白い羊と黒鉄の探偵 ~狂人達が暗躍し掲げる不可能犯罪に白い羊と黒鉄の探偵が挑む~

藤田作磨

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第七章 『狂人・壊れた天秤からの挑戦状』 短い制限時間の中で繰り広げられるオルゴールが関わる奇っ怪な密室殺人に白い羊と黒鉄の探偵が挑む!

7-10.羊野瞑子、ついにトリックを暴く

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                  10


「私じゃない、私じゃないわ。私は丸谷英字さんの部屋からアンティークオルゴールを取り戻してもいないし、丸谷英字さんを殺してもいないわ。これは何かの間違いよ!」


 時刻は七時四十五分。

 狂人ゲームのタイムリミットまで後十五分。

 赤城文子刑事に呼ばれた、工藤茂雄・戸田幸夫・原本欽一・そして阿部美香子の四人は丸谷英字の部屋のリビングルームにいた。

 コンセントのあるキッチンの近くに置かれてある炊飯器・電子レンジ・オーブン・トースターといった生活用品が(家の主を失った為か)今は物悲しくも映る。恐らくは毎日のように使われていたであろうこれらの器具類が今日からはもう二度と使われる事が無いという事に何だかやるせない思いすら感じてしまう。そんなリビングの中で阿部美香子は手に持つアンティークオルゴールを抱えながら自分の無実を主張する。

 だがそんな阿部美香子の部屋の中から決定的な証拠が見つかった事で工藤茂雄・戸田幸夫・原本欽一の三人は丸谷英字を殺害した犯人は阿部美香子だという結論と確信を得たようだ。勘太郎は必死に自分の無実を訴える阿部美香子を見ながら、彼女の部屋から見つかったとされるゴッホの絵が書かれてあるアンティークオルゴールの経緯を詳しく聞く。

「阿部美香子さん、この箱形のオルゴールが丸谷英字さんに取られたというゴッホの絵が書かれてあるというアンティークオルゴールですね。その何者かに盗まれたはずのシリンダーオルゴールがなぜあなたの部屋にあるんですか。その説明をして下さい!」

「知らない……私は知らないわ。行き成り大屋の戸田幸夫さんと、306号室に住む工藤茂雄さんと、205号室に住む原本欽一さんの三人が部屋に押しかけてきてこのオルゴールを見つけたんです。私の部屋のタンスの中から見つけたようですが私はそんな所にアンティークオルゴールを隠した覚えは無いし、全く身に覚えの無い事で私自身が一番驚いています。一体何故私の部屋のタンスの中にアンティークオルゴールがあったのか、大変不思議に思っている所ですよ?」

「つまり、このアンティークオルゴールがなぜあなたの部屋のタンスの中に入っていたのか、その事については何も分からないという事ですか」

「はい、分かりません。私が305号室の丸谷英字さんの部屋の前で遭遇したあの犯人に(私の)シリンダー型のアンティークオルゴールをまた盗まれてしまいましたが、そのあるはずの無いオルゴールがなぜあたしの部屋のタンスの中に入ってあったのかが未だに謎です。一体何故私の部屋にあのアンティークオルゴールがあったのでしょうか。この出来事に私自身が一番驚いています!」

 必死で訴えるその阿部美香子の言葉に、工藤茂雄・原本欽一・戸田幸夫の三人がすかさず反論をする。

「阿部美香子さん、まだそんな事を言っているんですか、流石に往生際が悪いですよ。もうあなたの部屋から歴とした証拠が上がっているんですから、言い逃れはできませんよ!」

「そうだぞ。あの丸谷英字さんとオルゴールの事で揉めて、口論の末についうっかり何かの弾みで殺してしまったんだろ。そしてあんたが見たと言う犯人の事だって本当は嘘なんだろ。あんたの部屋から出て来たアンティークオルゴールが何よりの証拠だ。ある人の話ではあんたは俺が犯人ではないかと探偵さんにそう告げ口をして疑っていたみたいだが、本当は俺に全ての罪を被せるつもりで言った言葉なんじゃないのか!」

