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第三章 二人の聖女編
3-30.聖女ミレーヌの歪んだ愛
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3ー30.聖女ミレーヌの歪んだ愛
「フッケェェェッ、フッケェェェッ、愛しのエドワード様、もう少しだけ待っていて下さい。今から私の使命に逆らうこの不届き者達を殺して、直にご命令にあった実験施設と聖女になれる新薬とやらの製造所を破壊して来ますわ。だからそれまで私が戻るのを待っていて下さいね。必ずその全てを終わらせてエドワード様の元に戻って見せますから!」
「なによ、ミレーヌ、私達と協力をして共にここから出るんじゃなかったの、さっきと言っている事が違うじゃない」
「黙れ、タタラ。私の事を本物のミレーヌだと全く信じてはいないお前達のことをこの私が信じる訳がないでしょ。そうよ、お前達をここでみんな殺す事ができれば、私は晴れてこの部屋から出ることができる。なぜかは知らないけど、きっとそういう事なのよ。そう、神からの天命がそう告げているんだから、まず間違いは無いわ。だから、タタラ……悪いんだけど、あなた達はここで消えて頂戴。ヘホッホホーー、ヘッホホホーー、別にいいでしょ、どうせあなた達の命も人生も詰まらない物なんでしょうから!」
「ミレーヌ……その答えはあなたが勝手に決めていい物じゃないわ。そして今まさにあなたが下げずんでいたその心無い言葉に一番苦しんで来たのは他ならぬあなた自身だったはずよ。もう忘れちゃったの。以前のあなたなら、そんな人を傷つけるような言葉は絶対に発したりはしないわ。人が傷つく痛みを知っていた以前のあなたならね」
Aランクの聖女・超重力を操るミレーヌの力が一メートル、二メートルとその周囲を示すかのようにいきなり石床の地面がへこみ出し、石は砕けその範囲を徐々に広げていく。
ミレーヌの周りを中心に徐々に攻撃範囲を広げていく聖女ミレーヌに対し白魔法使いのタタラは間合いの外から(初級の白魔法使いなら誰もが使えるという)マジックミサイルを牽制とばかりに何度も発射し応戦するが、その攻撃はミレーヌの周りを展開している見えない重力の壁で難なくはじき飛ばされてしまう。
「ゲヘゲヘゲヘ、だから無駄だと言っているのに、懲りないわね」
「当たれ、マジックミサイル!」
シュッドッドーーン、シュッドドドォォォーーン、ジュッドドドオオォォォーーン、ガッダドォォォォーーン、ガッシュオオオォォォォォーーン!
まるで火力の強い大きなロケット花火のように光と音を放ちながら飛んでいくマジックミサイルを聖女ミレーヌが目の前に展開する超重力の防御壁で簡単にとめる。
攻防一体の重力による力で自らを武装する聖女ミレーヌの意表を突くには一体どうしたらいいのかを手探りで考えながら動く白魔法使いのタタラは、今度はそのマジックミサイルを聖女ミレーヌがいる天井の真上に向けて撃ち放つ。
「なら、これならどうだ!」
魔法の杖から発せられた光の球がきらびやかに光るとその光の球は物凄いスピードで天井へと飛ぶ。その瞬間外壁は砕け、コンクリートで出来た大きな塊は真下にいる聖女ミレーヌの頭上へと降り注ぐ。
だが聖女ミレーヌの頭に直撃するはずの数々のコンクリートの瓦礫は彼女の頭の上で強制的に止まり、その後は見えない重力のような防御壁を伝いながら四方へと滑り落ちる。
ゴッドォォーーン、ゴッドォォーーン、ゴト、ゴト、ゴトン!
「フフフフ、無駄、無駄よ。そんなんじゃ私の歩みを止める事は出来ないわ。あなたの攻撃力じゃどう逆立ちしたって私の体には傷一つ付けられない事は戦う前から分かっていたはずよ。なのにめげずにこんな無謀な意味の無い攻撃を仕掛けて来るだなんて、一体どういうことなのかしら。それとも何か魂胆があるとか?」
「ぬぬ、やはり駄目か。相変わらずの鉄壁ぶりね。不用意に近づく事もできないし、その重力防御を破る事もできないだなんて、一体どうした物かしらね?」
聖女ミレーヌが一歩前に出て距離を詰める度に白魔法使いのタタラは一歩後ろへと下がりその距離を広げる。
今もなお無駄な攻撃をし続ける白魔法使いのタタラの足止めと言う名の時間稼ぎに答えるかのように、決意が固まったのか、後ろにいるラエルロットがようやく重い腰を上げる。
「タタラ、そろそろ俺も行きます。俺が一瞬のうちに彼女の懐に入り込んで、この黒い木刀による一撃を聖女ミレーヌの体に浴びせて見せる!」
ラエルロットはそう高らかに言うと腰に下げている黒い不格好な木刀を勢いよく引っこ抜く。
「今から復讐の鎧の力を、一瞬だけ開放する。その禁じられた禁断の力で聖女ミレーヌの重力による鉄壁の防御壁を突破し貫いてやる。そうこのあたりがそろそろ俺の命の使いどころだ。なぜならこの強力な超重力の力を操る聖女を相手に力の出し惜しみは絶対にできない事は分かっているからだ。だから俺も最後は全力を尽くして彼女に挑戦してやるぜ。耳長族のエドワードの時はなめ腐って俺を殺さないことはわかっていたから、この力を最後まで使うことも無かったが、ようやく覚悟が決められたぜ!」
固めた決意と意思を言葉にして話すラエルロットの覚悟に、白魔法使いのタタラは最初は驚きの余り目を細めたが、仕方が無いとばかりにある約束事をそれとなく伝える。
「分かりました、復讐の鎧の開放を私も見届けます。ですが呪いの開放に当たりこの約束だけは必ず守って下さい!」
「約束事……か?」
「はい、約束事です。これを守らないと恐らくラエルロットさんは復讐の鎧を開放したその数十秒後に必ず死んでしまう事になります、なのでそうならない為の約束事を今から決めて置くのです。でもそう難しい事ではないですし、至極当然な事です」
「その至極当然な事とは一体なんだ?」
「時間ですよ、時間。たぶん……時間にして、約五秒……いや長く見積もってもギリギリ約十秒と言った所でしょうか。その十秒が、たかだかレベル1の人間族のラエルロットさんがその禁断にして厄災たる復讐の鎧をその身に装着して自由に動ける活動限界の時間です」
