10 / 40
『始まりの街』
9.インゴット作成
しおりを挟む『忘れ去られた採掘場』の中は松明が所々に設置されており、比較的明るかった。一応、昔は採掘場だったため整備はそこそこされていたから歩きやすかったが、上から所々に蔦が伸びてきており、少々邪魔くさかった。
しかも、壁にも蔦がびっしりとついていおり《採掘》スキルを発動するにはいちいち蔦を千切る必要があっる様だった。
俺は周りを《盗賊》スキルのアーツ、〈気配察知〉と〈罠探索〉で常時警戒しながら進んでいるのだが、全くと言っていいほど何の気配もないし罠も無い。
『採掘場』だからモンスターや罠は無いようにプログラミングされているのかもしれない。
俺はそんなことを思考しながら、奥へ奥へと臆することなくズンズン進んでいく。最初の方の通路は、整備されていると言う事はもう鉱石を掘り尽くしたと言う事だ。なら奥へ行くのみである。…面倒臭いが…
俺は奥に大量の鉱石が眠っていることを願い、どんどんと進んでいった。
―――――――しばらく歩いただろうか?
中々に広い場所に出た。もうこの先に、道などは見当たらないからここが一番奥と言う事でいいのだろうか?俺は、【古びたツルハシ】を取り出し、装備する。そして、適当なところの蔦を引きちぎり、ツルハシでカツンカツンと掘ってみる。
「…大丈夫っぽいな」
先程掘った力が弱かったからか少ししか削る事が出来なかったが、掘れることがこれで証明された。【古びたシリーズ】の道具でもしっかり機能することを確認すると、再びグッとツルハシを握った。
そして思い切り、ツルハシを上へ振り上げそのまま重力に従うように一気に振り下ろした。
ガツン!!
良い音がした。
多分、使い方はコレで合っているのだろう。まあ、間違っていてもスキルによるスキルアシストが発動して大体いつかはしっかりと掘れるようになるんだけどな。全部ヘルプで書いてあったことだけど…
俺はガツン!ガツン!とどんどん岩壁にツルハシを直撃させながら掘り進めていく。道具が。【古びたツルハシ】だからなのか、普通に俺のスタミナが無いだけなのか、中々キツイものがある。腕が辛い…
でも、弱音を吐き続けている暇はない。ココが発見されたことは公開したから、プレイヤー全員がもう知っている。多分、すぐにみんなここを見つける事だろう。
何せここの名前は”南の最奥”『忘れ去られた採掘場』である。”南の最奥”って部分だけで大体のプレイヤーは南の森林のどこかにここがあるってことに気付くはずだ。多分、もう行動に移しているプレイヤーが多い。
そんなプレイヤー達が来る前に、早めに集めてそそくさと帰らなくては。
俺はいきなり手からすっぽ抜けない様にしっかりとツルハシを握り、どんどん掘っていく。
そうしてしばらく、鉱石が少しずつ出始めた。やはり表面の岩壁の部分では鉱石は中々で出てこなかったが奥へ行くとどんどん出てくる。このくらいになってくると楽しくなってくる。
一回振り下ろすと鉱石が、もう一回振り下ろすと鉱石が、と言う勢いでどんどん鉱石が出てくるのである。まるで無限に湧き出る水の様だ。コレを楽しいと言わずしてなんという。
無邪気にずっと掘り進める。ガツンガツン、カツンカツン、音が採掘場に大きく響く。ふと気付くとかなり鉱石が溜まっていた。
俺は一度耐久度がかなり減っている【古びたツルハシ】をアイテムボックスにしまい、採掘した鉱石を確認していく。
【銅鉱石】×12
【鉄鉱石】×8
【銀鉱石】×6
【エルマント鉱石】×5
【グライム鉱石】×5 が取れた。
ちなみに硬さ順は【グライム鉱石】←【エルマント鉱石】←【鉄鉱石】←【銅鉱石】←【銀鉱石】だそうだ。一番、【グライム鉱石】が硬いんだな。
だけど、物価は【鉄鉱石】や【銅鉱石】より【銀鉱石】の方が高いらしい。装飾品とかによく使われるとかナントカ…。まあつまり、硬さが全てじゃないってことだ。
俺はその後、お目当てのモノが回収できたのでもう用がなくなった、『忘れ去られた採掘場』を後にした。……途中で結構な数のプレイヤーに会った。生産組かな?