「そうですよ、阿部美香子さん。あなたの部屋には部屋の鍵を持っているあなたしか入れないのですから、もうあなたが犯人だと疑う他は無いと言う事です。それに謎の男に襲われ、そのアンティークオルゴールを奪われたそうですが、その奪われたはずのシリンダーオルゴールがなぜあなたの部屋の中にあるのですか。もうそこから話しが矛盾しているんですよ。もういい加減にあなたが丸谷英字さんを殺した犯人だと認めたらどうですか!」

「ち、違うわ。私じゃないわ。なぜだれも信じてくれないの。これは罠よ。誰かが私に丸谷英字さん殺しの罪をなすりつける為に仕組んだ罠なのよ。きっとそうよ。そうに違いないわ!」

「まだそんな作り話をしようと言うのですか。いい加減にして下さい。あなたが丸谷英字さんと時々アンティークオルゴールの事で言い争っていたのはみんなが知っている事なんですから、言い逃れはできませんよ。いい加減に自分の罪を認めて下さい!」

「違うぅぅぅ、私は丸谷英字さんを殺してなんかいないわ。なんでみんな信じてくれないの。これは誰かの陰謀よ。濡れ衣を被せられたのよ!」

 この四人の醜い言い争いに内心勘太郎はどうしようかと考えていると、近くで話を聞いていた赤城文子刑事が工藤茂雄・戸田幸夫・原本欽一に向けて話を聞く。

「工藤茂雄さん・戸田幸夫さん・そして原本欽一さんの三人は、本来は持ち去った犯人が持っているはずのアンティークオルゴールが何故か阿部美香子さんの部屋の中から見つかった事で彼女が丸谷英字さんを殺した犯人だと疑っているようですが、一体何故あなた方三人はなんの躊躇も無く阿部美香子さんの部屋に上がり込み、そのタンスの中からアンティークオルゴールを見つける事ができたのですか。なにか根拠となる確信がないとそのような行動はまず絶対に出来ないと思うのですが?」

 工藤茂雄。
「いや~ね、阿部美香子さんの話では犯人と遭遇したのは阿部美香子さんただ一人だけだったのでなんだか怪しいと思いましてね。急遽抜き打ちで阿部美香子さんの部屋を探って見ようと言う事になったんですよ。話を聞く限りでは今の所彼女が一番怪しいですからね。その解があって案の定阿部美香子さんの部屋から謎の犯人に盗まれたはずのアンティークオルゴールが見つかりました」

 原本欽一。
「俺は単純に、阿部美香子さんが何やら俺に全ての罪を被せようと画策しているのではないかという疑惑が浮上しましたからね。その思惑を阻止しようと、二人の意見に従ったんですよ。そのお陰で阿部美香子さんが真の犯人である事が分かりましたがね!」

 戸田幸夫。
「私はこのアパートの大屋としてこのアパートにいるかも知れない犯人を早く捕まえて貰いたいと思っていましたからね。なのでもしも阿部美香子さんの言っていた、犯人と遭遇したという話しが真っ赤な嘘だったら、人を殺した殺人犯をこのアパートに住み着かせる事になるかも知れない。なので私もお二人の意見に賛同したのですよ。阿部美香子さんの部屋から何も出てこなかったら次は工藤茂雄さんや原本欽一さんの部屋も調べるつもりでしたから初っぱなから犯人が見つかってよかったと言った所でしょうか!」

 どうやらこの三人はお互いに話し合った結果、最も怪しいと思われる阿部美香子の部屋の中を自分達の手で探して見ようと言う結論に思い至ったようだ。そんな三人にタンスの中にあったアンティークオルゴールを見つけられた事で決定的な証拠を突き付けられた阿部美香子は頭を抱えながらその場へとへたり込む。その絶望に満ちた同情を誘う姿から彼女が丸谷英字を殺した一連の犯人だとは思いたくはなかったが、ゴッホの絵が書かれてあるこの世に二つと無いアンティークオルゴールが見つかった事で彼女への疑いは更に強まっていた。
 しかも彼女には丸谷英字とアンティークオルゴールの事で度々言い争って来たと言う証言もあり、丸谷英字を殺害に至る動機もある事から、阿部美香子が犯人でまず間違いはないという流れが既に出来上がりつつあるようだった。
 だが阿部美香子の言う用にもしも彼女に全ての罪をなすりつける為に仕組んだ犯人が仕掛けた巧妙な罠だったのだとしたら、それは唯識事態なのだが、それを証明するすべが今の所はないみたいなので阿部美香子は絶望に打ちひしがれているのだ。
 そんな絶対に言い逃れが出来ない阿部美香子の厳しい状況に勘太郎は一体どうした物かと赤城文子刑事と目でアイコンタクトをしながらその状況を見ていたが、そんな緊迫した状況をまるで打ち破るかのように羊野瞑子がキッチン付近の換気扇の下に立ちながら行き成り話し出す。

