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第一章 黒神子レスフィナとの出会い編
8.試練と闇の契約
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8.試練と闇の契約
「おい、ミランダ、リリヤ、カーラ、この村にある掘っ立て小屋のような汚らしい家々を綺麗に掃除しろ。跡形も無く何もかもを崩壊させて更地にすればこの辺りも結構綺麗になるっしょ!」
「はい……分かりました……マスター」
まるで主君に遣える下僕のように直ぐさま跪くとうつろな目をした三人の聖女達は、近くにある家々を神より授かりし奇跡を起こす神力の権能で壊しに掛かる。
その神聖力は凄まじく。リリヤと名乗るセミロングヘアの聖女はそのノーリアクションから繰り出される爆発の能力で家々を崩壊させ。ミランダと名乗るショートヘアの聖女はその手から繰り出される凄まじい衝撃波の波動で崩壊した建物を瞬く間に吹き飛ばす。そんな二人の聖女を援護するかの様にボニーテールの髪型をしたカーラと名乗る聖女は生き残った村の人達を背中から繰り出す幾つもの茨の蔦で捕獲すると、その捕まえた村人達の体から何かを急激に吸い上げ始める。
どうやらこのカーラと言う聖女の能力は相手からHPやMPを吸い取り、その吸い取った体力や魔力を自分の味方に振り分ける事が出来る能力のようだ。
「一体何をするんですか。どうかやめて下さい、聖女様。なぜこんな事をするのですか。俺達が一体何をしたと……言うんですか。 助けて、助けて下さい! どうかご慈悲をぉぉ!」
「勇者様、お願いです、この聖女様達を止めて下さい。どうか、どうか……うぎゃああぁぁぁぁ!」
HPやMPを極限まで吸い上げられた村の人達は苦しみもだえながら瞬く間に命を吸い上げられ絶命していく。そんな村人達の悲痛な声にも眉一つ動かさない三人の聖女達はうつろな目を向けるとその場に人形のように佇む。
まるで大掃除でもするかの様に機械的にテキパキと仕事をこなす三人の聖女達の行いを見つめていた勇者不知火は、楽しそうに村の破壊を命令する勇者田中に溜息交じりに話す。
「はあ~っ。おい田中、遊びはそこら辺にしてもう行くぞ。そろそろ俺のパートナーでもある聖女フレアの奴が調査を終えて戻ってくる頃だからな」
「もうそんな時間ですか。なら直ぐにこのゴミにトドメを刺しますんで、ちょっと待っていて下さい。不知火先輩」
そんな冷徹非常な会話が飛び交う状況の中、ラエルロットは既に冷たくなっているハルおばあさんを見つめながら、数十秒後に自分にも確実に訪れるであろう死と言う現実に覚悟を決める。
田中と名乗るその邪悪な勇者に腹部を蹴り上げられたせいか内蔵が酷く傷付き、肋の何本かは折れ、吹っ飛ばされて地面に落ちた衝撃で頭部や体中の骨に深刻なダメージを負っているようだ。その証拠に激しい痛みと酷い頭痛のせいか体を思うように動かす事が出来ない。
体中が寒くなり体の痛覚が段々鈍くなるのを感じたラエルロットは確実に訪れる自分の死を確信する。
後頭部から流れ出る自分の血がまるで血だまりの様になった時、ラエルロットは薄れ行く意識の中で『これで俺の人生は終わるのか。俺は……たった一人の家族であったハルばあちゃんすらも救えず……惨めに死んでいくのか。結局俺は……何も出来ない駄目な人間だったんだな……』と思いながらその瞼をゆっくりと閉じようとする。そんなラエルロットの耳に何処かで聞いたかの様な、優しくも凛とした声が静かに語り掛ける。
もう頭がボーとしている時に……だ、誰だ……俺を呼ぶのは……?
