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第二章 黒神子・妖精喰いのヨーミコワ編
2-8.蛾の妖精達の眠る地
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2ー8.蛾の妖精達の眠る地
「ふう、しかし今夜は綺麗な星空だな。こんな隠れ里のような深い山の中にも月明かりに照らされて光が射している場所があるんだな。これなら持っているランプもいらないくらいだぜ。それにしても光ながら草原を緩やかに飛び回っているこの虫はなんだ? 見た感じだと地球人の世界でいう所の蛍虫のようにも見えるが少し違うようだ。この世界での正式名所は確か光真虫とか呼んでいたかな。まあ俺達の地方の村ではこの虫の事は訳して光虫と呼んでいるがな。あ、そうかこの蛍という知識も二千年前の異世界人達が発動させたという知識共有の呪いの力か。そんな世界の常識すらも変える事のできる古代の遺物がもしかしたらこの世界の何処かにまだ埋もれているのかも知れない。フフフフ、おもしれえ、おもしれえぜ、そんな凄い未知なる古代の遺物がこの世界中の土地に幾つも隠されていると思っただけで、もうドキドキとワクワクが止まらないよ!」
時刻は夜の二十四時0三分。
少しトイレに行ってくると言って蛾の妖精の村から森が生い茂る草むらまで向かったラエルロットはそこで細い獣道を見つけ、そのまま何かに導かれるかのように奥へ奥へと進んでいく。その獣道の先で木々が開けたちょっとした草原へと辿り着いたラエルロットは、その場所だけが月明かりに照らされている幻想的な光景に目を奪われる。
しかもその綺麗な草原の周りを小さく光り輝きながら静かに飛ぶ無数の光虫がまるでこの場所を訪れたラエルロットを歓迎するかのように微妙に距離を取りながらラエルロットの回りをゆっくりと飛び回る。
「用を足すついでについ小さな光に釣られてなんとなくここまで来てしまったが、この草原のような場所は一体なんだ。光虫がこんなにいると言う事は光虫が生息している繁殖の場所なのかな? まあいずれにしてもだ、普段ならこんな真夜中にたった一人で外を出歩いたりは絶対にしないんだが、真っ暗なはずの森の中だというのに月明かりと光虫が森の中を幻想的に怪しく照らしているせいかここまですんなりと来てしまった。もしかしてこの山に住まう何かに導かれてしまったのかな……なんてな」
そんな笑えない冗談を言いながら一人でこの場所の不気味差を今更ながらに感じていたラエルロットはやはり帰ろうと元来た道を歩き出すが、その動きに合わせるかのように夜空をゆっくりと飛んでいた光虫達が皆一斉に下へと降り、より強く光り輝く。その光景はまさに怪しく且つ妖艶的で、そのもの悲しげな儚い美しさから思わずその場で見入ってしまう。
(この光虫達の光景って、一体なんだ。もしかして俺に何か伝えたい事でもあるのか?)
一瞬そんな事を考えたラエルロットだったが「んな訳がないか」といいながらその考えをバッサリと否定する。現実的にラエルロットは昆虫と心を通わせた事も、ましてや話をした事も当然無いからだ。
「まあ確かにこの場所は幻想的で物凄く綺麗な場所だが、ず~とこの場所にいると何だか知らないが物凄く悲しい気持ちになってくるな。気も滅入ってしまうし、そろそろみんなの所に戻らないといけないな。おそらくは明日の朝も早いだろうからな」
そう溜息混じるに言うとラエルロットは、ここまで歩いて来た獣道の方に持っているランプの明かりを向ける。
「流石に帰りの道で迷子にならないとは思うが、この場所が隠れ里の結界の中かどうかは分からないから急いで元の場所に戻らないとな。こんな寂しい森の中で、妖精喰いのヨーミコワとかいう黒神子と遭遇をしてしまったらハッキリ言って洒落にならないからな。ここは急いで帰るか」
一年前の襲撃で隣の山に住んでいた蛾の妖精達は皆、妖精喰いのヨーミコワに食べられ、ルナとその幾人かの弟・妹達を残して全滅している事を思い出し急いでこの場所から離れようとする。すると、後ろの方で誰かの気配がし、咄嗟に声を掛けられる。
「よう、黒い鎧の人間、こんな所で一体何をしているんだ。こんな夜にまさか散歩か」
「だ、誰だ?」
行き成り闇夜が広がる森の中から聞こえて来た声に思わずビビりまくるラエルロット。
不気味に木々が生い茂る暗闇から声を掛けてきたのは若くて野生感溢れる狼フェイスがよく似合う(新人の若者達の中ではかなり強い……と言われている)狼魔族のゴンタだった。
ゴンタはまるで威嚇をするかのように激しくラエルロットを睨みつけていたが、その数秒後、大きく溜息をつくとその警戒を解く。
