遥か闇なる世界 ~世界の絶望に立ち向かう黒神子の少女と、真の勇者になる事を夢見る心優しい青年の物語

藤田作磨

文字の大きさ
59 / 104
第三章 二人の聖女編

3-7.思いも寄らない敵

しおりを挟む
             3ー7.思いも寄らない敵


「ねえ、お兄さん、お兄さん、生きていますか。いい加減に起きてください。もう打撲による怪我は治っていますし平気なはずですよね!」

(んぅぅぅ~なんだ、うるさいな。一体俺を呼ぶのはだれだ。だれ……そうだ、俺は何をしていたんだっけ……確かウットゴーレムと戦って……それで……あっ!」

 バサリ!

 心配そうになんども呼ぶ若い女性の声に意識を取り戻したラエルロットは何かを思い出したのか勢いよく頭を上げる。するとその目の前にいたのは本気で心配をしている者やあきれ気味に気を遣う者達とで入り乱れた若き少年少女達だった。
 今回のウットゴーレムとの戦闘でそれぞれの戦い方や個性を見せてくれた勇気ある六人の若者達は互いに複雑な顔をしながら目の前で倒れているラエルロットを取り囲む。

 周囲を見る限りではどうやらラエルロットが気を失っていた間にウットゴーレム達との戦闘はもうとっくに終わってしまっているようだ。

 自分の不甲斐なさをヒシヒシと感じながらもラエルロットの主観で見る、色で識別された神童たるマーズ・ダン・ブルース・エアル・レイヤ、そしてまだ名前の知らない緑の衣服に身を包んだ気弱そうな最年少の少女の六人が誰もかける事無くここに集結していると言うことは、特に大きな怪我をすること無くウットゴーレム達を倒したのだと勝手に理解をする。

 そんな赤・青・黄・と言った勇ましい鎧を装備した男性達や、華やかな衣装を着ている紫・緑・桃といった女性達を入れた六人のパーティーはラエルロットに新たなトラウマと劣等感を植え付けているとも知らずに、みんなで懸命に励ます。

「お兄さん、大丈夫ですか。ごめんなさい。私が二体のウットゴーレムの一体を破壊し損ねて機能停止にできなかったが為にお兄さんが予期せぬダメージを負ってしまいました。全ては私の責任です。本当にごめんなさい!」

「わ、私も同じです。木刀を持つ、お、お兄さんが前に出て足止めをしようとしていたのに私は直ぐに援護が出来ませんでした。だから本当にごめんなさい!」

 申し訳なさそうに頭を下げる桃色の厚手の衣服を着た弓矢を持つお嬢様風の美少女・レイヤと、まるで狩人のような緑色の服装に携帯用の大筒を持つ少女の二人がラエルロットを本気で心配する。

 どうやら自分達の援護が至らなかったせいでラエルロットが背後を突かれたと思い込んでいるようだ。そしてその優しさと恐縮する気遣いが更にラエルロット自身を苦しめる。なぜならあのラエルロットの敗北は明らかにラエルロット自身が招いた油断と不注意からくる物だからだ。

 あの二人の後方からの援護はあくまでもただの足止めなので、後方にいる彼女らがウットゴーレム達を倒してくれたと勝手に思い込み周りの状況判断を見誤った、明らかなラエルロットの失態である。それがわかっているからこそ二人の少女の心からの謝罪が逆にラエルロットのプライドや自尊心に暗い影を募らせていく。

 ラエルロットが心の中でつぶやく。

(はあ、こんな事なら馬鹿にされたり激しく罵ってくれた方がまだどんなに気が楽だったか。だってそうだろ。どんなに才能や将来性があってもその人の性格が根本的に最悪ならこいつらは人としては全く成長し切れていないというマウントが取れるし、俺の方が絶対に正しいと思えるほどの葛藤や人間補正も勝手にでき上がるからな。人がうらやむほどの才能や美貌はあるけど欲深で傲慢な性格を持つテファニアがいい例だ。そう思う事で人間的には……いいや精神的には俺の方が勝っていると勝手に思い込む事ができたんだが……これじゃその人間性すらも俺より明らかに年下の少年少女達の方が勝っていると認めるしかないじゃないか。だからそんないい人の彼らに対して怒る事もましてや恨む事もできないと言うのが本音だ。もしもそんな事を表だって態度に出してしまったら、俺自身が大人げない人間となり、その事で自らの負けを認める結果になってしまうからだ。だからこそそれだけはなんとしてでも絶対に避けなくてはならない。そんな訳でここは冷静にいくぞ。年上としての威厳だけはなんとしてでも守らなくてはな!)