無理やり意識を呼び起こされたラエルロットの視界の先には、何やらもの悲しげにラエルロットの顔を見る黒神子・レスフィナの姿があった。
綺麗な長い黒髪と薄汚れた黒いローブを風になびかせながらその場に佇む黒神子レスフィナは、仰向けに倒れているラエルロットの耳元に顔を近づけると静かに話し掛ける。
「これは一体どう言う事ですか。なぜあなたとハルおばあさんがこんな目に遭っているのですか。突然過ぎて状況がよく分からないのですが……。でも、今まさにあなたが生死に関わる瀕死の重傷を受けて死にそうになっている事だけはハッキリと分かります。どうやらあなたをこんなにした相手は向こうにいる異世界召喚者の二人の様ですね。恐らくはバカな女神達に召喚された地球人でしょうか。そしてそんな勇者もどきの二人の男に付き従う三人の聖女様達ですか。見た感じではどうやら彼女達は何らかの神器的なアイテムで精神支配を受けているようですが、人の殺害や建物の破壊に積極的に使われている様ですわね。そして、どうやらその男女を含めた彼ら五人が、フタッツイの町の爆発事件を起こした犯人と言う訳ですか。あの爆発に巻き込まれた町の人達の中にはまだ年端もいかない子供や体が弱っている年老いた老人達もいたと言うのに、本当に嘆かわしい事です」
「レ、レスフィナか……もう家まで来ていたのか。レスフィナ、すまないが、ハルばあちゃんの方は本当に死んでしまったのか……調べてはくれないか……もしかしたらまだ息があるかも……?」
いつの間にか目の前にいるレスフィナに目を向けるとラエルロットは数少ない小さな希望にすがるかのように、今も動かないでいるハルおばあさんの生死を必死に聞く。自分の目でだけでは無く、第三者でもあるレスフィナにもハルおばあさんの今の状態を見て貰いたかったからだ。
もしかしたらラエルロットの目測が狂っていて、本当はハルおばあさんはまだ生きているかも知れない。
ハル婆ちゃんはまだ生きていますよと、そうレスフィナに言って貰いたかったのだが、その僅かな願いは脆くも崩れ去ってしまう。
その絶望的な残酷な見解を言おうか言うまいかを迷っていたレスフィナだったが、ついには覚悟を決めたのか、目の前にある現実を正直にラエルロットに告げる。
「残念ながらハルおばあさんの方はもう既に亡くなっているようです。短い間ではありましたが、大変親切にして貰ったのでとても残念です」
「そうか……本当に死んでしまったのか……そうか……死んでしまったか」
そう言うとラエルロットは力なくまぶたを伏せる。何故なら後は残り少ない自分の死に行く時間を待つだけだからだ。
(ハルばあちゃん、一人にしてすまない。俺ももうすぐそっちに行くよ。)
ラエルロットがそう心の中で呟いたその時、仕方が無いと言った感じで、意を決した黒神子・レスフィナが死にゆくラエルロットに向けてある提案を持ち掛ける。その提案とはにわかには信じられない物だった。
「ラエルロットさん、ハルお婆さんから聞きましたよ。あなたの夢は二千年前にこの緑の星に降り立った古代の地球人の人達が残したとされる、様々ないろんな古代の遺跡や建物を探し出して探検し、全ての謎を追い求める一級冒険者になる事ですよね。そしてその役職は、誰もが憧れる特別職の勇者になる事だとか」
(ハル婆ちゃん……余計なことを言うなよ……)とおぼろげに思うラエルロットに構わず黒神子レスフィナは話を続ける。
「旅の先で困っている人や苦しんでいる人達を救う……そうまるで子供のおとぎ話に出て来るような世界を救う……正義と愛と優しさを合わせ持つ完全無欠の勇者になる事をあなたは憧れと共に密かに目指している。違いますか」
「た、確かにそうだが、それがなんだと言うんだ?」
「ならその途方もない大それた夢、私が叶えて差しあげましょうか。勿論その契約の代償には物凄いリスクを一緒に背負い込んでしまう事になるのですが」
「リ……リスク……か……」
「はい、途方もないリスクです。それでもあなたは……この私と闇の契約を結ぶ勇気がありますか!」
(契約を結ぶ?……一体どう言う事だ?)
