白い羊と黒鉄の探偵 ~狂人達が暗躍し掲げる不可能犯罪に白い羊と黒鉄の探偵が挑む~

藤田作磨

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第二章 『絶望階段』 とある高校に出没する階段落下トリックを操る狂人・絶望王子と呼ばれる謎の学生との推理対決です!

2-6.不良グループの一人、近藤正也の証言

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「こんな所にいたんですか、随分探しましたよ。あなたが近藤正也君ですね」

 三時間目の授業も半ばを迎え、廊下や各教室に設置された時計の針が午前十一時三十分を示す頃、勘太郎と羊野そして(思い当たる所を一緒に探してくれた)佐野舞子の三人は野球部の部室の長椅子に寝そべる近藤正也の前に立つ。

 染みついた汗の臭いと使い古されたグローブやユニホームの汚れが、毎日練習している野球部の力強さを連想させる。そんな青春の汗と涙が染みついた野球部の部室に、全身黒のダークスーツに身を固めた黒鉄勘太郎と白い羊のマスクを被った白一色の服装をした羊野瞑子が行き成り現れた事で近藤はびっくりしながら一瞬戸惑いを見せる。
 だがその怪しげな二人があの階段落下事件の事を調べている私立探偵だと分かると、近藤は何かを隠すかのように下を向きながらあからさまに嫌な顔をする。
 そんな決して歓迎されていない態度も勘太郎には既に織り込み済みだったらしく、警戒心丸出しの近藤正也に対しにこにこしながらフレンドリー(友好的)に近づく。

 そう勘太郎は仕事柄、人に煙たがれるのは慣れているのだ。

「まさか野球場の中にあるこの古びた部室を隠れ蓑にしていようとは、中々いい所を休憩場所にしていますね。ここならエアコンも完備してあるから寒さも凌げますし、何より静かで授業をサボるには打って付けの場所と言う訳ですか。でもこの男衆漂う臭いだけはいただけませんね。こんな所で寝ていて臭くは無いのですか」

「全くですわ。ちゃんとユニホームや衣類を洗濯して、尚且つ部室を掃除して消臭剤でも置かないとこの臭いは中々取れませんよ。でも高校男子ってよく部室で隠れてご飯を食べたりお昼寝したりするとも聞きますから、授業をサボって一人で時間を過ごすのも背徳的でいいのかも知れませんね」

「そんな事はどうでも言い! 他県からわざわざ来た私立探偵が俺に一体何の用があるって言うんだよ。言っておくが半年前に起きた階段落下事件の事はもう既に警察に全て話してあるからもう話す事は何も無いぜ。それにあれからかなり時間が経っているからもうあの事件の事は大体しか覚えていない。つまりは、かなりの所を忘れてしまったと言う事だ」

「知っている事だけでいいですから、もう一度あの時の事を話してはくれませんでしょうか。もしかしたら話している最中に何か新たな気づきがあるかも知れませんし」

「そう言われても、あの事件に対して話す事はもう何も無いぜ。当時警察にも同じ様な事を何回も話しているから流石にウンザリしているんだよ!」

 当時の事は警察に全て話してあるし、大体の事はもう既に忘れた……と言う主張で何とかその場を逃れようとする近藤正也に対し、羊野は白い羊のマスクを目元まで引き上げながら赤い眼光を鋭く向ける。

「でも貴方の前に現れた黒い防空頭巾の学生通り魔が、実は貴方がよく知る絶望王子である事は一目見た時点で知っていたんですよね。でもそれならなぜその事を警察には言っていないのですか。それに犯人が頭に被っている段ボールで出来た王冠の事も、あなたは警察に言うのを敢えて避けていますよね。恐らく貴方達と犯人が繋がっているかも知れない事を警察に悟られないように無意識的に避けていたのではありませんか。ですがそれが逆に貴方達とこの高校と、そしてこの校舎に何らかの因縁があるかも知れない絶望王子とを繋ぐ切っ掛けになってしまった」