「未だに信じられないが、まさかお前があの遙か闇なる世界の黒神子・レスフィナの眷属だとはな。なら俺達をたった一人で蹴散らしたあの異常な強さもうなずけるぜ。あの禍々しい黒い鎧を全身に着込んだ瞬間、お前の戦闘力は何倍にも上昇したのを感じたからな。だが俺が見た感じではあの異常な力にはそれなりにリスクとペナルティーがあるはずだ。お前の基本的な能力がレベル1ならそう長々とあの力を維持することは困難だからな。だからお前は戦いを急いだ。そうだろ」
(いや、俺にはレスフィナから直に魔力供給がされているから不死の能力でその復讐の鎧の力をある程度はカバーが出来る。だから狼魔族程度ならたとえ何十匹掛かって来ようとも特に問題はない。て事を一から説明するのも面倒くさいし口論になるかも知れないから、その事は黙っておこう)
心の中でそう呟いたラエルロットは腰に下げている不格好な形に削り作られた真っ黒な木刀の柄に手を添えると、目の前にいる狼魔族のゴンタに一応は警戒をする。
それだけゴンタの動きの速さには目を見張る物があるし、こんな暗闇が広がる森の中でもしも襲われたら一溜まりもない事をラエルロットは知っているからだ。
復讐の鎧を呼び出し、装着するにしても時空転移までには数秒程の時間はどうしても掛かってしまうし、何よりレスフィナから100メートル以上離れてしまったら、不死の能力が消えてしまうという欠点を相手側に気付かれる恐れもある。だからこその警戒である。
今現在レスフィナとの距離がどのくらいなのかがイマイチ分からない以上無闇にゴンタとは戦いたくはないと言うのが本音だ。
もしも何かのきっかけで戦いにでもなろう物ならたとえ復讐の鎧を呼び出し装着する事に成功したとしても不死でないのなら、その強大な復讐の鎧の力を使った時点でラエルロットの体は粉微塵に吹き飛ぶ事だろう。
その欠点をゴンタに気付かれる訳にはいかないと思ったラエルロットは「いいや、余裕だよ、余裕。俺は不可能を可能にする力を持つ、まさに勇者になるべく選ばれた男だからな!」と必死に虚勢を張りながら自分自身を強そうに見せる。
だがそんなラエルロットの虚言を聞いていた狼魔族のゴンタは少しだけ沈黙し何かを考えていたが、直ぐに思っていた事を口にする。
「この隠れ里の中に住んでいる蛾の妖精達は皆……お前達が振る舞ったホケホケ鳥の肉入りスープを美味そうに食っていたな。それにみんな何だか楽しげで笑顔だった」
「ああ、そうだな、まさかホケホケ鳥のスープを一緒に食べただけであそこまで喜んでくれるとは正直思わなかったよ。みんなホケホケ鳥の肉入りスープは食べたことがなかったのかな。だから普段食べ慣れない未知の食材にも関わらずあれだけうまい旨いと食べてくれたんだろうぜ」
「いいや、それだけでは無いぜ。ホケホケ鳥のスープが旨いと言うよりも、共に並んで一緒に食事をしようと言ってくれた事にかなり驚いていたからな。その優しい心遣いが嬉しかったんじゃないのか。だからみんなあれだけうれしそうにホケホケ鳥のスープを飲んで騒いでいたんだよ。その証拠にあれだけ俺達の存在に怯えていた蛾の妖精達は後半の方では持参の蜂蜜酒を飲みながら舞い踊っていたからな。しかもその様子を見ていた蛾の妖精の長老は感極まって泣いていただろ」
「確かにそうだが、ホケホケ鳥のスープを振る舞って共に食事をした事がそんなに嬉しかったのかな?」
そのラエルロットの言葉に狼魔族のゴンタは少しあきれた顔をし、小さくフッと笑う。
「なんだよ、気付いてなかったのかよ。蛾の妖精族と言ったら背中に羽を持つ他の妖精達からも忌み嫌われているし、人間においては忌み嫌っているのにプラスして迫害までしている。そもそも冒険者のガイド役のパートナーでもある優秀な妖精達は例外として、他の妖精達と人間では人間の方が圧倒的に優位であり社会的にも力のヒエラルキーは完全に上なんだよ。そしてその肩身が狭い妖精達の中でも更に底辺的に肩身が狭い蛾の妖精族が同じ場所で共に食事を分け合って食べるなど先ず有り得ないし、ない事なんだよ。なぜなら蛾の妖精族は昔から不幸と災いを呼ぶと考えられているからな。そんな不幸を招くかも知れない象徴と共に食事はしたくはないと……普通の人間ならそう考えるだろ。そして彼らは昔から人と蛾の妖精達との関係はそういう物だと思っていたはずだ。故にその迫害の対象は狼魔族や犬人族と言った亜人族にとっても対応は皆同じだと言う事だ」
「そ、そんな、酷いじゃないか。ただ一緒に、同じ空間で食事をする事すらも人間達に拒まれていると言うのか!」