 そんなつまらない虚栄心を張りながらもラエルロットは二人に対し、にこやかな笑みを向ける。

「なにも謝ることはないさ、あれは明らかに俺のミスだ。俺がもっと周りに注意を払って冷静に状況を見ていたらこうはならなかった。仲間の攻撃を受けて倒れた敵に対し、もう立たないだろうから大丈夫と勝手に思い込んで確認もせずにそこから意識を外してしまった。だから俺は背後を突かれて当然なんだよ。後方支援はあくまでもお守りのような物だからそこについ頼り切ってしまった俺に一番問題がある。勿論仲間の後方からの援護を頼りにしてはいるが、あらゆる状況と可能性を常に考慮して置くべきだった。だからこれは明らかに俺の失態なんだよ。だから君たちは何も悪くはないんだ」

 冷静さを装いながらも大人の対応を見せたラエルロットは両足を子鹿のようにプルプルと震わせると、どうにか立ち上がる。

 そんな自分の非を認める謙虚さを見せたラエルロットに今度は赤い鎧を身に着けた少年・マーズと、黄色い鎧を体に装備した恰幅のいい少年・ダンが話しかける。

「気にするなよ、隙を突かれる事ぐらい誰にだってあるだろ。それどころか逃げずに彼女たちを守ろうとしたその闘志は賞賛に値するぜ」

「そうですよ、今回はたまたま運が悪かっただけです。それにしても俺たちが持つ持参の回復薬を体内に打つだけで頭部の打撲が治って本当に良かったですね。一時はどうなる事かと思いましたよ」

 その言葉の繋がりに便乗して今度は青い鎧を着ている真面目そうな少年・ブルースと、姉御肌風の天真爛漫な少女・エアルの二人が心配しながらもさりげなく言葉をかける。

「まあ死ななくてよかったじゃないか。それに後先考えずに急に飛び出して行ったこちら側にも責任はあるから、これからは共にもっと慎重に行こうぜ。なぜなら俺達は今はチームで動いているんだからな」

「そうね、お兄さんが倒れたのはみんなの責任よね。私たちは共に成功も失敗も共にかみしめ合って経験を積んで行かないといけないんだからもっとお互いを信頼し支え合う事が何よりも重要なんじゃないかしら」

 そんな人を思いやるみんなの暖かな言葉を複雑な思いで聞いたラエルロットは思う。

(歳は若いが仲間を思いやれるくらいに人間ができていて、それでいて頼りにもなる凄くいい人達じゃないか。でも最後の最後で実は悪い人達でしたという落ちだけはやめてくれよな……)と内心思いながらも、ラエルロットは自分に優しい言葉をかけてくれた六人の男女をマジマジと見る。

 自分の失態で仲間達に非難をされるという事はよくあると言うが、ここにいる少年少女達は、皆一人の仲間の失態をさげすんだり下に見て攻撃したりはしない人達のようだ。
 そんな彼らの暖かな大人の対応に今まで彼らに抱いていた嫉妬や劣等感といった負の感情が逆に恥ずかしい思いだと言うことに気づく。

(そうだよな、こいつらは不器用ながらも俺を本当の仲間だと思って接してくれている。それなのに俺は自分が年上だからしっかりしなきゃいけないだとか、弱いところは見せられないだとか自分の体面とプライドばかりを気にしてこいつらの事をちゃんと見てはいなかった。これは試験だから試験官のダグラスさんが見ているから失敗は許されないという思いで常に意識をしていたと言うこともあるが、その年下達に負けて自分だけが実地の試験に落ちてしまったらどうしようという思いが常に心の中にあるから今回の失態につながったのかも知れない。だからこそ俺ももっとこいつらをしっかり見て信頼してあげないとな。一時のチームとはいえこんないい仲間達と共に冒険ができるんだから、もっとこの冒険を楽しまないと、流石にこの経験は勿体ないと言うことか)

 そう心を入れ替えたラエルロットは自分が抱いていた人に対する劣等感やそのことで生じる試験の評価の事をもう考えないようにする。もうこうなってしまった以上いくら思い悩んでも仕方が無いと踏ん切りをつけたからだ。