「一体何の事だか、あんたの言ってる事がよく分からないな」

 あくまでも白を切る近藤正也に、羊野は事件に関わるキーワードで相手の心理を揺さぶる。

「半年間にあなたと金田海人君が遭遇したあの絶望王子って一体誰だったのでしょうか。少なくともこの江東高校にいる内田慎吾君が扮する絶望王子ではありませんよね。それは犯人と直接対峙した貴方が一番分かっているはずです。何せその絶望王子は殺意と憎悪を持って本気で貴方達の前に立っていたはずですから、その危険性は十分にその肌身に感じたはずです。それにお友達の金田海人君も未だに意識不明で病院のベットの上ですし。そんな危険な目に遭いながらもなぜあなたはその絶望王子と言う言葉を……否その存在をひた隠しにしているのか。それは一年前に階段から落ちて死んだ王子大輝君の事件が関連しているからではありませんか。恐らく絶望王子との繋がりでまたあの事件の真相をほじくり回されたく無かったから」

「え、それは一体どういう事だ、羊野」

「この事件の裏にはまだ私達が知らない本当の真実が隠されているかも知れないと言う事です。一年前、小枝愛子さんなる女子生徒が誤って王子大輝君にぶつかってしまったから彼は階段から落ちたと聞きましたが……近藤さん、あなたは一年前に階段から落ちて死んだ王子大輝君のいたあの現場にいたんですよね。なら彼が階段から落ちて死んだ本当の死の真相を知っているのではありませんか。その真実を話さない限り、階段落下による無差別被害はまだまだ続きますし。あの復讐と憎悪の化身と化した絶望王子を止める事は誰にも出来ませんよ。次に一体どう動くのか、その行動も今一読めませんし」

 そんな脅しとも言える羊野の言葉に何か思う所があったのか、まるで悪夢を思い出したかの用に近藤正也が震えた声でつぶやく。

「羊のマスクの姉ちゃんの言う用にあれは確かに……内田じゃなかった。その全身からは確たる決意と殺意を感じたぜ。あの絶望王子に扮した姿であれほどの恨みと憎悪を俺達に持っている人物がいるとしたら、それはもう一人しかいない。て言うかその人物しか思いつかない。王子大輝……階段から落ちて死んだはずのあの王子大輝が……絶望王子にわざわざ扮してあの世の果てから俺達の前に現れたとしか考えられないぜ。そしてその王子大輝が階段から転がり落ちて死んだ事故をまるで再現するかのように階段に関わる事故でわざわざ俺達を死傷させようとしている。もうあからさまにここまでやってくれたら、これはもう偶然じゃないぜ!」

「私が見たこれまでの被害者の資料では、被害に遭った三十人の人達にはいずれもある特徴と共通点があります」

「特徴と共通点だと?」

「ええ、無差別に襲っている用に見えて実はそうでない、あの絶望王子が無意識に獲物を選んでいるのですよ」

「獲物を選んでいる。何だよ、それは?」

「今までに被害に遭った人達は皆いずれも見た目が派手で素行が悪そうな人達だけを敢えて狙っている節があるのですよ。例えば水商売で働いている勝ち気そうな女性とか、見た目が厳つく粗暴そうなトラックの運転手とか、ロックバンドの活動をしている個性が強そうな大学生のお兄さんとか……とにかく見た目が派手で素行の悪そうな人達が多いんですよ。そしてその中には近藤正也君、勿論あなたと今は入院をしている金田海人君も例外ではありません。そしてあなたは先程から俺達~俺達と連呼しながら一年前に階段事故で死んだ王子大輝君の事を随分怖がっている用ですが、その俺達と言う言葉の中には金田海人君だけの事では無いですよね。その中には勿論、天野良夫君・綾川エリカさん・大鬼力君・玄田光則君の四人も入っているのではありませんか。その四人とあなたがあの絶望王子に繋がる事件があるとするのなら、それはあの一年前に階段事故で死んだ王子大輝君の事故死に繋がる事以外にないのですよ。そしてあなたはその事故現場で何かを見ている。そう王子大輝君が階段から落ちた死の本当の真相です。当然その事故にはあの五人も当然関わっている。つまり彼らはただの目撃者では無いと言う事です。そうではありませんか、近藤正也君!」