『始まりの街』に帰ってくるとまずは、生産作業場へ行って鍛冶をすることにした。早速鉱石をインゴットにしたいしな。
俺は生産作業場に到着すると、50セルトをすぐに払い個人鍛冶スペースに入った。そして、俺は先程獲得した鉱石たちをすべて机の上に並べる。ちなみにスペース設定で、周りからの視線は完全シャットアウトしている。まあ、気分だな。
こういうところに居る鍛冶師たちは、NPCから鉱石を購入しているらしい。しかし、かなり高い額らしく、「やりくりが大変だ」と掲示板で呟いているのを見かけた。
でもあの採掘所が見つかれば、だいぶ楽になるだろうな。プレイヤー全てに公開したし、さっきもあんなに帰る時にすれ違ったからすぐに発見されるだろう。鍛冶師や他の生産職が喜ぶ様が目に浮かぶ。
俺は生産職たちが喜ぶ姿を想像しながら、机に並べてある鉱石を一つずつインゴットへと変えていく。
この作業はかなり大変で、ハンマーで叩いては炉に入れ熱し、叩いては熱しを繰り返す。
カンカン!カンカン!
どことなく心地よい音が俺の耳に響く。しかし俺は汗だくだ。ピチョンピチョンと汗が床に落ちていく。どうしてこういうところを細かく作るかなぁ…運営は…
さすがに熱いと感じてきたので、閉鎖空間になっていた自分の鍛冶スペースの”視線遮断”設定を解除し、しきりを失くす。実際は熱さなど変わらないのだが、やはり場所の広さが窮屈だと、心までも狭く持ってしまう。
……うん!こっちの方が良いな!
周りから丸見えの状態になったが、またインゴット作成を再開する。
そうこうしている内に最後のインゴット作成だ。俺は【グライム鉱石】のインゴット作成に取り掛かる。
途中で、隣の鍛冶師が「その鉱石ってなんだ?」と聞いてきたが「近いうちに分かるぜ」と返しておいた。その鍛冶師はそれ以上は詮索しなかったが随分とコチラを気にしているようだった。まあ、当たり前っちゃ、当たり前だろうな。きっと見たことない鉱石なんだろうし。
さて、そんなことより【グライム鉱石】だ。俺は先程からやっているようにハンマーを持ち、耐熱手袋をはめ、鉱石を炉で熱する。十分に熱で柔らかくなったら、叩く。叩く。叩く。
叩いて叩いて叩きまくる。そして炉で熱するのを繰り返すが……
「今までのヤツより、随分と硬いなぁ」
何回も何回も、ハンマーで鉱石を叩きまくっているのだが中々きれいなインゴットの形に変形しない。う~ん……難しい…
どうにか格闘すること、数十分。やっと一つ、インゴットが完成した。どうやら《鍛冶》スキルのLvが足りていないため、難しかったようだ。スキルLvが適性のLvまで行ったらもっと楽になるのかもしれない。
さすがに、まだ残っている【グライム鉱石】の全てをインゴットにするのはきついので、あと一つだけインゴットにして、今回のインゴット作成はお終いにした。
さて、ここからは武器を造るお時間だ。
「最高の武器を造ってやる…」
静かにそう呟いた。
プレイヤー:ノア
【スキル一覧】
《短剣》Lv18《体術》Lv18《闇魔法》Lv15《盗賊》Lv16《隠蔽》Lv22
《視覚強化》Lv18《鍛冶》Lv16(↑7UP)《調薬》Lv12
《採掘》Lv10(↑9UP)
スキルポイント:11
【二つ名】
終焉スキラー
*************************
《鎌》
鎌を扱えるようになるスキル。まるで死神のように大きい鎌から、草刈りで使うような小さい鎌で自由自在。ただし、非常に扱い方が難しい為、上級者向け。ただし扱えるようになったらとんでもない破壊力、全武器屈指のリーチで敵を追い詰め、屠ることが可能となる。。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる