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第三章 二人の聖女編
3-47.エマニュエ大神官、再び
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3ー47.エマニュエ大神官、再び
暁の聖女とラエルロットとの共闘技でどうにか合成生物体・白いヒュドラを倒す事に成功したラエルロットは、全身から光の亀裂を光らせながら倒れる暁の聖女テファの元にいち早く駆け付ける。
意識こそ保ってはいるもののもう立ち上がる事もおぼつかない暁の聖女テファは、自分の事は二の次とばかりにラエルロットやテファニアの事を心配すると健気に笑顔を作る。
一方、白いヒュドラが消滅したその現場には二十五個の七色魔石と共に今も意識を失っている第七級冒険者のテファニアが仰向けで倒れており、その彼女の介抱には同じギルドの所属でもある白魔法使いのタタラが容体の確認を頻りにする。
恐らくは無事だと思われるテファニアの事は白魔法使いのタタラに任せたラエルロットは、テファの体中に走る光の亀裂による謎のダメージを本気で心配しながらその容体を直ぐさま尋ねる。
「テファ、これは大丈夫なのか。この体に走る光の亀裂のダメージは暁の光の権能の使い過ぎが原因と言う事なのか。ならこうなる前になぜ俺たちにこの事を言わなかったんだ。力の使い過ぎでこうなる事が分かっていたら、絶対に無茶な事はさせなかったのに」
「ハア、ハア、ハア、お気持ちは大変嬉しいのですが、そ、そういう訳にはいきません。生死を賭けたこの局面を乗り切るには私も力の出し惜しみをしてはいられません。皆さんをこの件に巻き込んでおいて私だけ皆さんの陰に隠れている訳にはいきませんでしたからね。それにどうにかラエルロットさんをこの戦いで死なせずに済む事ができました。本当に、本当に心の底から安堵をしている所です。でも安堵し過ぎて力が抜けたのでしょうか、急に体に力が入らなくなってしまいました。ほんと私って肝心な時にいつも駄目ですね。これから他のサンプル体の仲間たちと共に地上に出て、念願だった自然豊かな美しい草木や、暖かな日差しが心地良いとされる太陽を見る約束をようやく果たせそうなのに……」
「そうだ、そうだぞ、だからこんな所でいつまでも寝てはいられないぞ。しばらく休んで体の応急措置をしたら、急いで他のサンプル体の少女達がいる隔離エリアのある所まで戻るぞ。きっと他のサンプル体の仲間たちもダグラス試験官と共に俺達が戻って来るのを首を長くして待っているはずだ。だから早く元気になるんだ。それにもう白魔法使いのタタラから貰った栄養生成剤は既に飲んでいるんだろ。なら少しは体の調子も徐々に良くはなって来ているはずだ。その間に……後は俺が今から行って、今現在ツインと共に一緒にいるはずのダクト所長を何とか探し出してここに連れて来てやる。だからそれまでは大人しくここで待っているんだ。いいな、わかったな。という訳でミランシェ、頼みがある。ダクト所長のいる所まで俺を案内してくれ。当然まだ殺してはいないんだろ」
ラエルロットの真剣な話の振りにミランシェは少し困ったような顔をしていたが、直ぐに迷いを振り払うとすかさず答える。
「さあ~て、どうでしょうかね。確かにその時点では殺してはいませんでしたが、半殺しにはしましたから、ツインがダクト所長の応急処置でもしていない限りは良くて虫の息か、運が悪けりゃ恐らくは死んでいるかも知れません。何分この研究所から出られるカードキーと暁の聖女の遺伝子が入っているとされる聖女になれる新薬を取り戻すのに夢中でしたから、上手く手加減をする事ができませんでした。でもそのダクト所長の生死の選択権はツインに全て預けて来ましたから、もしかしたらまだ生きているかも知れませんね」