「経ったの十秒か。復讐の鎧を召喚して、そこから狂雷のスキルを発動させて……超スピードによる狂雷電光石火の一撃を放つ溜を作るのを合わせてギリギリ十秒と行ったところか。その最初にして最後の一撃を放てるかどうかが転機の分かれ目と言った所だな。その渾身の一撃を放ってしまったら正直俺にはもう後はないが、この起死回生の一撃に賭けるしかないようだ。勝算も掛け率も悪いとんだ大博打だぜ!」
「それでもやるんですよね、なら止めはしません。正直この絶望的な状況を覆す手段を私はどうしても思いつきませんでした。でも仮にその禁断の鎧の力を使えたとしても、恐らく、あのAランクの聖女・超重力使いのミレーヌが操る超重力による鉄壁の防御壁を破る事はまずできないでしょう」
「ならなんで、俺が復讐の鎧の力を使いここで解放する事を、今更認めたんだよ」
「今ここでラエルロットさんが復讐の鎧の力を使おうが使うまいが聖女ミレーヌと戦うことはまず避けられないでしょうし、Aランクの聖女を相手に力の出し惜しみは返ってこちら側の死を招くと判断したからです。なので少しでも戦力になるのならと思い復讐の鎧の力の開放を認めました。まあ仮に、たかだかレベル1のラエルロットさんが復讐の鎧の力を開放して戦っても恐らくは大した力にはならないとは思いますが……後で全力で戦えなかったと後悔をするよりはいいでしょうからね。まあ精々あがきにあがいて、聖女ミレーヌの肝を冷やして来て下さい。あなたの頑張りに期待していますよ!」
「嘘をつけぇ……だがあんたに言われなくてもこの禁断の力は最初から使うつもりだ。こい、復讐の鎧。その呪われた厄災の力を、救いを求めているサンプル体の少女達を守る為に今こそ俺に使わしてくれ。みんなの力で聖女ミレーヌが作りし超重力の防御壁を打ち破るんだ!」
仁王立ちを決めながら天に向けて高らかにそう叫ぶと、地中の底から「ウッオオオオォォォォォォォーーォォ、ぶっおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーぉぉ!」という不気味な音が憎悪と怨念と共に鳴り響き、その音に連動して影より表れし黒い無数の何かがラエルロットの体にへばりつき這い上っていく。
その怨念に満ちた黒い無数の何かが体を這い上がって来たかと思うと、重量感があり尚且つ光沢のある綺麗な黒鉄の鎧へと変貌していく。その全身を覆う姿はどこか危険で邪悪な力を発してはいるが限りなく美しく、漆黒を思わせる深い闇は全ての希望を絶望へと変えてしまうかのようなそんな邪悪性をはらんでいた。
そうまさに暗黒の勇者と呼ぶに相応しいそんな凄みのある勇ましい姿だ。
復讐の鎧を無事に装着する事ができたラエルロットは手に持つ黒い不格好な木刀を素早く構えると、これからが時間との戦いだとばかりに直ぐさま(雷の力を自由に操る事ができるという)狂雷のスキルを発動させる。
「こい、続いて狂雷のスキルの力よ!」
高らかにラエルロットが叫んだ瞬間、眩い閃光とけたたましい雷鳴と共にその体が激しく放電する。
全身を這う派手やかな電流は黄色い光となって荒々しく体を駆け巡り、荒れ狂う狂雷と化したその禁断のスキルは周囲を巻き込みながらも豪快に荒ぶる。
バリバリバリバリバリバリーー、ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーン!
「行くぞ。狂雷、電光石火!」
闘志をみなぎらせながらそう叫んだ瞬間、荒れ狂う雷に包まれたラエルロットの体はまるでその場所からかき消えたかのようにいきなり姿を消すが、その一秒後聖女ミレーヌから二十メートルほど離れた真ん前で突如その姿を現し、そのまま地面へと、うつ伏せに倒れる。どうやらラエルロットは聖女ミレーヌの超重力の射程距離内に入ってしまったが為に有無を言わせずに押しつぶされてしまったようだ。
ドッスン、ズッシャ!
「ぐっへぇ、ば、馬鹿な、勢いに任せて聖女ミレーヌの間合いに入ったはいいが、まさかこの重力圏内から先に一歩も進む事ができないだなんて……俺は復讐の鎧をこの体に身に着けて(一瞬ではあるが)大きくレベルアップを遂げたんじゃなかったのかよ。一体俺の身になにが起きているというんだ?」
上からのし掛かる、ものすごい超重力による重みで全く身動きが取れないラエルロットはその場から抜け出そうと必死にジタバタとあがくが、立ち上がれないばかりか頭を上げる事もできない。
「く、くそおぉぉぉ、なんて重力だ。全く動く事ができない。このままじゃ確実に潰されてしまう。早く、早くここから脱出しなくては!」
「グッヘェグッヘェ、その特殊な防具の力で、たかだか3・4ほどのレベルが上昇した所で特に状況が変わる事はないだろ。確かにレベル1の人間を三倍や四倍にそのレベルを上昇させるその鎧は物凄い代物のようですが、私の能力を打ち破るには全然至らなかったようです。自慢じゃないですが私のこの超重力による能力は、たとえ最高位のレベル100の人物すらも絶対に逃げられない程の特殊な力です。だからラエルロットさん、君がこの重力の攻撃から逃げられない事を何も恥じる必要はないのです。そしてあなたはレベル1にも関わらずよく戦い抜きましたがどうやらここまでのようです。もう観念して大人しくここで死んで下さい。それが潔い散り時という物です!」
(くそおぉぉぉ、潰される。潰されてしまう。逃げないと、早くここから逃げないと、脱出しないと制限時間の十秒が過ぎてしまう。もしその十秒が過ぎてしまったら、その時点で俺は彼女の重力攻撃で直にペッチャンコだ!)
上から滝の激流のように叩きつけられる重力攻撃の重さに身動きが取れないでいると、苦しみもがいていたラエルロットの体が何事も無かったかのようにいきなり軽くなる。
フッワアァ~ン。
(なんだ、なぜ急に体が軽くなったんだ……そして今の時点でキッカリ十秒だ)
そう思った瞬間、ラエルロットの体を黒く覆っていた復讐の鎧は「グッオオオォォォォォォォォーーン!」と大きな雄叫びを上げると瞬く間に変身を解き、またラエルロットが無様に倒れる影の中へと帰っていく。
(くそ、復讐の鎧が……闇の世界に再び帰ってしまった。結局何も出来ずに最後の起死回生の切り札も俺のMPの大量消費と共に終わってしまった。だがなぜ俺に対する重力攻撃が今はやんでいるんだ。これは一体どういうことだ?)