「ああ、現実はそういう物だ。でもなぜかお前らはそうじゃなかった。普通に食事に誘ってくれて……暖かで美味しい食べ物を惜しげも無く振る舞ってくれて、しかも同じ場所で共に語らい会いながら一緒にご飯を食べてくれた。その事がとても嬉しかったんだよ。だから皆……戸惑い・笑い・そしてうれし泣きをしていたんだよ」
「そ、そうだったのか、それはちっとも知らなかったぜ。人間たちに蛾の妖精族達が迫害されている事は勿論知ってはいたが、まさかこれ程とはな。でも招いたみんなと共に食事をするのは俺の中では寧ろ常識でごく普通だからな。それに食事はみんなで食べた方が美味しいだろ」
「ハハハハハハ、なるほどな、黒い鎧の人間……お前の事がなんとなく分かって来たよ。お前はどうやらかなりのお人好しの人間のようだな。ならあの犬人族のウスノロな女とも気が合う訳だぜ」
「犬人族のウスノロの女ってシャクティの事か」
「ああ、あの女だよ。大体あの女が気を利かせてホケホケ鳥の肉入りスープを多めにわざと作ったんだろ。特になんとも思わないお前らなら蛾の妖精達にスープを振る舞っても大丈夫だと判断したのだろうぜ。もしもあんな感じで他の冒険者とパーティーを組んでいた時に同じような事をしたら間違いなく文句を言われるか、災厄袋叩きにされるかも知れないからな」
「いやいや、ただ他の種族に良かれと思って食事に誘ったり提供しただけで仲間にボコられるとか、それはないでしょ」
「忘れたのか、あいつは人間じゃないんだぞ。人間族とは違う犬人族だ。あの蛾の妖精達ほどではないにしろ、犬人族もそれなりに迫害は受けているからな。普通の犬人族達は肩身が狭いだろうぜ。だがまあ、あのウスノロ女自身が人間達に迫害されている事に気付いているかは正直微妙だがな。彼女の話では何回も仲間達に置き去りにされ、ダンジョンの奥に見捨てられても……普通にナニ喰わない顔で戻ってくるという話じゃねえか。しかも何度も死ぬ思いをしたにも関わらず特に文句や非難を言う訳でもなく普通にパーティー内にとどまっている。全く聞いててムカつくし、おめでたい奴だぜ!」
「それは即ち、今シャクティが置かれている現状を心配し、嘆いていると言う事でいいのかな。口や態度は悪いが、根は結構いい奴じゃないか。少し見直したよ」
そのラエルロットの言葉にゴンタは顔を真っ赤にしながら行き成り怒り出す。
「ば、馬鹿、なんでそうなるんだよ。昨日今日会ったばかりの女の……しかも……俺達にとってはライバル的存在でもある犬人族のウスノロ女の事を心配する訳がないだろ!」
「でも彼女は見るからにとても優しいし、料理も旨かったぜ。中々に人が出来ていると俺は思うけどな。優しさに裏打ちされた隠された度胸があると言うか。強さがあると言うか」
「ふん、俺にはただのトロそうな女にしか見えないがな。大体犬人族っていう種族は、もっと荒々しくて力強くって、その俊敏なスピードにも定評のある種族のはずだ。その横暴で気位の高さと凶暴性から人間達は迫害と言うよりは恐れられて敬遠されていたんだが、あのウスノロ女からはその凶暴性とやらは微塵も感じる事ができない。だから人間達に体良く使われて、置き去りにされたり馬鹿にされたりするんだよ。大体犬人族は肉弾戦が最も得意な種族のはずなのに、なんで神官職なんかを目指すんだよ。しかも案の定、神の奇跡を使う魔法のスキルもそれ程ないという話じゃないか。全く理解ができないぜ。まああいつは力のない犬人族らしいから人間達になめられて当然か!」
なるほどと言いながら一応は頷くラエルロットだったが、フとある事に気付く。あのウスノロ女と狼魔族のゴンタに不名誉なあだ名で呼ばれている犬人族のシャクティの事だ。
(確かシャクティの話では、仲間の人間達に何度も至る所に置き去りにされたと言っていたが、いくら薬学の知識を生かして薬玉で幾つものピンチを脱してきたとはいえ、それだけで幾つもの理不尽な絶体絶命的なピンチを乗り切れる物なのだろうか。当然ダンジョン内部ならそこには高レベルのモンスターや様々な罠が張り巡らされているはずだ。その絶体絶命的な状況から、機転と・薬玉の知識と・ちょっとした神官の神の奇跡と・逃げ足だけでこうも都合良く毎回逃げ切れる物だろうか。犬人族のシャクティにはまだ隠された謎があるのかも知れないな)
話の流れで出て来たシャクティの話題にブツブツと文句を言いながら怒っていたゴンタだったが、今度はかなり真剣な顔をしながらもう一人の人物の事について話し出す。
「それとお前の連れのあの黒神子の事だが、あいつとは一体いつから一緒にいるんだ」
「いつからって……二~三日前くらいからだよ。レスフィナにはいろいろと助けて貰ったんだ」
「助けて貰っただって……黒神子レスフィナが、ただの人間であるお前をか」
