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奇襲
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完全に予想外の展開。
だって、てっきり瑞希のことが好きだと思い込んでいたから。
東海林くんとだけはこんなことにだけはならないだろうと油断しきっていた。
できるだけ傷つけたくない。
どうやって拒絶すればいい?
頭をフル回転させても、分からない。
「教えて下さいよ。どこをどうされたら気持ちいいのか」
止まっていた手が再び動き出し、脇腹を撫で上げる。
「…っ」
「静花さんの望む通りに抱きますから」
そんなこと言われても、私が東海林くんに教えられることなんてほとんどない。
だからと言って、惨めすぎて本当のことは言いたくない。
あれこれ考えているうちに私の身体をなぞる少し冷たい手が脇の下まで来たとき─
「フハッ」
未開の私の体はくすぐったさに耐えきれず、笑い声を漏らしてしまった。
「……静花さん?いくら俺が童貞だからって、笑うのは酷くないですか?」
目に見えてショックを受けた顔をしている東海林くんを見て腹を括った。
「ごめん、違うの」
「何がちがうんですか?絶対笑ったでしょ、今」
「そうじゃなくて。私、経験…はあるんだけど、ちゃんと愛された事がなくて…分からないの」
「ハ…首にそんなにいっぱいキスマつけといて、それはないでしょ?」
そうか。
色々なことがありすぎて、すっかり忘れていた。
これのせいで東海林くんは『襲われる』なんて言ったんだ。
高嶺くんが好きだと言ってくれたのも、初めてのキスをしたのも、キスマをつけられたのも、つい昨日のことだ。
もう二度と、あんな幸せな気持ちになることなんてない。
こんなことになるなら、一生の思い出に、最後まで抱いてもらえばよかった。
そう考えたら、勝手に涙が溢れてきた。
東海林くんは切れ長の目を見開き、スウェットから腕を勢いよく引き抜いた。
「すみません…!俺までさっきの女の言うことに惑わされて」
そのまま私の体からも降りて、これ以上何もしないと言うように、両手を挙げた。
「…今度こそちゃんと説明してもらえますか?」
少し離れた所に座った東海林くんに促され、高校入学から現在に至るまでの経緯をできるだけ詳しく話した。
*
最後の方は、色々な感情がごちゃ混ぜになってしまって。
「あーーー、分かってたけど胸くそ悪ッ!」
しゃくり上げながらもなんとか話し終え、東海林くんが吐き捨てたのが↑。
「本当にごめんね…ずっと騙してて」
「や。静花さんのことじゃないですからね?俺がムカついてるのは、あの森永って女と、アレがクソって気づかない高嶺ですから」
思いがけず優しい言葉をかけられたら、涙だけでなく洟水まで垂れてきた。
東海林くんは、こんな瓶底眼鏡の汚い顔の女にも、箱ティッシュを手渡してくれる。
これぞLove Birdsの講師の鏡─
有り難く受け取り、涙と鼻水でグシャグシャの顔を拭う。
「で?このまま黙って引き下がるんですか?それこそあの女の思う壺だと思いますけど?」
東海林くんに話して少し冷静さを取り戻すことができた。
森永さんの言ったことが全部本当じゃないかもしれないと思い始めている自分もいる。
でも、もし彼女の言ったことが本当だったら?
怖くてとても自分で確かめることなんかできない。
「…まあ、怖いですよね。そもそもそんな勇気あるならお互いこんな目にあってないですもんね」
黙って一回頷いた。
「でも、このままじゃイヤなんでしょ?」
今度は、二回。
「とりあえずここに居ていいですから。そんで、覚悟ができたら、社長とあの男にちゃんと本当のこと言って、確かめて…それでもやっぱりダメで、静花さんにとっての大事な『居場所』がなくなったら、俺が静花さんの居場所になりますから」
だって、てっきり瑞希のことが好きだと思い込んでいたから。
東海林くんとだけはこんなことにだけはならないだろうと油断しきっていた。
できるだけ傷つけたくない。
どうやって拒絶すればいい?
頭をフル回転させても、分からない。
「教えて下さいよ。どこをどうされたら気持ちいいのか」
止まっていた手が再び動き出し、脇腹を撫で上げる。
「…っ」
「静花さんの望む通りに抱きますから」
そんなこと言われても、私が東海林くんに教えられることなんてほとんどない。
だからと言って、惨めすぎて本当のことは言いたくない。
あれこれ考えているうちに私の身体をなぞる少し冷たい手が脇の下まで来たとき─
「フハッ」
未開の私の体はくすぐったさに耐えきれず、笑い声を漏らしてしまった。
「……静花さん?いくら俺が童貞だからって、笑うのは酷くないですか?」
目に見えてショックを受けた顔をしている東海林くんを見て腹を括った。
「ごめん、違うの」
「何がちがうんですか?絶対笑ったでしょ、今」
「そうじゃなくて。私、経験…はあるんだけど、ちゃんと愛された事がなくて…分からないの」
「ハ…首にそんなにいっぱいキスマつけといて、それはないでしょ?」
そうか。
色々なことがありすぎて、すっかり忘れていた。
これのせいで東海林くんは『襲われる』なんて言ったんだ。
高嶺くんが好きだと言ってくれたのも、初めてのキスをしたのも、キスマをつけられたのも、つい昨日のことだ。
もう二度と、あんな幸せな気持ちになることなんてない。
こんなことになるなら、一生の思い出に、最後まで抱いてもらえばよかった。
そう考えたら、勝手に涙が溢れてきた。
東海林くんは切れ長の目を見開き、スウェットから腕を勢いよく引き抜いた。
「すみません…!俺までさっきの女の言うことに惑わされて」
そのまま私の体からも降りて、これ以上何もしないと言うように、両手を挙げた。
「…今度こそちゃんと説明してもらえますか?」
少し離れた所に座った東海林くんに促され、高校入学から現在に至るまでの経緯をできるだけ詳しく話した。
*
最後の方は、色々な感情がごちゃ混ぜになってしまって。
「あーーー、分かってたけど胸くそ悪ッ!」
しゃくり上げながらもなんとか話し終え、東海林くんが吐き捨てたのが↑。
「本当にごめんね…ずっと騙してて」
「や。静花さんのことじゃないですからね?俺がムカついてるのは、あの森永って女と、アレがクソって気づかない高嶺ですから」
思いがけず優しい言葉をかけられたら、涙だけでなく洟水まで垂れてきた。
東海林くんは、こんな瓶底眼鏡の汚い顔の女にも、箱ティッシュを手渡してくれる。
これぞLove Birdsの講師の鏡─
有り難く受け取り、涙と鼻水でグシャグシャの顔を拭う。
「で?このまま黙って引き下がるんですか?それこそあの女の思う壺だと思いますけど?」
東海林くんに話して少し冷静さを取り戻すことができた。
森永さんの言ったことが全部本当じゃないかもしれないと思い始めている自分もいる。
でも、もし彼女の言ったことが本当だったら?
怖くてとても自分で確かめることなんかできない。
「…まあ、怖いですよね。そもそもそんな勇気あるならお互いこんな目にあってないですもんね」
黙って一回頷いた。
「でも、このままじゃイヤなんでしょ?」
今度は、二回。
「とりあえずここに居ていいですから。そんで、覚悟ができたら、社長とあの男にちゃんと本当のこと言って、確かめて…それでもやっぱりダメで、静花さんにとっての大事な『居場所』がなくなったら、俺が静花さんの居場所になりますから」
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