「みんな、迷惑をかけた。これからはもっと周りに注意をしながらみんなの足を引っ張らないようにするよ。それじゃ先を急ごうか」

 そのラエルロットの無事を告げる言葉を合図に七人の男女はまるで事前に打ち合わせしたかのような動きでフォーメーションを組むと、更に洞窟の内部へとその歩みを進める。

 洞窟内を進むに連れ不気味な岩肌が大きな壁となって周囲を不安と恐怖で包み込む。そんなスリル満載な雰囲気溢れるまるで坑道のような作りの中で洞窟内を探索する勇気ある挑戦者達は簡単な罠が仕掛けてあるトラップを見つけたり、さらには自動人形の一つでもある魔道の力で動くスケルトン達とも勇猛果敢に戦ったが七人の男女の巧みな作戦とチームワークでどうにか切り抜ける事ができたラエルロット達一行は、地下へと繋がる大きな階段を見つけると直ぐさま階段を降り、更に奥へとその足を向ける。

 因みに相手が心を持たない屍の兵器でもあるスケルトンだったので今回もラエルロットが持つ黒い不格好な木刀が真に活躍する場面はなかった。心のない魔道人形が相手ではラエルロットが持つ古代の遺物とは非常に相性が悪く、単純な力任せの攻撃でしか相手に対し打撃を与える事ができない。

 そんな力任せの奮闘でどうにか六人の男女について行くラエルロットだったが、そんな彼らと共に受けた試験による冒険も共に助け合った日々もついに最後のラストステージとなる。
 更に抜け道のような物はないかを確認するも大きな広場の先は行き止まりでどうやらここが本当の最終地点のようだ。その証拠にその広場の中央にある如何にも怪しげな窪地には大きな古めかしい宝箱が堂々と置いてあり、まるでこの場所を訪れた七人を出迎えるかのようにその期待度を増長させる。

「なんだ、目の前にこれ見よがしに大きな宝箱があるぞ。まさか最後の最後に何かの罠が仕掛けてあるんじゃないだろうな」

「その可能性は十分にあります。なのでここは僕がこの実地試験に密かに持ってきている魔道の道具でもある鑑定眼鏡を使って、この宝箱に何らかの罠が施されているかどうかを見てみます。この眼鏡はトラップの回避だけではなく、相手のレベルも見る事ができますので使いようによってはかなり便利なアイテムなんですよ。因みに僕を含めた皆さんはまだ冒険者ではないので、当然レベル1です」

 そう言いながら黄色い鎧をきた恰幅のいい少年・ダンは、自前で持ってきているトラップや相手のレベルを見抜く特別なマジックアイテムを片手に、目の前にある宝箱を鑑定する。

「うぅぅぅぅーーん、恐らくは大丈夫です。どうやらこの宝箱には呪いのような物や開けることで作動する罠のような物は一切仕掛けられてはいません。なので開けていいですよ」

「よっしゃあぁぁ、では代表して俺が先に開けるぞ!」

 みんなが慎重になる中、代表して赤い鎧を着た活発そうな少年・マーズが勢いよくその宝箱の蓋を開ける。

 警戒しながらも皆が中を覗き込むとそこに入っていたのは、今回の実地試験を行う上での目的でもあった女神の像がそこには入っていた。

「やった、お目当ての女神の像だ。やったぞ、これで任務はクリアできた。これで俺達は晴れて第八級冒険者だ!」
                                                             
 歓喜しながらも高らかに勝利の言葉を叫ぶと赤い鎧を着た少年・マーズが宝箱の中から女神の像を取り出す。その瞬間、辺りの景色はいきなりガラリと変貌し、全く見たことのない景色へとその形を変える。まるでその洞窟内の最深部からいきなり別の場所へと転移させられたかのようだ。

 目の前に広がる見知らぬ光景に皆は当然啞然とし、かなりびっくりする。

「な、なんだ、一体なにが起きている。いきなり周りの景色ががらりと変わってしまったぞ。岩と石でできた真っ暗な洞窟内にいたはずなのに、ここはまるで鉄筋とコンクリートで出来た近代的な設備のある何かの研究所みたいじゃないか。まさかあの宝箱を開けて中に置いてある女神の像を取り出したから何かの罠が作動してしまったのだろうか?」

「幻覚や催眠といった類いの物ではなさそうね。どうやら本当に私達はなんらかの魔法による魔道を有する力で何処か遠くに転移をさせられてしまったようね。でも転移魔法と言ったら高度でかなり大規模な魔術による術式を展開しないといけないはずなんだけど、そんな大規模な魔力の流れは感じることはできないし、本当ににわかには信じられない事だらけだわ!」

「でもたかだか第八級冒険者の追加の試験でここまでやる物なのか。特別に行われている追加の試験とはいえ俺達七人を見知らぬ場所に転移させるだなんて今まで行ってきた数々の歴史ある実地の試験に置いても転移による場所の移動は流石に聞いたことがないぞ」

