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混ざり合う香り(高嶺Side)

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まだ大きく胸を上下させ、力なく横たわったままの静花の蜜口にそっと中指を沈めていく。

「んっ、待ってまだ…」

「…指だけ。解すから」

何度となく反芻してきた記憶の中のソコよりもずっと、狭い。
静花の隣にどんな男がいたとしても、この手に取り戻すつもりでいたのに。
まさか、俺以外の誰も赦していないなんて。

抜き差しする度に俺を受け入れようと、指に吸い付き、蜜を吐き出す健気な様は静花そのもの。

ぐちゅぐちゅと響く淫猥な水音と、切なげに漏れる静花の声が、再び思考を奪っていく。

もう、いいだろう?
我慢の限界だ。

心の中で問いかけると、それに答えるように静花の肉壁が柔らかくうねった。

反対の手でベルトのバックルを外し、押し込めていた分身を開放する。

「10年間、この日のためだけに生きてきた」

少し汗ばんだ静花の額にキスを落としながら、先端を充てがうと、静花が息を飲んだ。

「次に抱くときは、二度と離さないって決めてたから。覚悟しろよ」

一気に奥の奥まで、腰を沈めた。

10年ぶりの静花の中は、あの頃と全く同じで。
心地よい温かさで俺を包み込んでくれた。

ああ、これだ。
この感触。
やっと静花をこの手に取り戻せた。

しばらくそのまま動かなかったのは、感動を噛みしめていたからだ。
あと、静花を思ってのこと。

決して我慢しすぎて、挿れただけでちょっと出たからじゃない。
そんな東海林童貞みたいなことに、この俺がなるはずがない。
…断じて。

誰に対してなのかよく分からない言い訳をしているうちに、ふと目についたのは静花の手。
キツくシーツを握りしめている。

またコイツ…。

呆れつつ、更に熱が分身に集まっていくのを感じる。
なんだかんだで静花のこういういじらしいところがたまらなく好きなんだ。

でも─

「手はこっち」

「えっ?」

両手を持ち上げて俺の首の後ろに持っていくと、ためらいがちに巻き付いた。
自然と顔を引き寄せられたので、『上出来』という気持ちを込めて口づけてから言った。

「動くぞ、そのままつかまってろよ」

ゆっくりと腰を動かし始めると、首の巻き付きが強められた。
静花の方から抱きしめられているようで。
そんなことされたら、俺なりに優しくしてやりたいのに、できなくなる。

大きく脚を開かせ、静花から抜けるギリギリまで引き抜いては最奥まで突く、を何度も何度も繰り返す。

夢中になって腰を振っていると、静花の頬にくっついていた自分の頬が濡れた感触。
驚いて動きを止めて静花の顔を見れば、その瞳も頬も涙で濡れていた。

しまった。
静花も10年ぶりなのに、いきなり激しすぎたか?

「どうした?辛いか?」

労るように涙を唇で掬うと、静花は首を横に振った。

「違…、う、うれしくて」

あーー。
もーーー。

コイツ、ある意味性質タチ悪すぎ。
どこまで俺を喜ばせれば気が済むんだ。

「…ナカ、気持ちいい?」

ズズズッと再び自身を沈めながら問えば、今度は首を縦に振ってみせる。

「ぅ、うんっ、気持ちい…っ、ひ、ああっ!」

「いっぱいシてやるから。いっぱい気持ちよくなっていいぞ」

繋がっている場所の上にある花芽をグリッと押すと、静花は今日一の声を上げた。
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