「そうだが、それが一体何だと言うんだ。何だか奥歯に物が引っ掛かったような言い方だが、君たちはレスフィナの事を誤解しているぞ。他の黒神子達の行いが悪いお陰で同じ黒神子でもあるレスフィナがその薪沿いをくっているだけなんだよ。だから世間の噂とは違ってレスフィナは人を思いやれる優しさがあるし、正しさと温かみを持つ人物なんだ。世間の噂で思われているような怖い人では決してないよ」
あくまでもレスフィナを庇おうとするラエルロットのその言葉に、話を聞いていたゴンタは目を軽くつぶりながら頭を左右に振るう。
「いいや、黒神子レスフィナの事を全く分かっていないのは寧ろお前の方だ。お前のその発言から過去に黒神子レスフィナが起こした数々の歴史に残る災厄な大事件の事をどうやら全く知らないようだな。姿形も違うしなぜ今は別人のようにおとなしいのかは知らないが、お前の傍にいるあの黒神子が本物の黒神子レスフィナだと言うのなら、あの黒神子レスフィナは史上最悪の人類の敵でありかなりの化け物だぞ。俺の爺さんの話では千年前にこの世界に現れてから今に至るまでその残忍さと悪業は歴史に残る程に有名らしいからな。なんでも爺さんの話では十二人いると言われているあの遙か闇なる世界の黒神子の中でも黒神子レスフィナが一番グンを抜いて邪悪で恐ろしい存在だと言う話だ。だからお前の連れの正体が分かった時、俺や、トロそうな女や、蛾の妖精の嬢ちゃんが皆驚いたんだよ。ただの人間風情と仲良くして居ること事態が可笑しいとな。だから偽物かとも思っていたんだが、あんな不死の力を間近で見せられたらな……やはりその常識や考えが揺らいでしまうよ。そんな全ての生き物達にとって最悪な存在でもある黒神子レスフィナだが今から十八年前に起きた大きな大戦争を皮切りに黒神子レスフィナの姿が全く見られなくなったとの話だ」
「見られなくなっただって……あのレスフィナの姿をか?」
「ああそうだ。その歴史の舞台からぱったりと消えていなくなったとばかり思っていたんだが、まさか黒神子レスフィナを名乗る人物がラエルロット、お前と共にここにいるとは誰だって思わないだろ。しかも昔から……全ての生き物の生命を吸い取る牛の姿を模した化け物と言われていたけど、お前の傍にいるあの黒神子レスフィナはどう見てもまさに人間その物じゃないか。むしろ温かみと優しさすら感じるよ。だから俺達は面食らっていたんだよ」
「まさかあのレスフィナが……そんなばかな」
「昔の行いの事をいくら本人に聞いても、昔の事は……特に過去の自分の事は何も覚えてはいないの一点張りだし、その本当の目的も正体も分からないし、正直あの黒神子レスフィナはかなり怪しいと俺は思っているよ。その危険性をお前はどれだけ知っているのか、そこを聞きたいと思って話を振ってみたんだが、やはりそこまで黒神子レスフィナに関する事については知らなかったようだな。いいか、黒い鎧の力を持つ人間。お前が本当にあの黒神子レスフィナの眷属だと言うのならあいつには十分に気を付けるんだな。黒神子レスフィナと言われている存在はその昔から血生臭い歴史に置いても人類史上最も多くの悪業を重ねた存在であり、そして災厄を招く恐ろしい代行者だと言う事だ。今までに一体奴にどれ程の種族や人間族達が殺されて来た事か。そしてその邪悪な行いを阻止しようと立ち上がった女神達や古代に生きた異世界人達……そして最近では冒険者や聖女、そして現代に現れた異世界召喚者達と言った者達に至るまで、全人類の存亡を賭けた物凄い壮絶な戦いが繰り広げられていたはずだ。大戦争があったという十八年前まではな。なのになんでこんな事になっているんだよ。しばらく見ないウチに、なんで危険性ゼロに近い……自分の行いを正しいとあり続ける……正義と優しさに満ち溢れた黒神子レスフィナがここにいるんだよ。これはなんの冗談だ。理解ができないぜ!」
「それって千年前から続く、昔の人から言い伝えられて来た黒神子レスフィナに関する情報だろ。確かに俺も文献や昔の人達が言い伝えてきた昔話で黒神子レスフィナの数々の邪悪な悪業は聞いてはいるが、三日前に俺の前に初めて現れたレスフィナの感想は……あんな感じだし、家の祖母のハル婆ちゃんとも仲良くなじんでいたぞ。あの俺を助けてくれたレスフィナが俺が見た黒神子レスフィナの全てだよ。その昔からいる悪名高い黒神子レスフィナが今のレスフィナと同一人物なのかは正直俺には分からないけど、俺は今の優しいレスフィナを信じるよ。そしてもし今のレスフィナが本当は悪い奴だったと言うのなら、俺が責任を持ってこの命に代えても彼女の行いを止めてやるよ!」
「黒い鎧の人間、お前があの黒神子レスフィナを止めるだとう。この身の程知らずが、大きく出たな。ハハハ、まあそう出来たらいいがな」