無反応のラエルロットにかまうこと無くレスフィナは更に話を続ける。
「つまりあなたは私の力を受け入れるその代償として、その体に呪いを受けると言う事です。もし成功すればあなたはこの瀕死の状態から助かる事が出来るでしょう。つまり私を守る……私の力を媒体とした闇の眷属の力を手に入れると言う事です。
(闇の眷属か……でも闇落ちは嫌だな……)
「ただし、私とのこの呪いの契約を受けた際の成功確率は100%の内の25%です。つまりは四分の一の確率にあなたはその運命を託すと言う事です。勿論失敗したら即死が待っていますが、今のあなたは掘って置いても死んでしまいそうなので試みて見るのもいいかも知れませんよ。残念ながら私は回復魔法の様な類いの物は使えませんから、この方法しか、あなたを救う方法が思い浮かびません。本当にすいません」
(四分の一か……結構な博打だな……)
「でも私との、この呪いの契約を結ぶつもりなら覚悟をして下さい。私と闇の契約を結ぶ事であなたは大きな力を手に入れる事が出来ますが、代わりにあなたの運命を悪い方に変える出来事が次々と起こります。つまりこの呪いの力にはそれ相応のリスクがあるのです。そうあなたの心と体を蝕む試練が始まるのです。そんな訳で実際はそんなに都合のいい力では無いと言う事だけは覚えて置いて下さい。もしもこの契約を結んでしまったら、あなたは英雄になる力と引き換えに理不尽な数多くの試練と対峙する事になるのですから!」
(理不尽な数多くの試練だとう……ゲッホ、ゲッホ……ゲッホ!)そう思いながらラエルロットはつらそうに何度も咳き込み、その度に口から血を吐く。
そんな光景を遠くから見ていた勇者田中が行き成り現れたレスフィナをせせら笑いながら悪態をつく。
「何だ、お前は。行き成り出て来てそこにいる村人Aと知り合いなのか。どうやらそいつを助けたいらしいが、今そこにいるゴミ共を殺す最後の大詰めをして楽しんでいるんだから、邪魔なんかしてんじゃねえよ。そこに転がっている死体の様にお前も一緒に吹き飛ばすぞ! ははははっ!」
「あなたが……私をですか……。出来る物なら是非ともやってみて下さい。でもその時は覚悟をして下さい。例えどこぞの馬鹿女神に召喚された異世界召喚者の勇者が相手でも、私に向けて殺意ある攻撃をして来た不届き者には、容赦なくその闇の呪いを与えますから。どうかそのつもりで掛かってきて下さい!」
十代の少女にしか見えない黒神子レスフィナから発せられる怒りとその威圧される凄みに、忠告と威嚇をされた勇者田中は大いに逆上する。
「言ったな、この薄汚い小娘が。いいだろう、だったら今すぐに俺が一瞬でお前らを消し去ってやるよ。俺の圧倒的な最強の強さに、許しをこいながら泣き叫ぶお前の光景が目に浮かぶぜ。ハハハハハハーーッ!」
豪快に笑いながらレスフィナの元に行こうとする勇者田中を、勇者不知火が顔を青ざめさせながら必死に止める。その表情からは明らかにおびえにも似た感情が滲み出ていた。
「やめとけ田中、恐らくあいつは遙か闇なる世界の使者、黒神子だ。しかもあの牛のような頭から生えた角と牛の尻尾は、恐らくあいつは一番災厄な黒神子・レスフィナだ。別名上級ランク冒険者殺しの異名を持つ英雄殺しの黒神子だ。気をつけろ、噂じゃその闇の力に触れると魂を瞬時に汚されるらしいぞ!」