「そうか、なら急ごうか。ミランシェは道案内を頼む。残りの人達はここでテファニアとテファの応急処置をしてやってくれ。直ぐにダクト所長を連れて帰って来るから。あのオッサンならテファのこの体の異常を直す事ができるはずだ。いや絶対にできる!」
まるで希望を繋げるかのように思いを言葉にするラエルロットに、暁の聖女テファは首を横に振ると弱々しく口を開く。
「もう、もういいんです……もうこれ以上ラエルロットさんの手を煩わせる訳にはいきません。だから、もういいんです。そんな事よりです……まだちゃんとお礼を言ってはいませんでしたね。なのでこの場を借りて是非ともお礼を言わせてください。今を逃したら今度はいつちゃんとお礼が言えるか分かりませんから。そんな訳で……ラエルロットさん、この度は素性も知れない私達の為に命を賭けて戦ってくれたばかりか、限りある皆の命を救って頂き、誠にありがとうございます。この御恩は一生忘れません。きっと他のサンプル体の仲間たちもラエルロットさんには厚く感謝をしている事でしょう」
「な、な、行き成り何を言っているんだ。限りある皆の命って一体なんの事だよ。その言い方じゃ近いうちに皆死んでしまうみたいじゃないか。お前たちの命を繋ぐ栄養生成剤だってちゃんと手に入ったんだから、後は俺がダクト所長の首に縄を付けてでも必ずここに引っ張って来てやるから、それまでは希望を捨てずにもう少しだけここで我慢をしてくれ。とっ捕まえたダクト所長にテファの体の調整を無理矢理にでもさせる事ができたら、お前の体は必ず元に戻るはずだ。もしも言う事を聞かない時は奴を脅してでも必ずお前たちの体の調整をさせてみせるから、だからもう少しだけどうにか踏ん張って命を繋いでくれ。頼む。強敵だった白いヒュドラを倒し、せっかくここまで来たんだから、ここに来て勝手にくたばるのだけは勘弁してくれよな。もしもお前がここで死んでしまったら俺のこの人助けとも言うべき戦いは文字通り何も意味がなくなるし、一人の少女すらも救えなかった勇者気取りの道化師として笑えない状態になるだろうからな。それにお前は、ツインや、他のサンプル体の仲間たちと共に研究所の外に出て、美しい自然が煌めくいい匂いがする綺麗なお花や、暖かな優しい日が照りつけるお日様を一緒に見る約束をしているんだろ。ならこんな所では絶対に死ねないだろ。だから今から行ってダクト所長とツインの二人を連れて来るから、ここで希望を捨てずに大人しく待っているんだ。わかったな。テファ、お前の事は俺が必ず助けてやる。だから俺を信じろ!」
「ラ、ラエルロットさん……ありがとう……でも本当に……もういいんです。充分ですから。そんな事より、できたら一秒でも長く……一緒にいてください。できるだけ長くいてくれたら、私はそれだけで……充分ですから」
ミランシェと共にその場から離れようとするラエルロットを暁の聖女テファは今にも消え入りそうな弱々しい声で必死で止めるが、そんなテファの思いが通じたのか、遠くから一人の人間がスタスタと足音を立てながら何やら重そうな足取りで近づいて来る。
スタン、スタン、スタン、スタン、スタン、スタン、スタン……!
長く伸びる通路に足音を響かせながら誰かがこちらにゆっくりと近づいて来る。
(ん、なんだ。一体だれが近づいて来るんだ?)