まるで馬鹿にしたように高らかに笑うと狼魔族のゴンタは、半ば呆れ顔でラエルロットを見る。
「ふう、しかし今夜は綺麗な星空だな。こんな隠れ里のような深い山の中にも月明かりに照らされて光が射している場所があるんだな。これなら持っているランプもいらないくらいだぜ。それにしても光ながら草原を緩やかに飛び回っているこの虫はなんだ? 見た感じだと地球人の世界でいう所の蛍虫のようにも見えるが少し違うようだ。この世界での正式名所は確か光真虫とか呼んでいたかな。まあ俺達の地方の村ではこの虫の事は訳して光虫と呼んでいるがな。あ、そうかこの蛍という知識も二千年前の異世界人達が発動させたという知識共有の呪いの力か。そんな世界の常識すらも変える事のできる古代の遺物がもしかしたらこの世界の何処かにまだ埋もれているのかも知れない。フフフフ、おもしれえ、おもしれえぜ、そんな凄い未知なる古代の遺物がこの世界中の土地に幾つも隠されていると思っただけで、もうドキドキとワクワクが止まらないよ!」
時刻は夜の二十四時0三分。
少しトイレに行ってくると言って蛾の妖精の村から森が生い茂る草むらまで向かったラエルロットはそこで細い獣道を見つけ、そのまま何かに導かれるかのように奥へ奥へと進んでいく。その獣道の先で木々が開けたちょっとした草原へと辿り着いたラエルロットは、その場所だけが月明かりに照らされている幻想的な光景に目を奪われる。
しかもその綺麗な草原の周りを小さく光り輝きながら静かに飛ぶ無数の光虫がまるでこの場所を訪れたラエルロットを歓迎するかのように微妙に距離を取りながらラエルロットの回りをゆっくりと飛び回る。
「用を足すついでについ小さな光に釣られてなんとなくここまで来てしまったが、この草原のような場所は一体なんだ。光虫がこんなにいると言う事は光虫が生息している繁殖の場所なのかな? まあいずれにしてもだ、普段ならこんな真夜中にたった一人で外を出歩いたりは絶対にしないんだが、真っ暗なはずの森の中だというのに月明かりと光虫が森の中を幻想的に怪しく照らしているせいかここまですんなりと来てしまった。もしかしてこの山に住まう何かに導かれてしまったのかな……なんてな」
そんな笑えない冗談を言いながら一人でこの場所の不気味差を今更ながらに感じていたラエルロットはやはり帰ろうと元来た道を歩き出すが、その動きに合わせるかのように夜空をゆっくりと飛んでいた光虫達が皆一斉に下へと降り、より強く光り輝く。その光景はまさに怪しく且つ妖艶的で、そのもの悲しげな儚い美しさから思わずその場で見入ってしまう。
(この光虫達の光景って、一体なんだ。もしかして俺に何か伝えたい事でもあるのか?)
一瞬そんな事を考えたラエルロットだったが「んな訳がないか」といいながらその考えをバッサリと否定する。現実的にラエルロットは昆虫と心を通わせた事も、ましてや話をした事も当然無いからだ。
「まあ確かにこの場所は幻想的で物凄く綺麗な場所だが、ず~とこの場所にいると何だか知らないが物凄く悲しい気持ちになってくるな。気も滅入ってしまうし、そろそろみんなの所に戻らないといけないな。おそらくは明日の朝も早いだろうからな」
そう溜息混じるに言うとラエルロットは、ここまで歩いて来た獣道の方に持っているランプの明かりを向ける。
「流石に帰りの道で迷子にならないとは思うが、この場所が隠れ里の結界の中かどうかは分からないから急いで元の場所に戻らないとな。こんな寂しい森の中で、妖精喰いのヨーミコワとかいう黒神子と遭遇をしてしまったらハッキリ言って洒落にならないからな。ここは急いで帰るか」
一年前の襲撃で隣の山に住んでいた蛾の妖精達は皆、妖精喰いのヨーミコワに食べられ、ルナとその幾人かの弟・妹達を残して全滅している事を思い出し急いでこの場所から離れようとする。すると、後ろの方で誰かの気配がし、咄嗟に声を掛けられる。
「よう、黒い鎧の人間、こんな所で一体何をしているんだ。こんな夜にまさか散歩か」
「だ、誰だ?」
行き成り闇夜が広がる森の中から聞こえて来た声に思わずビビりまくるラエルロット。
不気味に木々が生い茂る暗闇から声を掛けてきたのは若くて野生感溢れる狼フェイスがよく似合う(新人の若者達の中ではかなり強い……と言われている)狼魔族のゴンタだった。
ゴンタはまるで威嚇をするかのように激しくラエルロットを睨みつけていたが、その数秒後、大きく溜息をつくとその警戒を解く。