 その羊野の指摘に近藤正也は苦笑いをする。

「そ、そうか、あの事故に俺達が関わっていた事を誰かから聞いたんだな。だからそんな回りくどい話で俺に揺さぶりを掛けているのか。だが残念だったな。本当に俺達はただの目撃者であって、あの事故には何の関わりも無いぜ!」

 あくまでも否定する近藤正也の姿勢に今度は勘太郎が話に加わる。

「天野良夫・綾川エリカ・大鬼力・玄田光則・近藤正也に、今は入院している金田海人を入れた六人の不良グループ達か。あなた達はあの王子大輝君の階段落下事件に深く関わっているんですよね。でも本当にタダの事故だったのかな。君達の証言によれば王子大輝君と小枝愛子さんが何かの弾みで接触した際にそのまま階段から転がり落ちていくのをたまたまその場で目撃したと証言しているみたいだが、彼らのあのふざけた態度からしてそれが本当かどうかは正直甚だ疑問だな。そこの所をあの不良達全員ともう一人の関係者でもある小枝愛子さんから、もっと詳しく聞く必要があるな」

「おいおい勝手な詮索はよしてくれよ。あいつらは別に関係ないだろう」

 近藤の仲間の関与の否定に今度は羊野がすかさず前に出る。

「違うと言うのですか。でももし彼らを庇っての発言なら、そこまでして庇う理由が私には分からないのですが。やはり同じ高校に通う仲間だからでしょうか?」

「そんなんじゃねぇ~よ。あの事故はあくまでも小枝の奴が王子にぶつかって、階段を踏み外した王子がそのまま階段から転がり落ちたんだよ。不幸にも打ちどころが悪くて死んでしまったが、小枝も行為にやった訳じゃないからあれはタダの事故だったんだよ。その現場にたまたま居合わせた俺達の事を怪しいと思ったからあんたらは疑っているんだろうけど、俺達が評判の悪い不良だからと言って犯人扱いにするのは流石にいかがな物かと思うぜ。まあ、うっかり王子の奴にぶつかって階段から落としてしまった小枝としては俺達にその罪をかぶせたいという気持ちは分からなくも無いがな。でもこっちには目撃者が六人もいるんだから、小枝がいくら俺達のことを非難しても誰も話を聞いてはくれないさ」

 あくまでも自分達は悪くないと言う近藤正也の言葉に今度は話を聞いていた佐野舞子が真剣な顔で話に加わる。

「私もあの事件が起きた直ぐ後にあの裏階段に言って現場を見たけど、倒れている王子君に駆け寄り泣きじゃくる小枝さんとは対照的に、天野君・綾川さん・大鬼君・玄田君・それに今は病院のベットに寝ている金田海人君を入れた五人はその状況を見てヘラヘラと笑っていたのを覚えているわ。でもその中にいたあなた一人だけは青い顔をしながら王子君から目をそらしていたじゃ無い。それってつまり、あなたは事の重大性を認識できるだけの常識と罪悪感があると言う事ですよね。そしてもしあなたが本当の真実をひた隠しにしているのだとしたら、あの時あなたがしていた不安げな表情の意味も分かるのですが」

「おいおい、佐野、お前そんな探偵の真似事みたいな事をしてこの事件をかき回していいのか。一年前、お前が天野君達に虐めの事で注意して、その後逆に痛い目に遭った事をもう忘れたのか」

「そ、それは……」

「それに病院に搬送されるまで王子はまだ生きてたんだから、その事を気に掛けるのは同じクラスの仲間として当然だろうがよ」

 その言葉に今まで雄弁に語っていた佐野舞子が青い顔をしながら言葉を詰まらせる。その態度から察するに佐野はあの不良グループ達にかなり痛い目に遭わされたようだ。

「一体何があったんですか」と話し掛ける勘太郎に佐野舞子は「もう昔の事だから」といい言葉をはぐらかす。そのぎこちない態度からして余程その事に触れて欲しくないのだろう。そう感じた勘太郎はそれ以上その事について聞くのを止めた。誰だって嫌な思い出には触れてほしくはないと思ったからだ。

