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第一章
閑話:王子の悩み6 (マーティン視点)
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あぁ本当に俺は何やってんだろう。
彼女とまだ会話らしい会話が出来てない。
冷静になって考えれば、少しでも彼女の好きな話をすればよかった。
なのに……はぁ……ほんとバカだよな。
どれだけ後悔しても何も変わらない。
逢瀬が終わり、俺は去って行く彼女の背を、只々眺める事しか出来なかった。
このままじゃ本当にダメになってしまう。
何とかしないと、次こそは次こそは……。
そう考えるが、何かいい案が思いつかない。
上手く話せなくなるのは彼女の前だけなのだ。
どれだけシチュエーションをイメージして練習しても、彼女を前にすると頭が真っ白になってしまう。
理由はわかっているんだ。
良いところを見せたい、恰好悪い自分を見せたくない。
そんな思いばかりが先行して、まともに彼女と会話が出来ない。
そうして何も解決しないまま、あっという間にひと月が過ぎ、彼女と会う日がやってくる。
今日も同じことをしてしまうのだろう、そんな不安が何度も頭をよぎる。
だがこのままでは本当に嫌われ、愛のない政略結婚になってしまう。
それだけは何としても避けたい。
俺を知ってもらって、お互いがお互いを想いあいたいんだ。
何とか不安を取り除こうと四苦八苦する中、いつもと同じ時間に彼女が現れる。
綺麗なドレス姿、だが今日はなんだかいつもと違う。
いつ見ても見惚れるような笑みだが、今日はなんというか……眩しく輝いて見える。
何なんだこれは……。
キラキラと輝く彼女の姿に困惑していると、彼女はいつものように俺の前へ腰かけた。
「マーティン様、ごきげんよう。聞いて下さいませ、私最近剣術を始めたのですわ。もしよかったらマーティン様の剣術を見せて頂けないかしら?」
彼女の言葉に疑問符がいくつも浮かぶと、口を半開きのままに固まった。
剣術……どうしたんだ?
確かカイザックの話では、令嬢は剣術なんて興味がないはずだろう?
「剣術……どうしてまた?お前は令嬢だろう、剣なんて必要ないじゃないか。それに俺が……ッッ」
俺がお前を生涯守ってやる。
そう言うはずだったのだが……なぜか上手く言葉が紡げない。
なんとか声にだそうと試みるが、喉につっかえたまま。
そんな俺の様子に、彼女は不思議そうに首を傾げたかと思うと、体を寄せ、俺の瞳を覗き込んだ。
彼女の瞳がアップで映し出され、長いまつ毛、澄んだ瞳に、上手く呼吸が出来ない。
「えーと、そんなことはありませんわ。護身術にもなりますし、何よりもマーティン様が剣術を好いておられると伺って、学びたいと思いましたの」
俺が剣術を好きだから?
つまり俺の為に剣術を!?
何だって、いやいや、そんな、おいおい。
あんな失礼で最低な態度ばかりとっていた俺の為に……ッッ!?
これは夢なのか!?
そう思いテーブルの下で手の甲をつねってみると、ピリッとした痛みがはしる。
夢じゃねぇ……ッッ。
嬉しさがこみ上げる中、手が勝手に震え始める。
俺は震えを抑えるように拳を握りしめると、必死に言葉を紡いでいった。
「おっ、お前、なっ、なっ、何言ってんだ……ッッ。いや、そんなにいうなら、まぁ仕方がねぇな。少しだけだぞ。ちょっと待ってろ」
俺は勢いよく立ち上がると、部屋に置いてあった木刀を持ってくる。
そして構えて見せると、彼女は嬉しそうに笑みを浮かべていた。
うっとりとした表情を浮かべ、瞳がキラキラと輝く姿に、頬が熱くなるのを感じる。
これだ、これじゃないか。
剣術なら彼女に恰好良いところを見せられる。
それに剣術の知識なら、才女である彼女に劣らないはずだ!
「分かってるとおもうけどな、普通はこんな事しないからな。お前が……どうしてもって言うから、特別だぞ。後……わからないことがあれば何でも聞け、教えてやる」
ちょっと待て、何言ってんだ俺!?
なんでこんなつっけんどんな言い方になってしまうんだ?
普通に会話が出来ないのか!!!
言ってしまった手前、訂正できない。
俺は心の中で絶叫する中、シャーロットの期待の眼差しが視界に入ると、慌てて剣へと意識を集中させる。
落ち着け、とりあえず今は俺の勇姿を見せるチャンス、剣なら大丈夫だ。
いつも練習でする素振りを思い出しながら、剣先を真っすぐに見つめ、シュッと風を切る音と共に木刀を振り下ろす。
すると彼女は小さく拍手を見せると、じっと俺の姿を見つめていた。
彼女の瞳に映る自分の姿に、嬉しさが込み上げる。
それを堪能するように俺は何度も何度も、剣を振り下ろしたのだった。
*******************
第一章はここで完結です、ご愛読頂きまして、ありがとうございます!
いかがだったでしょうか?
