ネガティブな太陽

タマクロー

文字の大きさ
上 下
5 / 5
日向と木陰

入れ替わり

しおりを挟む
二人は公園についた。会社の始業時間までまだだいぶある。

朝の公園には体操をするお爺さんの姿、散歩をする人。さまざまであった。

二人はベンチに腰掛けた。

ミツキ「あと30分くらい余裕あるね。とりあえず…なんだろーな。俺昔から不安症なんだけど外だと別人みたいになるんだよ」

池谷「はい」

じーっと真剣にミツキの話を聞く池谷。

ミツキ「けど無理してるっていうわけでもないんだけど、勝手にこうなっちゃうんだよね」

池谷「なるほど」

ミツキ「けど家では暗くて、大体ベッドの上で不安な翌日に恐怖したままおびえてるって感じ」

ミツキはハッとした顔で言った。

ミツキ「あ…俺まだ二回しか会ってない人…しかも会社の新人の人に何話してんだろう…ごめんな」

池谷は思った。この人も私と同じだ。けど真逆でもある。

池谷「全然です。実は私、プライベートではとても前向きポジティブ活発系なんですよ」

ミツキ「え…自分で言う事なのそれ」

池谷「た、確かにそうかもしれませんね。前の仕事で明るく振る舞って頑張ってたんですよ。そしたら色々ありまして」

ミツキ「色々…?」

池谷「えっと…色々です。今度また話しますね。ミツキさんは少し自分自身を受け入れてあげた方がいいですよ」

ミツキ「え?」

池谷「はい。無理してきたんじゃないですか。周りの目を気にして」

ミツキはなぜかうるうるきていた。

池谷「実はそういう人は自分が傷つくのが怖いんですよ。つまりとてもプライドが高いんですね」

ミツキは涙がひっこみ心にグサグサ刺さる。

ミツキ「もうやめて…俺のライフは…」

池谷「あ!ごめんなさい。とにかく、不自然なテンションですし、ナチュラルになりましょ!ね!」

ミツキの顔がぼーっとしていた。

ミツキ「あ…すっごい笑えるんだね」

池谷はうっかりしたと思った。

池谷「ま、まぁ今就業時間外ですからね」

木の木漏れ日が池谷の笑顔をさらに素敵に魅せた。

ミツキ「天使か…」

池谷「え?」

ミツキ「い、いや!」

池谷「あ、そろそろ会社の方行きましょう!同時に行くとちょっと変なので、後から来てください!」

じゃ!という感じに池谷は早歩きで会社に向かっていった。

残されたミツキはしばらくボーっとしていた。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界婚活事情

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:13

複垢調査官 飛騨亜礼 ≪短編連作版≫

ミステリー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:6

不完全な私たち二人が、生き残った理由

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

ちょっと合間にゾンビでも

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

それについては大丈夫です。

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

逃がさない

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

婚約破棄されたので、力で玉の輿を手に入れました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:41

便利屋リックと贄の刑事

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:5

薔薇の耽血(バラのたんけつ)

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:1

知らずの内に私は転生しました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:46

処理中です...