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不毛な戦い4
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「――――――」
円香の言葉をかき消すように、警鐘のような音が私達のいる空間に鳴り響いた。
出どころは私の鞄からで、急いで取り出すと「羽立くん」の文字。
そういえば、今朝羽立くんが私のスマホをいじってたような。
アレは着信音の設定を変えてたのか…。
「ちょっとごめんね」
断りを入れてから、通話ボタンを押そうとしたら、間違えて通話終了ボタンを押してしまった。
「あっ、やば!」
こちらからかけ直す前に再び警鐘が鳴り始めた。
こころなしか、音が怒っているみたいに聞こえる。
今度こそ通話ボタンを押すと、耳に当てるよりも早く羽立くんの怒声が聞こえて来た。
「奏音さん!?何で電話切っちゃうんですか!?今どこですか?何で家にいないんですか!!?」
「ごめぇん、手元が狂って。今同期のコに誘われて、ご飯食べてるんら」
「…飲んでるんですか?」
口調は丁寧だけど、声が冷たい。
呆れられてしまったかもしれない。
「あ、うん、ちょっとね。ちょーーーっと」
素面を装おうとするほど、何故か酔っぱらいのおっさんみたいになってしまう。
「何て店ですか?迎えに行きます」
「え?いいよぉ。ちゃんと帰れるから。羽立くん、明日も仕事れしょ?」
「奏音さんもでしょ。いいから教えてください」
「えーっとねぇ、○○駅近くに新しくれきた、隠れ家風のイタリアンの…」
説明している途中、円香の手がスッと伸びてきて、スマホを取り上げられた。
「もしもしぃ、こんばんはー。初めまして。奏音ちゃんの同期の高倉円香です。今日はこのまま奏音ちゃん、うちに泊めますから、ご心配なさらずにー」
と言うやいなや、通話終了ボタンを押した。
「で、何らっけ?円香、何か言いかけてなかった?」
「え?あ、ううん!後でいいの。ちょっと強引だったけど、ちゃんと相手の人の許可もとったから、夜は長いしね。ってことで、ここはお開きにして、家で飲み直そ♡」
「あ。待って。まだワイン残ってるから、コレ飲んれからー」
急かされつつようやくワイングラスを空にし、「奏音ちゃんがうちに泊まるの、久々だからテンション上がるー」とはしゃぐ円香に支えられながら外に出る。
円香が腰に回してきた手の感触に、さっきお店で見かけたイチャイチャ夫婦を思い出してしまった。
あの二人は今頃―――
なんてちょっとやらしい事を考えていると、ちょうど店の前にタクシーが横付けされた。
「奏音ちゃん、危ないからあのタクシーに乗せてもらおっか」
かなり酔いが回ってるから助かったー
と、思えたのは、タクシーのドアが開くまでだった。
降りてきたのは、私が絶対に見間違うことのないー
「羽立くん!?」
ノーネクタイに、胸元のボタンを上から2つ外したスーツ姿が神々しい。
「奏音さん!良かった、今回はちゃんと見つけた。情報が曖昧だったから、駅でタクシー拾って正解でした。今何時だと思ってるんですか。帰りますよ」
「ご、ごめん。でもまだ10時…」
言い訳は聞かないと言わんばかりに、羽立くんが私の首根っこを掴んでタクシーに向かって歩き始めると、下半身が進行方向とは逆の方向に引っ張られた。
円香の言葉をかき消すように、警鐘のような音が私達のいる空間に鳴り響いた。
出どころは私の鞄からで、急いで取り出すと「羽立くん」の文字。
そういえば、今朝羽立くんが私のスマホをいじってたような。
アレは着信音の設定を変えてたのか…。
「ちょっとごめんね」
断りを入れてから、通話ボタンを押そうとしたら、間違えて通話終了ボタンを押してしまった。
「あっ、やば!」
こちらからかけ直す前に再び警鐘が鳴り始めた。
こころなしか、音が怒っているみたいに聞こえる。
今度こそ通話ボタンを押すと、耳に当てるよりも早く羽立くんの怒声が聞こえて来た。
「奏音さん!?何で電話切っちゃうんですか!?今どこですか?何で家にいないんですか!!?」
「ごめぇん、手元が狂って。今同期のコに誘われて、ご飯食べてるんら」
「…飲んでるんですか?」
口調は丁寧だけど、声が冷たい。
呆れられてしまったかもしれない。
「あ、うん、ちょっとね。ちょーーーっと」
素面を装おうとするほど、何故か酔っぱらいのおっさんみたいになってしまう。
「何て店ですか?迎えに行きます」
「え?いいよぉ。ちゃんと帰れるから。羽立くん、明日も仕事れしょ?」
「奏音さんもでしょ。いいから教えてください」
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「もしもしぃ、こんばんはー。初めまして。奏音ちゃんの同期の高倉円香です。今日はこのまま奏音ちゃん、うちに泊めますから、ご心配なさらずにー」
と言うやいなや、通話終了ボタンを押した。
「で、何らっけ?円香、何か言いかけてなかった?」
「え?あ、ううん!後でいいの。ちょっと強引だったけど、ちゃんと相手の人の許可もとったから、夜は長いしね。ってことで、ここはお開きにして、家で飲み直そ♡」
「あ。待って。まだワイン残ってるから、コレ飲んれからー」
急かされつつようやくワイングラスを空にし、「奏音ちゃんがうちに泊まるの、久々だからテンション上がるー」とはしゃぐ円香に支えられながら外に出る。
円香が腰に回してきた手の感触に、さっきお店で見かけたイチャイチャ夫婦を思い出してしまった。
あの二人は今頃―――
なんてちょっとやらしい事を考えていると、ちょうど店の前にタクシーが横付けされた。
「奏音ちゃん、危ないからあのタクシーに乗せてもらおっか」
かなり酔いが回ってるから助かったー
と、思えたのは、タクシーのドアが開くまでだった。
降りてきたのは、私が絶対に見間違うことのないー
「羽立くん!?」
ノーネクタイに、胸元のボタンを上から2つ外したスーツ姿が神々しい。
「奏音さん!良かった、今回はちゃんと見つけた。情報が曖昧だったから、駅でタクシー拾って正解でした。今何時だと思ってるんですか。帰りますよ」
「ご、ごめん。でもまだ10時…」
言い訳は聞かないと言わんばかりに、羽立くんが私の首根っこを掴んでタクシーに向かって歩き始めると、下半身が進行方向とは逆の方向に引っ張られた。
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