「魂を汚されるだとう。なんだかそれは面白そうだな。つまりあいつはかなり強いという事ですか。そんなに強いのなら、あいつも不知火先輩が持つ古代の遺物『支配の灯火』の力でいつものように精神支配をすればいいじゃないですか。そうなれば少しは俺達の戦力になるんじゃありませんか」
「あの黒神子と言う存在にはそう言う常識は一切通用しないんだよ。前に俺の知り合いの勇者の一行があの黒神子レスフィナに遭遇したらしいんだが、憂さ晴らしに戦いを挑んだ結果、その日のうちにみんな全滅させられたと言う話だ。流石に死人はでなかったが、そのステータスに深刻な状態異常を与えられてしまうと言う話だ。しかも一度その呪いによるダメージを受けるともう二度と元には戻らないらしい。それ以来俺達は黒神子・レスフィナにはなるべく近づかないようにしている」
「なんですか、その胡散臭い話は。最強のレベル100の不知火先輩が、たった一人の貧相そうな薄汚いガキに怖じ気づくだなんて可笑しいですよ。ならその噂がどこまで本物か、俺が代わりに試してやりますよ。不知火先輩はそこで見ていて下さい。ただの取り越し苦労だと言う事が直ぐに分かりますから!」
「だが、ちょっとまて。何やらあの黒神子があの倒れている村人Aに何かをするみたいだぞ。先ずはそれを確かめてからでも遅くは無いんじゃないのか。何やら面白い物が見れるかも知れんぞ」
そんな勇者不知火と勇者田中が遠巻きに様子を見守る中、レスフィナの話は尚も続く。
「ラエルロットさん……この呪いを受けてこの先ずう~と苦しむよりは、このままここで死んでしまった方がもしかしたら楽なのかも知れません。ですが、あなたにはまだ叶えなければならない夢があるのではないかと思いましてね。その決して諦めない夢とその誇り有る信念に私は掛けてみたいと思ったのです。どうしますか、私との闇の契約を結びますか?」
そのレスフィナの問いにラエルロットは無言でうなずいてから小さく言葉を発する。
「お、俺の夢は、上級の冒険者になることだ。そして……職業はあのみんなが憧れる特別職の勇者になって……困っている人や理不尽な暴力を受けている人達を守り……この世界に数々の遺跡を残した……二千年前にこの緑ある星に現れた、最初の地球人の人達の残した謎を解明する事だ。そうすれば今この世界に来ている異世界召喚者達の事も、少しは分かるはずだから……」
「分かりました。ではラエルロットさん。あなたが無事にこの契約の呪いに打ち勝ち、再び生き帰った暁には、あなたを私の眷属として認めましょう。では呪いの契約と言う名の最初の試練をどうか受け取って下さい。そして、どうか私の元に無事に帰ってきて下さい」
そう言うと黒神子・レスフィナは何かの呪文を唱えると、持っていたナイフで右腕の手首を豪快に切りつける。その瞬間、その流れ落ちる大量の生き血はまるで噴水のように周りにと広がり、下で倒れているラエルロットの体に降り注ぐ。
(な、なんだ、この生臭い暖かな液体は? まさかレスフィナが自分の血を俺に掛けているのか。結構な量だけどレスフィナは大丈夫なのか。かなりの血の量を放出している様に見えるんだが。それにしてもこの血の力は、まるで自分の体から切り離された魂が……そのまま底なしの地面へと落ちて行くかのような感覚を誘うな。直ぐに意識が飛びそうだ。これは流石にまずいんじゃないのか。本当に不味い……不味いぞ。それは危険を感じる本能でなんとなく分かる。何か得体の知れない闇の強い力で下へと……下へと引っ張られるかのようだ。そうまるで奈落の闇の底へと強制的に引きずり込まれるかのように……うわっああぁーーっ!)
