最初は落ち込んでいたが、その事でせっかく気を遣って一振りの木刀をこしらえて来てくれたハル婆さんに八つ当たりをしてしまった事に後悔しながら激しい自己嫌悪に陥る。
(ハル婆ちゃんには悪いことをしたな。ハル婆ちゃんは俺に言われるがままに、注文をしていた鋼の剣を取りに行ってもらっていただけなのに、つい八つ当たりをしてしまった。俺って奴はなんて事をしてしまったんだ。これじゃバツが悪くてしばらく家には帰れないよ!)
ラエルロットが暮らす寂れた田舎の村でもあるヒノの村の直ぐ近くに、この周辺ではフタッツイの町と呼ばれている割と大きな農業と商業で活気だっている町がある。そう昨日ラエルロットが八級冒険者の試験の結果を聞きに行っていた町だ。
そのフタッツイの町の全体が眺められる緑の木々が覆う小山の天辺までのぼったラエルロットは、朝早くからいろんな人達が出入りし活気で動き出している町の人々の動きを山の天辺から眺めながら自分がしでかしてしまった事を頻りに考える。
結局鋼の剣は手に入らず、その事で祖母に八つ当たりをしてしまった事にはもうひたすら反省しか無い。そう全ては疑いもせずに、事前に鍛冶屋の経営状況を調べもしなかった自分が悪いのだ。
自分がしでかしてしまった事を反省できるくらいに頭が冷えたラエルロットは、疲れを癒やすには丁度いい木の切り株に腰を降ろす。
(恐らくハルばあちゃんは朝早くに、鍛冶屋の家族が一家共々昨夜の内に夜逃げをしてしまっていた事を誰かから聞かされて知ったんだろう。多分鍛冶屋に到着する前に野良仕事に行く村人から直接話を聞いたのだ。そしてその真実を聞いて俺が少しでも落ち込まない様にとあの木刀を急遽こしらえて、それを俺に渡したんだ。そんな気遣い、少し考えれば分かるはずなのに……それなのに俺はあんな酷いことを言ってハルばあちゃんに八つ当たりをしてしまった。情けない、本当に情けない。俺のために気を遣っていろいろと真心を尽くしてくれている人にあんな酷い事を言って仕舞うだなんて、我ながら最低な行為だ!)
激しく卑下しながらラエルロットは自分の心の小ささに思わず溜息をつく。
(はあ~、我ながら情けない。もう少しここにいて、帰ったらハルばあちゃんに素直に謝ろう……)
ラエルロットがそう思っていると黒いローブを着た可愛らしい黒髪の少女が現れる。そうラエルロットを探しに来たレスフィナである。
レスフィナはやっと追いついたと言わんばかりに安堵の溜息をつくと、切り株に腰を下ろすラエルロットに優しく話しかける。
「ラエルロットさん、こんな所にいたんですね。こんな山の頂上まで来て一体何をしているんですか。そろそろ帰らないとせっかくの朝ご飯が冷めてしまいますよ。いろいろと憤る気持ちも分かりますがハルおばあさんもとっても心配していますからそろそろ帰りましょう」
笑顔を向けながら手を伸ばすレスフィナにラエルロットは何だかバツが悪そうに言う。
「君には情けない所を見せてしまったようだな。見てて分かったとは思うが、俺って駄目な人間だろ……なんの才能も能力もないただの凡人だ。そうさ、俺はいつもこうなんだ。いつもこんな感じでハルおばあさんには迷惑を掛けてしまう。俺には特にこれと言った特技も力も能力も無いからな。それにもう俺は二十歳だ。こんな歳になってもまだ冒険者八級試験すらも四度も落ちるんだから……昨日俺に喧嘩を売ってきたあの年下の三人に馬鹿にされても本当は文句は言えないんだ。あいつらは十六歳か十七歳くらいで冒険者八級試験を受かったと言うのにな。本当に俺って……情けないよ」
そう自分を悲観するラエルロットの目からはうっすらと涙が溢れる。今まで我慢していた思いが言葉となって出た事によって感情が高ぶり、涙として出たのだ。そんな自分の心の弱さを……負の感情を何故か赤の他人でもあるレスフィナにカミングアウトする。
切実に自分の情けなさを語るラエルロットだったが、話を聞いていたレスフィナはその可愛らしい顔を近づけると何がいけなかったのかを調べる為に色々と質問をし予測をする。
「なら何故試験に落ちたのか、もう一度一から調べ直してまた来年受け直すしか無いですよね。何故自分は落ちたのか、受かった人達から話を聞いて全てを取り入れるのです。ですがおかしいですね。私が昨日見た限りでは、少なくとも実地は七級冒険者になるくらいの資格は十分にあると思うのですが、もしかして筆記試験が悪かったのでしょうか?」