「そうだ、ダグラス試験官……ならみんなでダグラス試験官にこの事を聞いてみようぜ。この現象は一体何なのかを」

「まあ落ち着きなさいよ、みんな。まずは私が斥候として辺りを調べて来るからダグラス試験官への報告はそれからでも遅くはないんじゃないかしら。この現象事態ももしかしたら試験の続きかも知れないし、まずはこの辺りの情報の収集をしましょう」

 そう言いながら動き出す赤い鎧を着た少年・マーズ、黄色い鎧を着た少年・ダン、紫の衣服を着た姉御肌の少女・エアルの三人がまるで何かの研究所内のような作りの広場を歩き出そうとしたがその彼らの行動を一番後ろで見ていたラエルロットがいきなり止める。

「おい、そこで止まれ。今すぐにここまで戻ってこい。今すぐにだ!」

「な、なによ、びっくりするじゃない!」

「おい、どうしたんだ、いきなり大きな声を出して?」

 疑問を言葉で返すといきなりその歩みを止めた三人の少年少女達はラエルロットのただならぬ形相になんだか不思議そうな顔をする。だがラエルロットは緊張を崩す事は無く、何かに警戒しながら先を先行している三人に今すぐに戻ってくるようにと必死に訴えかける。

「そ、それ以上は行くな。俺達の回りに何かいるぞ。何かの人の気配を感じる。しかもその数は一人や二人じゃない。その数およそ数十人の見知らぬ人達に周りを取り囲まれているぞ!」

「「な、なんだってぇぇ?」」

 今までに無いほどに緊張するラエルロットの警戒に答えるかのように何かの大きな機材や柱の裏から何人もの人の男女の姿がいきなり現れる。その数ざっと三十五人ほどだ。そのただならぬ雰囲気と殺気を放つ戦人の格好をした人達が皆一斉にラエルロット達七人の方を見る。

「なんだこいつら、いきなりこの場所に現れたぞ。まさか転移の魔法でも使ってこの施設内に潜入して来たのか。まさかこの星にいる高レベルの新手の冒険者じゃないだろうな」

「新手の冒険者だって……いや違うんじゃないのか。俺の見立てではまだ冒険者ではないだろ。どうやらそこにいるクソガキ達はみんなレベルは1らしいからな。ただのモブキャラか冒険者になろうとしている訓練生かなにかだろうぜ。もうなんだかめんどくせえから今すぐぶっ殺してもいいか!」

「別にいいけど私達が今回この研究所に来た本来の目的を忘れてはいないでしょうね。まずはあれを手に入れる事が最優先よ。そしてその後は当然この施設の破壊ね!」

「でも見た感じ、なんだかみんな若くて可愛らしいしフレッシュで粋が良さそうだから質のいい七色魔石が取れるかも知れないわね。ただやみくもに殺さないでこいつらの体の中から七色に色が別れていてその性質から魔力の燃料にもなるという、虹色鉱石を取り出してから死んでもらうことにしましょう」

「虹色鉱石……通称七色魔石か。虹色魔石とも言うがこの緑溢れる世界に住んでいるモブキャラ達の命から作り出せるというあの七色魔石を彼らの体内から取り出して、収集すると言うことだな。確かにあれはかき集めれば中々の金になるからな。なら例のごとく小遣い稼ぎのモブキャラ狩りと行きますか!」

「ちぇ、仕方が無いな。ならちょっと死なない程度にいたぶってからその命の灯火を虹色鉱石に変えて回収してやるか!」

 いきなり現れたその正体不明の人達の会話を聞き、その会話の意味が理解できずにいる赤い鎧を着た少年・マーズ、黄色い鎧を着た少年・ダン、そして紫の衣服に身を固めた勝ち気そうな少女・エアルの三人は皆きょとんとしながらもその説明を求める為にゆっくりとその怪しげな人間達の方へと足を再び進めるが、その存在と正体にいち早く気づいたラエルロットは更に追加の言葉を告げる。

「行くなと言っているだろ。そいつらは恐らく地球という星から来た異世界召喚者達だ。今時の異世界召喚者達は一体何を考えて行動しているのかがわからないし、その活動や目的は未だに謎だが、二千年前に現れたという俺達人類に高度な知識を授けてくれた優しい異世界召喚者達とは違い、今の異世界召喚者達はかなり危険で危ない奴らだから、絶対に話しかけるなよ!」