頭上に誰かの影を感じながらもうつ伏せに倒れているラエルロットは何気に頭上を見ると、宙でホバーリングをしながら佇む蛾の妖精のルナの姿が見て取れる。
蛾の妖精のルナは半ばあきれ顔で大袈裟に溜息をつくと、ラエルロットと共に、20メートル先にいる聖女ミレーヌの姿をまじまじと見る。
「意気揚々と出て行ったかと思ったら、次の瞬間そのまま地べたに張り付いて一体何を遊んでいるの、もしかして馬鹿なの」
「お前、この状況が見えねえのか。どう見てもなすすべ無く聖女ミレーヌに今まさにボコボコにされている所だろ。やはりいくら復讐の鎧の力を開放しても、レスフィナから送られる不老不死の力が無きゃ効率よく復讐の鎧の力を十二分に操る事はできないか。全く歯痒く思い通りにならない事ばかりだぜ」
「でしょうね。そんなラエルロットの為にわざわざ私がここまで来てあげたんだから猛烈に感謝をしてよね。私が持つ精霊力が尽きないウチに二人で聖女ミレーヌの傍まで近づくわよ!」
「近づくったって、あの回避不可能とも言われる聖女ミレーヌの重力攻撃を一体どうやって回避するんだよ……て、そう言えばルナ、お前どうやって俺のところまで来たんだ。いいや、そもそもお前はこの重力の攻撃を上から仕掛けられている最中にも関わらず、なぜ平然と宙を舞っていられるんだ?」
平然としながら頭の上を飛んでいる蛾の妖精のルナの姿に最初は理解が追いつかないでいるラエルロットだったが、その更に上を見た途端、なぜ蛾の妖精のルナが平然と宙を舞っていられたのかを瞬時に理解する。
「そうか、そういうことだったのか」
ラエルロットの更に上にいる蛾の妖精のルナの頭上には、ルナが展開している古代の遺物の一つ・邪妖精の衣がまるで宙に浮く日よけの傘のようにラエルロットの体を覆い隠していた。
つまり蛾の妖精のルナが頭上に日傘のように広げた邪妖精の衣はラエルロットの体に降り注ぐ重力攻撃の重さを全て衣の中へと吸収し、異次元の彼方へと飛ばしていたのだ。故に日傘のような働きで日影の中にいるラエルロットとルナの体はその超重力の影響を受けず、その周りだけがまるで変わり果てた世界のように石畳は凹み石は砕け、ちょっとした段差が見える小さなクレーターを幾つも形作る。
「さあ、ラエルロット、立ち上がったらそのまま前に進むわよ。前に進んで聖女ミレーヌの体に届く間合いになんとしても入らないと」
蛾の妖精のルナの言葉を聞いたラエルロットは後ろにいる白魔法使いのタタラの意見を聞く為に一度後ろを振り返るが、その視線にタタラは頭を縦に振ってそのまま進めと合図を送る。その合図に決意が固まったラエルロットは蛾の妖精のルナと共にそのまま前へ前へと突き進む。
「邪妖精の衣ですって、そんな物を持っている妖精がいただなんて正直驚いたわ。あれは過去に高度な魔法科学文明を持つとされる邪妖精と呼ばれていた種族が扱っていた古代の遺物の一つのはずよ。もう既に滅んだ種族ではあるけど、その特別な種族しか扱う事のできないレアアイテムを妖精族の中でも底辺に位置する蛾の妖精ごときが扱えるだなんて悪い夢でも見ている気分だわ!」
予期しなかった事に面食らう聖女ミレーヌは一歩後ろに後ずさると、これ以上の進軍は許さないとばかりに更なる重力攻撃を上乗せする。
ズッシィィィィィィーーン!
「く、聖女ミレーヌ、お前が聖剣チャームブレードを操る耳長族のエドワードの事を好きらしいがお前は彼の一体どこに惚れていると言うんだ。彼のチャームブレードで斬られて復活してから、それほど時間は経ってはいないじゃないか。まだまともに会話すらした事が無いと言うのにだ。それにお前は耳長族のエドワードという人物が一体どんな亜人なのか知りもしないだろ」
「黙れ、黙れ、黙れぇぇぇ、何も知らないお前に一体私の何が分かる。たとえエドワード様が私のことを知らなくても……いいえ、私がエドワード様のことを知らなくても……二人の愛はその魂の部分で堅く、強く、そして強固に繋がっているのだ。そうです、私がエドワード様を慕っているその強い想いは、愛は明らかに本物なのです。そうに決まっています!」
「相手のことを殆ど知らないのに本当の愛だとのたうつか。その言葉に深い矛盾を感じているのは俺だけかな」
「黙れと言っている。私の一途な愛と使命に、疑問と迷いを与えて混乱させるつもりか。私の大きな愛に疑いを抱くなど絶対にありはしないわ!」
「さあ~て、それはどうかな。お前も本当は薄々わかっているんじゃないのか。お前のその盲目的な愛は全てが偽りであることを」
「もう黙れ、お前の妄言など聞きたくもないわ!」
聖女ミレーヌの愛が本物かどうかという挑発めいた言葉を巧みに使いながら少しづつ距離を縮めるラエルロットに対し、聖女ミレーヌはその接近にまた数歩後ろへと下がってしまう。
「馬鹿な、馬鹿な、たかだかレベル1の分際で私に近づいて来るだなんて、あり得ない、こんな事は絶対にあり得ないわ。私の超重力攻撃はたとえレベル100の人物だって行動不能にできるくらいの特殊な重力攻撃なのよ。それなのに古代の遺物の力を借りてここまで近づいて来るだなんて、用意周到にも程があるわ。くそおぉぉぉ、チートアイテムなんか使いやがって、そうでなかったら、あなた達なんかとっくの昔に私の重力攻撃でもう数回は死んでいるはずなんだから、身分扶桑にもそんなに頑張るんじゃないわよ。く、来るな、もうこれ以上私に近づくな。もうこうなったらやってやる。家のリザイア隊長をやった時みたいにお前達を超重力攻撃でグッシャグッシャに潰してやる。くらえぇぇぇ、超重力攻撃、マックスゥゥゥゥ!」
上から容赦なく滝の水のように叩きつけてくる超強力なG攻撃にラエルロットと蛾の妖精のルナは一歩一歩力強く地面を踏みしめながら確実に聖女ミレーヌの元へと近づいていく。そしてついには10メートルくらいまで近づく事に成功したラエルロットは蛾の妖精のルナが見守る中、ついに手に持つ黒い不格好な木刀をゆっくりと構える。
「本当なら至近距離まで近づきたい所だが他にどんな攻撃手段を隠し持っているか分からないから、この10メートルの距離から確実にチマチマと攻撃を当てさせて貰うぜ!」
「ラエルロット、早くしてよ。このまま聖女ミレーヌの超重力攻撃を邪妖精の衣の中に取り入れ続けると言う事は当然私のMPを大量に消費してしまうという事に他ならないわ。だから私のMPが尽きる前になんとしてでも聖女ミレーヌを倒して頂戴。私のMPも無限じゃないんだからね」
「ああ、分かっている。この黒い不格好な木刀に宿っている……思いを具現化する苗木の力で、聖女ミレーヌの悪意ある暴走を必ず止めてやるぜ!」
このチャンスを逃すまいと迫るラエルロットの凄まじい意気込みに身の危険を感じた聖女ミレーヌは行き止まりの扉の平面に背中をつけると、他に逃げ道は無いかと左右に目を向けるが何処にも逃げ場が無い現実に思わず愕然とする。なぜなら右も左も、どちらの地面も石畳は砕け、そのまま地面が約五メートルほど陥没して高い段差になっていたからだ。その左右の陥没には当然闇雲に使用した聖女ミレーヌの超重力攻撃の影響も勿論あったが、それ以上にマジックミサイルをこり妙がしにバカスカと撃ちまくっていた白魔法使いのタタラの爆裂系魔法攻撃の影響も多いに関係している事に、聖女ミレーヌは今更ながらに気づく。
「タタラ、あなた、やってくれたわね。あんたのような冷静沈着な子がなぜ闇雲に(勝てない事はわかっているはずなのに)マジックミサイルを撃ちまくっていたのか、その理由がやっとわかったわ。私をこの場所に釘付けにして、動けないようにする為だったのね。そしてこの後に続く私への追撃を、よく素性も知れない人間の青年と得体の知れない蛾の妖精の小娘に全てを託すだなんて、正直あり得ないし理解に苦しむわ!」
「でしょうね。あんたが必ずそう思うことを逆手に取って、先ずは私が闇雲に攻撃をしていると見せかけて、人知れずあなたの逃げ道を潰しながら、その逃げられる範囲を確実に縮めていたのよ。自分で作り出した超重力の防御壁の余波で沈んだ回りの地面に、加えて土煙を巻き上げながら撃ちまくった私のマジックミサイルで確実に左右の土を爆破して穴を深く掘って空けて置いたから、もうどこにも逃げられないはずよ。ラエルロットがいる前以外の道は全てが崩してある事だしね」
「抜かったわ。タタラ、相変わらず食えない奴だわ!」
聖女ミレーヌがタタラに向けてそう呟いた瞬間、視線を外していたラエルロットの声が鋭い攻撃となって、いきなり目の前で激突する。
ダッシシシシーーン!