全身に浴びせ掛けられた闇の血液の呪縛にラエルロットの意識は、まるで何かに引っ張られて行くように完全に闇の中へと落ちていくのだった。
異世界召喚者の一人、爆炎の勇者、不知火です。非情で冷酷な性格だが冷静沈着で利己的に動きます。勇者田中の先輩です。
「おい、ミランダ、リリヤ、カーラ、この村にある掘っ立て小屋のような汚らしい家々を綺麗に掃除しろ。跡形も無く何もかもを崩壊させて更地にすればこの辺りも結構綺麗になるっしょ!」
「はい……分かりました……マスター」
まるで主君に遣える下僕のように直ぐさま跪くとうつろな目をした三人の聖女達は、近くにある家々を神より授かりし奇跡を起こす神力の権能で壊しに掛かる。
その神聖力は凄まじく。リリヤと名乗るセミロングヘアの聖女はそのノーリアクションから繰り出される爆発の能力で家々を崩壊させ。ミランダと名乗るショートヘアの聖女はその手から繰り出される凄まじい衝撃波の波動で崩壊した建物を瞬く間に吹き飛ばす。そんな二人の聖女を援護するかの様にボニーテールの髪型をしたカーラと名乗る聖女は生き残った村の人達を背中から繰り出す幾つもの茨の蔦で捕獲すると、その捕まえた村人達の体から何かを急激に吸い上げ始める。
どうやらこのカーラと言う聖女の能力は相手からHPやMPを吸い取り、その吸い取った体力や魔力を自分の味方に振り分ける事が出来る能力のようだ。
「一体何をするんですか。どうかやめて下さい、聖女様。なぜこんな事をするのですか。俺達が一体何をしたと……言うんですか。 助けて、助けて下さい! どうかご慈悲をぉぉ!」
「勇者様、お願いです、この聖女様達を止めて下さい。どうか、どうか……うぎゃああぁぁぁぁ!」
HPやMPを極限まで吸い上げられた村の人達は苦しみもだえながら瞬く間に命を吸い上げられ絶命していく。そんな村人達の悲痛な声にも眉一つ動かさない三人の聖女達はうつろな目を向けるとその場に人形のように佇む。
まるで大掃除でもするかの様に機械的にテキパキと仕事をこなす三人の聖女達の行いを見つめていた勇者不知火は、楽しそうに村の破壊を命令する勇者田中に溜息交じりに話す。
「はあ~っ。おい田中、遊びはそこら辺にしてもう行くぞ。そろそろ俺のパートナーでもある聖女フレアの奴が調査を終えて戻ってくる頃だからな」
「もうそんな時間ですか。なら直ぐにこのゴミにトドメを刺しますんで、ちょっと待っていて下さい。不知火先輩」
そんな冷徹非常な会話が飛び交う状況の中、ラエルロットは既に冷たくなっているハルおばあさんを見つめながら、数十秒後に自分にも確実に訪れるであろう死と言う現実に覚悟を決める。
田中と名乗るその邪悪な勇者に腹部を蹴り上げられたせいか内蔵が酷く傷付き、肋の何本かは折れ、吹っ飛ばされて地面に落ちた衝撃で頭部や体中の骨に深刻なダメージを負っているようだ。その証拠に激しい痛みと酷い頭痛のせいか体を思うように動かす事が出来ない。
体中が寒くなり体の痛覚が段々鈍くなるのを感じたラエルロットは確実に訪れる自分の死を確信する。
後頭部から流れ出る自分の血がまるで血だまりの様になった時、ラエルロットは薄れ行く意識の中で『これで俺の人生は終わるのか。俺は……たった一人の家族であったハルばあちゃんすらも救えず……惨めに死んでいくのか。結局俺は……何も出来ない駄目な人間だったんだな……』と思いながらその瞼をゆっくりと閉じようとする。そんなラエルロットの耳に何処かで聞いたかの様な、優しくも凛とした声が静かに語り掛ける。
もう頭がボーとしている時に……だ、誰だ……俺を呼ぶのは……?