 そんな気まずい雰囲気を逸らすかのように羊野が突如話題を変える。

「時に近藤正也さん。私は今日初めてこの江東第一高校に来たのですが、その三年A組の教室を訪れる途中で黒い防空頭巾の学生通り魔と同じ格好をした可笑しな男子学生にお会いしましたわ。でもその格好があまりに怪しすぎたので私はその可笑しな男子学生を呼び止めて幾つか質問をしたのですが、そこで彼は気になる話を一つ私に聞かせてくれましたわ。その彼の話によると、一年前、王子大輝君が階段から落ちたお昼休みの十三時0五分頃。当時階段から転がり落ちた王子大輝君は意識不明の重体ではありましたがまだ辛うじて生きていたそうです。ですが当時その場にいた担任の谷口秋人先生は当初階段に倒れていた王子君を保健室に運んだそうですが、その後何故か救急車を中々呼ばなかったそうです。十五時頃にその事に気付いた他の先生達に促される用にして何とか救急車を呼んだらしいのですが、その頃にはもう既に事故から二時間は過ぎていて、王子大輝君は救急車で運ばれた後に病院のベットで息を引き取ったそうです。その空白の二時間の時間はあくまでもその男子学生が感じた事柄なので彼の証言が何処まで信憑性がある物かは分かりませんが、その後王子大輝君の事故発見の連絡が遅れた原因を話そうとする人は誰もいなかったと聞いています。それ処か事故発生の時刻がいつの間にか十三時から~十五時に書き換えられて医師に伝わっていたらしいですから、階段から落ちた時刻が人為的に隠蔽されたのではないかとも言っていましたわ。ある噂では政治家でもある天野良夫君の父親・天野秀次あまのひでつぐの選挙に悪影響を出さない為に谷口先生が敢えて最後まで事故の報告を遅らせたと言う噂もあるくらいです」

「その天野良夫がもし王子大輝君が落ちた階段落下事件に深く関わっているのだとしたら、その事を知った反対勢力がマスコミとかにその情報を流したりしたら(天野良夫君の父親でもある)天野秀次の選挙戦はかなり不利になるかもしれないな。何せ自分の息子が虐めで人を一人死なせているかも知れないとなったらもう選挙所では無いからな。でもその時点では勿論その天野良夫の父親はまだ何も知らなかったんだろうから、その事で恩を売ろうとした谷口先生が勝手に独断でその事故を引き延ばしにして、救急車を呼ぶ決断を遅らせていたと言った所か。もし何事も無く王子君が目覚めたらその事故自体を無かった事にする為に……か。余りにも浅はかで早計な考えだがな」

「そんな谷口先生の思惑に反して、王子大輝君の容態はますます悪くなり、そして病院に搬送された頃には王子大輝君はもう既に取り返しの付かない状態になっていたとの事です。恐らくは頭に内出血を起こして、それが原因で亡くなった物と思われます。もし早めに王子大輝君を救急車で病院に運んでいたら命は助かったかも知れませんからね」

「でも事故が起きてから病院に搬送されるまでの空白の二時間の事は、いくら事故の発見を遅らせたとしても当時の医師や警察は勿論知っているんじゃないのか。打ち身や傷跡の経過は隠せないだろう」

「どうでしょうか。怪我をしてからそれなりに時間が経っているのならまだしも、二時間程度ではそれほど違いは変わりませんよ。それにもし死んでいたのなら死後硬直があるのでその死亡推定時刻を誤魔化す事は先ず出来ませんが、王子大輝君はその時点ではまだ生きていた訳ですから誰もその空白の時間の事を証言したりしなければ二時間程度の時間を誤魔化す事は可能だと思いますよ。それに警察はその事故をただの事故死だと断定したとの事なので特に必要以上に調べはしなかったとも聞いています。まあ医師もCTスキャンで頭や体を調べたりしたのでしょうが、二時間程度の誤差では分からなかった物と推察されます」