「ん、なんだ。何事だ?」
「聖女ミレーヌ、よそ見をしている暇はあるのか。この黒い木刀から放たれる強烈な二撃目の攻撃を喰らいやがれ!」
「二撃目だとう……超重力の防御壁で難なく防いでしまったから奴の攻撃がイマイチ見えなかったが、そもそもこのラエルロットとかいう青年は一体どうやって私の周りに展開している防御壁に触れる事ができたんだ。この十メートルという距離では奴が持つ黒い不格好な木刀は全くといっていいほどに届きはしないだろ。のはずなのだが?」
そう思いを口にしながら聖女ミレーヌがラエルロットを怪訝な目で見ていると、ラエルロットはその答えをわざと見せるかのように黒い不格好な木刀の刀身を後ろに下げながらゆっくりと構える。
「答えは、これだあぁぁ。伸びろ、思いを具現化する苗木よ。奴が位置するその体がある所まで、その刀身よ、届けぇぇぇ!」
ラエルロットの掛け声と共にいきなり約15メートルくらいまで伸びた黒い不格好な木刀を聖女ミレーヌに目がけて透かさず横から思いっきり振り込むが、当然のように彼女の体を囲む超重力による防御壁に阻まれて簡単に止められてしまう。その瞬間黒い不格好な木刀は超重力の力で地面へと叩き落とされ、その動力を失ってしまう。だが既に黒い不格好な木刀を元の長さに戻していたラエルロットは、再チャレンジとばかりに今度は直進からの鋭い突きを聖女ミレーヌに向けて豪快にお見舞いするが、その的確な力強い攻撃も当然のように退けられ、黒い不格好な木刀はまた力無く地面へと叩き落とされる。
「フフフフ、いくらやっても無駄よ。ラエルロットさん、あなたが持つその黒い木刀はどうやらどこまでも伸びる性質を兼ね備えた魔法の加護が掛かった木刀らしいけど、私の体の周りに展開している超重力による防御壁はどうあっても、絶対に破れはしないわ。そうそれはつまりあなたに私を倒せる手段は最初から無いと言う事を意味している。理解ができたかしら!」
「そ、そんなのはやってみないと分からないだろ。悪いがお前を倒せる可能性が僅かでも残っている限り、何度でも攻撃を続けさせて貰うぜ!」
「いくらやっても無駄です。あなたの頭上を今も守っている、蛾の妖精の小娘の精霊力が尽きたその時が、あなたの死に時です。まあ残りの時間を精々あがくにあがいて、自分達の無力を、そして現実と言う名の絶望を思い知って下さい」
「諦めて堪る物か。せっかくつないでくれたタタラやルナの為にも、俺がお前にこの一撃を届けないといけないんだ。絶対にお前の体に俺の一撃を当てて見せる!」
決意を込めた言葉を言い放つとラエルロットは連続攻撃とばかりに今度は20メートルくらいにまで伸ばした黒い不格好な木刀を聖女ミレーヌに向けてがむしゃらに振り続ける。
「まるで長い物干し竿の先端を持っているかのように重いし、しなりもあるが、泣き言は言っていられないか。俺の腕力が続く限りこの黒い木刀を振り続けてやるぜ。うりゃあぁぁぁーー、くらえぇぇぇ!」
ドカスタ、バキ、ズカ、シュク、メキバッシュン、ガッシーン!
「ホホホホ、無駄なあがきを繰り返してばかりいて、また随分と健気な者ですね。そもそもたかだかレベル1のあなたの攻撃が、Aランクの聖女が作りし超重力の防御壁を破れる訳がないじゃないですか。本当に無謀で愚かな人ですね、あなたは……」
幾度となく繰り出される豪快かつ素早い攻撃を防御壁で難なく受けながら聖女ミレーヌは、ラエルロットの極めて無謀な攻撃につい苦笑をしてしまうが、そんな彼女の心に油断が生まれたのか、通るはずの無いラエルロットが持つ黒い不格好な木刀の一撃が聖女ミレーヌが作りし防御壁の隙間を貫通して聖女ミレーヌの右太物付近へと当たってしまう。
ドカン!
「ば、馬鹿な、私が作りし鉄壁の防御壁の隙間を貫通して、尚且つ私の体に展開しているオートガードシステムすらも無視して(システムエラーで)直接触る事ができただとう。これは一体どういう偶然だ。有り得ないし理解が出来ません。まさか本当に奇跡が起きたとでも言うの?」
今もなお信じられないと言うような顔をする聖女ミレーヌに向けてラエルロットは、黒い不格好な木刀を再び構え直すと、その技名を声高らかに大きな声で叫ぶ!
