運命の落とし穴

恩田璃星

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 半分ヤケになった奏音さんが、目を瞑ったまま勢いよく下着を下げると、同じくらいの勢いで俺のモノがブルンと飛び出した。

 我ながら、グロテスク。
 奏音さんの口に入りきるかな。
 無理だったら手と舌でシてもらおうか。

 今から与えられる快感を思い描いていると、奏音さんが恐々目を開け、すでに紅くなっていた顔を一層紅くした。

 ああ、いけない。
 油断すると、勝手に口角が上がる。

 「触って」

 「…っ」

 「今更でしょう?昨夜はコレが奏音さんの体の奥の奥まで入ってたのに」

 「そうだけど…!」

 パッと顔を上げて反論しかけた奏音さんが口を噤んだのは、内心必死に引き結んだ唇のお陰に違いない。

 片手を後ろに着け少し背中を傾けてじっと待つ。
 やがて、観念した奏音さんの白い手が伸びて来て、細い指が躊躇いがちに俺を握った。

 「もっと強く握ってください」

 声を掛けられた拍子にパッと手を離そうとする奏音さんを阻むように、自分の手を重ねてグッと握らせる。

 「す、昴、ちょっと待っ…」

 慌てふためく奏音さんに構わず続ける。

 「…で、こんなふうに上下に動かして」

 奏音さんの視線はオロオロと、俺の顔と自分の手元を行ったり来たりしている。

 「…ん…気持ちいい…でも…」

 奏音さんの手をゆっくり解放すると、羞恥と興奮に染まり切った奏音さんと目が合った。
 ここぞとばかりにニッコリ微笑む。

 「もっと気持ちよくしてくれますよね?奏音さん」


 今度は俺が手を伸ばし、奏音さんの柔らかな髪に指を絡ませ、あやすように襟足を撫でた。
 逃れようと軽く肩をすくめたので、くすぐったいのかと思えば、その表情は切なげだ。

 俺に触れて、触れられて、感じているのか。

 ああもう、こんなことなら昨夜時間をかけて、しっかり指で慣らしてから挿れれば良かった。
 そうすれば、今夜も…。

 と、堪え性のない自分に後悔しながらも、細い首に手をかけ、やや強引に両脚の間に顔を引き寄せた。

 奏音さんは眼前にそそり立つオレに、紅い顔で目を白黒させていて、その表情が堪らなく可愛い。

 「…フッ」

 耐えきれず、さっきの作り笑顔とは別の、自然な笑いが込み上げてしまった。
 奏音さんがすかさず俺を咎める。

 「な、何その笑い方。すっごい意地悪」

 「すみません。…でも、仕方ないじゃないですか」

 おもむろに自分のソレに手を添え、ゆっくりと角度を変える。
 奏音さんは、俺の意地悪く微笑む顔を凝視していて気付かない。

 「好きな子ほど虐めたくなるってよく言うでしょう?」

 今、生まれて初めて実感しているところですけど、と付け足しながら、唇に触れるか触れないかぎりぎりのところに持って行くと、ようやく奏音さんが俺の動きに気づいた。

 「はい、あーん」
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