「ホホホホ、阿部美香子さんは丸谷英字さんを殺した犯人ではありませんわよ。何故なら丸谷英字さんが殺された事とゴッホの絵が書かれてあるアンティークオルゴールはほぼ無関係ですからね」

「な、なんだとう、それは一体どう言う事だよ、羊野!」

「まあ、その犯人の手により殺害された丸谷英字への真の動機を隠す為にそのアンティークオルゴールが上手く利用されたようですが、その犯人の事よりも先ずは犯人が仕掛けたという密室殺人トリックの謎を先に暴いてしまいますね」

 白い羊のマスクを脱ぎながら行き成り話し出す羊野瞑子の推理が今始まる。


「先ず丸谷英字さんを刺殺後に一体この犯人はどうやって部屋に鍵を掛けてから、洋間に転がる丸谷英字さんの死体の傍に部屋の鍵を落とす事が出来たのかという疑問ですが、私が考えるに、やはり玄関の外にある換気扇の枠の中を通って洋間にいる丸谷英字さんの死体の傍に鍵をそっと戻した物と考えますわ。その証拠にその305号室の部屋の鍵は何かの黒い汚れで少しベトベトしていましたからね。おそらくは換気扇の枠の下に積もってある油の汚れの部分をゆっくりと通ったから片方の鍵の表面に換気扇の汚れが付着したのでしょうね。この換気扇の枠の下には鍵がはいずり通ったかのような跡がうっすらとありましたからね。まあ鑑識に調べて貰えばわかる事ではありますが、流石に時間がないので換気扇の枠を糸付きの鍵が通ったと言う過程で話を進めて行きますね」

 その羊野の言葉に今度は話を黙って聞いていた戸田幸夫が何かを思い出したかのように話し出す。

「あ、そう言えば深夜の午前三時に丸谷英字の部屋に入った際に洋間に入る扉の前で何かベトベトする汚れのような物を踏んだな。もしかしたらその床にあった油の汚れのような物もその鍵をひきづった時に床へとついた汚れだったのかも知れない。その推理が正しいのならその床に付いた汚れの意味も納得ができると言う物だ。俺はその汚れはてっきり丸谷英字さんが夕食後の後片付けの際にこぼした汚れの油だとばかり思っていたが、なるほどな」

「やはり戸田幸夫さんはあの汚れた一~二滴の油を踏みつけていましたか。床が油で少しネバネバしていましたから誰かが踏んだと直ぐに気付いてはいましたが、その証言を聞く事が出来て助かりましたわ。何故ならこれで鍵に糸が付いたトリックを使用している事は明白になりましたからね」

「ああ、あの糸付きの鍵の事か。ならその鍵を引く動力には当然シリンダー型のオルゴールが使われているんだよな。あのゼンマイの自動の力で曲と共に動くドラムを利用した糸巻きで鍵を洋間まで動かしているとお前はそう仮定するんだな」

「はい、そう仮定します」

「だが赤城先輩の話では、この丸谷英字の部屋にある全てのオルゴールの中を探してみたとの事だが、結局の所その糸を回収したオルゴールは何処にも発見されなかったらしいからな」

「大丈夫ですわ。このお部屋の中にその白鳥の湖の音色を奏でる偽物のアンティークオルゴールはちゃんとありますから」

「本当か、ならその偽物のアンティークオルゴールは一体どこにあると言うんだ。.答えろよ、羊野!」

「そんなに焦らないで下さいな。先ずは偽物のアンティークオルゴールの力によって一体どうやって糸付きの鍵が丸谷英字さんの死体が転がる洋間まで移動し、305号室の部屋の鍵と分離をしたのか。そしてそのオルゴールと繋がっている細い糸は一体どこに消えたのか。その過程を順序よくお話しますね」