「み、見たか。あの異世界召喚者の狂雷の勇者・田中や、黒神子・妖精食いのヨーミコワでさえもその攻撃を喰らう要因となった黒い不格好な木刀が持つ【確率斬】と呼ばれる、当たる確率を上げる未来に繋がる一撃を!」
「確率を上げるだとう……そんな馬鹿な事があって堪るか!」
「聖女ミレーヌ、お前は確率斬から繰り出された、その僅かな確率の一撃をその身に受けてしまった事により、黒い不格好な木刀に……いいや思いを具現化する苗木の力に触れてしまった。故にその能力が自動的に発動する」
「な、なんですってぇぇぇ、能力の発動ですってぇぇ……そんな馬鹿なぁぁぁぁ?」
そう聖女ミレーヌが叫んだ瞬間、聖女ミレーヌの意識はここから離れ、まだ彼女すらも知らない別の心の内なる世界へと飛んでいくのだった。
「フッケェェェッ、フッケェェェッ、愛しのエドワード様、もう少しだけ待っていて下さい。今から私の使命に逆らうこの不届き者達を殺して、直にご命令にあった実験施設と聖女になれる新薬とやらの製造所を破壊して来ますわ。だからそれまで私が戻るのを待っていて下さいね。必ずその全てを終わらせてエドワード様の元に戻って見せますから!」
「なによ、ミレーヌ、私達と協力をして共にここから出るんじゃなかったの、さっきと言っている事が違うじゃない」
「黙れ、タタラ。私の事を本物のミレーヌだと全く信じてはいないお前達のことをこの私が信じる訳がないでしょ。そうよ、お前達をここでみんな殺す事ができれば、私は晴れてこの部屋から出ることができる。なぜかは知らないけど、きっとそういう事なのよ。そう、神からの天命がそう告げているんだから、まず間違いは無いわ。だから、タタラ……悪いんだけど、あなた達はここで消えて頂戴。ヘホッホホーー、ヘッホホホーー、別にいいでしょ、どうせあなた達の命も人生も詰まらない物なんでしょうから!」
「ミレーヌ……その答えはあなたが勝手に決めていい物じゃないわ。そして今まさにあなたが下げずんでいたその心無い言葉に一番苦しんで来たのは他ならぬあなた自身だったはずよ。もう忘れちゃったの。以前のあなたなら、そんな人を傷つけるような言葉は絶対に発したりはしないわ。人が傷つく痛みを知っていた以前のあなたならね」
Aランクの聖女・超重力を操るミレーヌの力が一メートル、二メートルとその周囲を示すかのようにいきなり石床の地面がへこみ出し、石は砕けその範囲を徐々に広げていく。
ミレーヌの周りを中心に徐々に攻撃範囲を広げていく聖女ミレーヌに対し白魔法使いのタタラは間合いの外から(初級の白魔法使いなら誰もが使えるという)マジックミサイルを牽制とばかりに何度も発射し応戦するが、その攻撃はミレーヌの周りを展開している見えない重力の壁で難なくはじき飛ばされてしまう。
「ゲヘゲヘゲヘ、だから無駄だと言っているのに、懲りないわね」
「当たれ、マジックミサイル!」
シュッドッドーーン、シュッドドドォォォーーン、ジュッドドドオオォォォーーン、ガッダドォォォォーーン、ガッシュオオオォォォォォーーン!
まるで火力の強い大きなロケット花火のように光と音を放ちながら飛んでいくマジックミサイルを聖女ミレーヌが目の前に展開する超重力の防御壁で簡単にとめる。
攻防一体の重力による力で自らを武装する聖女ミレーヌの意表を突くには一体どうしたらいいのかを手探りで考えながら動く白魔法使いのタタラは、今度はそのマジックミサイルを聖女ミレーヌがいる天井の真上に向けて撃ち放つ。
「なら、これならどうだ!」
魔法の杖から発せられた光の球がきらびやかに光るとその光の球は物凄いスピードで天井へと飛ぶ。その瞬間外壁は砕け、コンクリートで出来た大きな塊は真下にいる聖女ミレーヌの頭上へと降り注ぐ。
だが聖女ミレーヌの頭に直撃するはずの数々のコンクリートの瓦礫は彼女の頭の上で強制的に止まり、その後は見えない重力のような防御壁を伝いながら四方へと滑り落ちる。
ゴッドォォーーン、ゴッドォォーーン、ゴト、ゴト、ゴトン!
「フフフフ、無駄、無駄よ。そんなんじゃ私の歩みを止める事は出来ないわ。あなたの攻撃力じゃどう逆立ちしたって私の体には傷一つ付けられない事は戦う前から分かっていたはずよ。なのにめげずにこんな無謀な意味の無い攻撃を仕掛けて来るだなんて、一体どういうことなのかしら。それとも何か魂胆があるとか?」
「ぬぬ、やはり駄目か。相変わらずの鉄壁ぶりね。不用意に近づく事もできないし、その重力防御を破る事もできないだなんて、一体どうした物かしらね?」
聖女ミレーヌが一歩前に出て距離を詰める度に白魔法使いのタタラは一歩後ろへと下がりその距離を広げる。
今もなお無駄な攻撃をし続ける白魔法使いのタタラの足止めと言う名の時間稼ぎに答えるかのように、決意が固まったのか、後ろにいるラエルロットがようやく重い腰を上げる。
「タタラ、そろそろ俺も行きます。俺が一瞬のうちに彼女の懐に入り込んで、この黒い木刀による一撃を聖女ミレーヌの体に浴びせて見せる!」
ラエルロットはそう高らかに言うと腰に下げている黒い不格好な木刀を勢いよく引っこ抜く。
「今から復讐の鎧の力を、一瞬だけ開放する。その禁じられた禁断の力で聖女ミレーヌの重力による鉄壁の防御壁を突破し貫いてやる。そうこのあたりがそろそろ俺の命の使いどころだ。なぜならこの強力な超重力の力を操る聖女を相手に力の出し惜しみは絶対にできない事は分かっているからだ。だから俺も最後は全力を尽くして彼女に挑戦してやるぜ。耳長族のエドワードの時はなめ腐って俺を殺さないことはわかっていたから、この力を最後まで使うことも無かったが、ようやく覚悟が決められたぜ!」
固めた決意と意思を言葉にして話すラエルロットの覚悟に、白魔法使いのタタラは最初は驚きの余り目を細めたが、仕方が無いとばかりにある約束事をそれとなく伝える。
「分かりました、復讐の鎧の開放を私も見届けます。ですが呪いの開放に当たりこの約束だけは必ず守って下さい!」
「約束事……か?」
「はい、約束事です。これを守らないと恐らくラエルロットさんは復讐の鎧を開放したその数十秒後に必ず死んでしまう事になります、なのでそうならない為の約束事を今から決めて置くのです。でもそう難しい事ではないですし、至極当然な事です」
「その至極当然な事とは一体なんだ?」
「時間ですよ、時間。たぶん……時間にして、約五秒……いや長く見積もってもギリギリ約十秒と言った所でしょうか。その十秒が、たかだかレベル1の人間族のラエルロットさんがその禁断にして厄災たる復讐の鎧をその身に装着して自由に動ける活動限界の時間です」