「未だに信じられないが、まさかお前があの遙か闇なる世界の黒神子・レスフィナの眷属だとはな。なら俺達をたった一人で蹴散らしたあの異常な強さもうなずけるぜ。あの禍々しい黒い鎧を全身に着込んだ瞬間、お前の戦闘力は何倍にも上昇したのを感じたからな。だが俺が見た感じではあの異常な力にはそれなりにリスクとペナルティーがあるはずだ。お前の基本的な能力がレベル1ならそう長々とあの力を維持することは困難だからな。だからお前は戦いを急いだ。そうだろ」
(いや、俺にはレスフィナから直に魔力供給がされているから不死の能力でその復讐の鎧の力をある程度はカバーが出来る。だから狼魔族程度ならたとえ何十匹掛かって来ようとも特に問題はない。て事を一から説明するのも面倒くさいし口論になるかも知れないから、その事は黙っておこう)
心の中でそう呟いたラエルロットは腰に下げている不格好な形に削り作られた真っ黒な木刀の柄に手を添えると、目の前にいる狼魔族のゴンタに一応は警戒をする。
それだけゴンタの動きの速さには目を見張る物があるし、こんな暗闇が広がる森の中でもしも襲われたら一溜まりもない事をラエルロットは知っているからだ。
復讐の鎧を呼び出し、装着するにしても時空転移までには数秒程の時間はどうしても掛かってしまうし、何よりレスフィナから100メートル以上離れてしまったら、不死の能力が消えてしまうという欠点を相手側に気付かれる恐れもある。だからこその警戒である。
今現在レスフィナとの距離がどのくらいなのかがイマイチ分からない以上無闇にゴンタとは戦いたくはないと言うのが本音だ。
もしも何かのきっかけで戦いにでもなろう物ならたとえ復讐の鎧を呼び出し装着する事に成功したとしても不死でないのなら、その強大な復讐の鎧の力を使った時点でラエルロットの体は粉微塵に吹き飛ぶ事だろう。
その欠点をゴンタに気付かれる訳にはいかないと思ったラエルロットは「いいや、余裕だよ、余裕。俺は不可能を可能にする力を持つ、まさに勇者になるべく選ばれた男だからな!」と必死に虚勢を張りながら自分自身を強そうに見せる。
だがそんなラエルロットの虚言を聞いていた狼魔族のゴンタは少しだけ沈黙し何かを考えていたが、直ぐに思っていた事を口にする。
「この隠れ里の中に住んでいる蛾の妖精達は皆……お前達が振る舞ったホケホケ鳥の肉入りスープを美味そうに食っていたな。それにみんな何だか楽しげで笑顔だった」
「ああ、そうだな、まさかホケホケ鳥のスープを一緒に食べただけであそこまで喜んでくれるとは正直思わなかったよ。みんなホケホケ鳥の肉入りスープは食べたことがなかったのかな。だから普段食べ慣れない未知の食材にも関わらずあれだけうまい旨いと食べてくれたんだろうぜ」
「いいや、それだけでは無いぜ。ホケホケ鳥のスープが旨いと言うよりも、共に並んで一緒に食事をしようと言ってくれた事にかなり驚いていたからな。その優しい心遣いが嬉しかったんじゃないのか。だからみんなあれだけうれしそうにホケホケ鳥のスープを飲んで騒いでいたんだよ。その証拠にあれだけ俺達の存在に怯えていた蛾の妖精達は後半の方では持参の蜂蜜酒を飲みながら舞い踊っていたからな。しかもその様子を見ていた蛾の妖精の長老は感極まって泣いていただろ」
「確かにそうだが、ホケホケ鳥のスープを振る舞って共に食事をした事がそんなに嬉しかったのかな?」
そのラエルロットの言葉に狼魔族のゴンタは少しあきれた顔をし、小さくフッと笑う。
「なんだよ、気付いてなかったのかよ。蛾の妖精族と言ったら背中に羽を持つ他の妖精達からも忌み嫌われているし、人間においては忌み嫌っているのにプラスして迫害までしている。そもそも冒険者のガイド役のパートナーでもある優秀な妖精達は例外として、他の妖精達と人間では人間の方が圧倒的に優位であり社会的にも力のヒエラルキーは完全に上なんだよ。そしてその肩身が狭い妖精達の中でも更に底辺的に肩身が狭い蛾の妖精族が同じ場所で共に食事を分け合って食べるなど先ず有り得ないし、ない事なんだよ。なぜなら蛾の妖精族は昔から不幸と災いを呼ぶと考えられているからな。そんな不幸を招くかも知れない象徴と共に食事はしたくはないと……普通の人間ならそう考えるだろ。そして彼らは昔から人と蛾の妖精達との関係はそういう物だと思っていたはずだ。故にその迫害の対象は狼魔族や犬人族と言った亜人族にとっても対応は皆同じだと言う事だ」
「そ、そんな、酷いじゃないか。ただ一緒に、同じ空間で食事をする事すらも人間達に拒まれていると言うのか!」
「ああ、現実はそういう物だ。でもなぜかお前らはそうじゃなかった。普通に食事に誘ってくれて……暖かで美味しい食べ物を惜しげも無く振る舞ってくれて、しかも同じ場所で共に語らい会いながら一緒にご飯を食べてくれた。その事がとても嬉しかったんだよ。だから皆……戸惑い・笑い・そしてうれし泣きをしていたんだよ」