「いや、筆記は毎年充分にその平均点を満たしていたから恐らくは実地試験だろ。そうとしか考えられないんだが」
「そうですか……ですが先ほどラエルロットさんは自分の事を、何の能力も無いただの凡人と言っていましたが……ラエルロットさんには人には無い能力がありますよ。それは諦めない心……何事にも前向きに何かに挑み続けるその強い思いです」
「は、はあ……」
いきなり出た歯の浮く精神論に何とも言えない表情を向けるラエルロットだったが、レスフィナは構わず話を続ける。
「いいですか、ラエルロットさん。力が劣る女性や子供が一回で受かるとされる第八級冒険者試験を毎年諦めずに四度も受け続けるだなんてそう出来る事ではありません。何故なら普通の人は二回も試験に落ちたら恥ずかしくて次回からは冒険者になろうとは誰も思わないからです。まあ、普通の人は色々と屁理屈や理由をつけて簡単に諦めるでしょうね」
そのレスフィナの言葉にラエルロットの心臓がグキっと痛む。レスフィナの奴、俺が気にしている事をハッキリと言いやがって。
「でもあなたは違う。例え心無い人達に陰口を叩かれても……年下から馬鹿にされても……冒険者になる夢を諦めたくはなかったのではありませんか。それは何故か、そんなのは当然ですよね。それはあなたの夢が……思いが……自分の見栄や自尊心よりも勝っていたからです。決して諦めずに何かの夢に向かって挑み挑戦し続ける……その行為が、その思いが素晴らしいのです。それはとても凄い事だとは思いませんか!」
「そう言われてもなあ……俺はただ毎年気を取り直して挑戦しているだけに過ぎないんだが。それに受からなければ頑張っても意味は無いし」
「そんな事は無いですよ……その思いは……知識は……努力は……そしてその様々な経験はあなたの力となって必ず明日に生かされていくはずです、だから大丈夫です」
「そんな物かな。そんな精神論よりもレスフィナはこの世界を作り出すくらいの古えの神様に選ばれた黒神子なんだから俺に事前に訪れる不幸を全て吸い取る事は出来ないのか? その方が絶対に楽なのに」
そのラエルロットの考えにレスフィナは少し困った顔をする。
「ラエルロットさん。なぜ人には幸せと隣り合わせに不幸があると思いますか」
「え、そんな事は考えた事も無かったな。幸せと不幸はその人の生まれた境遇や自分自身の行いや行動とか、運とかで決まるんじゃないのか」
「違います、神様は等しくその人に……その人が乗り越えないといけない見えない試練を絶えず与えているのです。つまり緑の星に住むこの世界の人達は、皆この現世で生きる試験を絶えず受け続けていると言う事です。そう貴方にとってその試練は必要不可欠な事なのです。そしてその不幸を肌身に感じ、解決点を模索し、あがきにあがいて乗り越えた者だけが、人に惜しみなく優しく出来る……そして本当の意味で強くなれると、私は考えています。ラエルロットさん、あなたも人の傷つく痛みや思いが分かるからこそ人に優しく出来るのではありませんか。そんな思いを感じる事ができるからこそ、もしかしたら今のあなたがそこにいるのかも知れません。そしてラエルロットさんに今後訪れるであろう不運や災難は、必ずラエルロットさん自身の力で乗り越えないといけません。そう、あなたなら必ず乗り越えられると私は信じています」
「う~ん、つまりレスフィナが言いたいのは、助ける気は全くないと言う事か」
「まあ、平たく言えばそういう事です。自分の力ではなく赤の他人から授かった特別なご加護をまるで自分の力のように見せ付け、その貰い受けただけの力で何の苦労もなく楽をしてただただ幸せになろうだなんて虫のいい話だとは思いませんか。どこぞのハーレム好きの俺強い勇者じゃあるまいし!」
「なんだ、そのハーレム好きの俺強い勇者って?」
そのラエルロットの素朴な疑問に黒神子レスフィナは険しい顔をしながら応える。