「まあ、一応目撃者もいるタダの階段の死亡事故に警察は検視解剖なんかやらないだろう。その場にいた担任教師から話を聞いてそれでお終いだろうからな」

「そして他の先生達が余計な事を言わなかったのは王子大輝君のご両親がこの高校に深く関わっているからだと推測されます。その絶望王子の姿をした男子学生の話では、天野良夫君の父親は参議院の政治家でこの高校には多額の資金援助をしているそうです。一方母親の方は教育委員会の会長でいつでも先生達に対し口を挟む事が出来る立場の人らしいですから、先ず逆らう人は誰もいなかったと思われます」

「そうか、だから先生達でさえも口をつぐみ、この事件は隠蔽されたのか。よくある学校の闇と言う奴だな」

「な、なんか内田の奴が余計な事を言ったみたいだが、それはあくまでもただの噂に過ぎない話だろう。その場にたまたま居合わせた俺達は見た事しか言わないだろうし、先生達に至っては自分の居場所と人生を賭けてまで何かを証言する用な事は恐らくはしないだろうからな」

「その言い回しだと、やはりあなたは何かを知っていると言う事になりますよね。私にはその様に聞こえるのですが」

「うるさい、うるさい。あんたらがいくら王子大輝の事件を調べた所でもう過ぎ去ったあの事件を誰もほじくり返そうとは思わないだろうぜ。何せあの事件を今更追及した所で得する奴は誰もいないからだ。て言うか反対に膨大なリスクを背負い込む可能性の方が遥かに高いぜ!  何せその事について谷口先生に問い正した先生が一年前に一人いたんだが、その後何故か逃げる用してこの高校を辞めていったからな!」

「ほ~う、そんな事があったのですか。それは興味深いお話ですね」

 ムキになりながら出た近藤正也の言葉に、羊野はにやりと笑う。

「そ、それにあんたらは江東区に出没する黒い防空頭巾の学生通り魔の事を調べる為にこの高校に来たんだろう。だったらその事件だけを集中して調べろよ。あの絶望王子に扮した学生通り魔は本当に危険極まりない奴だからさぁ、早く捕まえてくれないと俺も安心して眠れないんだよ!」

「その危険極まりない奴が今もあなた達の周辺にいて、その命を淡々と狙っているかも知れないのですよ」

「そ、その時は……俺が返り討ちにしてやるよ。俺の友達の金田の奴をあんな姿にしたんだから、その報いは絶対に受けてもらうぜ!」

「なるほど、あなたが友達思いなのは話を聞いててよ~く分かりましたが、最近あの四人の不良グループ達とは距離を置いてる用ですね。喧嘩でもしたのですか?」

「今この場所で会ったばかりのあんたに何故そんな事が分かるんだよ」

「フフフ、この白い羊のマスクは何でも見通す事が出来るのですよ」

「ケッ、ふざけろよ。馬鹿にしてんのかお前!」

「そういう風に見えますか。今の貴方の精神状態を見たら誰でも分かる事だと思うのですが。一体何をそんなに怯えているのですか。ただ単に絶望王子の事に怯えているだけなら、こんな所に一人でいる訳がありませんよね。あの一年前に起きた事件の事と半年前に起きた金田海人君の怪我の事で、あの四人の不良達の態度に疑問を抱き始めたからでは無いのですか」

 その羊野の指摘に今まで睨みを利かせていた近藤正也の目が大きく狼狽する。

「い、いや、別にそういう訳じゃないよ。タダ最近奴らとはソリが合わなくなって来たから話をしていないだけだよ。向こうから話しかけて来たら話くらいはするし、別に喧嘩をしている訳じゃないぜ……ほ、ほ、本当だからな!」

「そうですか。他にまだ何か隠し事をしている用にも見えますが……今日の所はここまでにしておきますね。話を聞かせてもらってありがとうございました。私達まだ二~三日ほどこの校舎を訪れると思いますので、聞きたい事が見つかったらまたお話を聞かせて貰ってもよろしいでしょうか」

「は~あ、仕方ないな。まあ、その時が来たら話くらいは聞いてやるよ」

「ええ、是非ともお願いしますわ。では佐野さんに黒鉄さん、そろそろ戻りましょうか」

 そう言うと羊野と勘太郎、それに佐野舞子を入れた三人は、体に付いた埃を払いながら野球部の部室を後にするんだった。
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