「そ、そうだったのか、それはちっとも知らなかったぜ。人間たちに蛾の妖精族達が迫害されている事は勿論知ってはいたが、まさかこれ程とはな。でも招いたみんなと共に食事をするのは俺の中では寧ろ常識でごく普通だからな。それに食事はみんなで食べた方が美味しいだろ」
「ハハハハハハ、なるほどな、黒い鎧の人間……お前の事がなんとなく分かって来たよ。お前はどうやらかなりのお人好しの人間のようだな。ならあの犬人族のウスノロな女とも気が合う訳だぜ」
「犬人族のウスノロの女ってシャクティの事か」
「ああ、あの女だよ。大体あの女が気を利かせてホケホケ鳥の肉入りスープを多めにわざと作ったんだろ。特になんとも思わないお前らなら蛾の妖精達にスープを振る舞っても大丈夫だと判断したのだろうぜ。もしもあんな感じで他の冒険者とパーティーを組んでいた時に同じような事をしたら間違いなく文句を言われるか、災厄袋叩きにされるかも知れないからな」
「いやいや、ただ他の種族に良かれと思って食事に誘ったり提供しただけで仲間にボコられるとか、それはないでしょ」
「忘れたのか、あいつは人間じゃないんだぞ。人間族とは違う犬人族だ。あの蛾の妖精達ほどではないにしろ、犬人族もそれなりに迫害は受けているからな。普通の犬人族達は肩身が狭いだろうぜ。だがまあ、あのウスノロ女自身が人間達に迫害されている事に気付いているかは正直微妙だがな。彼女の話では何回も仲間達に置き去りにされ、ダンジョンの奥に見捨てられても……普通にナニ喰わない顔で戻ってくるという話じゃねえか。しかも何度も死ぬ思いをしたにも関わらず特に文句や非難を言う訳でもなく普通にパーティー内にとどまっている。全く聞いててムカつくし、おめでたい奴だぜ!」
「それは即ち、今シャクティが置かれている現状を心配し、嘆いていると言う事でいいのかな。口や態度は悪いが、根は結構いい奴じゃないか。少し見直したよ」
そのラエルロットの言葉にゴンタは顔を真っ赤にしながら行き成り怒り出す。
「ば、馬鹿、なんでそうなるんだよ。昨日今日会ったばかりの女の……しかも……俺達にとってはライバル的存在でもある犬人族のウスノロ女の事を心配する訳がないだろ!」
「でも彼女は見るからにとても優しいし、料理も旨かったぜ。中々に人が出来ていると俺は思うけどな。優しさに裏打ちされた隠された度胸があると言うか。強さがあると言うか」
「ふん、俺にはただのトロそうな女にしか見えないがな。大体犬人族っていう種族は、もっと荒々しくて力強くって、その俊敏なスピードにも定評のある種族のはずだ。その横暴で気位の高さと凶暴性から人間達は迫害と言うよりは恐れられて敬遠されていたんだが、あのウスノロ女からはその凶暴性とやらは微塵も感じる事ができない。だから人間達に体良く使われて、置き去りにされたり馬鹿にされたりするんだよ。大体犬人族は肉弾戦が最も得意な種族のはずなのに、なんで神官職なんかを目指すんだよ。しかも案の定、神の奇跡を使う魔法のスキルもそれ程ないという話じゃないか。全く理解ができないぜ。まああいつは力のない犬人族らしいから人間達になめられて当然か!」
なるほどと言いながら一応は頷くラエルロットだったが、フとある事に気付く。あのウスノロ女と狼魔族のゴンタに不名誉なあだ名で呼ばれている犬人族のシャクティの事だ。
(確かシャクティの話では、仲間の人間達に何度も至る所に置き去りにされたと言っていたが、いくら薬学の知識を生かして薬玉で幾つものピンチを脱してきたとはいえ、それだけで幾つもの理不尽な絶体絶命的なピンチを乗り切れる物なのだろうか。当然ダンジョン内部ならそこには高レベルのモンスターや様々な罠が張り巡らされているはずだ。その絶体絶命的な状況から、機転と・薬玉の知識と・ちょっとした神官の神の奇跡と・逃げ足だけでこうも都合良く毎回逃げ切れる物だろうか。犬人族のシャクティにはまだ隠された謎があるのかも知れないな)
話の流れで出て来たシャクティの話題にブツブツと文句を言いながら怒っていたゴンタだったが、今度はかなり真剣な顔をしながらもう一人の人物の事について話し出す。
「それとお前の連れのあの黒神子の事だが、あいつとは一体いつから一緒にいるんだ」
「いつからって……二~三日前くらいからだよ。レスフィナにはいろいろと助けて貰ったんだ」
「助けて貰っただって……黒神子レスフィナが、ただの人間であるお前をか」
「そうだが、それが一体何だと言うんだ。何だか奥歯に物が引っ掛かったような言い方だが、君たちはレスフィナの事を誤解しているぞ。他の黒神子達の行いが悪いお陰で同じ黒神子でもあるレスフィナがその薪沿いをくっているだけなんだよ。だから世間の噂とは違ってレスフィナは人を思いやれる優しさがあるし、正しさと温かみを持つ人物なんだ。世間の噂で思われているような怖い人では決してないよ」