「この世の中にはそんな奴らがいるのです。心無い未熟な未成年達に、女神と名乗る者達が特に何も深く考える事無く、不要にもその者にチート能力を与えて無双させているのです。全くあの馬鹿女神達は一体何を考えていることやら。そんな事をして特殊能力を与えてもその人の成長には繋がりません。だってそうでしょ。なんの苦労も苦い経験もしたことも無い人に途方も無い力を与えてもその人が真の意味で成長した事にはなりませんから。それはその力を与えた女神達の責任です。その力を与えられた者達は皆自分の力だと勘違いをし天狗となり、傲り、そして人として堕落して行くのです。その事にその女神達は全く気付いてはいません。本当に嘆かわしい事です」
「まあ、確かに行き成りそんなチートな能力を与えられたら、努力する事なんて馬鹿馬鹿しいと思うかも知れないし……恐らくは苦労する事なんて無いのかもしれないな。そう考えるとその勇者と呼ばれている者達は皆不幸なのかもしれないな」
「ええ、まるで回りからちやほやともてはやされる裸の王様です。人としては何も成長をしてはいないと言うのに、本当に可哀想な人達です」
「可哀想な人達……か」
「と言うわけでラエルロットさん、例え私があなたの不運を吸い取ったとして、それであなたが幸せになったとしても、それはあくまでも私の力による物ですから貴方自身が苦難を乗り越えて成長したとは言えません。いやむしろ貴方の人間としての心の成長が退化してしまうかも知れません」
「それでも、それでもだ。そんな凄い力が貰えるのなら俺だって貰いたいよ。俺も出来たら冒険者になって、職業は勇者になりたいと思っているから!」
そのラエルロットの決意ある言葉にレスフィナは冷静な顔をしながら聞き返す。
「勇者ですか。この緑の星に住む人なら誰もが憧れるあの、第一級冒険者の資格を持つ人かその素質のある者にしかなる事の許されない、まさに選ばれた者だけにしかなれないとされる、あの特別な職業ですか。でも何故あなたはその勇者になりたいだなんて思うのですか。彼らに憧れているからですか?」
そのレスフィナの疑問にラエルロットは顔を真っ赤にしながら答える。
「確かに第一級冒険者の資格を持つ勇者職の英雄達には正直憧れてはいるが、それだけでは無い。凄く単純な話だよ。あんな凄い力があったら不幸な災いに苦しむ人々を、この崩壊しつつある世界を……この緑ある大地の世界を救う何かに少しでも貢献が出来るかも知れないじゃないか」
そのラエルロットの言葉に黒神子レスフィナは赤い瞳を輝かせると急に目じりを細める。
「この崩壊しつつある世界を救う……ですか」
「ああ、そうだ。だからこそ黒神子でもあるレスフィナも世界の崩壊を少しでも防ぐ為にこの世界に溜まる負の根源たる力を吸い取って世界中を旅して回っているんだろ!」
「え……ええ、まあ、そうなのですが……」
「もしもその願いが叶うのなら、出来ることなら俺も勇者になりたいよ。その力で不幸な思いをしている人々やこの緑ある星を破滅の闇から救う手助けがしたいんだ!」
「そうですか……ラエルロットさんは……あの選ばれた者だけがなれるとされる特別職の勇者になりたいのですね。もう既に自分の弱さも人の情けも知っているラエルロットさんなら例え勇者になっても、その道を踏み外すなんてことはまずしないでしょうから、私も陰ながら心から応援しますよ。なれるといいですね、その勇者に」
「いや、しみじみと言うなよ。冗談、冗談だから! 俺なんかがあの勇者になれるわけが無いだろう。あの勇者職になるには最低でも第一級冒険者の資格を持っていないといけないし、例え持っていてもその才能が無い者は当然その女神が出す試練すら受けることが出来ない。そうまさに本当に選ばれた者にしかなれない職業なんだ」
「でも、その挑戦する思いだけは忘れないで下さい。いつかその思いは何かの形できっと貴方を動かす力になるかも知れません」
「そんな物かな。じゃそろそろ家に戻ろうぜ。ハルばあちゃんが朝ご飯を温めて俺達を待っているだろうからな」
「ええ、帰りましょう。帰ったらちゃんとハルおばあさんに謝って下さいね」
「ああ、分かっているよ」
そうラエルロットが言葉を口にしたその時、行き成り下の町の所々で無数の爆発が起こり、町の人々の活気ある声が瞬時に悲鳴へと変わる。
ドゴッカアアアァァーン! ドッカアァァァァーン! ゴッカアアアァァーン!