「経ったの十秒か。復讐の鎧を召喚して、そこから狂雷のスキルを発動させて……超スピードによる狂雷電光石火の一撃を放つ溜を作るのを合わせてギリギリ十秒と行ったところか。その最初にして最後の一撃を放てるかどうかが転機の分かれ目と言った所だな。その渾身の一撃を放ってしまったら正直俺にはもう後はないが、この起死回生の一撃に賭けるしかないようだ。勝算も掛け率も悪いとんだ大博打だぜ!」
「それでもやるんですよね、なら止めはしません。正直この絶望的な状況を覆す手段を私はどうしても思いつきませんでした。でも仮にその禁断の鎧の力を使えたとしても、恐らく、あのAランクの聖女・超重力使いのミレーヌが操る超重力による鉄壁の防御壁を破る事はまずできないでしょう」
「ならなんで、俺が復讐の鎧の力を使いここで解放する事を、今更認めたんだよ」
「今ここでラエルロットさんが復讐の鎧の力を使おうが使うまいが聖女ミレーヌと戦うことはまず避けられないでしょうし、Aランクの聖女を相手に力の出し惜しみは返ってこちら側の死を招くと判断したからです。なので少しでも戦力になるのならと思い復讐の鎧の力の開放を認めました。まあ仮に、たかだかレベル1のラエルロットさんが復讐の鎧の力を開放して戦っても恐らくは大した力にはならないとは思いますが……後で全力で戦えなかったと後悔をするよりはいいでしょうからね。まあ精々あがきにあがいて、聖女ミレーヌの肝を冷やして来て下さい。あなたの頑張りに期待していますよ!」
「嘘をつけぇ……だがあんたに言われなくてもこの禁断の力は最初から使うつもりだ。こい、復讐の鎧。その呪われた厄災の力を、救いを求めているサンプル体の少女達を守る為に今こそ俺に使わしてくれ。みんなの力で聖女ミレーヌが作りし超重力の防御壁を打ち破るんだ!」
仁王立ちを決めながら天に向けて高らかにそう叫ぶと、地中の底から「ウッオオオオォォォォォォォーーォォ、ぶっおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーぉぉ!」という不気味な音が憎悪と怨念と共に鳴り響き、その音に連動して影より表れし黒い無数の何かがラエルロットの体にへばりつき這い上っていく。
その怨念に満ちた黒い無数の何かが体を這い上がって来たかと思うと、重量感があり尚且つ光沢のある綺麗な黒鉄の鎧へと変貌していく。その全身を覆う姿はどこか危険で邪悪な力を発してはいるが限りなく美しく、漆黒を思わせる深い闇は全ての希望を絶望へと変えてしまうかのようなそんな邪悪性をはらんでいた。
そうまさに暗黒の勇者と呼ぶに相応しいそんな凄みのある勇ましい姿だ。
復讐の鎧を無事に装着する事ができたラエルロットは手に持つ黒い不格好な木刀を素早く構えると、これからが時間との戦いだとばかりに直ぐさま(雷の力を自由に操る事ができるという)狂雷のスキルを発動させる。
「こい、続いて狂雷のスキルの力よ!」
高らかにラエルロットが叫んだ瞬間、眩い閃光とけたたましい雷鳴と共にその体が激しく放電する。
全身を這う派手やかな電流は黄色い光となって荒々しく体を駆け巡り、荒れ狂う狂雷と化したその禁断のスキルは周囲を巻き込みながらも豪快に荒ぶる。
バリバリバリバリバリバリーー、ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーン!
「行くぞ。狂雷、電光石火!」
闘志をみなぎらせながらそう叫んだ瞬間、荒れ狂う雷に包まれたラエルロットの体はまるでその場所からかき消えたかのようにいきなり姿を消すが、その一秒後聖女ミレーヌから二十メートルほど離れた真ん前で突如その姿を現し、そのまま地面へと、うつ伏せに倒れる。どうやらラエルロットは聖女ミレーヌの超重力の射程距離内に入ってしまったが為に有無を言わせずに押しつぶされてしまったようだ。
ドッスン、ズッシャ!
「ぐっへぇ、ば、馬鹿な、勢いに任せて聖女ミレーヌの間合いに入ったはいいが、まさかこの重力圏内から先に一歩も進む事ができないだなんて……俺は復讐の鎧をこの体に身に着けて(一瞬ではあるが)大きくレベルアップを遂げたんじゃなかったのかよ。一体俺の身になにが起きているというんだ?」
上からのし掛かる、ものすごい超重力による重みで全く身動きが取れないラエルロットはその場から抜け出そうと必死にジタバタとあがくが、立ち上がれないばかりか頭を上げる事もできない。
「く、くそおぉぉぉ、なんて重力だ。全く動く事ができない。このままじゃ確実に潰されてしまう。早く、早くここから脱出しなくては!」
「グッヘェグッヘェ、その特殊な防具の力で、たかだか3・4ほどのレベルが上昇した所で特に状況が変わる事はないだろ。確かにレベル1の人間を三倍や四倍にそのレベルを上昇させるその鎧は物凄い代物のようですが、私の能力を打ち破るには全然至らなかったようです。自慢じゃないですが私のこの超重力による能力は、たとえ最高位のレベル100の人物すらも絶対に逃げられない程の特殊な力です。だからラエルロットさん、君がこの重力の攻撃から逃げられない事を何も恥じる必要はないのです。そしてあなたはレベル1にも関わらずよく戦い抜きましたがどうやらここまでのようです。もう観念して大人しくここで死んで下さい。それが潔い散り時という物です!」
(くそおぉぉぉ、潰される。潰されてしまう。逃げないと、早くここから逃げないと、脱出しないと制限時間の十秒が過ぎてしまう。もしその十秒が過ぎてしまったら、その時点で俺は彼女の重力攻撃で直にペッチャンコだ!)
上から滝の激流のように叩きつけられる重力攻撃の重さに身動きが取れないでいると、苦しみもがいていたラエルロットの体が何事も無かったかのようにいきなり軽くなる。
フッワアァ~ン。
(なんだ、なぜ急に体が軽くなったんだ……そして今の時点でキッカリ十秒だ)
そう思った瞬間、ラエルロットの体を黒く覆っていた復讐の鎧は「グッオオオォォォォォォォォーーン!」と大きな雄叫びを上げると瞬く間に変身を解き、またラエルロットが無様に倒れる影の中へと帰っていく。
(くそ、復讐の鎧が……闇の世界に再び帰ってしまった。結局何も出来ずに最後の起死回生の切り札も俺のMPの大量消費と共に終わってしまった。だがなぜ俺に対する重力攻撃が今はやんでいるんだ。これは一体どういうことだ?)
