悪役令嬢の罠にかかって、ただの穴だと思い込んで告白もできず逃げ出したのに、元ヤンから弁護士に変身した彼に溺愛されてます

恩田璃星

文字の大きさ
47 / 97
奇襲

しおりを挟む
完全に予想外の展開。
だって、てっきり瑞希のことが好きだと思い込んでいたから。
東海林くんとだけはこんなことにだけはならないだろうと油断しきっていた。

できるだけ傷つけたくない。
どうやって拒絶すればいい?
頭をフル回転させても、分からない。

「教えて下さいよ。どこをどうされたら気持ちいいのか」

止まっていた手が再び動き出し、脇腹を撫で上げる。

「…っ」

「静花さんの望む通りに抱きますから」

そんなこと言われても、私が東海林くんに教えられることなんてほとんどない。
だからと言って、惨めすぎて本当のことは言いたくない。

あれこれ考えているうちに私の身体をなぞる少し冷たい手が脇の下まで来たとき─

「フハッ」

未開の私の体はくすぐったさに耐えきれず、笑い声を漏らしてしまった。

「……静花さん?いくら俺が童貞だからって、笑うのは酷くないですか?」

目に見えてショックを受けた顔をしている東海林くんを見て腹を括った。

「ごめん、違うの」

「何がちがうんですか?絶対笑ったでしょ、今」

「そうじゃなくて。私、経験…はあるんだけど、ちゃんと愛された事がなくて…分からないの」

「ハ…首にそんなにいっぱいキスマつけといて、それはないでしょ?」

そうか。
色々なことがありすぎて、すっかり忘れていた。

これのせいで東海林くんは『襲われる』なんて言ったんだ。

高嶺くんが好きだと言ってくれたのも、初めてのキスをしたのも、キスマこの印をつけられたのも、つい昨日のことだ。
もう二度と、あんな幸せな気持ちになることなんてない。

こんなことになるなら、一生の思い出に、最後まで抱いてもらえばよかった。

そう考えたら、勝手に涙が溢れてきた。
東海林くんは切れ長の目を見開き、スウェットから腕を勢いよく引き抜いた。

「すみません…!俺までさっきの女の言うことに惑わされて」

そのまま私の体からも降りて、これ以上何もしないと言うように、両手を挙げた。

「…今度こそちゃんと説明してもらえますか?」

少し離れた所に座った東海林くんに促され、高校入学から現在に至るまでの経緯をできるだけ詳しく話した。



最後の方は、色々な感情がごちゃ混ぜになってしまって。

「あーーー、分かってたけど胸くそ悪ッ!」

しゃくり上げながらもなんとか話し終え、東海林くんが吐き捨てたのがコレ

「本当にごめんね…ずっと騙してて」

「や。静花さんのことじゃないですからね?俺がムカついてるのは、あの森永って女と、アレがクソって気づかない高嶺ですから」

思いがけず優しい言葉をかけられたら、涙だけでなく洟水まで垂れてきた。

東海林くんは、こんな瓶底眼鏡の汚い顔の女にも、箱ティッシュを手渡してくれる。
これぞLove Birdsの講師の鏡─

有り難く受け取り、涙と鼻水でグシャグシャの顔を拭う。

「で?このまま黙って引き下がるんですか?それこそあの女の思う壺だと思いますけど?」

東海林くんに話して少し冷静さを取り戻すことができた。
森永さんの言ったことが全部本当じゃないかもしれないと思い始めている自分もいる。

でも、もし彼女の言ったことが本当だったら?
怖くてとても自分で確かめることなんかできない。

「…まあ、怖いですよね。そもそもそんな勇気あるならお互いこんな目にあってないですもんね」

黙って一回頷いた。

「でも、このままじゃイヤなんでしょ?」

今度は、二回。

「とりあえずここに居ていいですから。そんで、覚悟ができたら、社長とあの男にちゃんと本当のこと言って、確かめて…それでもやっぱりダメで、静花さんにとっての大事な『居場所』がなくなったら、俺が静花さんの居場所になりますから」
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

4番目の許婚候補

富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜

yuzu
恋愛
 人数合わせで強引に参加させられた合コンに現れたのは、高校生の頃に少しだけ付き合って別れた元カレの佐野充希。適当にその場をやり過ごして帰るつもりだった堀沢真乃は充希に捕まりキスされて…… 「オレを好きになるまで離してやんない。」

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

処理中です...