無理やり意識を呼び起こされたラエルロットの視界の先には、何やらもの悲しげにラエルロットの顔を見る黒神子・レスフィナの姿があった。
綺麗な長い黒髪と薄汚れた黒いローブを風になびかせながらその場に佇む黒神子レスフィナは、仰向けに倒れているラエルロットの耳元に顔を近づけると静かに話し掛ける。
「これは一体どう言う事ですか。なぜあなたとハルおばあさんがこんな目に遭っているのですか。突然過ぎて状況がよく分からないのですが……。でも、今まさにあなたが生死に関わる瀕死の重傷を受けて死にそうになっている事だけはハッキリと分かります。どうやらあなたをこんなにした相手は向こうにいる異世界召喚者の二人の様ですね。恐らくはバカな女神達に召喚された地球人でしょうか。そしてそんな勇者もどきの二人の男に付き従う三人の聖女様達ですか。見た感じではどうやら彼女達は何らかの神器的なアイテムで精神支配を受けているようですが、人の殺害や建物の破壊に積極的に使われている様ですわね。そして、どうやらその男女を含めた彼ら五人が、フタッツイの町の爆発事件を起こした犯人と言う訳ですか。あの爆発に巻き込まれた町の人達の中にはまだ年端もいかない子供や体が弱っている年老いた老人達もいたと言うのに、本当に嘆かわしい事です」
「レ、レスフィナか……もう家まで来ていたのか。レスフィナ、すまないが、ハルばあちゃんの方は本当に死んでしまったのか……調べてはくれないか……もしかしたらまだ息があるかも……?」
いつの間にか目の前にいるレスフィナに目を向けるとラエルロットは数少ない小さな希望にすがるかのように、今も動かないでいるハルおばあさんの生死を必死に聞く。自分の目でだけでは無く、第三者でもあるレスフィナにもハルおばあさんの今の状態を見て貰いたかったからだ。
もしかしたらラエルロットの目測が狂っていて、本当はハルおばあさんはまだ生きているかも知れない。
ハル婆ちゃんはまだ生きていますよと、そうレスフィナに言って貰いたかったのだが、その僅かな願いは脆くも崩れ去ってしまう。
その絶望的な残酷な見解を言おうか言うまいかを迷っていたレスフィナだったが、ついには覚悟を決めたのか、目の前にある現実を正直にラエルロットに告げる。
「残念ながらハルおばあさんの方はもう既に亡くなっているようです。短い間ではありましたが、大変親切にして貰ったのでとても残念です」
「そうか……本当に死んでしまったのか……そうか……死んでしまったか」
そう言うとラエルロットは力なくまぶたを伏せる。何故なら後は残り少ない自分の死に行く時間を待つだけだからだ。
(ハルばあちゃん、一人にしてすまない。俺ももうすぐそっちに行くよ。)
ラエルロットがそう心の中で呟いたその時、仕方が無いと言った感じで、意を決した黒神子・レスフィナが死にゆくラエルロットに向けてある提案を持ち掛ける。その提案とはにわかには信じられない物だった。
「ラエルロットさん、ハルお婆さんから聞きましたよ。あなたの夢は二千年前にこの緑の星に降り立った古代の地球人の人達が残したとされる、様々ないろんな古代の遺跡や建物を探し出して探検し、全ての謎を追い求める一級冒険者になる事ですよね。そしてその役職は、誰もが憧れる特別職の勇者になる事だとか」
(ハル婆ちゃん……余計なことを言うなよ……)とおぼろげに思うラエルロットに構わず黒神子レスフィナは話を続ける。
「旅の先で困っている人や苦しんでいる人達を救う……そうまるで子供のおとぎ話に出て来るような世界を救う……正義と愛と優しさを合わせ持つ完全無欠の勇者になる事をあなたは憧れと共に密かに目指している。違いますか」
「た、確かにそうだが、それがなんだと言うんだ?」
「ならその途方もない大それた夢、私が叶えて差しあげましょうか。勿論その契約の代償には物凄いリスクを一緒に背負い込んでしまう事になるのですが」
「リ……リスク……か……」
「はい、途方もないリスクです。それでもあなたは……この私と闇の契約を結ぶ勇気がありますか!」
(契約を結ぶ?……一体どう言う事だ?)