その注目の人物は背中に誰かを背負いながらも徐々に近づいて来ると、やがては皆の視界に届き。静かに固唾を飲んで見守るラエルロットや皆の顔に驚きと緊張が走る。
なぜならその謎の人物の背中に背負わされている少女はダクト所長と共にいるはずの言霊の聖女ツインその人だったからだ。
謎の人物の背中に背負わされているツインはどうやら意識もなく、かなりぐったりしているように見えたが。まるで死人のように全く動かないツインを心配していたラエルロットは、ここまでツインを連れて来てくれたその人物に事のあらましの説明を求める。
行き成りツインを連れて現れたその人物にラエルロットは不信と警戒を強めていたが、正直この人物には面識がある。
その人物の名は、第二級冒険者にして、ノシロノ王国内にある神聖教会を預かるトップの司祭であり、大神官の職業を持つエマニュエという中年の美しい女性である。
エマニュエは見知ったラエルロットとタタラの顔を見ると、背中に背をっている言霊の聖女ツインをミランシェに預けながらラエルロットに声を掛ける。
「あら、ラエルロットさん、こんな所で奇遇ですね。一体ここで何をしているのですか。今現在この研究所からは、ある大きな疑惑の為に誰一人としてここから出る事ができません。ノシロノ王国から新たに派遣された数千からなる精鋭部隊で回りを包囲しているからです」
「精鋭部隊だってぇぇ!」
「そうです。そして私は一人の聖職者として、屈強なノシロノ王国側の精鋭部隊に囲まれ、逃げる事もできないでいる研究員達に投降を呼び掛ける為にこの研究所の地下深くまでわざわざ来たのです。そんな最下層にある下水道の船着場の前でこのツインテールのお嬢さんが瀕死の状態で倒れているのを見かけたので、軽い応急処置後にこのフロアまで運んで来たのです。実験管理室のあるこのフロアにならもしかしたらこのお嬢さんの傷を治せる回復薬や、謎の亀裂の進行を抑える事のできる薬があるかも知れないと考えたから。でもまさかそのフロアにラエルロットさんとタタラさんがいようとは流石に予想外でした。ああ、それともタタラさんは神聖白百合剣魔団のギルドの一員でしたから、何かの任務でこの研究所内に忍び込んでいたと言う事なのでしょうか。この研究所内にある地下施設の事を調べて来るようにと、あなた達ギルドは王国側に依頼されていたようですからね」
ラエルロットの監視の為に白魔法使いのタタラをこの研究所内に送り込んだのは他でもないエマニュエ大神官なのだが、敢えてエマニュエはタタラやラエルロットとは偶然会ったかのように振る舞う。
「一体ツインはどうしたんだ。ツインはなぜそんな所で倒れていたんだ。まさかダクト所長にでもやられたのか。それでツインの容体は大丈夫なのか。どこか怪我をしているのか?」
心配したラエルロットは急いでツインの元に駆け寄ろうとするが、その行為をミランシェとレスフィナが言葉で止める。
「待ってください、ラエルロットさん。今からこのツインテールの少女の着ている衣服を脱がして傷の具合を調べますから、ラエルロットさんは近づかないでください。一応彼女も女の子なんですから、気を遣ってあげないとね。その意味はわかるでしょ」
「そうか、確かにそうだな。ならツインの傷の応急処置はミランシェとレスフィナに任せたぞ。そんな訳でエマニュエ大神官、ツインの奴の傷の応急処置をしてくれたばかりか、わざわざここまで運んで来てくれて本当にありがとう、心から感謝と礼を言うよ。それでエマニュエ大神官に聞きたいのだが、その下水道の近くにダクト所長はいなかったのですか」
「ダクト所長ですか。さあ、彼の姿は見てはいませんね。もしも見かけていたら、古い付き合いでもある私は彼に自主と投降を呼び掛けるつもりでしたが、船着場にあるはずの脱出ポットの一つが無くなっていましたから、もしかしたらその脱出ポットで下水道から繋がる海底洞窟を通って底から浮上し、海底から水面へと逃げたのかも知れませんね。もしもその脱出ポットで逃げていたとすれば、私達がここから海に向かうには約二日は掛かりますので、もうダクト所長を追う事は不可能でしょう。おそらくこの少女はダクト所長に襲われて、下水道内に倒れていたのかも知れません」
冷静に語るエマニュエ大神官の根拠と推理を前にラエルロットはダクト所長がその船着場から逃げた可能性について考える。