「ぎゃあああああぁぁぁー、爆発が、町中で原因不明の爆発が起きているぞ!」
「一体なんの爆発だ。一体どこからこの爆発は起こっているんだ!」
麓の町から聞こえてくる人々の叫び声にこれはただ事では無いと感じたラエルロットは、急ぎ下へと降りる下り坂のルートを確認する。
「一体何なんだ、ついさっきまでは平和その物でなんともなかったのに、行き成りフタッツイの町の中の至る所でランダムに謎の爆発が起きているぞ。まるで予め町中に爆弾でも仕込んでいたかのようだ。これはただ事では無いみたいだ。ごめん、俺は急いでハルばあちゃんのいるヒノの村に戻るから先に行かせてもらうよ。レスフィナは無事を確認し次第、爆発のほとぼりが冷めてから無理なく帰ってくるんだ。いいな、わかったな!」
「分かりました先に行って下さい。あの原因不明の爆発はフタッツイの町中だけで起こっている現象のようですが、まだどうやらヒノの村の方では起きてはいない現象の様です。でも、それでもやはりハルおばあさんの身が心配ですからね」
「そう言う事だ。本当は二人で山を降りたい所だがどこで爆発が起こるかわからないし、まだ原因が不明だからな、レスフィナは謎の爆発がおさまってから来たほうがいいだろう。そんな訳ですまん、俺はハル婆ちゃんが心配だから先に行かせて貰うぜ!」
そう言うとラエルロットはあたふたしながら、急ぎヒノの村へと足を向けるのだった。
(ハルばあちゃん……ハルばあちゃん……どうか無事でいてくれ!)
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「え、俺なんかしました?」
ごく普通の大学生、朝霧 海(あさぎり かい)が迷い込んだのは、剣と魔法が息づく異世界エーテルディア。右も左も分からぬままモンスターに襲われた彼を救ったのは、聖なる光を操る謎の美少女、ルミナだった。
彼女は言った。『あなた、一体何者なの?』と。
カイ自身も知らない、触れたモノの”理”を書き換えるチート能力《概念編集(リアライター)》。
「ただの石」が「爆ぜる魔石」に? 「なまくらの剣」が「伝説級の聖剣」に!?
無自覚に規格外の力を振るうカイは、やがて国を追われる訳ありの少女ルミナと共に、巨大な陰謀に立ち向かう運命に巻き込まれていく。
これは、一人の平凡な青年が、大切な人を守るために世界の理すら書き換えて最強へと至る、王道異世界ファンタジー!
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
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「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!
追放された最弱村人、実は世界最強でした 〜神々に愛された無自覚チート、気づいたら聖女も魔王も嫁希望だった件〜
uzura
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「お前なんて役立たずだ」
そう言われて勇者パーティーを追放された平凡な村人リオ。
だが彼は知らなかった――幼少期に助けた白猫こそ、全知の神の化身だったことを。
神々に祝福されし彼の能力は、世界の理さえ書き換える本物のチート。
呪いを解いた聖女、復讐を誓う女勇者、忠誠を誓う魔族の姫。
彼女たちは皆、同じ男に惹かれていた。
運命を知らぬ“最弱”が、笑われ、裏切られ、やがて世界を救う――。
異世界無自覚最強譚、ここに開幕!
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