ご意見ご感想等あれば、コメントを頂けると幸いです。
次話より第二章となります。
最後までお付き合い頂けると嬉しいです(*'ω'*)
彼女とまだ会話らしい会話が出来てない。
冷静になって考えれば、少しでも彼女の好きな話をすればよかった。
なのに……はぁ……ほんとバカだよな。
どれだけ後悔しても何も変わらない。
逢瀬が終わり、俺は去って行く彼女の背を、只々眺める事しか出来なかった。
このままじゃ本当にダメになってしまう。
何とかしないと、次こそは次こそは……。
そう考えるが、何かいい案が思いつかない。
上手く話せなくなるのは彼女の前だけなのだ。
どれだけシチュエーションをイメージして練習しても、彼女を前にすると頭が真っ白になってしまう。
理由はわかっているんだ。
良いところを見せたい、恰好悪い自分を見せたくない。
そんな思いばかりが先行して、まともに彼女と会話が出来ない。
そうして何も解決しないまま、あっという間にひと月が過ぎ、彼女と会う日がやってくる。
今日も同じことをしてしまうのだろう、そんな不安が何度も頭をよぎる。
だがこのままでは本当に嫌われ、愛のない政略結婚になってしまう。
それだけは何としても避けたい。
俺を知ってもらって、お互いがお互いを想いあいたいんだ。
何とか不安を取り除こうと四苦八苦する中、いつもと同じ時間に彼女が現れる。
綺麗なドレス姿、だが今日はなんだかいつもと違う。
いつ見ても見惚れるような笑みだが、今日はなんというか……眩しく輝いて見える。
何なんだこれは……。
キラキラと輝く彼女の姿に困惑していると、彼女はいつものように俺の前へ腰かけた。
「マーティン様、ごきげんよう。聞いて下さいませ、私最近剣術を始めたのですわ。もしよかったらマーティン様の剣術を見せて頂けないかしら?」
彼女の言葉に疑問符がいくつも浮かぶと、口を半開きのままに固まった。
剣術……どうしたんだ?
確かカイザックの話では、令嬢は剣術なんて興味がないはずだろう?
「剣術……どうしてまた?お前は令嬢だろう、剣なんて必要ないじゃないか。それに俺が……ッッ」
俺がお前を生涯守ってやる。
そう言うはずだったのだが……なぜか上手く言葉が紡げない。
なんとか声にだそうと試みるが、喉につっかえたまま。
そんな俺の様子に、彼女は不思議そうに首を傾げたかと思うと、体を寄せ、俺の瞳を覗き込んだ。
彼女の瞳がアップで映し出され、長いまつ毛、澄んだ瞳に、上手く呼吸が出来ない。
「えーと、そんなことはありませんわ。護身術にもなりますし、何よりもマーティン様が剣術を好いておられると伺って、学びたいと思いましたの」
俺が剣術を好きだから?
つまり俺の為に剣術を!?
何だって、いやいや、そんな、おいおい。
あんな失礼で最低な態度ばかりとっていた俺の為に……ッッ!?
これは夢なのか!?
そう思いテーブルの下で手の甲をつねってみると、ピリッとした痛みがはしる。
夢じゃねぇ……ッッ。
嬉しさがこみ上げる中、手が勝手に震え始める。
俺は震えを抑えるように拳を握りしめると、必死に言葉を紡いでいった。
「おっ、お前、なっ、なっ、何言ってんだ……ッッ。いや、そんなにいうなら、まぁ仕方がねぇな。少しだけだぞ。ちょっと待ってろ」
俺は勢いよく立ち上がると、部屋に置いてあった木刀を持ってくる。
そして構えて見せると、彼女は嬉しそうに笑みを浮かべていた。
うっとりとした表情を浮かべ、瞳がキラキラと輝く姿に、頬が熱くなるのを感じる。
これだ、これじゃないか。
剣術なら彼女に恰好良いところを見せられる。
それに剣術の知識なら、才女である彼女に劣らないはずだ!
「分かってるとおもうけどな、普通はこんな事しないからな。お前が……どうしてもって言うから、特別だぞ。後……わからないことがあれば何でも聞け、教えてやる」
ちょっと待て、何言ってんだ俺!?
なんでこんなつっけんどんな言い方になってしまうんだ?
普通に会話が出来ないのか!!!
言ってしまった手前、訂正できない。
俺は心の中で絶叫する中、シャーロットの期待の眼差しが視界に入ると、慌てて剣へと意識を集中させる。
落ち着け、とりあえず今は俺の勇姿を見せるチャンス、剣なら大丈夫だ。
いつも練習でする素振りを思い出しながら、剣先を真っすぐに見つめ、シュッと風を切る音と共に木刀を振り下ろす。
すると彼女は小さく拍手を見せると、じっと俺の姿を見つめていた。
彼女の瞳に映る自分の姿に、嬉しさが込み上げる。
それを堪能するように俺は何度も何度も、剣を振り下ろしたのだった。
*******************
第一章はここで完結です、ご愛読頂きまして、ありがとうございます!
いかがだったでしょうか?
ご意見ご感想等あれば、コメントを頂けると幸いです。
次話より第二章となります。
最後までお付き合い頂けると嬉しいです(*'ω'*)
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