(まあエマニュエ大神官が見たいきさつから考えてその推理は案外当たっているのかも知れないな。本当はそれを確かめる為にもその下水道のある船着場に一刻も早く行きたいのだが、もしも見つからなかった時の事を考えるとただ闇雲にその下水道内を探すのは流石に時間の無駄になるかも知れない恐れがある。ならここは真相を知っているツインに意識を覚ましてもらうのを待って、彼女の口から直接聞くのが時間の短縮にもなるはずだ。ならここは責任者のダクト所長ではなく、その研究に携わっている研究員の一人でも構わないから、どうにか確保をしたい物だ)
ツインが僅かでも目覚めるかも知れないという希望を抱くラエルロットを尻目にツインの体を調べていたミランシェとレスフィナの二人は渋い顔をしながら眉間にしわを寄せると、静かに佇むエマニュエ大神官の方を見る。
まるで何も知らないかのように振る舞ってはいるが、おそらくエマニュエ大神官なる人物はツインやテファの正体がサンプル体の聖女である事を分かった上でわざとこの場にツインを連れてきたのだと推察する。
そしてレスフィナやミランシェの正体が黒神子だという事も彼女は当然知っているはずだ。
つまりエマニュエ大神官は何か別の理由で瀕死の状態のツインをラエルロットに会わせるが為だけにこの場まで連れて来た事になる。その本当の理由を察したミランシェとレスフィナの二人は特にその本当の訳を追求する事なく、その謎を保留とする事に決めたようだ。
更に二人の疑問は続く。
こんな瀕死の状態にも関わらず一体なぜツインはまだ辛うじて生きているのか……その奇跡のような事実を知った時、レスフィナとミランシェは思わず互いに顔を見合わせると深い溜息をつく。
この状況を見て先に小声で話し出したのは黒神子レスフィナの方だった。
「ミランシェさん……あの暁の聖女もそうですが……本来なら、もうとっくの昔に死んでてもおかしくはない絶望的な崩壊を遂げているのになぜこのツインテールの少女はまだ体の崩壊を辛うじて食い止めているのでしょうか。その答えは分かりますか」
「当然知っていますよ。その理由は一つしかありません。それは勿論ラエルロットのお兄さんに降り掛かっている第三の試練のお題目でもある【決して逃れられぬ宿命と闇】のご信託から来ている呪いがまだ継続中だからです。だからこそ本来ならもうとっくの昔に死ぬはずの暁の聖女と言霊の聖女の二人はまだ辛うじて生かされているのです。ほんと我らがお母様は徹底的にラエルロットのお兄さんを苦しめて、追い込んで、その意志や罪の重さを図ってみないと気が済まないようです。まあ裏を返せばそれだけラエルロットのお兄さんの出す答えや決断に関心があるという事なのでしょう。とにかくです、この後に待ち構えているラエルロットのお兄さんが受け止めなくてはならない試練は非常に厳しい物になる事だけは間違いないようでチュ!」
「ようでチュって、ミランシェさん、言葉の語尾が時々ネズミ言葉になっていますよ」
「おっといけないでチュ、つい癖で……それであのエマニュエ大神官とやらはどうするつもりですか。おそらく彼女もまた遥か闇なる世界のお母様のご信託を聞いていたからこそツインをラエルロットさんのいる所まで運んで来たはず。と言う事はこの先ラエルロットさんがどうなっても構わないと言う事なのでしょうか」
「さあ、それは分かりませんが、あのエマニュエ大神官は彼女なりの理由でポニーテールの少女をラエルロットさんの所まで運んで来たのかも知れませんね。なんだか彼女にも色々と私達やラエルロットさんにも隠してある事情があるみたいですから」
「なら我々は静かに、ラエルロットさんの魂の選択とその運命をただ黙って見守る他はありませんね。なぜならこの先に起きる全ての事柄は、ラエルロットさん自身が自力で解決する他はないのですから。まあ精々この局面を何とか乗り越えて貰いたい物でチュ!」
「確かに……乗り越えて欲しいです」
まだ意識を失っている言霊の聖女ツインの全身に包帯を巻くレスフィナとミランシェが誰にも聞こえないように小声で話をしていたが、そんな二人を不審な目で見ていた蛾の妖精のルナは二人の元に近づくと、真剣な顔しながらある言伝をミランシェに向けて話す。
「ミランシェ、暁の聖女テファがあなたを呼んでいるわ。何やら物凄く大事な話があるとか」
「あの暁の聖女が、私に大事な話ですか。なら急いで彼女の所に向かわないとね。そんな訳でレスフィナさん、後の事はお任せします」
「ええ、言霊の聖女の事は任せてください」
蛾の妖精のルナの呼びかけに応えたミランシェは直ぐさまレスフィナにツインを託すと、床に仰向けのまま倒れている暁の聖女テファの所に急ぎ向かうのだった。
暁の聖女とラエルロットとの共闘技でどうにか合成生物体・白いヒュドラを倒す事に成功したラエルロットは、全身から光の亀裂を光らせながら倒れる暁の聖女テファの元にいち早く駆け付ける。