「なんでこの人達が異世界召喚者達だとわかるんだよ!」

「今の会話を聞いてはいなかったのか。こいつら俺たちのことをこの世界の人とかモブキャラだとか言っているのがその証拠だ。だから今すぐに戻って来いと言っているんだ!」

「なにぃぃぃぃーー、異世界召喚者だってぇぇ、話では聞いてはいたがこいつらがそうか。つまり今は俺達と敵対している別の星から来た異世界人ということか」

 ラエルロットの必死の呼びかけに警戒色を滲ませる若き三人の訓練生たる男女は、咄嗟に各々が腰に下げている武器を引っこ抜くと豪快に構える。酷く緊張しながらも戦闘態勢を取る若者の一人にラエルロットがすかさず声をかける。

「おい、黄色い鎧を着た少年。確かダンとか言ったか、君が持っている鑑定眼鏡で異世界召喚者達のレベルを調べて見てくれ。もしかしたらそこからなにか対処方法が見つかるかも知れない」

「ええ~と、彼ら、異世界召喚者達のレベルは、皆がレベル二十から~レベル三十前後と言った所だ。おい、こいつらは本当に敵なのか。有無を言わさずに俺達の命を奪いに来るような奴らなのか!」

「そんな心ない会話をあの異世界召喚者達は今まさに俺達の前でしていただろ。そしてあの異世界召喚者達のレベルは……レベル20から30か。確かに今の俺達にはそれだけでも充分に脅威となるレベルだが、レベル90の異世界召喚者でもあった勇者田中や黒神子の妖精喰いのヨーミコワと戦うよりはかなりマシなはずだ。とは言ってもその数は三十五人か。みんなで一人を相手にするだけでもまず現実的に勝てないというのに、はてさて、これは一体どうした物やら。ていうか正直これはもう摘んだかな?」

 そんな余裕ぶった言葉をつぶやいていたラエルロットだったが内心は違う。額からいやな汗を沢山掻きながらもこの絶体絶命的な状況を脱しようと心の中で必死に考える。

(こんなよくわからない所に飛ばされたばかりか、突然現れた異世界召喚者達のおかげでいきなり命に関わる大ピンチになってしまった。なぜ俺達はこんな恐ろしい敵が沢山いるそのど真ん中に飛ばされてしまったんだ。そしてこの演出は絶対に実地試験で用意した罠でもなけねば事故でも無い事だけは確かなはずだ。そして俺達がこんなとんでもない状況に陥っているにも関わらずダグラス試験官は一体どこに隠れて俺達の行動を見ていると言うんだ。いい加減隠れてないで早く出てきて俺達をいち早く保護してもらいたい物だぜ。とにかく今は俺達の戦力だけでこの絶望的な状況をどうにかしないとな。でないと本当にみんな異世界召喚者達に殺されてしまうぞ!)

 いつ戦闘行動を開始するかも知れない異世界召喚者達を警戒しながら、ラエルロットは腰に下げてある(思いを具現化する苗木が付与されてある)黒い不格好な木刀をゆっくりと引っこ抜くと、六人の仲間達の命だけはなんとしてでも守り抜いて見せると心の中で堅く決意するのだった。

 第八級冒険者試験を受けに来た槍術士職志願のブルースと、剣士職志願のマーズです。 

 第八級冒険者試験を受けに来た重戦士職志願のダンと、忍者職志願のエアルです。

 第八級冒険者試験を受けに来た砲撃士職志願のミランシェと、戦巫女職志願のレイヤです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

「え、俺なんかしました?」無自覚チート《概念編集》で石ころを魔石に、なまくらを聖剣に書き換えて、国を追われた聖女様と世界を救う

黒崎隼人
ファンタジー
◆◇◆完結保証◆◇◆ ◆◇◆毎日朝7時更新!◆◇◆ 「え、俺なんかしました?」 ごく普通の大学生、朝霧 海(あさぎり かい)が迷い込んだのは、剣と魔法が息づく異世界エーテルディア。右も左も分からぬままモンスターに襲われた彼を救ったのは、聖なる光を操る謎の美少女、ルミナだった。 彼女は言った。『あなた、一体何者なの?』と。 カイ自身も知らない、触れたモノの”理”を書き換えるチート能力《概念編集(リアライター)》。 「ただの石」が「爆ぜる魔石」に? 「なまくらの剣」が「伝説級の聖剣」に!? 無自覚に規格外の力を振るうカイは、やがて国を追われる訳ありの少女ルミナと共に、巨大な陰謀に立ち向かう運命に巻き込まれていく。 これは、一人の平凡な青年が、大切な人を守るために世界の理すら書き換えて最強へと至る、王道異世界ファンタジー!

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

処理中です...