いずれ最強の少女 ~白き髪と紅の瞳~

カイゼリン

文字の大きさ
26 / 49
本編

お出かけ!!!(in無人島) ③

しおりを挟む
とうとう7日目

この熊…どうしよか

ボーっと天を見ながら考えるが思いつかない
連れて帰ろうにもなぁ…


視界の端に黒いモヤが見えた気がした
はぁ…こらこらうるさいな
お前のことを考えてやってんだぞ~


「…グルグル…あァーもゥ。ネェきイテ!アソこに、ヒトいる」

え、喋った?

「キイてる?ヒト!ヒートー!」

ヒト…?

ぶわっと周りが暗くなる
ふわふわーと宙に浮いている感覚に陥る

目の前に人型の黒いモヤが集まる


人だ。姿がはっきりすると僕は目を見開いた


「見つけた。私の体…」

昔の自分だ…夢でも何度か見た自分の姿
ニコニコとしている僕の半身

「ねぇ…あぁ。別の魂がくっついてる…。早くこんな辛いことから離れよう?虐められなくてもいいの。ほら…身を任せて…」

動かない体…頬に手を当てられる
目に光はない…

「ほーらー。早く。ねぇーねぇー。」

動け。動け!動け!!

「ふ、ざける、な…」

必死に口を動かす
これが声になっているか分からない。周りの音が聞こえなくなる。視界がモヤモヤしている

「………」

何か言っているのか?悲しそうな表情…なのか。あまり顔が見えない。だけど笑っているようにも見えた

早く、ここから出ないと

体を動かそうとしてもダメ
なら魔法は?魔素は薄いが自分の魔力を大幅に使えば…

両腕に魔力を集める
段々と腕が熱くなってくる
無駄な力を抜き、深呼吸をする
目は見えないが問題ない。目の前で心が折れるのを待っているクソ野郎の気配がする。笑ってここからは出られないと確信してニコニコしてる奴がいる

あれがもう1人の僕?ハッ。クソ喰らえ

パキパキと熱くなった腕が冷えてくる
一気に魔力を使いすぎたか…少しクラクラするな
氷の腕を使い殴りにかかる

手応えがない
全身に魔力が巡る…魔力の使い方がわかってきた
体を氷が覆う
いつもより魔力が多い気がする
頭はクラクラするが体は調子がいい
今ならこの星にヒビを入れれる気がするな

スッと目の前が明るくなる
こちらに目がけて拳を振り上げている。顔は驚きと恐怖
まぁ心が折れるのが先だと思っていたのだろう

遅い
こちらに拳が向かってくるが左手で掴み放り投げる

大きく飛び地面に打ち付けられ、ゴムまりのように2回はねる

刀を取り出そうとするが上手く握れない
力強く地面を蹴りラリアットをくらわす
なんとか耐え、倒れずにフラフラしているので胴体を持ち上げ頭を両ももにはさむ。パイルドライバーのおみまいだ!

頭をうちつけ倒れた所に馬乗りになり追い打ちをかけるように顔面を殴る
尖った氷が顔をズタボロにしていく
殴れば顔は潰れ、皮膚が切れて血が舞う
桜が散るように

透明で綺麗な氷が赤く色付く
段々と周りのモヤが消えていき木々がみえてくる

ピクリとも動かなくなったのを確認し、立ち上がる
氷の腕から血がたれて行く
顔は原型をとどめていない
鼻は折れ、目は潰れ、皮膚はえぐれて肉が裂けている
血で骨が見えているのか分からないが勢いよく頭をぶつけたのだ。頭蓋骨は粉々だろう

モヤがはれてコイツと自分…後、熊

心配そうにこちらを見ている熊
まずは氷の壁を作り出す

氷の壁に映った自分は顔の一部が凍り、目は金色に光っている。鋭く美しい。まるで宝石のような腕。よく見たら服が破けている。肌は凍りカチコチ。何が当たっても当たった方が砕けるのではと思ってしまう。顔の方に魔力を集めてみると顔の下半分と額が凍る。金色の目はより一層光る

魔力を戻す
段々と氷が消えていく
指先が見えて、顔を覆う氷も消えていく
目の色も赤色に戻る。手を見ると凍傷を起こしている様子はない
これは使えるな…けれど疲れる
体が重く立つのもやっと。睡魔が襲う
刀は使えないし、魔法は魔力を回していて使えない
近接戦闘用。対強者用だな

ふぅーとため息をひとつついて木に腰かける
何がひとつになろうだ…もうあの頃とは違う
今の僕は昔の僕か?いや、違う
新たな僕に生まれ変わったんだ

僕は自由に生きて楽しもう…あんな生活はないんだ


腕を上にあげる
指の隙間から太陽の光がもれる

グッと太陽を握りつぶす

「ダイ、じょう、ブ?」
「お前、喋れるんだな」

頭を撫でてやる
気持ちよさそうに目を細めている

「まァね!ボクは、ソコン、ジョソコラ、ノ、まじゅうとは、チガウんダ!」

ふふーんとドヤ顔になっているのがかわいい

「大丈夫ですか?」

ふわっと降り立ったのは夜叉
いつの間に来たんだと驚いたがまだまだだなー。もっと頑張らないとなーなんて思った

「あぁ夜叉。眠いけど無傷だよ」

右手でピースすると夜叉は微笑んだ

「…合格です。立派ですね、自分に打ち勝つというのは難しいのです」

「あれはもう1人の僕じゃない…僕は今ここにいる僕、ただ1人だけ」

「そういう意味では…まぁ…いいでしょう」

大きな右手をぽんと頭におく
見上げると夜叉はどこか見ている

何を見ているのか…僕も見てみるが何も無い

「あなたはもう1人ではないのです。さて、最後にあそこの魔獣を倒しましょうか」

「ヤ、ヤメろ!?ボクは、えさ、ジャない」

熊!?大きな赤と青で目がチカチカする鳥のくちばしの間にいる。なんとか抵抗しているが…

「イダだだだだ。食われるぅ!?」

早く助けないとやばそう
刀に手を当てる。身を低くして風の抵抗を受けないようにする
ジャンプして風の起動を操り上へ、空間魔法で結界を作り足場にする。足場を踏み跳ぶ、風の起動を操りさらに上へ

「止まれやっ!!!」

氷の槍で首を貫く
口を開けて落ちてきた熊をキャッチして刀を構える
一閃
空中を地面と平行に跳び刀で突き刺す
勢いよく貫かれた鳥は粉々に吹き飛ぶ
肉片と血があたりを飛び交う

そのまま落ちていき結界をはる
ぶつかったら痛いので柔軟性のあるトランポリン風に

どうでもいいけど、トランポリンとナポリタンってパッと見、文字が似てない?似てない。ごめん、似てなかったね

結界にぶつかるとぼよよーんとはねる
5回ほど跳ねて納まった

…これだ
結界に柔軟性をつけることでダメージを吸収して壊れない。完璧な壁ができる!

「お疲れ様です。一週間前と比べて力をつけましたね」

やった!夜叉にも褒められた!
ふぅ…と軽くため息をつくと疲れからか気絶するように眠った
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

奥様は聖女♡

喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。 ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。

聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~

白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。 王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。 彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。 #表紙絵は、もふ様に描いていただきました。 #エブリスタにて連載しました。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

処理中です...