意識こそ保ってはいるもののもう立ち上がる事もおぼつかない暁の聖女テファは、自分の事は二の次とばかりにラエルロットやテファニアの事を心配すると健気に笑顔を作る。
一方、白いヒュドラが消滅したその現場には二十五個の七色魔石と共に今も意識を失っている第七級冒険者のテファニアが仰向けで倒れており、その彼女の介抱には同じギルドの所属でもある白魔法使いのタタラが容体の確認を頻りにする。
恐らくは無事だと思われるテファニアの事は白魔法使いのタタラに任せたラエルロットは、テファの体中に走る光の亀裂による謎のダメージを本気で心配しながらその容体を直ぐさま尋ねる。
「テファ、これは大丈夫なのか。この体に走る光の亀裂のダメージは暁の光の権能の使い過ぎが原因と言う事なのか。ならこうなる前になぜ俺たちにこの事を言わなかったんだ。力の使い過ぎでこうなる事が分かっていたら、絶対に無茶な事はさせなかったのに」
「ハア、ハア、ハア、お気持ちは大変嬉しいのですが、そ、そういう訳にはいきません。生死を賭けたこの局面を乗り切るには私も力の出し惜しみをしてはいられません。皆さんをこの件に巻き込んでおいて私だけ皆さんの陰に隠れている訳にはいきませんでしたからね。それにどうにかラエルロットさんをこの戦いで死なせずに済む事ができました。本当に、本当に心の底から安堵をしている所です。でも安堵し過ぎて力が抜けたのでしょうか、急に体に力が入らなくなってしまいました。ほんと私って肝心な時にいつも駄目ですね。これから他のサンプル体の仲間たちと共に地上に出て、念願だった自然豊かな美しい草木や、暖かな日差しが心地良いとされる太陽を見る約束をようやく果たせそうなのに……」
「そうだ、そうだぞ、だからこんな所でいつまでも寝てはいられないぞ。しばらく休んで体の応急措置をしたら、急いで他のサンプル体の少女達がいる隔離エリアのある所まで戻るぞ。きっと他のサンプル体の仲間たちもダグラス試験官と共に俺達が戻って来るのを首を長くして待っているはずだ。だから早く元気になるんだ。それにもう白魔法使いのタタラから貰った栄養生成剤は既に飲んでいるんだろ。なら少しは体の調子も徐々に良くはなって来ているはずだ。その間に……後は俺が今から行って、今現在ツインと共に一緒にいるはずのダクト所長を何とか探し出してここに連れて来てやる。だからそれまでは大人しくここで待っているんだ。いいな、わかったな。という訳でミランシェ、頼みがある。ダクト所長のいる所まで俺を案内してくれ。当然まだ殺してはいないんだろ」
ラエルロットの真剣な話の振りにミランシェは少し困ったような顔をしていたが、直ぐに迷いを振り払うとすかさず答える。
「さあ~て、どうでしょうかね。確かにその時点では殺してはいませんでしたが、半殺しにはしましたから、ツインがダクト所長の応急処置でもしていない限りは良くて虫の息か、運が悪けりゃ恐らくは死んでいるかも知れません。何分この研究所から出られるカードキーと暁の聖女の遺伝子が入っているとされる聖女になれる新薬を取り戻すのに夢中でしたから、上手く手加減をする事ができませんでした。でもそのダクト所長の生死の選択権はツインに全て預けて来ましたから、もしかしたらまだ生きているかも知れませんね」
「そうか、なら急ごうか。ミランシェは道案内を頼む。残りの人達はここでテファニアとテファの応急処置をしてやってくれ。直ぐにダクト所長を連れて帰って来るから。あのオッサンならテファのこの体の異常を直す事ができるはずだ。いや絶対にできる!」
まるで希望を繋げるかのように思いを言葉にするラエルロットに、暁の聖女テファは首を横に振ると弱々しく口を開く。
「もう、もういいんです……もうこれ以上ラエルロットさんの手を煩わせる訳にはいきません。だから、もういいんです。そんな事よりです……まだちゃんとお礼を言ってはいませんでしたね。なのでこの場を借りて是非ともお礼を言わせてください。今を逃したら今度はいつちゃんとお礼が言えるか分かりませんから。そんな訳で……ラエルロットさん、この度は素性も知れない私達の為に命を賭けて戦ってくれたばかりか、限りある皆の命を救って頂き、誠にありがとうございます。この御恩は一生忘れません。きっと他のサンプル体の仲間たちもラエルロットさんには厚く感謝をしている事でしょう」