 そう言うと羊野は廊下を歩きながら洋間のある部屋まで来ると、丸谷英字の死体の傍にある木製の椅子を見ながらその前でピタリと止まる。

「ん、まさかこの重そうな木製の椅子に何か仕掛けがあるのか?」

「仕掛けと言うほどの物ではないのですが、恐らくその鍵付きの糸は最初からこの木製の椅子の背もたれの網目の隙間を通って換気扇まで繋がっていたはずですから、自ずとオルゴールの音楽に合わせて糸が巻かれる時はこの重そうな木製の椅子の背もたれの網目の隙間を通ったはずです。勿論鍵の方はこの細い網目の隙間を通る事は出来ないので鍵の部分に結んである先の糸が切れる事で鍵がそのまま床へと落ちる仕組みです」

「ちょっとまて。オルゴールの曲に合わせて糸が巻き取られてオルゴールのドラムに戻るのは何となく分かるが、この重そうな木製の椅子はともかくとして箱形のオルゴールの方はそんなに重くはないんじゃないのか。鍵が椅子の背もたれの隙間に引っかかって力比べをしたらオルゴールの方が逆に引っ張られるんじゃないのか」

「大丈夫ですわ。その箱形の小さなオルゴールの方はある場所でしっかりと固定されていますから、ちゃんと鍵のある糸の方が切れる仕組みになっているのですよ。恐らくは鍵と繋がっている糸とは別に更に細い糸で結んでありましたから、その細い糸の方だけが先に切れて鍵の方はそのまま床へと落ちたのではないでしょうか。そしてその糸は約45分という曲が奏でる時間を掛けてゆっくりとシリンダーオルゴールの方へと帰って行った物と思われます」

「部屋の鍵が丸谷英字の傍に落ちていた秘密は解った。だがその巻き取られたはずの糸は一体何処に消えたというんだ。この洋間の中を徹底的に探しても糸が巻き取られたアンティークオルゴールは何処にも見つからなかったんだぞ!」

「この洋間の中にはありませんよ。その白鳥の湖の音色を奏でる偽物のオルゴールはリビングルームにありますからね」

「なに、リビングルームだと!」

 その羊野の言葉に今度は赤城文子刑事がすかさず話し出す。

「でも私も一応は隈無くリビングルームの方も探してはみたけど、特にシリンダー型のオルゴールは何処にも見つからなかったわ」

「まあ、普通にこのリビングルームの部屋の中を探しても偽物のオルゴールは見つからないでしょうね」

「それは一体どう言うことなの、羊野さん?」

「赤城文子刑事は炊飯器の中はご覧になられましたか」

「炊飯器の中ですって……ええ、見たわよ。水に浸かったまだ炊かれていないお米がセットされていたわね。恐らくは昨日の深夜にでもお米を磨いで朝ご飯の為に炊飯器にセットしたのだと思うけど、タイマーをセットしていなかったせいかお米が炊かれていなかったようね。入れ忘れたのか炊飯器の線もコンセントに刺さってはいなかったみたいだしね」

「ちょっとした事なのですがやはり気がつかなかったみたいですわね。原本欽一さんの証言によれば一時五十分から二時までの間に部屋の電気が消えたと言っていましたが、その言葉を聞いてフと思ったのですよ。部屋の電気が約十分間ほど消えた事には何か訳があるんじゃないかとね」

「電気が消えた訳ですって?」

「つまりです。炊飯器の線につながっているはずのプラグがコンセントに差し込まれていないと言うのなら、丸谷英字さん本人がわざわざ抜いたか、もしくはその犯人が抜いたのかも知れませんよ。だって炊飯器のプラグが刺さっていたら炊飯器に電気が通っていない事がバレるかも知れませんからね」

「炊飯器に電気が通っていないですって……でもこのリビングルームの部屋の電気はちゃんとみんなついているけど?」

「だから部屋のブレーカーを落として、ある一箇所の中身を取り外したのですよ。犯人が間違って感電をしないようにね。つまり偽物のアンティークオルゴールの隠し場所はこのコンセントの壁の中ですわ!」

 そう言い放つと羊野は足でそのコンセントが備え付けられてある壁を力強く蹴り上げる。


 バキ、ドカン!