無反応のラエルロットにかまうこと無くレスフィナは更に話を続ける。
「つまりあなたは私の力を受け入れるその代償として、その体に呪いを受けると言う事です。もし成功すればあなたはこの瀕死の状態から助かる事が出来るでしょう。つまり私を守る……私の力を媒体とした闇の眷属の力を手に入れると言う事です。
(闇の眷属か……でも闇落ちは嫌だな……)
「ただし、私とのこの呪いの契約を受けた際の成功確率は100%の内の25%です。つまりは四分の一の確率にあなたはその運命を託すと言う事です。勿論失敗したら即死が待っていますが、今のあなたは掘って置いても死んでしまいそうなので試みて見るのもいいかも知れませんよ。残念ながら私は回復魔法の様な類いの物は使えませんから、この方法しか、あなたを救う方法が思い浮かびません。本当にすいません」
(四分の一か……結構な博打だな……)
「でも私との、この呪いの契約を結ぶつもりなら覚悟をして下さい。私と闇の契約を結ぶ事であなたは大きな力を手に入れる事が出来ますが、代わりにあなたの運命を悪い方に変える出来事が次々と起こります。つまりこの呪いの力にはそれ相応のリスクがあるのです。そうあなたの心と体を蝕む試練が始まるのです。そんな訳で実際はそんなに都合のいい力では無いと言う事だけは覚えて置いて下さい。もしもこの契約を結んでしまったら、あなたは英雄になる力と引き換えに理不尽な数多くの試練と対峙する事になるのですから!」
(理不尽な数多くの試練だとう……ゲッホ、ゲッホ……ゲッホ!)そう思いながらラエルロットはつらそうに何度も咳き込み、その度に口から血を吐く。
そんな光景を遠くから見ていた勇者田中が行き成り現れたレスフィナをせせら笑いながら悪態をつく。
「何だ、お前は。行き成り出て来てそこにいる村人Aと知り合いなのか。どうやらそいつを助けたいらしいが、今そこにいるゴミ共を殺す最後の大詰めをして楽しんでいるんだから、邪魔なんかしてんじゃねえよ。そこに転がっている死体の様にお前も一緒に吹き飛ばすぞ! ははははっ!」
「あなたが……私をですか……。出来る物なら是非ともやってみて下さい。でもその時は覚悟をして下さい。例えどこぞの馬鹿女神に召喚された異世界召喚者の勇者が相手でも、私に向けて殺意ある攻撃をして来た不届き者には、容赦なくその闇の呪いを与えますから。どうかそのつもりで掛かってきて下さい!」
十代の少女にしか見えない黒神子レスフィナから発せられる怒りとその威圧される凄みに、忠告と威嚇をされた勇者田中は大いに逆上する。
「言ったな、この薄汚い小娘が。いいだろう、だったら今すぐに俺が一瞬でお前らを消し去ってやるよ。俺の圧倒的な最強の強さに、許しをこいながら泣き叫ぶお前の光景が目に浮かぶぜ。ハハハハハハーーッ!」
豪快に笑いながらレスフィナの元に行こうとする勇者田中を、勇者不知火が顔を青ざめさせながら必死に止める。その表情からは明らかにおびえにも似た感情が滲み出ていた。
「やめとけ田中、恐らくあいつは遙か闇なる世界の使者、黒神子だ。しかもあの牛のような頭から生えた角と牛の尻尾は、恐らくあいつは一番災厄な黒神子・レスフィナだ。別名上級ランク冒険者殺しの異名を持つ英雄殺しの黒神子だ。気をつけろ、噂じゃその闇の力に触れると魂を瞬時に汚されるらしいぞ!」
「魂を汚されるだとう。なんだかそれは面白そうだな。つまりあいつはかなり強いという事ですか。そんなに強いのなら、あいつも不知火先輩が持つ古代の遺物『支配の灯火』の力でいつものように精神支配をすればいいじゃないですか。そうなれば少しは俺達の戦力になるんじゃありませんか」
「あの黒神子と言う存在にはそう言う常識は一切通用しないんだよ。前に俺の知り合いの勇者の一行があの黒神子レスフィナに遭遇したらしいんだが、憂さ晴らしに戦いを挑んだ結果、その日のうちにみんな全滅させられたと言う話だ。流石に死人はでなかったが、そのステータスに深刻な状態異常を与えられてしまうと言う話だ。しかも一度その呪いによるダメージを受けるともう二度と元には戻らないらしい。それ以来俺達は黒神子・レスフィナにはなるべく近づかないようにしている」
「なんですか、その胡散臭い話は。最強のレベル100の不知火先輩が、たった一人の貧相そうな薄汚いガキに怖じ気づくだなんて可笑しいですよ。ならその噂がどこまで本物か、俺が代わりに試してやりますよ。不知火先輩はそこで見ていて下さい。ただの取り越し苦労だと言う事が直ぐに分かりますから!」
「だが、ちょっとまて。何やらあの黒神子があの倒れている村人Aに何かをするみたいだぞ。先ずはそれを確かめてからでも遅くは無いんじゃないのか。何やら面白い物が見れるかも知れんぞ」
そんな勇者不知火と勇者田中が遠巻きに様子を見守る中、レスフィナの話は尚も続く。
「ラエルロットさん……この呪いを受けてこの先ずう~と苦しむよりは、このままここで死んでしまった方がもしかしたら楽なのかも知れません。ですが、あなたにはまだ叶えなければならない夢があるのではないかと思いましてね。その決して諦めない夢とその誇り有る信念に私は掛けてみたいと思ったのです。どうしますか、私との闇の契約を結びますか?」