「な、な、行き成り何を言っているんだ。限りある皆の命って一体なんの事だよ。その言い方じゃ近いうちに皆死んでしまうみたいじゃないか。お前たちの命を繋ぐ栄養生成剤だってちゃんと手に入ったんだから、後は俺がダクト所長の首に縄を付けてでも必ずここに引っ張って来てやるから、それまでは希望を捨てずにもう少しだけここで我慢をしてくれ。とっ捕まえたダクト所長にテファの体の調整を無理矢理にでもさせる事ができたら、お前の体は必ず元に戻るはずだ。もしも言う事を聞かない時は奴を脅してでも必ずお前たちの体の調整をさせてみせるから、だからもう少しだけどうにか踏ん張って命を繋いでくれ。頼む。強敵だった白いヒュドラを倒し、せっかくここまで来たんだから、ここに来て勝手にくたばるのだけは勘弁してくれよな。もしもお前がここで死んでしまったら俺のこの人助けとも言うべき戦いは文字通り何も意味がなくなるし、一人の少女すらも救えなかった勇者気取りの道化師として笑えない状態になるだろうからな。それにお前は、ツインや、他のサンプル体の仲間たちと共に研究所の外に出て、美しい自然が煌めくいい匂いがする綺麗なお花や、暖かな優しい日が照りつけるお日様を一緒に見る約束をしているんだろ。ならこんな所では絶対に死ねないだろ。だから今から行ってダクト所長とツインの二人を連れて来るから、ここで希望を捨てずに大人しく待っているんだ。わかったな。テファ、お前の事は俺が必ず助けてやる。だから俺を信じろ!」
「ラ、ラエルロットさん……ありがとう……でも本当に……もういいんです。充分ですから。そんな事より、できたら一秒でも長く……一緒にいてください。できるだけ長くいてくれたら、私はそれだけで……充分ですから」
ミランシェと共にその場から離れようとするラエルロットを暁の聖女テファは今にも消え入りそうな弱々しい声で必死で止めるが、そんなテファの思いが通じたのか、遠くから一人の人間がスタスタと足音を立てながら何やら重そうな足取りで近づいて来る。
スタン、スタン、スタン、スタン、スタン、スタン、スタン……!
長く伸びる通路に足音を響かせながら誰かがこちらにゆっくりと近づいて来る。
(ん、なんだ。一体だれが近づいて来るんだ?)
その注目の人物は背中に誰かを背負いながらも徐々に近づいて来ると、やがては皆の視界に届き。静かに固唾を飲んで見守るラエルロットや皆の顔に驚きと緊張が走る。
なぜならその謎の人物の背中に背負わされている少女はダクト所長と共にいるはずの言霊の聖女ツインその人だったからだ。
謎の人物の背中に背負わされているツインはどうやら意識もなく、かなりぐったりしているように見えたが。まるで死人のように全く動かないツインを心配していたラエルロットは、ここまでツインを連れて来てくれたその人物に事のあらましの説明を求める。
行き成りツインを連れて現れたその人物にラエルロットは不信と警戒を強めていたが、正直この人物には面識がある。
その人物の名は、第二級冒険者にして、ノシロノ王国内にある神聖教会を預かるトップの司祭であり、大神官の職業を持つエマニュエという中年の美しい女性である。
エマニュエは見知ったラエルロットとタタラの顔を見ると、背中に背をっている言霊の聖女ツインをミランシェに預けながらラエルロットに声を掛ける。
「あら、ラエルロットさん、こんな所で奇遇ですね。一体ここで何をしているのですか。今現在この研究所からは、ある大きな疑惑の為に誰一人としてここから出る事ができません。ノシロノ王国から新たに派遣された数千からなる精鋭部隊で回りを包囲しているからです」
「精鋭部隊だってぇぇ!」
「そうです。そして私は一人の聖職者として、屈強なノシロノ王国側の精鋭部隊に囲まれ、逃げる事もできないでいる研究員達に投降を呼び掛ける為にこの研究所の地下深くまでわざわざ来たのです。そんな最下層にある下水道の船着場の前でこのツインテールのお嬢さんが瀕死の状態で倒れているのを見かけたので、軽い応急処置後にこのフロアまで運んで来たのです。実験管理室のあるこのフロアにならもしかしたらこのお嬢さんの傷を治せる回復薬や、謎の亀裂の進行を抑える事のできる薬があるかも知れないと考えたから。でもまさかそのフロアにラエルロットさんとタタラさんがいようとは流石に予想外でした。ああ、それともタタラさんは神聖白百合剣魔団のギルドの一員でしたから、何かの任務でこの研究所内に忍び込んでいたと言う事なのでしょうか。この研究所内にある地下施設の事を調べて来るようにと、あなた達ギルドは王国側に依頼されていたようですからね」
ラエルロットの監視の為に白魔法使いのタタラをこの研究所内に送り込んだのは他でもないエマニュエ大神官なのだが、敢えてエマニュエはタタラやラエルロットとは偶然会ったかのように振る舞う。
「一体ツインはどうしたんだ。ツインはなぜそんな所で倒れていたんだ。まさかダクト所長にでもやられたのか。それでツインの容体は大丈夫なのか。どこか怪我をしているのか?」