あくまでもレスフィナを庇おうとするラエルロットのその言葉に、話を聞いていたゴンタは目を軽くつぶりながら頭を左右に振るう。
「いいや、黒神子レスフィナの事を全く分かっていないのは寧ろお前の方だ。お前のその発言から過去に黒神子レスフィナが起こした数々の歴史に残る災厄な大事件の事をどうやら全く知らないようだな。姿形も違うしなぜ今は別人のようにおとなしいのかは知らないが、お前の傍にいるあの黒神子が本物の黒神子レスフィナだと言うのなら、あの黒神子レスフィナは史上最悪の人類の敵でありかなりの化け物だぞ。俺の爺さんの話では千年前にこの世界に現れてから今に至るまでその残忍さと悪業は歴史に残る程に有名らしいからな。なんでも爺さんの話では十二人いると言われているあの遙か闇なる世界の黒神子の中でも黒神子レスフィナが一番グンを抜いて邪悪で恐ろしい存在だと言う話だ。だからお前の連れの正体が分かった時、俺や、トロそうな女や、蛾の妖精の嬢ちゃんが皆驚いたんだよ。ただの人間風情と仲良くして居ること事態が可笑しいとな。だから偽物かとも思っていたんだが、あんな不死の力を間近で見せられたらな……やはりその常識や考えが揺らいでしまうよ。そんな全ての生き物達にとって最悪な存在でもある黒神子レスフィナだが今から十八年前に起きた大きな大戦争を皮切りに黒神子レスフィナの姿が全く見られなくなったとの話だ」
「見られなくなっただって……あのレスフィナの姿をか?」
「ああそうだ。その歴史の舞台からぱったりと消えていなくなったとばかり思っていたんだが、まさか黒神子レスフィナを名乗る人物がラエルロット、お前と共にここにいるとは誰だって思わないだろ。しかも昔から……全ての生き物の生命を吸い取る牛の姿を模した化け物と言われていたけど、お前の傍にいるあの黒神子レスフィナはどう見てもまさに人間その物じゃないか。むしろ温かみと優しさすら感じるよ。だから俺達は面食らっていたんだよ」
「まさかあのレスフィナが……そんなばかな」
「昔の行いの事をいくら本人に聞いても、昔の事は……特に過去の自分の事は何も覚えてはいないの一点張りだし、その本当の目的も正体も分からないし、正直あの黒神子レスフィナはかなり怪しいと俺は思っているよ。その危険性をお前はどれだけ知っているのか、そこを聞きたいと思って話を振ってみたんだが、やはりそこまで黒神子レスフィナに関する事については知らなかったようだな。いいか、黒い鎧の力を持つ人間。お前が本当にあの黒神子レスフィナの眷属だと言うのならあいつには十分に気を付けるんだな。黒神子レスフィナと言われている存在はその昔から血生臭い歴史に置いても人類史上最も多くの悪業を重ねた存在であり、そして災厄を招く恐ろしい代行者だと言う事だ。今までに一体奴にどれ程の種族や人間族達が殺されて来た事か。そしてその邪悪な行いを阻止しようと立ち上がった女神達や古代に生きた異世界人達……そして最近では冒険者や聖女、そして現代に現れた異世界召喚者達と言った者達に至るまで、全人類の存亡を賭けた物凄い壮絶な戦いが繰り広げられていたはずだ。大戦争があったという十八年前まではな。なのになんでこんな事になっているんだよ。しばらく見ないウチに、なんで危険性ゼロに近い……自分の行いを正しいとあり続ける……正義と優しさに満ち溢れた黒神子レスフィナがここにいるんだよ。これはなんの冗談だ。理解ができないぜ!」
「それって千年前から続く、昔の人から言い伝えられて来た黒神子レスフィナに関する情報だろ。確かに俺も文献や昔の人達が言い伝えてきた昔話で黒神子レスフィナの数々の邪悪な悪業は聞いてはいるが、三日前に俺の前に初めて現れたレスフィナの感想は……あんな感じだし、家の祖母のハル婆ちゃんとも仲良くなじんでいたぞ。あの俺を助けてくれたレスフィナが俺が見た黒神子レスフィナの全てだよ。その昔からいる悪名高い黒神子レスフィナが今のレスフィナと同一人物なのかは正直俺には分からないけど、俺は今の優しいレスフィナを信じるよ。そしてもし今のレスフィナが本当は悪い奴だったと言うのなら、俺が責任を持ってこの命に代えても彼女の行いを止めてやるよ!」
「黒い鎧の人間、お前があの黒神子レスフィナを止めるだとう。この身の程知らずが、大きく出たな。ハハハ、まあそう出来たらいいがな」
まるで馬鹿にしたように高らかに笑うと狼魔族のゴンタは、半ば呆れ顔でラエルロットを見る。
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