頭上に誰かの影を感じながらもうつ伏せに倒れているラエルロットは何気に頭上を見ると、宙でホバーリングをしながら佇む蛾の妖精のルナの姿が見て取れる。
蛾の妖精のルナは半ばあきれ顔で大袈裟に溜息をつくと、ラエルロットと共に、20メートル先にいる聖女ミレーヌの姿をまじまじと見る。
「意気揚々と出て行ったかと思ったら、次の瞬間そのまま地べたに張り付いて一体何を遊んでいるの、もしかして馬鹿なの」
「お前、この状況が見えねえのか。どう見てもなすすべ無く聖女ミレーヌに今まさにボコボコにされている所だろ。やはりいくら復讐の鎧の力を開放しても、レスフィナから送られる不老不死の力が無きゃ効率よく復讐の鎧の力を十二分に操る事はできないか。全く歯痒く思い通りにならない事ばかりだぜ」
「でしょうね。そんなラエルロットの為にわざわざ私がここまで来てあげたんだから猛烈に感謝をしてよね。私が持つ精霊力が尽きないウチに二人で聖女ミレーヌの傍まで近づくわよ!」
「近づくったって、あの回避不可能とも言われる聖女ミレーヌの重力攻撃を一体どうやって回避するんだよ……て、そう言えばルナ、お前どうやって俺のところまで来たんだ。いいや、そもそもお前はこの重力の攻撃を上から仕掛けられている最中にも関わらず、なぜ平然と宙を舞っていられるんだ?」
平然としながら頭の上を飛んでいる蛾の妖精のルナの姿に最初は理解が追いつかないでいるラエルロットだったが、その更に上を見た途端、なぜ蛾の妖精のルナが平然と宙を舞っていられたのかを瞬時に理解する。
「そうか、そういうことだったのか」
ラエルロットの更に上にいる蛾の妖精のルナの頭上には、ルナが展開している古代の遺物の一つ・邪妖精の衣がまるで宙に浮く日よけの傘のようにラエルロットの体を覆い隠していた。
つまり蛾の妖精のルナが頭上に日傘のように広げた邪妖精の衣はラエルロットの体に降り注ぐ重力攻撃の重さを全て衣の中へと吸収し、異次元の彼方へと飛ばしていたのだ。故に日傘のような働きで日影の中にいるラエルロットとルナの体はその超重力の影響を受けず、その周りだけがまるで変わり果てた世界のように石畳は凹み石は砕け、ちょっとした段差が見える小さなクレーターを幾つも形作る。
「さあ、ラエルロット、立ち上がったらそのまま前に進むわよ。前に進んで聖女ミレーヌの体に届く間合いになんとしても入らないと」
蛾の妖精のルナの言葉を聞いたラエルロットは後ろにいる白魔法使いのタタラの意見を聞く為に一度後ろを振り返るが、その視線にタタラは頭を縦に振ってそのまま進めと合図を送る。その合図に決意が固まったラエルロットは蛾の妖精のルナと共にそのまま前へ前へと突き進む。
「邪妖精の衣ですって、そんな物を持っている妖精がいただなんて正直驚いたわ。あれは過去に高度な魔法科学文明を持つとされる邪妖精と呼ばれていた種族が扱っていた古代の遺物の一つのはずよ。もう既に滅んだ種族ではあるけど、その特別な種族しか扱う事のできないレアアイテムを妖精族の中でも底辺に位置する蛾の妖精ごときが扱えるだなんて悪い夢でも見ている気分だわ!」
予期しなかった事に面食らう聖女ミレーヌは一歩後ろに後ずさると、これ以上の進軍は許さないとばかりに更なる重力攻撃を上乗せする。
ズッシィィィィィィーーン!
「く、聖女ミレーヌ、お前が聖剣チャームブレードを操る耳長族のエドワードの事を好きらしいがお前は彼の一体どこに惚れていると言うんだ。彼のチャームブレードで斬られて復活してから、それほど時間は経ってはいないじゃないか。まだまともに会話すらした事が無いと言うのにだ。それにお前は耳長族のエドワードという人物が一体どんな亜人なのか知りもしないだろ」
「黙れ、黙れ、黙れぇぇぇ、何も知らないお前に一体私の何が分かる。たとえエドワード様が私のことを知らなくても……いいえ、私がエドワード様のことを知らなくても……二人の愛はその魂の部分で堅く、強く、そして強固に繋がっているのだ。そうです、私がエドワード様を慕っているその強い想いは、愛は明らかに本物なのです。そうに決まっています!」
「相手のことを殆ど知らないのに本当の愛だとのたうつか。その言葉に深い矛盾を感じているのは俺だけかな」
「黙れと言っている。私の一途な愛と使命に、疑問と迷いを与えて混乱させるつもりか。私の大きな愛に疑いを抱くなど絶対にありはしないわ!」
「さあ~て、それはどうかな。お前も本当は薄々わかっているんじゃないのか。お前のその盲目的な愛は全てが偽りであることを」
「もう黙れ、お前の妄言など聞きたくもないわ!」
聖女ミレーヌの愛が本物かどうかという挑発めいた言葉を巧みに使いながら少しづつ距離を縮めるラエルロットに対し、聖女ミレーヌはその接近にまた数歩後ろへと下がってしまう。
「馬鹿な、馬鹿な、たかだかレベル1の分際で私に近づいて来るだなんて、あり得ない、こんな事は絶対にあり得ないわ。私の超重力攻撃はたとえレベル100の人物だって行動不能にできるくらいの特殊な重力攻撃なのよ。それなのに古代の遺物の力を借りてここまで近づいて来るだなんて、用意周到にも程があるわ。くそおぉぉぉ、チートアイテムなんか使いやがって、そうでなかったら、あなた達なんかとっくの昔に私の重力攻撃でもう数回は死んでいるはずなんだから、身分扶桑にもそんなに頑張るんじゃないわよ。く、来るな、もうこれ以上私に近づくな。もうこうなったらやってやる。家のリザイア隊長をやった時みたいにお前達を超重力攻撃でグッシャグッシャに潰してやる。くらえぇぇぇ、超重力攻撃、マックスゥゥゥゥ!」
上から容赦なく滝の水のように叩きつけてくる超強力なG攻撃にラエルロットと蛾の妖精のルナは一歩一歩力強く地面を踏みしめながら確実に聖女ミレーヌの元へと近づいていく。そしてついには10メートルくらいまで近づく事に成功したラエルロットは蛾の妖精のルナが見守る中、ついに手に持つ黒い不格好な木刀をゆっくりと構える。
「本当なら至近距離まで近づきたい所だが他にどんな攻撃手段を隠し持っているか分からないから、この10メートルの距離から確実にチマチマと攻撃を当てさせて貰うぜ!」
「ラエルロット、早くしてよ。このまま聖女ミレーヌの超重力攻撃を邪妖精の衣の中に取り入れ続けると言う事は当然私のMPを大量に消費してしまうという事に他ならないわ。だから私のMPが尽きる前になんとしてでも聖女ミレーヌを倒して頂戴。私のMPも無限じゃないんだからね」
「ああ、分かっている。この黒い不格好な木刀に宿っている……思いを具現化する苗木の力で、聖女ミレーヌの悪意ある暴走を必ず止めてやるぜ!」
このチャンスを逃すまいと迫るラエルロットの凄まじい意気込みに身の危険を感じた聖女ミレーヌは行き止まりの扉の平面に背中をつけると、他に逃げ道は無いかと左右に目を向けるが何処にも逃げ場が無い現実に思わず愕然とする。なぜなら右も左も、どちらの地面も石畳は砕け、そのまま地面が約五メートルほど陥没して高い段差になっていたからだ。その左右の陥没には当然闇雲に使用した聖女ミレーヌの超重力攻撃の影響も勿論あったが、それ以上にマジックミサイルをこり妙がしにバカスカと撃ちまくっていた白魔法使いのタタラの爆裂系魔法攻撃の影響も多いに関係している事に、聖女ミレーヌは今更ながらに気づく。
「タタラ、あなた、やってくれたわね。あんたのような冷静沈着な子がなぜ闇雲に(勝てない事はわかっているはずなのに)マジックミサイルを撃ちまくっていたのか、その理由がやっとわかったわ。私をこの場所に釘付けにして、動けないようにする為だったのね。そしてこの後に続く私への追撃を、よく素性も知れない人間の青年と得体の知れない蛾の妖精の小娘に全てを託すだなんて、正直あり得ないし理解に苦しむわ!」
「でしょうね。あんたが必ずそう思うことを逆手に取って、先ずは私が闇雲に攻撃をしていると見せかけて、人知れずあなたの逃げ道を潰しながら、その逃げられる範囲を確実に縮めていたのよ。自分で作り出した超重力の防御壁の余波で沈んだ回りの地面に、加えて土煙を巻き上げながら撃ちまくった私のマジックミサイルで確実に左右の土を爆破して穴を深く掘って空けて置いたから、もうどこにも逃げられないはずよ。ラエルロットがいる前以外の道は全てが崩してある事だしね」
「抜かったわ。タタラ、相変わらず食えない奴だわ!」
聖女ミレーヌがタタラに向けてそう呟いた瞬間、視線を外していたラエルロットの声が鋭い攻撃となって、いきなり目の前で激突する。
ダッシシシシーーン!