心配したラエルロットは急いでツインの元に駆け寄ろうとするが、その行為をミランシェとレスフィナが言葉で止める。
「待ってください、ラエルロットさん。今からこのツインテールの少女の着ている衣服を脱がして傷の具合を調べますから、ラエルロットさんは近づかないでください。一応彼女も女の子なんですから、気を遣ってあげないとね。その意味はわかるでしょ」
「そうか、確かにそうだな。ならツインの傷の応急処置はミランシェとレスフィナに任せたぞ。そんな訳でエマニュエ大神官、ツインの奴の傷の応急処置をしてくれたばかりか、わざわざここまで運んで来てくれて本当にありがとう、心から感謝と礼を言うよ。それでエマニュエ大神官に聞きたいのだが、その下水道の近くにダクト所長はいなかったのですか」
「ダクト所長ですか。さあ、彼の姿は見てはいませんね。もしも見かけていたら、古い付き合いでもある私は彼に自主と投降を呼び掛けるつもりでしたが、船着場にあるはずの脱出ポットの一つが無くなっていましたから、もしかしたらその脱出ポットで下水道から繋がる海底洞窟を通って底から浮上し、海底から水面へと逃げたのかも知れませんね。もしもその脱出ポットで逃げていたとすれば、私達がここから海に向かうには約二日は掛かりますので、もうダクト所長を追う事は不可能でしょう。おそらくこの少女はダクト所長に襲われて、下水道内に倒れていたのかも知れません」
冷静に語るエマニュエ大神官の根拠と推理を前にラエルロットはダクト所長がその船着場から逃げた可能性について考える。
(まあエマニュエ大神官が見たいきさつから考えてその推理は案外当たっているのかも知れないな。本当はそれを確かめる為にもその下水道のある船着場に一刻も早く行きたいのだが、もしも見つからなかった時の事を考えるとただ闇雲にその下水道内を探すのは流石に時間の無駄になるかも知れない恐れがある。ならここは真相を知っているツインに意識を覚ましてもらうのを待って、彼女の口から直接聞くのが時間の短縮にもなるはずだ。ならここは責任者のダクト所長ではなく、その研究に携わっている研究員の一人でも構わないから、どうにか確保をしたい物だ)
ツインが僅かでも目覚めるかも知れないという希望を抱くラエルロットを尻目にツインの体を調べていたミランシェとレスフィナの二人は渋い顔をしながら眉間にしわを寄せると、静かに佇むエマニュエ大神官の方を見る。
まるで何も知らないかのように振る舞ってはいるが、おそらくエマニュエ大神官なる人物はツインやテファの正体がサンプル体の聖女である事を分かった上でわざとこの場にツインを連れてきたのだと推察する。
そしてレスフィナやミランシェの正体が黒神子だという事も彼女は当然知っているはずだ。
つまりエマニュエ大神官は何か別の理由で瀕死の状態のツインをラエルロットに会わせるが為だけにこの場まで連れて来た事になる。その本当の理由を察したミランシェとレスフィナの二人は特にその本当の訳を追求する事なく、その謎を保留とする事に決めたようだ。
更に二人の疑問は続く。
こんな瀕死の状態にも関わらず一体なぜツインはまだ辛うじて生きているのか……その奇跡のような事実を知った時、レスフィナとミランシェは思わず互いに顔を見合わせると深い溜息をつく。
この状況を見て先に小声で話し出したのは黒神子レスフィナの方だった。
「ミランシェさん……あの暁の聖女もそうですが……本来なら、もうとっくの昔に死んでてもおかしくはない絶望的な崩壊を遂げているのになぜこのツインテールの少女はまだ体の崩壊を辛うじて食い止めているのでしょうか。その答えは分かりますか」
「当然知っていますよ。その理由は一つしかありません。それは勿論ラエルロットのお兄さんに降り掛かっている第三の試練のお題目でもある【決して逃れられぬ宿命と闇】のご信託から来ている呪いがまだ継続中だからです。だからこそ本来ならもうとっくの昔に死ぬはずの暁の聖女と言霊の聖女の二人はまだ辛うじて生かされているのです。ほんと我らがお母様は徹底的にラエルロットのお兄さんを苦しめて、追い込んで、その意志や罪の重さを図ってみないと気が済まないようです。まあ裏を返せばそれだけラエルロットのお兄さんの出す答えや決断に関心があるという事なのでしょう。とにかくです、この後に待ち構えているラエルロットのお兄さんが受け止めなくてはならない試練は非常に厳しい物になる事だけは間違いないようでチュ!」
「ようでチュって、ミランシェさん、言葉の語尾が時々ネズミ言葉になっていますよ」