そのレスフィナの問いにラエルロットは無言でうなずいてから小さく言葉を発する。
「お、俺の夢は、上級の冒険者になることだ。そして……職業はあのみんなが憧れる特別職の勇者になって……困っている人や理不尽な暴力を受けている人達を守り……この世界に数々の遺跡を残した……二千年前にこの緑ある星に現れた、最初の地球人の人達の残した謎を解明する事だ。そうすれば今この世界に来ている異世界召喚者達の事も、少しは分かるはずだから……」
「分かりました。ではラエルロットさん。あなたが無事にこの契約の呪いに打ち勝ち、再び生き帰った暁には、あなたを私の眷属として認めましょう。では呪いの契約と言う名の最初の試練をどうか受け取って下さい。そして、どうか私の元に無事に帰ってきて下さい」
そう言うと黒神子・レスフィナは何かの呪文を唱えると、持っていたナイフで右腕の手首を豪快に切りつける。その瞬間、その流れ落ちる大量の生き血はまるで噴水のように周りにと広がり、下で倒れているラエルロットの体に降り注ぐ。
(な、なんだ、この生臭い暖かな液体は? まさかレスフィナが自分の血を俺に掛けているのか。結構な量だけどレスフィナは大丈夫なのか。かなりの血の量を放出している様に見えるんだが。それにしてもこの血の力は、まるで自分の体から切り離された魂が……そのまま底なしの地面へと落ちて行くかのような感覚を誘うな。直ぐに意識が飛びそうだ。これは流石にまずいんじゃないのか。本当に不味い……不味いぞ。それは危険を感じる本能でなんとなく分かる。何か得体の知れない闇の強い力で下へと……下へと引っ張られるかのようだ。そうまるで奈落の闇の底へと強制的に引きずり込まれるかのように……うわっああぁーーっ!)
全身に浴びせ掛けられた闇の血液の呪縛にラエルロットの意識は、まるで何かに引っ張られて行くように完全に闇の中へと落ちていくのだった。
異世界召喚者の一人、爆炎の勇者、不知火です。非情で冷酷な性格だが冷静沈着で利己的に動きます。勇者田中の先輩です。
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これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
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転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
「え、俺なんかしました?」無自覚チート《概念編集》で石ころを魔石に、なまくらを聖剣に書き換えて、国を追われた聖女様と世界を救う
黒崎隼人
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◆◇◆完結保証◆◇◆
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「え、俺なんかしました?」
ごく普通の大学生、朝霧 海(あさぎり かい)が迷い込んだのは、剣と魔法が息づく異世界エーテルディア。右も左も分からぬままモンスターに襲われた彼を救ったのは、聖なる光を操る謎の美少女、ルミナだった。
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カイ自身も知らない、触れたモノの”理”を書き換えるチート能力《概念編集(リアライター)》。
「ただの石」が「爆ぜる魔石」に? 「なまくらの剣」が「伝説級の聖剣」に!?
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【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
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「え? これ、ただのトマトですよ?」
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ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
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伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
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氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
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氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
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