 その瞬間コンセントのあった壁にクッキリと大きな穴が空き、その中にはコンセントの電気を通す中身の代わりに箱形のオルゴールがしっかりとその場所に納められていた。

「そうか、丸谷英字さんを殺害後、まだその場に白鳥の湖の音色を奏でるアンティークオルゴールがあると錯覚させるためにこの偽物のオルゴールをコンセントのある壁の中にセットしたのか。勿論コンセントの中身は全て回収をしてね。これなら例え部屋の中を隈無く探したとしても偽物のオルゴールは見つかるはずもないし、狂人ゲームのタイムリミットまでは充分にバレずに済むという計算か。普通に部屋の電気もついているし、このコンセントに何かの器具を差し込んで使用でもしない限りはこのコンセントに異常がある事なんて誰にも解らないと言う事か。でもこの犯人はたったの十分で(電気が消えた状態で)懐中電灯一本でコンセントのカバーを外して、中身を解体後、その中に箱形のオルゴールを置いたのね。でもオルゴールのゼンマイを巻いて再びコンセントのカバーを元に戻す作業は一石二鳥では中々出来ないはずよ。この仕掛けを完成させる為にこの犯人はかなりの練習と準備をしていたって事よね」

「まあ、そう言う事になりますね。コンセントを元に戻している間も白鳥の湖の音色が鳴りながら糸が巻かれ続けている訳ですから、その緊張は想像を絶する物と思われます。何故ならその約十分間の間に仕掛けをセッティングしないと、部屋の鍵を閉める糸の長さが足りなくなってしまいますからね。もしもそうなったらこのトリックは失敗に終わっていたのかも知れません」

「どうやらこのトリックは時間との戦いみたいだしね」

「ですがその白鳥の湖の音色に釣られて突然阿部美香子さんが玄関の外に現れます。中々帰らない阿部美香子さんの出現に逃げ場を失った犯人は、阿部美香子さんを襲撃後、やり残した計画を完成させる為に再び丸谷英字さんの死体がある部屋の中へと戻ります。その後約十分以内にリビングルームの一つのコンセントを元に戻した犯人はブレーカーを元に戻してから、本物のアンティークオルゴールとB4サイズの封筒とコンセントの中身を抜いた物を回収し、そのまま外に出てドアに鍵を掛けて、その鍵を換気扇のカバー内に隠した物と思われます。後はオルゴールのゼンマイの動力が自動で糸付きの鍵を洋間を往復してリビングルームのコンセントの差し込み口の中へと糸を隠してしまったらこのトリックは概ね完成です。当然そのコンセントのカバーの中には偽物のオルゴールが隠されていますから最悪狂人ゲームの終了時間まで持てばいいと言うのが壊れた天秤の考えなのかも知れません。まあ、最後の方はこの事件を起こした犯人が知るよしも無い事ですがね」

「壊れた天秤の考えでは、狂人ゲームに勝てれば、その後の犯人の事などはどうでもいいと言う事か。壊れた天秤らしい考えではあるんだけどね!」

「その後犯人は、阿部美香子さんが気を失っている間に急いで阿部美香子さんの部屋に上がり込み、タンスの中にゴッホの絵が書かれてある本物のアンティークオルゴールを仕込んでその場を後にした用ですが、その事からも分かるように犯人がアンティークオルゴールを盗んだのはそのアンティークオルゴールを我が物にするためでは無く最初から丸谷英字さん殺しの罪を誰かに着せる為に盗んだ物と思われます。つまりこの犯人はアンティークオルゴールの件で揉めていた訳では無く、もっと別の動機で丸谷英字さんを殺害したと言う事になります。そしてその殺しのトリックのプロデュースに、あの狂人・壊れた天秤が関わる事になります。あの壊れた天秤がこの犯人にどのようにして関わったのかは未だに謎ですがね」

「狂人・壊れた天秤か。全くいつもながら懲りない奴だぜ。そしてこれが丸谷英字さんを殺し、密室殺人トリックを可能にした仕掛けの正体か」

「まあ、そう言うことです。そのコンセントの壁の中から糸の巻かれたアンティークオルゴールが本当に見つかったのですから、今度は丸谷英字さんを殺した犯人の動機とその正体について話して行きますね」

 そう言うと羊野瞑子は足に付いた埃を払いながら今度は工藤茂雄・戸田幸夫・原本欽一の三人を静かに見つめるのだった。
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