「おっといけないでチュ、つい癖で……それであのエマニュエ大神官とやらはどうするつもりですか。おそらく彼女もまた遥か闇なる世界のお母様のご信託を聞いていたからこそツインをラエルロットさんのいる所まで運んで来たはず。と言う事はこの先ラエルロットさんがどうなっても構わないと言う事なのでしょうか」
「さあ、それは分かりませんが、あのエマニュエ大神官は彼女なりの理由でポニーテールの少女をラエルロットさんの所まで運んで来たのかも知れませんね。なんだか彼女にも色々と私達やラエルロットさんにも隠してある事情があるみたいですから」
「なら我々は静かに、ラエルロットさんの魂の選択とその運命をただ黙って見守る他はありませんね。なぜならこの先に起きる全ての事柄は、ラエルロットさん自身が自力で解決する他はないのですから。まあ精々この局面を何とか乗り越えて貰いたい物でチュ!」
「確かに……乗り越えて欲しいです」
まだ意識を失っている言霊の聖女ツインの全身に包帯を巻くレスフィナとミランシェが誰にも聞こえないように小声で話をしていたが、そんな二人を不審な目で見ていた蛾の妖精のルナは二人の元に近づくと、真剣な顔しながらある言伝をミランシェに向けて話す。
「ミランシェ、暁の聖女テファがあなたを呼んでいるわ。何やら物凄く大事な話があるとか」
「あの暁の聖女が、私に大事な話ですか。なら急いで彼女の所に向かわないとね。そんな訳でレスフィナさん、後の事はお任せします」
「ええ、言霊の聖女の事は任せてください」
蛾の妖精のルナの呼びかけに応えたミランシェは直ぐさまレスフィナにツインを託すと、床に仰向けのまま倒れている暁の聖女テファの所に急ぎ向かうのだった。
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【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
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ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
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男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
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転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
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「え、俺なんかしました?」無自覚チート《概念編集》で石ころを魔石に、なまくらを聖剣に書き換えて、国を追われた聖女様と世界を救う
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◆◇◆完結保証◆◇◆
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「え、俺なんかしました?」
ごく普通の大学生、朝霧 海(あさぎり かい)が迷い込んだのは、剣と魔法が息づく異世界エーテルディア。右も左も分からぬままモンスターに襲われた彼を救ったのは、聖なる光を操る謎の美少女、ルミナだった。
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【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
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「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
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氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
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氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
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