「ん、なんだ。何事だ?」
「聖女ミレーヌ、よそ見をしている暇はあるのか。この黒い木刀から放たれる強烈な二撃目の攻撃を喰らいやがれ!」
「二撃目だとう……超重力の防御壁で難なく防いでしまったから奴の攻撃がイマイチ見えなかったが、そもそもこのラエルロットとかいう青年は一体どうやって私の周りに展開している防御壁に触れる事ができたんだ。この十メートルという距離では奴が持つ黒い不格好な木刀は全くといっていいほどに届きはしないだろ。のはずなのだが?」
そう思いを口にしながら聖女ミレーヌがラエルロットを怪訝な目で見ていると、ラエルロットはその答えをわざと見せるかのように黒い不格好な木刀の刀身を後ろに下げながらゆっくりと構える。
「答えは、これだあぁぁ。伸びろ、思いを具現化する苗木よ。奴が位置するその体がある所まで、その刀身よ、届けぇぇぇ!」
ラエルロットの掛け声と共にいきなり約15メートルくらいまで伸びた黒い不格好な木刀を聖女ミレーヌに目がけて透かさず横から思いっきり振り込むが、当然のように彼女の体を囲む超重力による防御壁に阻まれて簡単に止められてしまう。その瞬間黒い不格好な木刀は超重力の力で地面へと叩き落とされ、その動力を失ってしまう。だが既に黒い不格好な木刀を元の長さに戻していたラエルロットは、再チャレンジとばかりに今度は直進からの鋭い突きを聖女ミレーヌに向けて豪快にお見舞いするが、その的確な力強い攻撃も当然のように退けられ、黒い不格好な木刀はまた力無く地面へと叩き落とされる。
「フフフフ、いくらやっても無駄よ。ラエルロットさん、あなたが持つその黒い木刀はどうやらどこまでも伸びる性質を兼ね備えた魔法の加護が掛かった木刀らしいけど、私の体の周りに展開している超重力による防御壁はどうあっても、絶対に破れはしないわ。そうそれはつまりあなたに私を倒せる手段は最初から無いと言う事を意味している。理解ができたかしら!」
「そ、そんなのはやってみないと分からないだろ。悪いがお前を倒せる可能性が僅かでも残っている限り、何度でも攻撃を続けさせて貰うぜ!」
「いくらやっても無駄です。あなたの頭上を今も守っている、蛾の妖精の小娘の精霊力が尽きたその時が、あなたの死に時です。まあ残りの時間を精々あがくにあがいて、自分達の無力を、そして現実と言う名の絶望を思い知って下さい」
「諦めて堪る物か。せっかくつないでくれたタタラやルナの為にも、俺がお前にこの一撃を届けないといけないんだ。絶対にお前の体に俺の一撃を当てて見せる!」
決意を込めた言葉を言い放つとラエルロットは連続攻撃とばかりに今度は20メートルくらいにまで伸ばした黒い不格好な木刀を聖女ミレーヌに向けてがむしゃらに振り続ける。
「まるで長い物干し竿の先端を持っているかのように重いし、しなりもあるが、泣き言は言っていられないか。俺の腕力が続く限りこの黒い木刀を振り続けてやるぜ。うりゃあぁぁぁーー、くらえぇぇぇ!」
ドカスタ、バキ、ズカ、シュク、メキバッシュン、ガッシーン!
「ホホホホ、無駄なあがきを繰り返してばかりいて、また随分と健気な者ですね。そもそもたかだかレベル1のあなたの攻撃が、Aランクの聖女が作りし超重力の防御壁を破れる訳がないじゃないですか。本当に無謀で愚かな人ですね、あなたは……」
幾度となく繰り出される豪快かつ素早い攻撃を防御壁で難なく受けながら聖女ミレーヌは、ラエルロットの極めて無謀な攻撃につい苦笑をしてしまうが、そんな彼女の心に油断が生まれたのか、通るはずの無いラエルロットが持つ黒い不格好な木刀の一撃が聖女ミレーヌが作りし防御壁の隙間を貫通して聖女ミレーヌの右太物付近へと当たってしまう。
ドカン!
「ば、馬鹿な、私が作りし鉄壁の防御壁の隙間を貫通して、尚且つ私の体に展開しているオートガードシステムすらも無視して(システムエラーで)直接触る事ができただとう。これは一体どういう偶然だ。有り得ないし理解が出来ません。まさか本当に奇跡が起きたとでも言うの?」
今もなお信じられないと言うような顔をする聖女ミレーヌに向けてラエルロットは、黒い不格好な木刀を再び構え直すと、その技名を声高らかに大きな声で叫ぶ!
「み、見たか。あの異世界召喚者の狂雷の勇者・田中や、黒神子・妖精食いのヨーミコワでさえもその攻撃を喰らう要因となった黒い不格好な木刀が持つ【確率斬】と呼ばれる、当たる確率を上げる未来に繋がる一撃を!」
「確率を上げるだとう……そんな馬鹿な事があって堪るか!」
「聖女ミレーヌ、お前は確率斬から繰り出された、その僅かな確率の一撃をその身に受けてしまった事により、黒い不格好な木刀に……いいや思いを具現化する苗木の力に触れてしまった。故にその能力が自動的に発動する」
「な、なんですってぇぇぇ、能力の発動ですってぇぇ……そんな馬鹿なぁぁぁぁ?」
そう聖女ミレーヌが叫んだ瞬間、聖女ミレーヌの意識はここから離れ、まだ彼女すらも知らない別の心の内なる世界へと飛んでいくのだった。
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